救急車呼んで!!網膜中心動脈閉塞症

今日も網膜剥離の紹介がありましたが、それよりもっと悪い病気の患者様が・・・。

実は、もともと当院にかかって頂いている、50代女性の患者様です。
初じめてお会いした時は、糖尿病網膜症による出血で、視力が0.03とかだったのが、きちんと治療ができて、最近は0.9まで回復していました。

今回は昨日の夜に、急に真っ暗になったと、今朝来られたのですが、なんと網膜中心動脈閉塞症・・・・。
以前に書いていますが、
http://blog.sannoudaiganka.jp/?cid=4925
2011.04.23 Saturday
目を養っている中心部の血管がいきなり詰まってしまう病気です。
脳梗塞や、心筋梗塞と一緒で、いかに早く血栓を溶かすか。が重要です。


視力はなんと、0.01まで低下。
写真の青矢印で囲った部分が少し白く見えるでしょうか?
赤い血液が流れないために、白くうつってしまうのです。
緊急入院で、マッサージや点滴、ステロイド剤の注射などを行いましたが、
写真は治療後に今とったやつですが、少し改善してきているようです。

糖尿病の方は、残念ながら、見えなくなるまで、外来に来てくれない人が多いのですが、(もちろん、きちんと来てくれる人もいますよ。)
この方も、外来をサボってしまう事が多く、煙草を吸ったり、血糖が500あったり、食生活も・・・。医師の立場からは、決して優等生とは言えない患者様なのですが、とても明るく気さくな患者様で、来た時には外来の雰囲気を明るくしてくれる、素敵な患者様です。なんとか少しでも良くなってほしいなと。

でも、網膜中心動脈閉塞症は、詰まってから1?2時間以内の治療が望ましい疾患です。今回も半日弱たっており、元通りに見えるように。とは行かないでしょう。
急に見えなくなったら、救急車です!!!
脳梗塞や心筋梗塞では、みなさん救急車を呼べるのですが、目の事になると危機感が乏しく、どうしても明日でいいや。となってしまうようで・・・。

ブログをみて、覚えていてくれる人が少しでもいて、自分や家族の方が急に見えなくなった時には、すぐに病院へ行って頂ければ幸いです。

今回の患者様は、優等生とは言えませんが、「昨日は先生が休みだと思って。」とのこと。優しい気持ちで、受診が遅れてしまったのは残念。少しでも回復を。と祈ります。
でも、昨日の夜も救急外来の患者様を2名診察しています。やっぱり重大な病期の時は、昼・夜関係なく病院に連絡を。

(いつも目が赤いのだけど、昼間は忙しいから、夜みてほしい。みたいなコンビニ感覚の受診は、お断り致しますが・・・。たまに、そういう問い合わせもあるのですよね・・・。)

緊急入院:網膜中心動脈分枝閉塞症

第4火曜の午後は、普段は他の病院で非常勤の手術をさせて頂いています。ただし、今回はゴールデンウィーク前とのことで大きな手術はないようです。なんと、平日の午後がお休みに!!とても久しぶりです[:ときめき:]
たまにはゆっくりするのもいいかな。と思いつつも、動かずにはいられない性格なため、幼稚園にお迎えに行って遊びにでかけてしまいました[:子供:]

ただ、そんな中でも午前の外来では緊急入院が1名。
先日(4/23)の網膜中心動脈閉塞症のちょっと軽いタイプで、下半分の血管が詰まってしまった症例です。正確には、枝分かれといった意味を含めて、網膜中心動脈分枝閉塞症と呼びます。

上の方に比べると、下1/3の網膜がやや白っぽくなっています。血液に含まれる赤い成分(赤血球)が少ないために、このように写ります。

造影剤というものを点滴で流して撮影した画像です。下の方の血管は詰まってしまい、血流が途絶えていることが分かります。(黒い線が詰まったしまった血管です。)
本日も、来院後早急に血栓溶解剤の点滴をする事が出来ました。点滴により、脳出血などのリスクがごく僅かですがあるため、数日間の入院をお願いしています。

この間までは網膜剥離の緊急入院ばっかりでしたが、この一週間で動脈閉塞2名、静脈閉塞1名が緊急入院し、血栓溶解療法を行っています。あまりに同じような症例が続くのはちょっと奇妙です・・・。

それにしても、まだ開院1年目ですが、この1年間だけで、5名の動脈閉塞の溶解療法を行っています。大学病院にいたときでさえ年に3人とかだったのに。今日の患者様は行方市の方で、石岡市内の患者様だけではありませんが、あまりに多いかなと。これも奇妙です。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

緊急入院:網膜中心動脈閉塞症

土曜日は本来は午前の外来のみなのですが、今日もいっぱい働きました!
お昼休みに、小美玉市医療センターで
・白内障手術 7件
・眼瞼腫瘍 1件
夕方にクリニックに戻って、
・白内障手術 1件
・網膜硝子体手術 2件(硝子体出血:糖尿病と網膜中心静脈分枝閉塞症)
手術は順調に終わりました!

午前の外来で63歳男性が御紹介で初診され、緊急入院となりました。

網膜中心動脈閉塞症(もうまくちゅうしんどうみゃくへいそくしょう)
眼球の奥にある光を感じ取る膜を網膜と呼びます。カメラで言うとフィルムにあたります。網膜中心動脈閉塞症はその名前の通り、網膜を担うもっとも中心となる動脈が詰まってしまう病気です。糖尿病網膜症などがゆっくりと、徐々に詰まっていくのと比べ、ある日突然に全ての血管が詰まるため、発症が急激、そして重篤な疾患です。

脳梗塞や心筋梗塞と同じような病態で、動脈硬化などが原因となります。

本日の患者様の写真です。

上が、正常な右眼です。
下が、血管の詰まってしまった左眼です。血流がないために、血液の色であるオレンジ色が弱くなり、全体として白っぽくなっています。


これは、造影剤という薬を点滴で注入後に写真を撮ったものです。
血管の中の造影剤が白く映ります。
右眼は27秒でほぼ全ての血管に造影剤が流れています。
左眼の写真は42秒なので、普通なら右眼以上に白く映るはずですが、ほとんどすべての血管が黒く抜けてしまっています。血液が流れていないことになります。

とても緊急性の高い疾患で、発症後ただちに治療をしなければいけません。
脳梗塞や心筋梗塞と一緒で、血液が流れていない時間とともに組織が死滅していきます。ですので、救急車を呼ぶべき疾患です。

治療法は、血栓溶解剤の点滴を行います。また、眼球の血流を良くするために、マッサージや、眼内の水を抜いて眼圧を下げるなどの処置を行います。
本日の患者様は、来院後1時間で全ての治療ができ、治療としては上手くいったのではないかと思います。
ただし、急に真っ暗になったのは昨晩とのこと。出来れば昨晩のうちに治療をさせて頂きたかったです[:悲しい:]

急に真っ暗になったら、時間に関係なく眼科に電話をしましょう!
場合によっては救急車を呼びましょう。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)