マイボーム腺機能不全

昨日今日と、多くの外来患者様の受診がありました。出来るだけ待ち時間がないように。と思いますが、頑張りたいと思います。
夜は県南の医院様で網膜剥離などの硝子体手術に呼んで頂きました。クリニック様ですが、20時とか21時とか結構遅くまで頑張っている眼科は沢山あるようです。明日も土曜日ですが別の県南の医院様で硝子体手術が数件あり、今週は網膜の手術が14件。家族の顔を見ている時間より網膜を見ている時間のほうが長いよう。網膜、網膜、網膜。網膜ばかり見ている気分です。でも体調がいいのか?眼精疲労はないようです。

ブログでは網膜を忘れて、まぶたについて書いてみます。
マイボーム腺機能不全
先日、マイボーム腺梗塞について記載しました。マイボーム腺の出口が詰まって、米粒のような硬い芯ができてしまう病気です。ただし、実際の症例ではそのような米粒状の芯が出来てしまう症例は少なく、ドロドロとした分泌物が溜まることの方が圧倒的に多いようです。マイボーム腺からの分泌の低下はドライアイ(乾燥性角結膜炎)と大きな関係があり、記載してみます。

マイボーム腺は、まぶたに存在する油を分泌する組織です。この油によってまばたきが滑らかになったり、涙の表層を油がコーティングすることで、目の表面からの涙の蒸発をゆっくりにさせたりと、目にとってはとっても重要な油です。
体質や体調、加齢、清潔さ、コンタクトレンズなどによって、
このマイボーム腺の機能が低下し、出口が詰まったり、油が固形状になったり(液体の油でないと上手に目の表面に広がりません)、汚い油にバイ菌がついて感染症を起こしたり、
このような状態をマイボーム腺機能不全と呼びます。

マイボーム腺からキレイな液体の油が分泌されないと、涙の表面を油で覆う機能が落ちてしまうために、涙の蒸発が早くなりドライアイを招きます(涙液蒸発亢進型ドライアイ)。また、古い油がベタベタすると感じたり、メヤニが出やすくなったり、ドライアイが原因でゴロゴロ痛んだり。目の不快感の原因として、マイボーム腺のトラブルは非常に大きなウエイトを占めます。
特に高齢の患者さんでは、油の分泌が悪くなったり、洗顔が上手に出来なくなったりするようで、診察をすると多くの患者さんでマイボーム腺の詰まりを発見するようになります。(というか、マイボーム腺が詰まっている人のほうが圧倒的に多くなります。)


今日来た患者さんの写真です。左が受診時。赤矢印の先、マイボーム腺の出口に固形状の油が並んでいます。ピンセットでまぶたをつまんで、油をしぼりだす処置をしてみると、右の写真のように黄色い(汚い)油が一気に出てきます。人によっては練り歯磨きのような油がニュルニュル出てくる時も。
この処置(マイボーム腺マッサージ)をすると、しばらくの間、ショボショボ・ベタベタが改善するようで、処置が好きな患者さんは「またあれやってくれ。」となるのですが、
目薬の麻酔をしてはいるものの、少し痛みがあるようで「もうやりたくない。」という患者様も少なくありません。

自宅で自分でできる治療法としては、お風呂や蒸しタオルで、まぶたを温めたり(温めると油は柔らかく溶けやすくなる)、やはりよく洗顔をすることが重要です。通常の石鹸がしみる場合には、ジョンソン&ジョンソンのベビー石鹸が良いようです。
重症の人は、めん棒でまぶたの縁を擦ってキレイにしてもらうのですが、高齢の方では老眼だったり、手足が不自由だったり、普通に顔を洗うのさえ面倒でしてくれない方がいたり、実際にはなかなか難しいようです。
(元気だけど面倒だから洗顔しない。という方に、マイボーム腺マッサージを行うと、処置の痛みが嫌なので、次の診察の時にはしっかり洗顔してきてくれる方がいます。それをみて、僕は「痛かったんだろうな。でもキレイにしてくれるようになってよかった。」と頭の中で思って、1人でニヤニヤしたりしています。)

今日もお読み頂きありがとうございました。

ドライアイ? 涙点閉鎖術・涙点焼灼術

今日のお昼は以下の手術を行いました。
・涙点-涙小管閉鎖術(焼灼術) 3涙点
・白内障手術 6件
・緑内障手術(流出路再建) 2件
無事に終わりました。

今日の手術から一つ。
涙点閉鎖術(るいてんへいさじゅつ)

涙は正常な状態では、その10%が目の表面から蒸発し、90%は涙点から鼻の奥へと流れていきます。(⇒以前のブログ:涙の役割
ドライアイの治療については以前に書きましたが
?環境を整えて、乾きにくくしたり、
?点眼薬を付けて潤いを与えたり、
?涙の出口(涙点)をせき止めて、涙をとどめたりする

などがあり、ある程度以上のドライアイでは、?の治療法として、
涙点プラグと呼ばれる治療法が必要になります。(⇒涙点プラグのブログ

涙点プラグはとてもよい治療法で、多くのドライアイの患者様の役に立っていますが、稀にプラグに対して炎症が起こってしまったり、プラグが勝手に取れてなくなってしまうこともあります。プラグが取れてしまう場合には、プラグを大きくして、きつく入れ替えたりもするのですが、涙点の大きさや形状によってどうしても入れられない場合もあります。
こんな時に、手術で涙点を閉じてしまおう。というのが涙点閉鎖術になります。
涙点を手術的に閉塞させた場合、上手くいけば涙をせき止めに関しては、永久的な治療効果が期待できます。
一方、副作用としては、手術的に涙点を閉じてしまうと、涙点プラグのように嫌なら取ってしまおう。というわけにはいきません。誤って軽症のドライアイの方に手術をしてしまい、逆に涙目になってしまった。なんていうことがないように、手術の適応に関しては、ドライアイの重症度や、涙点プラグ治療後の反応などをしっかりと検討する必要があります。

*涙点プラグが上手く入らない場合に、キープティアといって、涙小管の中にゲル状の薬を入れる場合もありますが、数ヶ月でゲルがなくなってしまい、繰り返しの再治療が必要になります。重度のドライアイでは、一生涯の治療と考えると、コスト的に手術が有利になります。(1回のキープティアと、手術1回の費用が一緒)

涙点を閉じる方法としては、糸で涙点を縫いつけてしまう方法や、焼いて癒着をさせてしまう方法などがありますが、「100%完全に閉じられる」という方法や、「絶対に再発しない」という方法は、まだないようです。
当院では出来るだけ良好な成績などを期待して、主に涙点-涙小管焼灼術を行っていますが、僕の個人的な成績では、いちおうこれまでは全症例で閉鎖に成功しています。

今日の患者様は、シェ―グレン症候群という重症のドライアイの患者様で、大学病院の膠原病内科様でも治療中です。他院の眼科様でも治療に難渋し、当院転院後も涙点プラグや各種点眼薬の治療を頑張ってきましたが、糸状角膜炎や角膜ヘルペスを繰り返してしまう重症例です。

もうキズだらけ・・・。どうにも落ち着いた状態とならずに、今回、左右上下、4つあるうちの3つの涙点を手術で閉塞することになりました(もう一つは涙点プラグが入っています)。

まず、仰向けに寝て、局所麻酔の注射を行います。
滑車下神経といって、目頭付近の皮膚に垂直に針をいれます。
この麻酔はまぶたに注射をする麻酔よりも痛みが少なく、効果も高いのですが、2時間程度、麻酔が切れるまで、まぶたが開かなくなったり、物が2重に見えるなどするので、治療後、帰宅までゆっくり休んで痛く必要があります。
(麻酔の写真は取っていないのですが、すみません。)

患者様の頭側からみている状態で、左目の上まぶた、目頭側の写真です。

水色の先が涙点で、涙の排出路になります。
ここに高圧電流を流すための細い針金状の器械(緑矢印)を挿入します。
だいたい1cm強、奥まで入ったところで鼻の内側の骨に当たります。

そこから、徐々に器械を引き抜きながら、内部に高圧電流を流して、1cm強の長さの涙小管の内腔にヤケドを起こして、癒着をさせて閉塞を起こします


最後に、出口の涙点をセッシで挟むように、ジュッと焼いて終了です。

この治療法の良いところは、縫って閉じる方法と違い、針や糸を通したりがないので、まぶたの内出血(皮下出血)などがほとんど起こらず、翌日から見た目がキレイなことです。

両眼に麻酔をして、3つの涙点を閉塞させて、だいたい10分ちょっとの手術です。費用は片眼で6300円、両眼で12600円。1割負担では片眼630円。3割負担では片眼1890円になります。

患者さんが眩しくないように、光を最小限で手術をしているので、暗くなってしまって、今日はあまりいい写真が撮れませんでした・・・。

ドライアイ? ジクアス・ムコスタ

今年の学会も、多少は耳にしたことがあることばかりで、びっくり驚くような発表はなかったようです。そう簡単に医学は進まないのかな?
いろいろな手術や検査の器械がバージョンアップされ、購買意欲は刺激されましたが、「どうしても欲しい!」というものはなかったです。

ドライアイの目薬に関して、いくつか発表がありましたが、それについて書いてみようかな。
ドライアイ
新しいタイプの点眼薬「ジクアス・ムコスタ」

以前に、ドライアイの治療について書いてみたのですが、
http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=124000
ドライアイの治療は、環境の整備や、目薬、涙点プラグ等があります。
ドライアイの目薬というと、10数年前に発売されて以来、ヒアレインという水色の目薬がとってもよく使われてきました。ヒアルロン酸という成分が主体で、保湿力が高く、化粧水にもよく使用されています
(最近は、ジェネリック医薬品というのが多くなって、いろいろな名前の目薬が、いろいろな色の容器に入っているので、水色の・・・なんて訳にはいかなくなりましたが。)

軽症?中症の患者様を中心に、ほとんどのドライアイの方では、ヒアレインを代表とする、このヒアルロン酸製剤のみの使用で、症状の改善が得られるようです。ただし、ヒアルロン酸製剤の欠点は、点眼薬をつけた時には潤いが得られますが、1時間とか時間が経過すると、保湿成分が目の表面からなくなってしまい、朝・昼・晩と目薬をつけても、点眼薬の合間、たとえば夕方などに乾きを感じることが出てしまう事があります。

涙点プラグは、常に涙の排出を抑えるため、点眼と点眼の間の乾きを抑える事が出来ましたが、ホコリを洗い流す能力が落ちるなど、問題点もあります。

ドライアイの治療に関しては、長年、目立った進歩がなかったのですが、昨年から新しい点眼薬が発売され、学会などでも臨床経験に関する報告が増えてきました。(ヒアレインから、実に15年ぶりの久々のドライアイ新薬です。)

左が昨年発売された、ジクアス点眼薬
右が今年発売された、ムコスタ点眼薬です。
これまでの点眼薬は、簡単に言うと、「足りないものは、人工の涙で補う。」という概念で、補充した直後は潤いがありますが、時間がたつと、乾いてしまうことが問題でした。
これらの新しいタイプの点眼薬は、「自分の粘液や水分の分泌を増やして、乾きにくくする。」という効果が期待できます。
自分の粘液が増えて、乾くのを抑えるので、涙の動態として、より自然な治療法ですし、点眼薬の効果が切れる時間帯。などの問題をクリアしてくれるようです。

以前も書いたのですが、涙は水分のみで出来ているわけではありません。
http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=123591
油層・水層・ムチン層という3層構造からなり、最も外側の油層が、水分の蒸発を防いでいます。
ムチンは結膜や角膜から分泌される粘液で、角膜のみに比べると、保水力のある粘液が間に存在することで、涙液の蒸発がゆっくりになります。また、表面張力などの影響を受けずに、涙がすき間なく、角膜全体に均一に広がることに役立ちます。
ジクアスや、ムコスタ点眼は、結膜の細胞などに影響して、このムチンの分泌を増加させ、より乾きにくい・涙液の安定した状態を保つことができるようになります。

とてもよい点眼薬で、僕もドライアイの患者様で症状が強い方には、かなり処方が多くなっています。涙液の蒸発亢進型のドライアイの女性にジクアスを出したら、とっても喜ばれたり、先日は、シェ―グレン症候群(涙が出なくなる病気)で、涙点プラグも、点眼薬もいろいろ使ってもキズだらけ。なんて方に、ムコスタを出してみたら、2週間でキレイになってしまった人も経験しました。

ただし、いくつか問題点も。
?ジクアスは少し「しみる」と感じる方が多いようです。
?ムコスタ白く濁った薬で、つけたあとしばらくは、曇った見え方になります。また、もともと胃薬の成分なのですが、点眼後は「苦み」を感じます。
?点眼をすることで、効きすぎてしまって、逆に「涙がうるんでしまって、見にくい」という患者様もいます。
?効果が安定するのに、1日4回とか、6回とか、ある程度の点眼回数が必要です。

?や?の付け心地は、人それぞれなので、実際に試してみるのがいいかと。
「しみる」目薬が気持ちいい。という人もいますし、「しみる」目薬は痛くて嫌だ。という方もいます。なんの治療でも相性がありますよね。
?や?は、ドライアイの中でも、ある程度重症の方で、しっかりと点眼を必要とする患者様の薬だと言えるでしょう。
新薬が出ると、「ドライアイの治療は、全てその薬にしよう」なんていう先生もいますが、軽症で「乾いたときのみ1日1回くらい点眼薬をつけてる。」なんていう人には、ヒアルロン酸製剤のほうがあっているかと思います。

効果が高くて、簡便で、費用が安い。そんな治療が一番いいのですが、
ドライアイの治療は、キズの状態とか、医師の診察のみで決めるわけではなく、
症状の感じ方、点眼薬の付け心地、どこまで治療するかなどの治療への積極性など、個々の患者様で差があるので、そこが難しいところです。僕たちが、1日4回と処方しても、なかなか全員の患者様が4回守ってくれるわけではありませんしね。
症状がどのように残っているか、それをどうしたいのか、いろいろ情報を頂けると、診療が楽になります。

ドライアイ? 涙点プラグ

以前にドライアイについて書いていたのですが、季節がら乾燥が強く、ドライアイの悪化する患者様が増えてきています。
エアコンの風向きや、加湿器などと上手に付き合っていきましょう。

今日来た患者様で、点眼薬や眼軟膏による治療でも、角膜(黒目)のキズが消えない人がいたので、涙点プラグという治療を行いました。

涙点プラグ
http://blog.sannoudaiganka.jp/?cid=4963
2011.05.31 Tuesday;ドライアイ?治療
上記にて以前にも書いたのですが、
涙は目の表面を潤した後に、目がしらの涙点(るいてん)という出口から鼻の奥の方に流れていきます。一般の方では、涙の約10%が目の表面からの蒸発でなくなり、約90%が涙点から流れ出ていきます。
涙点プラグは、この涙の出口(涙点)に詰め物をして涙をせき止め、涙が目の表面に留まる時間を長くしよう。という治療です。

どんな人に?
?点眼薬による治療を行っても乾いてしまう場合
?点眼薬などのアレルギーで、点眼薬が使えない場合
?仕事やライフスタイル、コンタクトレンズの問題で、点眼薬治療が合わない場合
などの場合に考える治療です。

実際の治療
?目の表面に、目薬の麻酔を行います。
?涙点を先のとがったものを挿入し、少し口を広げます。
?涙点にシリコンなどで出来た詰め物(涙点プラグ)を押し込んで終わり。
痛みもなく、非常に簡単な治療で、1分?5分くらいで治療完了です。
(もちろん日帰り)

今日の患者様の左目です。(写真の左側が鼻側)

少しアッカンベーをすると、青矢印の部分に涙点、涙の出口があります。
今回は、下の涙点に治療を行いますが、同じ部位の上まぶたにも涙点はあります。

治療後です。矢印の先に、白い詰め物がされているのが分かるでしょうか?
今回の患者様は、まず下の涙点のみ治療を行いましたが、それでもドライアイがコントロールできない場合には、上のまぶたの涙点も治療をおこないます。

メリット
?点眼薬は1日に多くても6回程度が上限です。付けた直後は潤いが良好ですが、点眼と点眼の間の時間で、乾いてしまう場合には困ってしまいます。涙点プラグは、1日を通して、同様の効果が期待できます。
?人工涙液(点眼薬)は、あくまで涙の代わりであり、完全に人間の涙と同じではありません。人間の涙にはたんぱく質やビタミンなど、目の表面に必要な栄養分が含まれていますが、あまりに人工の目薬をつけてばかりいると、自分の涙が目薬で流されてしまい、目の表面に必要な栄養分がなくなってしまう事があります。涙点プラグなら、自分の涙が目の表面に滞在する時間が増えるので、人工の涙液に比べて自然な状態を保つことができます。結局のところ、自分の涙がもっとも優秀なのです。
(1日に10回とか目薬をさすのはおかしい事で、そうしないといられない。なんて人は涙点プラグなど、他の治療法を試すべきです。)
?点眼薬に対してアレルギーが出る場合や、他の疾患も合併して数多くの点眼薬が必要な患者様は、点眼薬の種類や回数を少なくすることができます。(多くの目薬に防腐剤という添加物が入っていますが、あまり多く使うと、目に毒性を示すことが多くなります。)

デメリット
?軽症のドライアイの患者様が、涙点プラグを入れると、逆に涙があふれてしまう事があります。
?若い患者様などでは、目がしらに異物感を感じたり、プラグとこすれて逆に目にキズがついてしまう事があります。
?涙の働きの一つに、目の表面のホコリや老廃物、花粉などのアレルギー物質を洗い流す。というものがあります(自浄作用)。涙点プラグは涙の出口をふさいでしまうために、花粉やホコリが留まり、かゆみやメヤニなどの結膜炎が起こりやすくなってしまう事があります。

ただし、涙点プラグは、上記の合併症などが問題となった場合には、眼科で数秒で取ってしまう事が出来ますので、あまり不安になる必要はありません。数年前からは、シリコン製の詰め物のみでなく、ゼリー状の詰め物を詰める方法も行われています。ゼリーは3ヶ月ちょっとで自然に溶けていきます。プラグがゴロゴロして合わないという場合や、プラグの前にちょっと試してみたい。という患者様などもいます。

治療後は?
?合併症がなければ、一生涯入れていてもいいプラグですが、強くこすったりすると、勝手に取れてしまう事があります。あまり、目がしらを擦らないようにしましょう。涙点プラグには0.5mm?1.2mmくらいで、いくつかサイズがあります。小さい涙点プラグを入れて、取れてしまったという場合には、より大きめのプラグを入れるようにします。一番大きなプラグを入れても取れてしまう場合には、涙点を縫いつけてしまう治療などを行います。
?上記のように、プラグを入れると、花粉やホコリが溜まりやすくなってしまうので、ホコリっぽい作業をした後や、花粉症の時期、寝る前などに、人工涙液の目薬を使用して、ときどき目を洗って清潔に保つ必要があります。

ドライアイ 質問

何日かにわたって、ドライアイについて記載しましたが、
コメント欄でご質問を頂きました。
よくある質問なので、回答させて頂きたいと思います。

たまに目が痛くなるので眼科に行きましたが、ドライアイで、黒目に傷があると言われて、その後ずっと目薬をもらっています。目薬を付けたときはよくなるのですが、やめるとまた痛くなることがあります。いつもの眼科では目薬を付け続けるように言われ、毎月通っていますが、平日は仕事があり、なかなか通院できないこともあります。
目薬をつけないと失明したりするのか不安です。薬を付け忘れてしまうことも多いのですが大丈夫でしょうか。

?完治は難しい病気です。
ドライアイは、原因にもよりますが基本的に慢性疾患です。涙が少なかったり、乾きやすい事が原因で、様々な症状が起こります。
治療は、先日記載した通りですが、基本的に涙液の産生量を回復させるような治療法は、現在の医学では存在しません。
一部、結膜炎やアレルギー、角膜炎後などの疾患に続発して、ムチン層や角膜表層の異常があり、それらが原因の場合には、元となる疾患の改善とともに完治するものもあります。結膜弛緩症やまぶたの異常などでも、手術治療などにより改善するものもあります。
ただし、多くの場合は涙液の減少を少なからず伴っており、完治という状態に持っていくには、涙液の量を増やすことが必要です。これができないために、完治ということが難しいのです。
点眼薬による治療は、少ない涙液を補充してあげようという、その場しのぎの治療法ですので、点眼後は潤って調子がいいのに、しばらくするとまた症状があるというのは、その通りだと思います。
(最近ジクアスという、粘液の産生を増やす点眼薬が発売されました。これは、一部回復という意味も含んでいるのかもしれませんが。)

乾く日、乾かない日など、季節や時間帯によって症状に変化がでることもあります。これは、体調や環境によって症状が変動があるためです。
脱水や体調の悪い日、夕方夜間は、涙の分泌も低下します。涙の分泌が同じでも、湿度の低い日や、エアコンの風、パソコンなどまばたきが減る作業などでも、乾き方が変わります。
このように、多少の変動はありますが、多くの患者様の涙の量は、むしろ年齢とともにだんだん減っていくのが当たり前ですので、ドライアイは調子の良い日、悪い日を繰り返しながら、長い年月でみると徐々に悪化する疾患です。
(鼻涙管閉塞症・狭窄症という、涙の流れが悪くなる病気が出たりすると、逆に涙が余って、あふれるようになる方もいます。)

?どこまで治療をするか
ドライアイは、超重症例を除いて、失明したりするような重大な病気ではありません。(重症例では角膜が傷だらけになり、感染症を起こすなどして、失明に至ることもあります。)
ほとんどのドライアイの患者様は、自覚症状を和らげるために治療をしています。
ドライアイには様々な治療法があり、きちんとした方法をとることで、ほぼすべての患者様の症状を緩和することができます。
乾くのがツライ、痛い、メヤニが出るなど、いろいろな症状がありますが、その症状をできるだけなくしたいと思うのであれば、積極的に治療をするとよいでしょう。しかし、なかにはちょっとくらいゴロゴロしてもいいや。と思う方もいらっしゃると思います。私はそれはそれでいいのではないかと思います。
嫌な言い方ですが、医療には時間もお金もかかります。通院して、目薬を処方される(買う)ことの負担と、ゴロゴロする痛みと、どちらの負担が大きいかというのは、性格や個人的な事情により様々と思います。
しっかりとした治療を続ければ、症状はなくなり、症状を出にくくする効果もあるでしょう。
人によっては、症状があるときのみ薬を使いたいという人もいるでしょう。
人によっては、症状があっても、治療をしたくない人もいるでしょう。
失明するような重篤な病態でなければ、どこまで真剣に病気と向かい合うかはその人次第と思います。

僕は眼科医なので、どちらかと言うと、目の病気は治したいと思ってしまうのですが、治療を受ける受けない、通院をするしないは、患者様の自由です。人間なので、医師と患者様の相性もあります。ご自身がお金を払うのに値する、納得できると思う先生にかかればいいと思います。

*角膜がこすれて、キズがたくさんある場合には、キズに感染を起こして失明騒ぎになることがあります。このような場合には、僕も「絶対に治療が必要です。」と言う事があります。多くの場合には、キズがひどければ痛みもひどいので、患者様自身が治療を望まれますが、糖尿病の患者様や、コンタクトレンズを長期で使う患者様など、キズの重症度に反して、痛みなどの自覚症状がない場合があります。このような患者様には、継続した点眼薬が必要であり、その旨をお話ししています。

質問者様が、毎月の診察や、継続的な点眼薬が必要なのかは私にはわかりません。もし、ご希望であれば一度受診して頂ければ詳しく検査・お話をさせて頂きます。
毎月診察する医師の方が、熱心な先生であるという考えもできます。質問者様の目の健康をとても心配しているのかもしれません。当院受診が難しければ、かかりつけの先生に、自分はどのようなドライアイなのか?継続した治療が必要なのか?他によい方法はないのか?いろいろ聞いてみるといいと思いますよ。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)

ドライアイ? 治療

今日は小美玉市医療センターで手術です。
・白内障手術 6件
・翼状片手術 2件
・眼瞼下垂症手術 1件(加齢によってまぶたが下がったもの)
無事に終わりました。

ちょっとサボっていた、ドライアイの事です。
ドライアイ(乾性角結膜炎)
ドライアイは、目の表面の涙が少ない、つまり乾燥していることによって引き起こされる病態ですが、以前に記載した通り、様々な症状や問題が起こるため、治療をする必要があります。
治療法は目薬がもっともポピュラーですが、それ以外も含めて記載します。

?生活や環境に配慮して、乾きにくくしよう
晴れて湿度が低くて、風が強い日には洗濯物が良く乾きます。
目も同様で、冬の乾いた風や、エアコンの乾いた風が当たれば乾きやすくなります。(お風呂に入っている時間や、梅雨の時期にはドライアイの症状が軽くなります。)
ドライアイの人は、運転中に車のエアコンの風に顔にかからないようにしたり、職場でエアコンの直風が顔にあたらない机にしてもらったりなどの配慮をすると良いでしょう。また、メガネをかけると直風を防ぐ効果もあります。
集中して、本を読むときや、パソコンの画面を見ているときは、まばたきが少なくなり、乾きやすくなります。近年は、Visual Display Terminal、VDT作業と言って、パソコンなどのモニターを必要とする職種が増えています。パソコンなどに集中して仕事をする場合、少し意識的にまばたきを増やしたり、適度な休憩をとるように心がけましょう。
また、パソコンのモニターやテレビ画面などもそうですが、アゴを引いて上目線で見る場合より、顎をあげて下目線で見る方が、目を開く面積が少なくなり、涙の蒸発が少なくなるため、乾きにくくなります。
モニターやテレビ画面を少しだけ低い位置にしたり、姿勢を正して、少し下目線で見るなどと気をつけるもの良いことです。

?湿度を上げよう
お風呂場や、梅雨など湿度が高い場合には洗濯物はなかなか乾きません。
オフィスでエアコンの風がコントロールできない場合には、足元や机の上に個人用の小さな加湿器を置くのもよいでしょう。
症状が強い人は、ゴーグルや花粉予防の保護メガネなどをかけて、目の周りの湿度を上げる方法もあります。
特に、ゴーグルの内部に湿った綿を設置して、積極的に湿度を上げる方法などもあります。(モイスチャーエイド;眼鏡店やインターネットで購入可能です。)

?目薬をつけよう
涙が少ない人は、目薬で補いましょう。足りない涙を補充するといった、とても分かりやすい治療法です。
人工の涙液にも、さまざまな種類があります。ほとんど水に近い成分の物や、ヒアルロン酸と言って、お肌につける化粧水のような潤い成分が入ったもの、ビタミンの成分が入ったもの、軟膏という油分の多い製剤などもあります。潤いが多いと乾く感じは改善しますが、少しべたつくような感じになります。どの目薬がよいかは個人差が大きく、付け心地なども目薬を選ぶのに大事な要因です。医師とよく相談するようにしましょう。

また、半年前に新発売された点眼薬で、結膜や角膜からの粘液の分泌を促進し、角膜(黒目)の表面のムチン層を改善することで、涙液の蒸発を和らげるといった作用のものもあります。(ジクアス点眼液)

まぶたや結膜の炎症、油層の問題などで、ステロイド剤という点眼薬を使用する場合もあります。この場合、ステロイド緑内障といって副作用が起こる場合があります。副作用がやすいタイプの人と、そうでない人がいるのですが、眼科で時々チェックをする必要があります。

重度ドライアイの場合など、稀ですが、血清点眼と言って、ご自身の血液を頂き、遠心分離して目薬を作り出すといったことをする場合などもあります。

当院では、多くの場合は、初診時にはまず一ヶ月分の点眼薬を処方しています。
2回目の診察で、付け心地は良いか?角膜の傷は治っているか?副作用などはないか?などを相談・診察し、結果が良好であればご希望に応じて、同じ点眼薬を、保険診療内で認められた範囲の本数(だいたい10本;ジクアスは4本まで)で処方し、次回の予約はなしとしています。(変化があるときに再診)
2回目の診察で、付け心地や病気の改善度に問題があるようであれば別の薬や治療法を相談しています。

?涙をせき止めよう
上記のような治療でも改善が乏しい場合には、涙点プラグといった治療を行います。涙は目の表面を潤した後に、目がしらの涙点(るいてん)という出口から鼻の奥の方に流れていきます。
涙点プラグはこの出口に詰め物をして、涙をせき止めてしまう治療法です。
出口がなくなった涙は、蒸発する分でしか目の表面からなくならないため、高い治療効果が期待できます。
・良い点:治療の効果が高い、もしも嫌だったら取り外すことができる。
・悪い点:詰めのものが取れたり、溶けてなくなった場合には追加治療が必要。両眼で数千円の費用がかかる。涙はホコリやアレルギー物質を流す作用があるが、これがなくなるため、花粉症などが悪化する事がある。ホコリを流すために、1日数回、洗い流すために人工涙液が必要。

その他にも、特殊な重症例では、まぶたの手術を行う場合や、治療用コンタクトレンズなどの治療法等がありますが、必要時は医師が説明します。

涙液の量を増やすというのが理想的な治療法です。ただし、現在の医学ではそのような治療法は確立されていません。同様の効果がある飲み薬なども報告されていますが、全身的に汗が出る・暗く見える・消化器症状などの副作用が大きく、ドライアイのみの治療としては現実的ではありません。(抗コリン剤;サラジェンなど)

それぞれの患者様にあった最適な治療をするには、診察や涙の検査以外に、患者様からの情報が必要です。
どんな症状があるか、何をしている時に症状が強いか、1日のうちで差があるか(朝がひどい・夜がひどいなど)、点眼薬の反応はどうか。医師にいろいろな情報を下さい。
ほとんどのドライアイの症状は、きちんとした検査、治療を行う事で症状をとることができます。ツライのを我慢する必要はありませんので、医師によく相談してみてください。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)

ドライアイ? 検査

今日はドライアイの検査や診断について記載します。
ドライアイの診断基準は、
?自覚症状があること
?涙の異常があること(涙の量や質に関する検査を行います)
?角膜や結膜に傷があること(診察で分かります。)
になっています。

?自覚症状は、患者様とのお話や、問診票から判断します。

?涙の異常に関しては、少し特殊な検査をします。
・シルマーテスト
下まぶたに専用の細い短冊状の濾紙を入れ、5分間でどれくらいの涙が出るかを測定します。ドライアイの人は、涙が少ないために、濾紙の濡れる面積・長さが小さくなります。
(濾紙の代わりに糸を使う方法や、涙に色素を混ぜて、どれくらいで涙が透明に戻るかを調べる検査など、患者様の状態によって、様々な方法を行うことがあります)
・BUT:(tear film breakup time)涙液層破壊時間の測定
涙液の量がたくさんあっても、油層やムチン層などに異常があると、目を開けている時の涙の蒸発が早くなり、乾燥してしまいます。
これも様々な方法がありますが、一般的には、涙を観察しやすくするために、黄色の色素を涙に溶かして行います。通常の人は、目を閉じた後に、目を開けっぱなしに保った場合に、角膜表面は10秒程度は乾いた部分が出来ずに、黄色の涙で覆われたままとなります。ドライアイの患者様では乾燥が早く、5秒以内に乾いた部分が観察されます。

?角膜や結膜に傷は、スリットランプと言われる、目の表面を拡大してみる器械で観察します。傷の程度を詳細に把握するために、やはり色素を使用して、傷を染めるなどの検査を行います。ドライアイの原因の種類によって、角膜のどの部位に傷ができやすいという特徴があり、傷の場所や程度を詳細に観察します。
最近は、医師が観察している目の状態をテレビのモニターなどに映し出して、説明に使用する病院が増えているかと思いますので、そのような場合には、患者様ご本人も傷を確認することができるかと思います。

上記の???を満たす場合に、ドライアイと診断されますが、
実際には、他にも以下のようなものを調べながら総合的に判断し、治療法を考えています。
・生活環境や空調機の有無、職業、コンタクトレンズの使用などの情報。
・リウマチや、シェ―グレン症候群、骨髄移植などの既往
・診察中のまばたきの間隔や数
・眼瞼のけいれんなどがないか
・まぶたの変形がないか、きちんと目を閉じることができるか
・まぶたや結膜の炎症がないか
・油層を形成するマイボーム腺の異常はないか
・結膜弛緩症がないか
・異物や、逆さまつげなど、他に傷の原因となるものがないか

毎日やっていることなので、それほど長い時間はかからずに診察をしているつもりですが、僕たちは結構いろいろなことを考えて観察をしています。
光をあてられて診察を受けると、確かに眩しくて、ツライと思う患者様もいらっしゃると思いますが、正確な診断をつけるためですので、ご協力頂ければと思います。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)

ドライアイ? 原因

ドライアイは目の表面が乾いてしまう病気ですが、目が乾く原因はとてもたくさんあります。

?涙が少ない
涙液は涙腺という組織で作られます。涙腺は小児期より発達し、報告にもよりますが、10代が最も産生量が多いピークになるようです。以後は涙腺の機能が徐々に低下していき、加齢と共に涙の量が減っていきますので、高齢の方ほど涙が乾くなどのトラブルが多くなります。
また、明確な原因は不明ですが、現代人の涙の量は減っているとの報告が多数あり、例えば20年前の人間に比べると、全体として涙の量が少なく、ドライアイの患者数が増えている傾向があります。(環境ホルモンなど、様々な原因が推測されていますが、はっきりとは分かっていません。)
他にはシェ―グレン症候群という、涙や唾液が少なくなってしまう特殊な病気などが原因となることもあります。

?涙の蒸発が早い
以前と同じように涙が出ていても、涙の蒸発が早ければ、表面が乾いてしまいます。
・環境:冬の乾いた風や、夏場でもエアコンなどの湿度の低い風が、直接目に当たれば乾燥が速まります。
・まばたきが少ない:読書やパソコンなどに集中をすると、普段数秒に1回行っているまばたきの回数が少なくなります。目をあいている時間が長く、涙液で潤すためのまばたきが少なくなれば、表面が乾きます。
・コンタクトレンズ:ムチン呼ばれる保水力の高い粘液層によって覆われている角膜に比べると、コンタクトレンズは保水力が弱く涙の蒸発が早くなってしまいます。(最近はよいコンタクトレンズの開発が進んできていますが)
・油層の異常:まつ毛の生え際付近に存在する、マイボーム腺からでる油によって、涙の最も表面側は油層という膜でおおわれています。加齢や、眼瞼炎、まばたきの不全などで、この油の分泌が悪い場合には、涙の液体成分が露出し蒸発が早くなります。
・角膜の傷:ドライアイで傷ができると、角膜の表面にざらざらと凹凸が出来たり、ムチン層が少なくなるために、保水力が低下し蒸発が早くなるなど悪循環に陥ることがあります。
・結膜炎:花粉症や、バイ菌による結膜炎などでも、ムチンの分泌が低下し、保水力が低下するために蒸発が早くなります。

?まぶたや、まばたきの問題
ケガや火傷などによって、まぶたが変形して、きちんと目を閉じられない場合や、一般の方でも寝ているときに薄目があいてしまう方がいらっしゃいますが、目をを閉じたときに、目の表面がきちんと覆われない場合は、露出した部分の角膜(主に下の方)が乾燥し、傷となってしまう場合があります。

?涙が有効に使えない
まばたきによって、角膜の表面に均一な涙の膜ができることが理想ですが、加齢や火傷などでまぶたに変形や凹凸が生まれると、目の表面に潤う場所と、うまく潤わない場所ができ、潤わない場所には傷が出来てしまいます。
また、結膜弛緩症といって、白目の表面の粘膜に加齢によってシワやタルミが出来てしまう病気などでも、涙の流れが悪くなったり、表面の均一な涙液の形成が悪くなるなどして、ドライアイ症状が出ることがあります。

以上が、大まかな原因となりますが、他にも細かい原因はたくさんあります。また、なにか一つが原因となっている症例よりも、たくさんの原因があって、複合的に症状が出ているケースのほうが多数あります。
例えば、涙も少ないが、コンタクトレンズも付けているなど。

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ドライアイ? 症状

今日は以下の手術を行いました。
・白内障手術 9件
・網膜硝子体手術 3件
 (内訳:黄斑円孔2件、糖尿病に伴う黄斑前膜・黄斑浮腫1件)

今日白内障手術が難しい症例が多く大変でした。
71歳の女性は角膜混濁といって黒目が濁っているために、
71歳の両眼手術の男性は、IFISといって、手術中に瞳孔が小さくなってしまう状態で、それぞれ10分弱かかってしまいました。
みなさん大丈夫と言ってくれるのですが、少し痛かったかもしれません。
すみませんでした。手術はキレイに終わっており視力はきちんとでますので。

ドライアイ(乾性角結膜炎)
涙の役割や、どのように涙が流れるかを昨日記載しました。
ドライアイは、目の表面の涙が少ない、つまり乾燥していることによって引き起こされる病態をひっくるめた病名・総称です。
では、目の表面が乾燥すると何がいけないのでしょうか?

?見えにくい
昨日記載しましたが、目の表面は涙の膜が均一に隙間なく覆っていることが正常な状態です。涙が蒸発して乾いた部分(ドライスポット)ができると、その部位を通過する光の進行に影響がでるため、白くかすむなど物が見えにくくなります。

?痛い
本来は乾燥していくのを角膜が感知し、完全に乾いてしまう前にまばたきが起こります。ドライスポットができるなど、乾いてしまってからまばたきをする事になると、角膜の表面と、まぶたがこすれてしまい、角膜に傷ができるなどします。(雨の降っていない時に、車のワイパーを動かすと引っかかりやすいのと一緒です。)
傷ができると、ゴロゴロ痛みを感じたり、また角膜の表面がすりガラスのようにザラザラするため、傷が多い場合はこれも視力低下につながります。

?多彩な症状
上記の??が中心の症状になりますが、
・乾燥してまばたきが滑らかでないために、「引っかかる」
・まばたきでこすれて炎症がおこり、「充血する」
・炎症により分泌が増えて、「メヤニがでる」
・痛みや、見えにくさから眼精疲労が起こり、「目が疲れる」
・傷やドライスポットを通る光が広がってしまい(散乱)「光が眩しい」
・コンタクトレンズがずれる、はずれる
・人によっては、痛みを「熱い・痒い」と感じることもあり、
とにかく、ドライアイはいろいろな症状の原因となりえます。

ほとんどのドライアイの患者様は、自覚症状が辛いのが問題で、失明などとは程遠い、軽症例です。自覚症状をとるために、希望があれば通院・治療を行いましょうといった程度で、ご本人が辛くなければ、治療が絶対に必要だというものではありません。
ただし、重度のドライアイで角膜の傷がひどい場合などには、感染症などを起こし、失明に至ることもありますので、医師が絶対に点眼が必要という場合にはきちんと通院するようにしましょう。

ドライアイの原因や、分類については明日
治療法については明後日に記載したいと思います。

(ブログでは、一般の皆様が理解しやすいように、少し噛み砕いて記載している部分があります。実際には、涙液中のたんぱく質や、傷の回復、炎症などがいろいろと影響しながら、状態が成り立ちますが、このブログでは省略させて下さい。)

ブログを呼んでくれる方が増えてきたようです。
頑張って続けます☆

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ドライアイ? 涙の役割

今日の午後は出張で手術でした。ときどき、他の病院様に伺うと、なんとなく気分的にリフレッシュできます。手術中に相手方の先生と話をしたりするのも楽しいです。

ドライアイ(乾性角結膜炎)
昨日から引き続き、ドライアイのお話です。
今日は、正常な涙に関して記載します。

?涙は目の表面を守るバリアです。
体は皮膚で覆われ、皮膚によってバイ菌や、乾燥、熱、紫外線などから守られています。物を見るためには、眼球は光を通す構造をしていなくてはなりません。そのため、目の表面を皮膚で覆うわけにはいかないので、涙の膜が覆う事で、乾燥やその他の外敵から目の表面を守る必要があります。
例えば、目に異物やホコリが入った場合には、涙が多く分泌されて異物やホコリを流すようにします。
また、体でバイ菌が繁殖した場合には、血液のなかの白血球という細胞が頑張って菌をやっつけます(免疫・抵抗)が、角膜(黒目)などには、光を多く通す目的があるため、血管や白血球がありません。このため、涙の中には菌をやっつけるような免疫を担当する物質が含まれています。
他にも、体は血管の中の血液によって栄養分や酸素が運ばれますが、同じ理由で角膜には血管がないため、空気中の酸素が涙に溶け込み、目の表面から角膜内に酸素を取り入れるなどの働きにも関与しています。

?レンズ効果
目の表面が涙の膜で均一に覆われた状態が、最もよく見える正常な状態です。お風呂の鏡も、お湯をかけて水の膜が一枚出来ている状態が最もよくうつると思います。時間がたって、鏡の上の水の膜が途切れて水滴になってくると白く曇ってしまいます。
角膜と涙の関係も同様で、角膜の表面の涙に乾いた場所ができると、その場所を通る光が曲がってしまったり、散乱と言って光が広がってしまうため、お風呂の鏡のように白っぽくボヤけてしまいます。
正常の人でも数十秒も目を開けているとボヤけてしまいますよね?(表面が乾くのを感知すると、涙がたくさん出てきて溢れてしまいますが、瞬きをしない限り目の表面が均一に濡れるわけではないので、ボヤけます。)

涙は水だけで出来ているわけではありません。「涙の3層構造
実は、涙は角膜の表面から外界に向かって、三つの層に分けられます。
?最も外側は「油層」といい、上下のまぶたの縁(まつげの根元付近)にあるマイボーム腺という組織から分泌される油からできています。油層があることで、まばたきが滑らかになったり、その下にある水層、涙液の蒸発を防ぐ作用があります。
?中間にあたるのが「水層」で、水を主成分とする液体の層です。涙の大半を占める涙液の層で、涙液は上まぶたの裏側にある涙腺で作られます。涙液は眼球の粘膜を潤すだけでなく、角膜や結膜に栄養を届けたり、細菌の侵入を防いだり、粘膜にできた傷を早く治す働きをしています。
?角膜に一番近い部分が「ムチン層」です。ムチンは結膜や角膜から分泌される粘液です。角膜のみに比べると、保水力のある粘液が間に存在することで、涙液の蒸発がゆっくりになります。また、表面張力などの影響を受けずに、涙がすき間なく、角膜全体に均一に広がることができます。

涙の流れ、まばたき
目を潤すための瞬〈まばた〉きの役割
涙の主成分である涙液は、涙腺という組織で作られ、角膜の刺激や、まばたきによるポンプ作用によって、目の表面に出てきます。目の表面を潤したり、栄養を与えた後は、一部は表面からも蒸発しますが、多くは涙点と呼ばれる目がしら付近の排泄口から鼻の奥の方に流れていきます。(流れが良い人は、目薬を付けた後に苦みを感じたりするのはこのためです。)

表面に出てきた涙液を角膜の全面に均一に広げる役割を持つのが、まばたきになります。涙の膜はなにもせずに10秒ほど過ぎると、所々にすき間ができて角膜が露出した部分が生じてしまいますが、瞬きをすることで涙が目の表面全体に均一に押し広げられ、すき間ができるのを防いでいます。さらに、汚れた涙を涙点(目頭にある涙の排出口)へ運ぶのも、瞬きの働きです。

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