強度近視

今日は小美玉市医療センターで手術でした。
・白内障 6件
・眼球眼瞼結膜癒着乖離、形成術 1件

先日、屈折異常のお話を記載しました。

近視(目が大きい)、正視、遠視(目が小さい)、目の大きさによって視力などの個人差が発生します。
一般的には、正視が最も良い目という事になりますが、デスクワークなどが多い職業や、読書が好きな人は、多少の近視があった方がよいと思う人もいます。
では、このなかで医学的に、一番悪者なのはどれでしょう?
答えは近視です。軽度の近視は問題がないことが多いのですが、ある程度以上の近視があると、様々な病気になりやすくなります。
全身の問題としては、タバコや、糖尿病が万病のもとなどと言われる事が多いですが、眼科の中では、強い近視が万病のもとになります。

強度近視(きょうどきんし)
他に、変性近視、病的近視などとも呼ばれます。

目が大きい人ほど、近視が強くなることは7月8日に記載しました。
その程度があまりに強い場合を強度近視と言います。また、目の大きさの成長は一般的には、20代後半でストップし、眼鏡の度数も安定する人が多いのですが、病的な近視の人は何歳になっても目が大きくなり続ける場合があります。
強度近視などの、明らかな原因としては、ある程度の遺伝が関係していることが分かっていますが、他の明確な原因は分かっていません。

風船を膨らませると、ゴムが薄くなって割れやすくなりますよね?
目も同じで、大きく膨らむほど、網膜などのフィルムが薄くなっていきます。

網膜はカメラで言うとフィルムに相当する部分です。
薄く引き延ばされて、委縮した状態を、網脈絡膜委縮などと呼びますが、光を感じ取る能力が落ちてしまい、眼鏡をかけても1.0等が見えなくなったり、場合によっては委縮した部分の視野が欠けたりします。

他には、薄くなった網膜が断裂して穴があき、それを原因として網膜が内側に剥がれてしまう病気(網膜剥離)にもなりやすいです。

緑内障とって、目の中を循環する水分の圧力で網膜・神経が薄くなってしまう病気がありますが、強度近視の人は、もともと網膜が薄い(スタートラインが不利)ので、発症率が高くなります。

他には、物を見る中心部の網膜(黄斑;おうはん)に穴があいてしまう黄斑円孔と言う病気や、黄斑の網膜が断裂して出血してしまう近視性黄斑症(新性血管黄斑症)など、とにかく強度近視の人は、目の様々な病気にかかりやすくなっています。

メガネやコンタクトがないと生活出来ない。
なんて言う人は、1、2年に1回でいいので、眼科検診を受けるようにしましょう!(特に40歳以上の方は。)

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

屈折異常(近視・遠視)

今日は外来が85名と、少し多めでしたが、重篤な患者様の紹介はなく、比較的ゆっくりと診療ができました。

今日は屈折異常についての記載です。

屈折異常(くっせついじょう)
僕がよく外来で使っている説明書です。

一番真ん中の図をご覧下さい。左側(角膜側)から入ってきた光は、角膜や、水晶体と呼ばれるレンズの力によって、屈折(光の進行方向が曲がる)し、眼内の右側(網膜側)で像を結びます(ピントがあいます)。
この図のように、リラックスした状態で、遠くから入ってきた光が、自然と網膜にピントが合うような目の事を「正視・せいし」と呼びます。
非常に優秀な目で、何もしなくても遠くの物がはっきりと見え、近くの物も、余程の老眼にならない限り、まずまず楽に見ることができます。

では、正視の人と、遠視や、近視の人とは何が違うのでしょう??
答えは目の大きさ(長さ・奥行き)になります。
実は、角膜や水晶体が光を曲げる力(屈折力)には、大きな個人差はないようです。多くの場合は、角膜から入ってきた光は、23?24mm程度で、像を結びます(ピントがあう)。ですので、目の大きさがが、ちょうど23?24mm程度の人が「正視」となります。

「遠視」の人はどうでしょう?(図左上)
遠視の人は、23mmよりも目が小さいのです。リラックスした状態では、ピントは網膜よりも後方(図では右側)にあり、本来は近くにも遠くにもピントが合いません。
ただし、人間は眼内の筋肉を使用することで、水晶体の厚みを膨らませて、ピントを近く(図では左側)に動かすことができます。この働きのことを調節といいます。ですので、力いっぱい調節してもピントが合わないほどの、よほど強い遠視(目の大きさが20mm以下など)ではない場合には、疲れやすいなどはありますが、一応ピントを合わせて、物を見ることができます。
加齢によって、眼内の筋力が落ちたり、水晶体が硬くなって膨らまなくなることで、ピントが合わなくなると、まず近くが見えなくなり(老眼)、さらに進むと遠くも見えなくなります。
「俺は若い時から目が良かった。でも最近はメガネがないと見えない」などと言っている人が、外来ではたくさんいます。実は、このような人は、決して昔から優れた目でいたわけではなく、子供の時から遠視で、無理をして筋肉を使って見ていた。ということになります。(若い時には筋肉痛も起こらず、水晶体も軟らかいので、ピントも合いますし、無理をしているという自覚がないのです。)

「近視」の人はどうでしょう?(図右下)
近視は目が大きい人たちです。24mm以上の目の大きさがあると、遠くからの光のピントは、網膜よりも手前(図では左側)にあってしまします。筋力を使って、水晶体を膨らませてピントを動かす、調節という働きは、ピントを近くに合わせることはできるのですが(図で言うと左に動かす)、遠くにズラす(図で言うと右側:網膜側)ことはできません。
ピントを網膜に合わせたい、遠くの物をはっきり見たいと思えば、メガネや、コンタクトレンズ、LASIK等の手術をする以外にないのです。

基本的には、小さい子供は「遠視」が多く、小学生や中学生では「正視」が多く、高校生以上になると「近視」が多くなります。
これは、体の成長とともに目の大きさが大きくなるためです。
成長するほど、「遠視」⇒「正視」⇒「近視」となります。
ですので、小学生で近視があって、視力が下がっている場合には、基本的には中学生ではさらに強い近視、高校生ではさらに強い近視となるわけです。
高校生くらいで、急にメガネの人が増えるのはこのためです。(体も大きくなりますもんね。)
一般的には、目の大きさの成長は20代後半で止まる事が多く、それ以降は近視の度数の進行などが、落ち着きます。(病的近視などを除いて)
遺伝などの問題で、もともとの目の大きさや(スタートラインが違う)、目の大きさの成長速度には差があるために、遠視や正視、近視の人がいるのですが、成長によって遠視から近視に傾くということは、みなさんに同じように起こることなのです。

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