眼瞼下垂症手術動画(CO2レーザー使用:ミュラー筋タッキング)

昨日は、久しぶりにDCR(涙目の治療)を執刀しましたが経過良好で気分爽快です。
今日の午後は宮井副院長と以下の手術をしました。
・翼状片手術(遊離弁移植) 1件
・白内障手術 13件
・緑内障手術 2件
・網膜硝子体手術(茎離断) 6件
ベットが満床で、重症の網膜剥離の紹介や、黄斑円孔の患者様も外来手術となってしまい申し訳ありませんでしたが、手術は問題なく終わっていますのでご安心ください。

以前にyou tubeにUPした眼瞼下垂の手術動画ですが、
痛み、内出血の少ない麻酔針の開発の関係で、公開が遅れてしまっていました。
その後、針の開発に目途がついたので、本日再度公開としてみます。
(この動画の針は新開発のものではありません)
眼瞼下垂症手術動画(CO2レーザー使用:ミュラー筋タッキング)
手術の術式自体は以前に記載していたのですが、やっぱり動画の方がわかりやすいですよね。

手術動画←クリック

眼瞼下垂は、加齢・外傷・ハードコンタクトレンズ長期装用・その他疾患によって、まぶたが下がり、目が開きにくくなる疾患です。
手術にはいくつかの方法があり、下垂の原因や病状、術後の見栄えなどの希望によって選択する必要があります。
今回は、CO2レーザー・炭酸ガスレーザーを使用したミュラー筋タッキングという術式をupしてみます。CO2レーザーによって手術中や手術後の出血(皮下出血)を軽減することができ、より早期に職場へ復帰することが可能になります。(それでも手術後1週間くらいは、腫れて、見た目がかなり悪いものです。)
さらに、当院では麻酔時に内出血が起こらない麻酔針を使用しています。

左右差の軽減(左右を比べながら手術)と、通院時間や医療費の軽減のため、当院ではできる限り同日に両眼の手術をしています。局所麻酔で両眼で約30分程度の手術です。

できる限り見た目のキレイさを考えて治療はしていますが、基本的には病的な眼瞼下垂の患者様の治療目的での手術を、保険適応でお引き受けしています。
下垂の程度の軽い方、美容目的の方などの手術は、当院では施行しておりません。

眼瞼下垂症 手術? 上眼瞼リフト(眉毛下皮膚切除術)

今日のお昼は以下の手術でした。
・翼状片切除 1件
・白内障手術 7件
・緑内障手術 1件 みなさん無事に終わっています。

久しぶりに、まぶたの話でも。
眼瞼下垂症 手術?
上眼瞼リフト(眉毛下皮膚切除術)

眼瞼下垂症は、主に加齢を原因として、まぶたが下がって目が開きにくくなってしまう病態です。(ハードコンタクトレンズや、外傷、脳神経の異常など様々なことが原因となりえます。)
まぶたの筋肉だけでは、目を開けることができずに、おでこの筋肉を使って、眉毛を含めてまぶたを引き上げようとするため、

こんなふうに、まぶたの縁と眉毛までの距離が長くなったり、おでこにシワがよったりするようになります。
治療法は手術になるのですが、病状や患者さんの希望で様々な術式があり、今日はそのうちの一つを書いてみます。

当院でもっとも多く行っている手術は、炭酸ガスレーザーを使用したミュラー筋タッキングという術式ですが、

まぶたの直上の余った皮膚を切開し、縫い縮めます。皮膚の中に埋まっている筋肉も縫い縮めることができるので、まぶたの開き具合は比較的良好です。傷口が二重のラインに隠れたりするのも、この術式のいいところです。
デメリットは、まぶたが少し厚ぼったくなることです。緑矢印の部位の皮膚に比べて、黄色矢印の皮膚の方が厚みがあるのですが、まぶたの直上で皮膚を切除すると、二重のライン近くに黄色の厚みのある皮膚が下りてくるためです。
ミュラー筋タッキングは皮膚が下りてくるイメージ

上眼瞼リフト(眉毛下皮膚切除術)は、逆に皮膚が持ち上がるイメージになります。(リフト:持ち上げる)

このように、伸びてしまったまぶたの皮膚を、眉毛のすぐ下で切除する方法です。利点は二重のラインが、生来生まれ持った皮膚で再現されるので、二重という意味では自然な状態に仕上がります。
欠点は、まぶたを開ける筋肉まで伸びてしまっている場合には、少し効果が弱くなったり、筋肉の手術を別に追加する必要があります。また、切開位置を眉毛に近づけて、出来る限り傷口が目立たないようにしますが、傷口を二重に隠せるミュラー筋タッキングに比べて、傷が剥き出しになる感じは否めません。
上眼瞼リフト(眉毛下皮膚切除術)では、術後に眉を書きたすなどして傷を隠す必要があります(アイブロウ)
上眼瞼リフト(眉毛下皮膚切除術)は、比較的若い女性で、自然な二重が希望で、眉毛を書くことが苦でない人、まぶたの皮膚が厚ぼったい人にお勧めする場合があります。
(当院では、美容目的の手術は引き受けていません。あくまで、医学的に手術が必要なレベルの方のみ対応します。)

実際の手術ですが、

手術の写真は上下逆さまです。赤矢印の先が眼球、下の端っこに眉毛が見えます。切除するべき余った皮膚にペンで印をつけます。その後、麻酔の注射をします。

ペンでつけた目印通りに、メスで皮膚を切除していきます。通常のメスではここで出血がひどいのですが、炭酸ガスレーザーメスなら、出血はごく少量で済みます。

皮膚を切除した後。殆ど出血がありません。あとはこれを上下に縫い縮めます。

ただ切ったり縫ったりするだけの手術で、だいたい片目15分くらいです。
皮膚にパツパツに緊張がかかり、傷が開くと嫌なので、だいたい2週間程度待って抜糸を予定します。

眼瞼下垂の術式は他にもいろいろありますが、担当の先生とよく話し合って決めていきましょう。

さて、明日も網膜剥離の紹介があるようです。頑張らねば!

眼瞼下垂症 手術?

先ほど、今年度の一般診療を終了致しました!
長い1年でした。

眼科の先生から眼瞼下垂の手術に関して質問のコメントを頂きました。
せっかくなのでお返事を含めて、ブログで。

眼瞼下垂症 手術?
経結膜アプローチ眼瞼挙筋手術

先日は、やや高齢の方の手術で、たるんでしまった皮膚を切除し、筋肉を縫い縮める方法を紹介しました。
上まぶたの中には、眼瞼挙筋やミュラー筋と呼ばれる、まぶたを持ち上げる筋肉が存在します。手術では、これらの筋肉を縫い縮めるなどして、まぶたを開けやすくすることが目的です。
先日のように、皮膚がたるんでしまっている場合は、筋肉だけでなく、皮膚も一緒に処置することで、より高い手術の効果が得られますが、皮膚を切ってしまうため、二重の状態や、見た目などに変化が大きくなります。
皮膚がたるんでいない、ハードコンタクトレンズが原因となるような、比較的若い方の眼瞼下垂では、なるべく皮膚や二重に変化がないように手術をしたいという場合も多いようです。
まぶたの中にある眼瞼挙筋は、皮膚側を切開していっても見つける事が出来ますが、まぶたの内側(結膜側)を切開していっても見つけることができます。

すみませんが、手技の説明は専門的な内容になります。

ちょっと、映像が途切れており、最初のシーンがなくてすみません。

上眼瞼をホンテンして、瞼板の上縁(頭側)を2か所でモスキートなどで少し挟みます。さらに、もう一度ホンテンさせると(二重ホンテン)、この画像になります。結膜にキシロカインで麻酔をしていますが、麻酔時に出血してしまいました。
矢印の部位、瞼板上縁近くで、結膜を水平方向に切開し、剥離します。


緑が剥離した結膜、青が眼瞼挙筋です。皮膚アプローチと違い、結膜をはいだらいきなり挙筋なので、オリエンテーションとしては、経結膜は簡単です。


結膜に6-0シルクをつけて、制御糸というか、結膜のオリエンテーションを明確にしておきます。


挙筋の下方に剪刀をいれ、挙筋を剥離します。


剥離できたら、モスキートペアンなどで挙筋をガッチリつかみます。


挙筋を瞼板の上縁から切り離します。


挙筋の上面・下面の結膜や結合織の剥離を進めます。


矢印が挙筋になります。


挙筋に8-0バイクリルで糸をかけ、そのまま瞼板の挙筋切断部位に再度糸を書けます。緑の長さが、挙筋の短縮量になります。


中央、右、左と3か所で、同じように8-0糸をかけ、


しっかりと短縮・縫いつけを行います。


結膜の制御糸を外して、もとに縫いつけて終了。


終了時ですが、皮膚側には、キズも腫れも内出血も全くありません。

術後数日は多少腫れますが、皮膚を切開するのに比べると、直後からの見た目がとてもキレイな手術です。

ハードコンタクトレンズが原因の女性などで、二重の印象などを変えたくない場合に行う術式です。二重をはっきりしたい場合などは、最近は皮膚の小切開のミュラー筋短縮がいいかなと思っています。(美容的目的の手術はお引き受けしておりません。)

そうはいっても、当院は現在、あまりお若い患者様の来院が少ないクリニックでして、皮膚が余ってしまっている人が多いので、先日の術式の方がよほど多くなります。

質問を頂いた先生へ。
眼瞼下垂は眼科ではなく、形成外科や美容の教科書に、かなり詳しいものがあります。

眼瞼下垂症 手術

今日は今年のメス納めの日です。(明日以降、緊急の紹介がなければ)
もう年末なので、今日は合併症の心配が少ない手術のみとしました。
・翼状片手術 1件
・他院術後の瞳孔形成術+乱視矯正 2件
・霰粒腫切除術 1件
・眼瞼内反症手術 1件
・結膜弛緩症手術 2件
・斜視手術(前後転) 1件
・眼瞼下垂症手術(ミュラー筋タッキング)2件
うーん。最後にいろいろやったなぁ。

今日は、眼瞼下垂の手術のことでも。
眼瞼下垂症手術(がんけんかすいしょう手術)
病気については、以前のブログを参照下さい。
2011.09.10 Saturday
http://blog.sannoudaiganka.jp/?cid=5124

今日の患者様は、70代の男性です。

まぶたが重そうですね。
今日の手術の問題点は、ワーファリンと言って、心臓の病気があり、血液をサラサラにする薬を飲んでいるため、手術中の出血が気になるところです。

まず、仰向けに寝て、消毒をします。
(手術は患者様の頭側に座って行います。写真は上下反対になります。)


次に、余った皮膚を切除するのですが、切除すべき皮膚の範囲に、紫のペンで目印をつけます。その後、麻酔を2?3箇所で注射します。写真の中心部あたりで出血をしているのは、麻酔の針を刺した部位です。


炭酸ガスレーザーメスというメスで、紫の目印の線に沿って皮膚を切開します。レーザーメスは、切開と同時に焼いて止血をすることが可能なので、今回のような出血しやすい患者様には最適です。青矢印の先に、赤い光が見えますか?この部位でレーザー光線が出て焼いています。


皮膚の下もレーザーメスで剥離し、余った皮膚を切り取ってしまいます。


皮下組織もレーザーメスで切り開き、まぶたを上げるための筋肉を露出します。


今回はミュラー筋という筋肉を糸で縛りあげて、短くしてしまう(タッキング)手術を行います。7-0ナイロンという、とても細い糸なのですが、分かりますか??まつ毛よりも、ずっと細い糸です。


筋肉を短く縫いつけた後で、まばたきをしてもらい、パッチリと目が開くか、目を閉じることができるかを確認します。もし、あまり開かなかったり、開き過ぎて目が閉じにくい場合には、筋肉の縫いつけの強さを変更します。今回は一発でで問題ないようです。


最後に、同じ7-0という糸で皮膚を縫い合わせて終了です。


ワーファリンを飲んでいる割には、出血も少なく、キレイにできました!
おめめパッチリです[:びっくり:]

そうはいっても、術後数日はそれなりに腫れますので、一週間くらいは見た目が悪くなる手術です。約1週間後に抜糸を行い、その後は徐々に見た目がすっきりしていきます。

まぶたに注射をする局所麻酔で、両眼で30分、だいたい1割負担の患者様で、両眼で15000円くらいの手術です
(当院は両眼同時に消毒し、両眼の見栄えを比較しながら、右目の皮膚切開⇒左目の皮膚切開⇒右目の筋の短縮⇒左目の筋の短縮⇒右目の皮膚縫合⇒左目の皮膚縫合という形で手術をしています。)

眼瞼下垂の手術方法は、眼瞼挙筋という筋肉を処置するものや、まつ毛の下を切開するものなど、たくさんあります。個々の患者様の目の状態や、年齢、キズあとをどこに作りたいかなどの希望などもあります。担当の先生とよく相談するようにしてください。

知り合いの先生から電話をもらったのですが、今日で仕事納めとのこと。こちらは、あと2日あります。幕内会は頑張っています。
今日もお付き合い頂き、ありがとうございました!

眼瞼下垂症

土曜日は午前のみ外来です。
午後は長女と水戸市の千波湖で手漕ぎボートに乗ってきました。

エサをまくと、あっという間に30匹位のアヒルやカモが集まります。ボートの中にまで首を伸ばしてくるので、少し恐怖です・・・。
いいお天気で、まだものすごーく暑かったですが、ちょっと木陰にはいると、ふっと吹く風が冷かったり、スズ虫の鳴き声が聞こえてきたり。すぐそこに 秋はやって来ているようです。

眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)
眼瞼(がんけん)とは、まぶたのことです。眼瞼下垂症は、まぶたが開きにくい状態、下にさがっている状態です。

原因
加齢にともなうものが最も多く、まぶたの上の皮膚がたるんでしまったり、まぶたを上げる筋肉(眼瞼挙筋:がんけんきょきんなど)が、弱くなってしまう事により起こります。
他には、まぶたのケガ(外傷)や、重症筋無力症などの筋肉に関連した病気、まぶたを開ける神経(動眼神経:どうがんしんけい)を侵す、脳動脈瘤・脳梗塞・糖尿病などが原因になる場合、ハードコンタクトレンズの長期装用なども原因になることがあります。
生まれつき筋肉や神経に障害がある先天性の場合には、弱視と言って視力が育たない。といった重度の問題を起こすこともあります。

症状
重度:瞳孔といって、黒目の中心がでないほどの症例では、まぶたが邪魔をして物が見えず、視力が下がります。(正常の人が軽く目をつぶった状態。)
中等度:そこまで行かなくても、瞳孔がギリギリ見える。といった程度では、上方の視野が狭くなり、全体として暗い、かすむなどの症状が出ます。(正常の人が、薄目をあけてみているような状態)
軽度:頑張ればまぶたが開く程度でも、頑張ってまぶたを開くために、眼精疲労が起こり、まぶたが重い、目が痛い、肩がこる、頭痛などのツライ症状が出ることがあります。うつ病になりやすかったなどという報告もあります。
・他には、見た目(整容・美容)の問題などもあります。また、まぶたを挙げる筋肉だけの力では、不十分な場合には、おでこの筋肉でまつ毛やまぶたの全てを持ち上げようとするために、おでこにシワがよります。ある程度の年齢になると、みんなおでこにシワが出来るのはこのためです。

治療
基本的には手術によって治療をします。
子供の弱視の症例を除き、失明したり、手遅れになるような重大な病気ではなく、治療を急ぐ必要はない疾患ですが、上記のような症状が辛くて、治したいと思ったら治療を受けると良いと思います。


8月に手術をした患者様です。上が手術前、下が手術後1週間です。1ヶ月?2ヶ月くらいたつともう少し腫れが少なくなります。
眼瞼下垂は当院で行っているものだけでも、大きく6種類の方法があります。
・ナート術(針と糸で縫うだけ。二重まぶた形成にも行います)
・皮膚アプローチ眼瞼挙筋タッキング
・皮膚アプローチ眼瞼挙筋腱膜前転
・経結膜アプローチ眼瞼挙筋腱膜前転
・上眼瞼リフト(眉毛下皮膚切除術)
・筋膜移植術

どのような術式を行うかも、人によって様々ですので、担当医とよく御相談下さい。
今後、少しづつ各手術の詳細を書いて行きます。

今日も最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
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