結膜炎?:細菌性結膜炎

今日は以下の手術を行いました。
・翼状片手術 1件
・内斜視(固定内斜視)手術 1件
・白内障手術 8件
・緑内障手術 1件
・網膜硝子体手術 2件(増殖糖尿病網膜症1件、網膜中心静脈閉塞症1件)
無事に終わっています。

ちょっとサボっていましたが、結膜炎の続きです。
細菌性結膜炎(さいきんせいけつまくえん)
結膜にバイ菌が感染すると、結膜炎がおこります。
バイ菌といっても、先日記載したウィルス(はやり目)や、真菌(カビ)、アメーバなど、いろいろな種類がいるのですが、ケガをした場所が膿んだりする原因として、もっとも多いものが細菌になります。

細菌は空気中にも、うようよと膨大な数でうごめいています。
通常の状態では、皮膚や粘膜に細菌がついても繁殖・感染することはあまりないのですが、たまたまキズがあったり、免疫力(抵抗力)が弱くなっていたり、あまりに大量の菌がくっついた時などに感染してしまう事があります。

細菌が結膜に感染すると、細菌性結膜炎として、べったりとした汚いメヤニがでます。(その他、結膜炎の症状として、異物感・痛み・なみだがでる・メヤニがでる・かすみ目・まぶたが腫れる・目が赤いなどが起こります。)

細菌はウィルスほど感染力が強くないために、家族同士でうつし合う。なんてことはあまり多くありません。

治療法は抗生物質の点眼薬がとてもよく効くので、多くの細菌は1日3?4回くらいの目薬を、数日間使用すると治ってしまいます。
ただし、菌によっては、非常に重篤なものもあり、例えば淋菌と言って、性病を起こすような菌は、とにかく毒性が強く、なかには失明にまで至ってしまう症例もいます。(若い男の子などで、メヤニがたくさん出る場合などは、性器の症状や、風俗店の利用がないかなどを聞くことがあります。眼科なのに何で?って思う方もいるかもしれませんが、必要な情報なのです。)

他には、耐性菌といって、一般の抗生物質が効かない症例もいます。
先日から当院で治療中の90代の女性です。メヤニがでるので、他院の内科で目薬をもらったけど、全く良くならないと来院されました。
このような場合は、メヤニ(眼脂)を少しとって、培養(ばいよう)という検査を行います。試験管などで菌を繁殖させて、菌の種類や、薬との相性を調べる検査です。

数日すると、こんな結果がでます。
上の方にMRSAと書いてあります。MRSAとはメチシリン耐性ブドウ球菌といって、多くの抗生物質が効かないことで有名な細菌です。
下のほうにズラッと並んでいるのが、抗生物質の種類です。各抗生物質の一番右側に、「R」もしくは「S」とあります。
[R]はresistant;耐性・抵抗、つまり「効かない」という意味です。
[S]はsensitive;感じやすい、つまり「効く」という意味です。
この患者様の菌(MRSA)は、下のほうの3つの種類しか効かないという事になります。

ただし、下の3つの成分からなる点眼薬は、現在の日本にはありません。
このような場合は、点滴に使用するための薬を少し薄めてみたり、薬としては認められていないような消毒薬を薄めたりして、患者様にぴったりの点眼薬を作り出す必要があります。

今回は、表の一番下のバンコマイシンという薬が良く効きそうだというわけですが、実はバンコマイシンは昨年から目薬ではないのですが、眼軟膏とって、目にいれる軟膏のお薬が発売され始めています。まだ一般的な薬ではなく、治験といって、実験段階のような薬ですが、製薬会社などにお願いして、使用することが可能になりました。
現在は2週間までしか使用が許されていないのですが、治ってくれるといいのですが・・・・。

と、ながながと書いてきましたが、実際の診療では、ほとんどの場合は培養の検査は行いません。
細菌性結膜炎が疑われた場合に、原因となる菌が淋菌や耐性菌ということは、非常に稀で、多くの菌は通常よく処方される、一般的な抗生物質の点眼薬で治ってしまいます。また、培養検査をすればお金が余分にかかりますし、1週間後に結果が出るとして、その頃には治ってしまっていることが多いからです。

ですので、培養検査を行う場合は、メヤニの量や性状から、毒性の強い菌が疑われる場合や、高齢者などの抵抗力が弱くて、耐性菌という菌が原因である可能性が強い場合などに限って行われます。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

結膜炎? はやり目;流行性角結膜炎

今日は小美玉で手術です。
・白内障手術 6件
・眼瞼下垂症手術 2件
・眼瞼内反症手術(さかさまつ毛)1件
無事に終わっています。

結膜炎?(けつまくえん)
今日は、ウィルスによる感染症のケースを。
ウィルス性結膜炎
原因のウィルスの種類によって、若干呼び方が異なるのですが、
アデノウィルス8,19,37型など⇒流行性角結膜炎(はやり目)
アデノウィルス3,4型など⇒咽頭結膜熟(プール熱)
エンテロウィルス⇒急性出血性結膜炎

のどにウィルスがついて繁殖する場合を、風邪(カゼ)といいます。
白目の上の粘膜(結膜)にウィルスがついて、繁殖した場合がウィルス性結膜炎になります。

症状
異物感・痛み・なみだがでる・メヤニがでる・かすみ目・まぶたが腫れる・目が赤い(充血)などの症状がでます。
ウィルスの強さによって、ちょっとしたメヤニで済んでしまう場合や、ひどい症状で目を開けることができなくなる人もいます。同じウィルスでも、体調などの免疫力・抵抗力によって、個々の患者さんによって症状に強弱が出ることもあります。

診断
?問診:家族や周囲、職場や学校などで結膜炎が流行っているか?
?診察:結膜の性状を調べます。(専門的ですが、まぶたの裏側の結膜に濾胞というふくらみができたり、偽膜といってひどい反応がでる事があります)
?診断キット:抗原抗体反応といって、ウィルスがいると正確に反応する検査器具もあります。粘膜をこする必要があったり(痛い)、院内感染の問題があったりで、??から診断が明らかな場合には省略されることもあります。

治療
多くの場合は、風邪と一緒で、体の免疫力がウィルスをやっつけ、自然に治ります。数日?長くても2週間程度で治ることが一般的です。
ウィルスに対する特効薬は、インフルエンザウィルスや、ヘルペスウィルスなどの特殊なウィルスを除いて、まだありません。昔と違って、ただの風邪の時には薬を出さない先生が増えたと思いますが、出さないというよりは、効くお薬がないのです。
はやり目もウィルスを駆除するような特効薬はなく、基本的には自然に治ります。ただし、炎症による症状をできるだけ和らげたり、後遺症の発生を予防するために、ステロイド剤という炎症を和らげる薬を使う事が一般的です。
ウィルスによる風邪をこじらせると、細菌を原因とした肺炎を起こすことがあるように、ウィルス結膜炎などの目が弱っている時には、細菌が繁殖しやすいために、予防の目的で最近に対する抗生物質を処方することは多々あります。(点眼薬の抗生物質は短期の使用であれば、副作用が少ないために、予防として処方する先生が大多数のようです。)

伝染病
実は、はやり目(流行性角結膜炎)になると、学校をお休みしなければいけません。ウィルスは主に手指を介した接触感染で起こります。
もしも、はやり目になったら、法律で登校が禁止されているのです。

うつりやすいウィルスですので、うつらないこと、そして人にうつさないことが重要です。
・結膜炎の人は目を触ったら、すぐによく洗う。
・周囲に結膜炎の人がいたら、手を良く洗い、むやみに目をこすらない。
・プールではゴーグルを使用する。(プールでうつるものがあります)
・洗顔のタオルを家族で共用しない
・メヤニや涙、点眼薬はハンカチではなく、ティッシュペーパーにとってすぐに捨てる

実は、正直な話、眼科としては、はやり目は天敵になります。
院内感染といって、受診した患者さん同士でうつりあってしまうと困るからです。
結膜炎で受診して、厄介者扱いを受けたことがある人もいるのではないでしょうか??でも、眼科にも評判があって、「あの眼科にいったら、結膜炎になった。」などの噂がでると困ってしまうのです。しかも前述の通り、基本的には自然に治るような病気なので、できれば来てほしくない。なんて考える医師もいます。
当院では、はやり目が疑われる患者様は、来院後すぐに別の待合室で待機して頂き、出来るだけ早く診察をします。会計や処方なども個別で行うようにして、院内感染のができるだけ起こらないように努めているのですが、お子さんの患者様で走り回って、壁をベタベタ触ってしまうときには、頭が痛くなります・・・。

他の科に比べて、眼科には雑誌や絵本、おもちゃなど、患者様が共有する暇つぶしの物品が少ないと思います。その理由の一つに、はやり目による院内感染が怖いというのがあるのです。

今日いらした24歳女性の症例です。

強い充血を認めます。写真の右側は、はやり目に特徴的な後遺症で、黒目(角膜)が濁っている写真です。もう少し分かりやすい、ヒドイ症例の写真を出したいのですが、ヒドイ症例は第一診察室には入らないようにしていただいたり、写真をとるなどの、余分な時間を少しでも省いて診療を行い、院内感染を予防する必要があり、なかなか難しいのです。

20年くらい前までは眼科というと、「赤目外来」などとって、結膜炎などを主体でみることが、仕事の重要な位置を占めていたようです。最近は眼科の主な仕事を、視力や失明などの見える・見えないという分野だと考える医師が多くなりました。どちらも眼科の大事な仕事ですが、僕もどちらかと言うと、見える・見えないに主体に考える事が多くなっているかと。もう少し、バランスの良い医師を目指そう。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

結膜炎

今日は以下の手術を行いました。
・白内障手術 7件
・翼状片手術 1件
・眼瞼内反症手術(さかさまつげ) 1件
・角膜形成術(乱視減弱)1件
・網膜硝子体手術 3件
 (糖尿病黄斑浮腫1件、糖尿病網膜症硝子体出血1件、黄斑前膜1件)
みなさん無事に終わって良かったです[:拍手:]

今日は、翼状片が黒目の中心を超える症例で、キレイに切除するのが大変だったのですが、かなりキレイに取れて良かったです。術後の写真とあわせて、後日upします。
また、眼瞼内反症は加齢によるもので、いつもは皮膚を切除したり、筋肉を短縮したりするのですが、最近雑誌でみた新しい術式を行ってみたのですが、とてもよい感じで結果が楽しみです。まぶたの手術は麻酔の注射が少し痛いのですが、今日はペンレステープといって、注射の前に皮膚に張っておくと、痛みを感じにくくなるシールを使ってみました。あまり痛くなかったとのことで、今後は全員に使用したいと思います[:見る:](もちろん無料です。)

今日からしばらく、結膜炎のことを書いてみようかなと。
結膜炎(けつまくえん)
結膜炎とは、白目(強膜)の上を覆っている半透明の粘膜、つまり結膜に炎症がおこっている病態です。

炎症(えんしょう)というと専門的な言葉になってしまうのですが、炎症とは、体に何らかの有害なことが起こった時に、体におこる免疫反応のことです。炎症がおこった部位は、熱を持ったり、赤くなったり、痛みがあったり、組織が腫れたり、分泌物が増えたりします。
例えば、インフルエンザウィルスを吸い込んで、ウィルスがのどにくっつくと、体は免疫と呼ばれる力をつかって、のどに炎症を起こします。のどが熱をもち、赤くなり、痛みがでて、腫れます。分泌が増えて痰がでます。このような炎症を起こすことで、体をウィルスから守ろうとするのです。

結膜炎は結膜に炎症が起こっている病態ですが、一般的に結膜炎というと、バイ菌による感染を思い浮かる方が多いようです。特に夏場などに流行する、流行性角結膜炎(はやり目)などが有名です。
しかし、結膜炎という言葉・病名は、決して感染症のみで起こるわけではありません。
・アレルギーによって炎症が起これば、アレルギー性結膜炎。
・感染によって炎症が起これば感染性結膜炎。
 特に細菌なら細菌性結膜炎、ウィルスならウィルス性結膜炎です。
・ドライアイによって炎症が起これば、乾性角結膜炎。
などというように、原因はさまざまで、何かしかの原因で、結膜に炎症が起これば結膜炎といいます。他には、こすったことが原因で炎症が怒ることもありますし、今のような暑い時期には汗が入って結膜炎を起こすこともあります。手術後は多かれ少なかれメヤニがでますが、術後性結膜炎です。
まぶたの凹凸や逆さまつ毛でこすれるなど、加齢によって日常的に炎症がおこるようになると慢性結膜炎などとも言います。

結膜炎の症状は、痛み、ゴロゴロ、赤み(充血)、メヤニなどになります。

何によって炎症が起こっているのかを調べて、治療法を考えるのが僕たち眼科医の仕事です。ただし、診察所見のみで診断することは難しく、たとえばゴミが入ったとか、夕方に症状が強いとか(ドライアイ)、鼻水もでる・かゆい(アレルギー)など、患者様からの情報(問診)がとても重要です。

しばらくは結膜炎について記載していきます。
最近、ブログやホームページを見て受診してくださる患者様が増えてきました。眼科のことを少しでも知ってもらえるといいなと思います。
頑張るぞ!!

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