裂孔原性網膜剥離? 手術動画

シルバーウィークは久々に数日のお休みを頂きました。
連休前に網膜剥離の手術が立て続けにあり、安静のために入院して頂いていた患者様方も非常に経過良好で、今日の診察では視力1.0の維持を確認できました。明日退院相談です。(満床で外来手術となった市内の患者様は今週末に診察ですが、きっと大丈夫かと)

最近はインターネットを利用する患者様が多くなりました。実は今回紹介になった網膜剥離の方は、前もって紹介先の先生から連絡先をお聞きしたため、みなさん当院に来院する前に僕の網膜剥離のブログを読んでもらうことができました。緊急入院で慌てている時に、ゆっくりと説明する時間はなかなか取れないので、前日の時点で病気の理解が深まるのはとても良いことかと思います。
(多くのケースでは、前日に他の医院様で網膜剥離が診断され、翌日当院に紹介・緊急入院・緊急手術となります。)
当院以外の患者様にとっても、動画での説明は理解に役立つ場合もあるかと思いますので、掲載してみることにしました。


裂孔原性網膜剥離? 
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7月に手術をした60代男性の患者様ですが、本日、術後2ヶ月の定期検診があり、動画掲載の許可を頂けました。ありがとうございます。

7月の初診時の画像です。下半分の網膜剥離です。

残念ながら、写真赤矢印の部位(黄斑)まで網膜剥離が進行していて、メガネをかけても視力が0.3しかありません。受診する2日前までは、中心部はしっかり見えていたとのことです。できるだけ早く復位させる(くっつける)必要があり、緊急入院・翌日手術をさせて頂きました。

本日の画像ですが、きちんと復位(網膜がくっつく)できており経過良好です。今日の矯正視力は幸い0.9まで回復しています。半年などの長期間では1.0に届くかもしれません。ただし、残念ながら、ある程度の歪みや暗さは残ってしまします。本来は網膜剥離は剥離が中心部(黄斑)に及ぶ前に治療を受けることが重要です。

動画の説明を大まかに。
0?1分:麻酔・止血
1?6分:白内障手術(50歳以上の多くは同時手術)
6?8分:硝子体手術の創口作成(27ゲージ)
8?16分50秒:硝子体の切除
16分50秒?21分:空気置換
21?23分:レーザー光凝固(火傷による組織癒着)
23?24分:閉創など

当院では2014年後半から、網膜剥離を含めて硝子体手術の全てを、27ゲージ(0.4mm)という最小の傷口で手術を行っていますので、術後の痛みも極軽度です。網膜剥離の一般的な手術時間は約30分程度となっています。

裂孔原性網膜剥離? うつ伏せ枕

今日のお昼は以下の手術を行いました。
・眼瞼腫瘍切除(良性)1件
・白内障手術 6件
・網膜硝子体手術 2件(茎離断1・増殖1)
 (網膜剥離1件・増殖糖尿病網膜症1件)
みなさん無事に終わりました。

左が網膜剥離の患者様で、オレンジ色の濃いところが網膜の断裂(穴)です。右は糖尿病の患者様の写真で、カサブタを剥がしているところです。この方は、目の中が広範囲にカサブタだらけで思ったより大変でした・・・。

かなり遠くの眼科様からも、網膜剥離の紹介を頂けるようになり、とてもありがたく思います。スタッフの協力もあって、午前中にこられた患者様ですが、お昼休みに手術を行え、今日は午後の外来にも影響なく、定時で終わることができました。みんなありがとう。
患者様も黄斑が剥がれる前に、かかりつけの先生が早々に紹介して下さったおかげで、手術も楽で、おそらく1.0の視力を保てそうです。良かったです。

うつ伏せ枕
裂孔原性網膜剥離での硝子体手術に関しや手術後のうつ伏せに関しては、昨年ブログを書きました。
http://blog.sannoudaiganka.jp/?cid=4921
2011.10.25 Tuesday、2011.10.24 Monday

手術後には、うつ伏せになって頂かないといけないのですが、今日はうつ伏せ枕の紹介です。

手術後は目の中に空気や、特殊なガスをいれて、その浮力を利用して網膜を押しつけるのですが、眼球の構造上、多くの場合でうつ伏せになることが必要です。状態や網膜の穴の場所によって、座っていた方がいい場合や、横向きがいい場合などがありますが、医師の指示を守るようにしましょう!

なかなかツライ姿勢なので、少しでも楽に時間を過ごして頂くように、いろいろな枕が開発されています。

これが当院で一番多用している枕です。同じものが5?6個くらいあったような?(すみません、看護師さんが管理してくれています。)
ワイヤーの土台に、スポンジ製のドーナツ状の枕がついています。写真はナイロンのカバーですが、この上に綿のカバーをかけて、顔をうずめるように使います。(なんと、カバーが洗濯できないタイプの枕もあり・・・、個人的には当院のものはかなり清潔・キレイだと思います。ご安心下さい。)


今日の方は、こんな感じ。カバーも水色なので写真だと分かりにくいですかね?人によっては、首や腰が悪かったりで、枕を使わない人や、胸のあたりにバスタオルを抱えてみたり、とにかくうつ伏せが長時間になるので、疲れないようにすることが重要です!

実は眼球が真下を向いていれば、座っていてもいいので、
日中は、こんな姿勢をしている人もよくいます。

なんとなく、落ち込んでいるように見えますね[:冷や汗:]。

網膜剥離は手術も大事ですが、術後のうつ伏せがなにより重要です。
みなさん、大変ですが頑張ってください!

裂孔原性網膜剥離? 治療その2 強膜内陥術

今日の夕方は、少し外来を早めに終わりにさせて頂き、網膜剥離の手術を行いました。
県南の医院様からの紹介で20代の男性、少し前に白内障の手術をして頂いたようです。手術は無事終わり、視力も回復したようなのですが、最近になって網膜剥離が見つかったようで。
もともとアトピーがある方です。実はアトピーの方は、若くから白内障になったり、網膜剥離になりやすいことが知られていて、眼科医の中では、白内障手術⇒網膜剥離。というのは、非常に怖いのですが、とてもよくある話です。アトピーがあると、とにかく目が弱いようで、網膜剥離になったり、なったあとも手術が難しかったり、なかなか大変です。

網膜剥離に関しては、以前にたくさん書いたつもりでしたが、本日の手術の方式はまだでしたので、今日はその話題で。

裂孔原性網膜剥離? 治療その2
強膜内陥術(きょうまくないかんじゅつ)

以前に記載した(ブログ:2011.10.24 Monday)、硝子体手術と呼ばれる術式は、剥がれた網膜をくっつけるために、眼球の内部に器械を直接挿入し、硝子体(ゼリー)を除去して、空気の力などで網膜を眼球の壁に押し付ける方法でした。(網膜⇒眼球壁)

強膜内陥術は、眼球内に器械を入れたり、網膜に直接触ることなく、網膜と眼球壁をくっつける方法で、剥がれた網膜はそのままに近い状態で、眼球の壁を内側に押し込んで、網膜にくっつけるような方法です。(眼球壁⇒網膜)


こんな感じで、緑の網膜が内側に剥がれているとすると、


上方から、シリコンスポンジという物資を、押し込んで縫いつけ、眼球自体をゆがませて、眼球の壁と網膜をくっつけます。

実際の手術です。

まず、強膜(白目)を覆っている結膜という粘膜を切開し、強膜を露出させます。


強膜に紫のペンで印をつけてあるのが分かりますか(黄緑矢印)??
この印の内側の部分の網膜が、断裂して、網膜剥離の原因になっている穴の部分です。この周囲に、針と糸を通しています。


強膜に通した糸で、眼球を押し込むように、シリコンでできたスポンジをキツク縛り付けます。
白いうどんのような物が、シリコンスポンジです。シリコンというと、女性が胸に入れたりもしますが、体中に安全に留置することができる物質です。


こんな感じで、シリコンのスポンジを数か所縫いつけたり、目を動かす筋肉の下を通したりして、眼球を凹まして穴をふさいだり、網膜をくっつけていきます。


網膜剥離の程度が強い場合には、網膜と眼球壁の間に溜まったお水を除去した方が、早くくっつきます。写真の水色の矢印は、白目に穴を開けて、溜まったお水を抜きだしているところです。(治療のイメージ図では赤矢印の作業です。)

網膜剥離といっても、年齢も程度も原因も様々なので、患者様にあった治療法を選択していかなければなりませんが、この治療法は、一般的には年齢が若く、硝子体(ぜりー)が眼の中にたくさん残っている方に、よく行われます。

硝子体手術に比べて、この手術(強膜内陥術)の良い点は、
・眼球に穴を開けたり、器械を入れたりしないので、バイキンが入って感染症を起こしたり、大出血を起こしたりといった、重大な合併症が起きにくいことです。

悪い点は、
・目を押し混んだり、ぎょろぎょろさせて引っ張ったり、硝子体手術よりは痛みが強いこと。(以前は全身麻酔で行うことの方が多かったようです。)
・直接、眼内をいじって治すわけではないので、重度の網膜剥離などでは、治せない症例が多いこと。⇒治せなかった場合には、硝子体手術を行います。
・眼球の形が変わって、乱視や近視が大きくなること。
などがあります。

注)どの術式がよいかは、その患者様の年齢や、症状、網膜の穴の数や、穴の大きさ、穴の位置、発症後の期間。様々な条件により異なりますので、担当の先生とよく話し合うようにしましょう。

裂孔原性網膜剥離? うつ伏せ

今日の午後は他院様に手術のお手伝いに伺いました。
非常勤での出張手術は、高速道路を使って車で行く所ばかりなのですが、なかなか昼間に1人で運転をする機会は少ないので、ドライブの気分で気持ちいいんです紫外線を予防するため??ちょっとカッコつけてサングラスをしたりします[:車:]

本日、予定通り網膜剥離の患者様2名の退院です。
手術の最後に、目の中に空気を入れて、うつ伏せになることで浮力を使って治すというのを昨日書きました。
図でみるとこんな感じ。

この空気はだいたい1週間?10日間くらいかけて吸収され、最終的には目が作り出すお水(房水)に入れ替わります。空気がたくさんある間は、特にうつ伏せを頑張って網膜を張り付けて頂くのですが、基本的には食事やトイレなど、必要最低限の場合を除き、24時間うつ伏せになって頂くのです。
仰向けになって天井を見てしまうと、空気が水晶体や、白内障手術をした場合には眼内レンズに触れてしまいます。水晶体の場合は空気がふれると白内障が進んでしまったり、眼内レンズの場合には浮力の関係でレンズの位置がズレてしまう事があるため、空気がなくなるまでの10日間位は、仰向けになることはできません。
(空気ではなく、特殊なガスを目の中に入れる場合には、もっと長い期間のうつ伏せが必要になることがあります。当院では硝子体の切除を念入りに行い、網膜を引っ張る力をできるだけ弱くするため、この1年間では全ての患者様を普通の空気のみで治療することができていますが、非常に稀には3週間程度残るガスを使う事もあります。)

目の事を思えば、とにかくしっかりと、うつ伏せを守って頂きたいので、僕は、たまに病室をこっそり覗きに行きます。
すると、いろいろな人がいて、何回見に行っても、きちんとうつ伏せを守ってくれる人や、なかなか頑張ってくれない人もいます。そんな時には、厳しく注意するべきなのでしょうが、僕は人に強く怒ったり出来ないんですよね・・・[:悲しい:]


昨日のブログで例に出した、10月20日に手術をした66歳女性です。
写真の左上のほうの網膜が剥がれています。

これが本日、退院前の写真です。写真の上方1/4くらいで水平の線が見えますか?これより上が空気、下が房水と呼ばれる液体です。
手術前の視力は黄斑も剥がれていて、メガネをかけても0.03でした。白内障や黄斑前膜の治療も一緒に行い、本日は0.5まで回復しています。まだ手術後間もないので、もう少し改善する見込みです。


イラストを描いてみると、こんな感じです。白丸が空気、赤のXはレーザーのヤケドの意味です。


これは、21日に手術をした39歳の写真です。やはり上方の1/4位には、まだ空気が入っています。こちらの方は水晶体が残っているので、上を向くと白内障が進んでしまいます。もう少し入院した方がいいのかもしれませんが、ご自宅がかなり遠く、お子さんもいるので、おうちで安静にして頂く予定です。
もともと黄斑までは剥がれておらず、手術前から視力は1.0ありましたが、本日の時点でも1.0を維持しており、良好な経過です。

裂孔原性網膜剥離? 治療その1 硝子体手術

今日のお昼は白内障手術8件。無事に終わりました。
今日は某メーカーさんが来てくれて、まだ未発売ですが、新型のレンズを挿入する器械を少し使ってみたのですが、なかなかいい具合でした。

先週の木曜・金曜の網膜剥離の患者様も経過良好で、明日退院です。

今日は網膜剥離の手術の方法を書いてみます。
裂孔原性網膜剥離? 硝子体手術
先週の木曜日の手術です。ブログ:2011.10.20 Thursday

*網膜剥離は、年齢や、剥がれている程度、白内障の有無、穴の大きさや、網膜の剥がれている範囲など、個々の症例によって、手術方法が異なります。ある一つの例としてです。

今回は、66歳女性、白内障あり、後部硝子体剥離に伴う大きな裂孔、剥がれて数日、黄斑剥離あり といった症例です。

まず、網膜剥離の原因ですが、硝子体という目の中のゼリーが縮んで、網膜を引っ張ることで発症します。

手術では、まずは仰向けに寝て、白目の周り?眼球の後方に針を入れて局所麻酔をします。(近年は網膜剥離の硝子体手術では全身麻酔は不要です。)

この方は66歳で白内障もあるので、最初に白内障手術をやってしまいます。

眼内レンズを入れている写真です。

その次に、目の中に器械を入れて観察してみると、

写真の左下の方が、網膜の剥がれている部分です。

硝子体を器械で取り除く手術なのですが、硝子体は本来、透明なゼリーなので、あまり良く見えません。

なので、こんなふうに白い薬(マキュエイド)を目の中に入れて、硝子体を見やすくする処置をします(可視化)。

物をみる中心部(黄斑)まで剥がれている症例では、なるべく早く黄斑の剥離を治すことが重要です。そこで役立つのが、パーフルオロンという重い液体です。

パーフルオロンを目の中に入れていくと、網膜を押しつけて、剥離がくっついて行きます。
図ではこんな感じ。

紫がパーフルオロンですが、重い液体なので、重力によって網膜を押しつけてくれます。

その後はとにかく丁寧に、硝子体を取り除いて行きます。

これは、網膜が断裂している部分の写真ですが、赤矢印の先に右上から左下に向かって、三日月状に網膜が断裂しています。破れた網膜の隙間から、オレンジ色の脈絡膜という組織がのぞいて見えます。

硝子体カッターと呼ばれる、掃除機のような器械で、硝子体のお掃除です。

網膜をひっぱていた硝子体を取り除くと、網膜はヒラヒラと軟らかくなります。

ここで、風船を膨らませるように、目の中に空気を入れたり(白○)、網膜の後ろ側にたまったお水を吸い出すことで(黄色矢印)、網膜を外側にひとまずですが、くっつけます。

白丸が空気です。内側から膨らみ、網膜を外側に押しつけます。

これは、網膜の後ろ側の水(下液)を吸い出しているところです。


網膜が外側にくっついたら、網膜の断裂部の周囲にレーザー光線を照射して、網膜にヤケドを作ります。赤の×印がヤケドです。

レーザーは緑色の光です。

レーザーで焼いて、ヤケド状になった網膜は、しばらく白くなります。
写真の中央部くらいに見える白い点々が、ヤケドです。

他の部分の網膜にも、穴があったり、将来穴があきそうな部分があれば、レーザーで焼き付けておきます。


この患者様はもともと黄斑前膜という病気を合併しており、ついでに前膜を取り除いてしまいます。網膜が少しシワシワになっているのが分かりますか?(BBG使用:病気の詳細は以前のブログを。2011.09.07 Wednesday)


手術終了時ですが、目の中は空気でいっぱいです。通常の白内障の終了時と違って、目の中が空気で光ってキラキラ光って見えます。
25Gという最もキズ口の小さい最新の器械でだと、これだけいろいろやっても、手術は40分弱。白目も以前のように赤くならずに、とてもキレイです。
(*2014年より27ゲージというより小さい傷での手術に変わりました。多くは30分程度で治療可能です。)

うつぶせ
実は、この手術は、終わった瞬間に治るわけではありません。
手術後に数日間はうつ伏せになって頂く必要があります。

ゼリ?(硝子体)を取り除いた目の中には、空気とお水があるのですが、うつ伏せになると、お水の中で空気に浮力が働いて、網膜を押しつける力が発生します。この状態を数日間続けることで、網膜が外側にくっついた状態を維持します。
レーザーで網膜を焼き付けると、ヤケドが治っていく過程で、網膜がガッチリと癒着をしていきます。最終的に、一週間くらいで空気は吸収されてなくなってしまうのですが、空気がなくなって浮力がなくなっても、ヤケドがしっかりとくっついていれば、手術が成功と言えるのです。

網膜剥離の硝子体手術は、手術のみで治るのではなく、手術後のうつ伏せがとても大事です。みなさん、手術自体よりも、うつ伏せの方が辛いという方が多いのですが、頑張って頂いております。
(当院はで、今年は震災時に1名のみ再発の症例がありましたが、他は全例初回手術で復位:くっついています。初回復位率は約95%で県内でも非常に良好な成績です。再発例もオイル置換後に、オイルを抜き、現在は復位しています。みなさんのうつ伏せのおかげです。ありがとうございます。)

フィーバー

今日も県南のクリニック様から網膜剥離の紹介です。
39歳とお若いのですが、網膜の上側1/3くらいが剥がれてしまっています。

矢印の先の部分が、網膜が裂けた部分(穴)になっているのですが、
今回の患者様は、目のなかの他の場所にも、穴がいっぱいというか、穴だらけ!という感じです。生まれつき、網膜が薄い人や、弱い人がいるのですが、そういうタイプの方のようです。
まだ黄斑部(物をみる中心の網膜)は剥がれていない初期の状態なので、
術後も良好な視力が期待できそうです。
15時半に受診して頂いたのですが、さっき、外来が終わってすぐに手術をして、だいたい40分くらい。無事に終了しました。(水晶体温存・茎離断)

震災後もすごかったですが、
最近また、網膜剥離フィーバーです[:びっくり:][:びっくり:][:びっくり:]

本日ご紹介頂いた医院様は、当院には初めての紹介状です。
「網膜剥離は、黄斑が剥がれる前になるべく早く手術をする。」
というのが、当院のポリシーですが、
開院1年半で、県内の各地の医院様からご紹介を頂けるようになりました。
緊急手術にもすぐに協力してくれるスタッフ、早急な紹介をしてくれる先生方に心から感謝いたします。
本当にありがとうございます。

今夜は、分院の小美玉市医療センターの井上先生と、眼科の診療方針などについて、相談する事になっています。
網膜剥離の手術の説明を書きたいと、ずっと思ってはいるのですが・・・。
毎日いいわけをしていますね[:困惑:]

ふぅ・・。」

今日も網膜剥離です。
66歳の女性で、2日前から影が見えたとのこと。

右目ですが、写真の左上の方が網膜の剥がれている部分です。
受診時には中心部(黄斑)まで剥がれているようで[:悲しい:]
穴が大きめで、手術は大変かと思いましたが、やってみたら順調でした。
うつ伏せを頑張ってもらえば、まずくっつく感じです[:グッド:]
白内障も一緒にやって50分くらい。
本当は来院後すぐに手術を始めたいのですが、午後の外来が終わってからしかできないので、夜になってしまい・・・。申し訳ないです。
手術の方法もブログにのせてみたいのですが、もう少し時間のあるときに。

10月15日の土曜日に手術した網膜剥離は、今日は空気もほとんどなくなって、良好です!明日退院です[:楽しい:]

今日はもうお休みなさい。

裂孔原性網膜剥離? 原因

今日の午後は小美玉市医療センターで井上先生と白内障手術でした。
夜は、県内の病院様に重症の網膜硝子体手術のお手伝いに呼んで頂きました。

さて、今日も網膜剥離についてです。

裂孔原性網膜剥離 原因


図のように、光を感じるフィルムが内側に剥がれてしまうと網膜剥離と呼ばれます。裂孔原性網膜剥離は、網膜の一部が断裂、穴が開いて、それを原因として網膜が剥がれる病気です。

網膜剥離というとボクシングが有名なのですが、聞いたことがありますでしょうか?以前は、網膜剥離後の選手は引退を決められていたようです。
ボクシングなどの外傷で、眼球のボールが凹んで、歪んでしまった場合に、網膜が断裂してしまうのです。
なので、患者さんに網膜剥離と伝えると、「ぶつけた覚えはない」なんて、おっしゃることが多くあります。

実は、網膜剥離の患者さんが100名いたとして、ボクシングや交通事故など、外傷が原因となる場合は5名弱といった具合で、決して多くはありません。
では、外傷もないのに、どうして網膜が断裂してしまうのかというと・・・。


これは、30歳くらいまでの眼球の断面図です。
実は水晶体の後方、網膜の前の部分には、硝子体(しょうしたい)と呼ばれる透明なゼリーが入っています。図では青色が硝子体を示しています。硝子体は子供の時には、眼球の成長に役立ったり、その他には、紫外線を吸収したり、ぶつけたときにクッションの役割をしたりします。
30歳くらいまでの硝子体は、目の中いっぱいに広がり、パンパンとなっています。

30歳とか、40歳とかになると、この硝子体が干からびて、小さくなり、前の方に収縮していくことが分かっています。

図でみると、こんな感じ。

通常は硝子体が収縮しても、網膜には影響を与えずに、硝子体のみが小さくなっていきます。

これは、問題なく硝子体が収縮した例で、通常の人は60歳とか70歳とかになると、こんな形になっていきます。

ところが、生まれ持った体質などで、網膜と硝子体のくっつき(癒着)が強い部分があったりすると、硝子体の収縮に伴って、網膜が破れてしまい、内側に剥がれてきてしまうのです。

これが網膜剥離のイメージ図ですが、オレンジ色の部分が網膜と、硝子体の癒着が強かった部分です。硝子体が収縮するときに、網膜を内側に引っ張って、網膜が断裂しています。


硝子体が収縮した部分には、お水が占拠するようになるのですが、一度、網膜が断裂して、内側に剥がれだすと、その断裂(穴)から、お水が網膜の後ろ側にどんどん回ってしまい、時間とともに網膜剥離が大きくなっていきます。

裂孔原性網膜剥離は以上のような形式で発症することがほとんどです。
ですので、原因はなにか?というと、
?生まれ持った性質(網膜が薄い、硝子体と網膜の癒着が強い)
?加齢

という事になります。
ですので、網膜剥離になったからといって、お酒を飲んだから?とか、煙草をすったから?とか、なにか原因として後悔するようなものはなく、なる人はなってしまう。という、やや仕方のない病気です。(外傷性を除いて)

?に関しては、
例えば、強度近視の方は目が大きく、網膜が薄いので、近視の強い方は網膜剥離が起こりやすいと言えます。(以前のブログ:2011.07.19 Tuesday)
他には、アトピーの人なども網膜が薄く、網膜剥離になることが多いようです。(皮膚と網膜の発生期限が似ているために、皮膚が弱いという人は目も弱いという説と、アトピーの人は、よく目をこすっているからという説があります。)
稀ですが、家族性(遺伝的)に、網膜や硝子体の性状が病的な家系があったり、お体の病気が原因で網膜剥離になりやすいといったものもあります。

今日も読んで頂きありがとうございました[:嬉しい:]

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)

裂孔原性網膜剥離? 実例:黄斑の剥離

[:楽しい:]昨日お電話で紹介頂いた、網膜剥離の患者様がいらっしゃいました。
朝の8時半に受付をして、検査を行って、9時半には手術室へ。
白内障も一緒に行って、手術が40分くらいで、10時半には病室へ。
いきなりの手術でも、これだけスピーディーに協力してくれるスタッフに、心から感謝です[:ラブ:]

今回は、つくば市の50歳の男性です。
数日前から飛蚊症があり、2日前位から見えにくさを自覚したとのことです。

赤い☆部分が、黄斑といって、物を見る中心部の網膜です。
水色の線を引いてみましたが、線より左上の部分が網膜剥離です。
特に、写真の左上の方は、網膜がシワシワになっている状態が分かるでしょうか?


これは、以前に手術をした患者様ですが、こちらは受診時には、黄斑がすでに剥がれてしまっている症例です。

網膜剥離の手術は、黄斑が剥がれてしまった場合には、手術後に、1.0などの良好な視力を回復することが非常に難しくなります。

今回の患者様は、県内のご開業医様からの紹介ですが、
金曜日の夜に診察をして、黄斑の近くまで網膜が剥がれてしまっていたため、黄斑が剥がれる前に、出来るだけ早く手術をとのことでお電話を頂きました。

今回の患者様は、土曜・日曜だからと、週明けまで待ってしまった場合には、まず間違いなく、黄斑が剥がれてしまっていた症例です。
本日、黄斑(網膜の中心部)まで剥がれる前に手術が出来ましたので、もちろん、術後の管理はこれからですが、おそらく1.0程度の視力を確保できる可能性が高いかと思います。

夜だから週末だからと、諦めずに紹介、お電話を頂いた、かかりつけの先生に感謝いたします[:楽しい:]

今日の夜は、都内で病院関係の食事会に誘って頂きました。

パパはなかなか忙しいので、子育ては日曜日に頑張るね[:子供:]

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)

裂孔原性網膜剥離? 病態

今晩は県内でご開業されている先輩の眼科医様に食事をごちそうになりました。初めて、クリニックの中を見学させて頂いたのですが、とても明るく、素敵なクリニックで、ビックリしました[:びっくり:]
最近の新しい眼科は、どこもキレイで、電子カルテなど最新の設備のところが多く、モデルハウスを見に行った時のような気分で、なんだかウキウキします。(当院もかなりキレイですけどね。負けないぞ[:ショック:]なんて。)
いろいろ見学に行くと、どうやったら効率よく仕事ができるか、患者さんの待ち時間を減らせるかなど、勉強になります。

さて、さきほど県南の病院様から電話があり、明日、網膜剥離の患者様が紹介でいらっしゃるそうです。早く手術をしたほうがよさそうな症例のようで、明日のお休みは繰越にしたいと。
網膜剥離は、夜遅くに緊急手術をする事が多く、その後にブログを書くことがなかなか厳しかったのですが、今回は頑張ってみようかな!

裂孔原性網膜剥離(れっこうげんせいもうまくはくり)


眼球の断面図のイラストですが、左側(角膜)から光(黄色)が入ってきて、内部のレンズ(水晶体)などで光が曲がって、イラストでは右側の眼底や網膜と呼ばれる組織(緑色)に、光があたると物が見えます。
眼球はカメラとよく似ていて、レンズとフィルム(網膜・緑色)から出来ているのです。
レンズが濁った場合が白内障と呼ばれる病気で、白内障は、どんなにみえなくなってもレンズを交換する手術を行えば、治ってしまうのです。
ところが、網膜というフィルムの組織は、現在の医学では、交換することも、移植をすることも、薬などで回復させることもできません。網膜が死んでしまうと、回復することはできません。ですので、網膜の障害が原因で失明したような場合には、基本的にはあきらめて頂くことになります。
・眼内の水の圧力で、網膜・神経が押しつぶされる⇒緑内障(失明原因1位)
・糖尿病で、網膜の血管が詰まり、眼底出血⇒糖尿病網膜症(失明原因2位)
といった感じです。

裂孔原性網膜剥離数万人に1人しか発症しません。ですので、年齢によってですが、10名に1人とかがなる緑内障や糖尿病網膜症に比べると、もともとの患者さんの数が少ないので、失明の原因としては数は大きくありません。
ただし、稀に発症した場合には、手術をしなければ、短期間で失明してしまう症例が多く、非常に重篤で、失明率が高い疾患です。
(外来で、よく、網膜剥離でレーザー治療で治った。という方がいらっしゃいますが、これは網膜剥離の前段階で予防の治療をした場合で、厳密な意味での網膜剥離ではありません。手術室で治すような症例が数万人に1人です。)


これが、網膜剥離の状態のイラストです。
眼球の内側に張り付いているべき網膜が、内側に剥がれてきてしまっています。剥がれることが、どうしていけないのかと言うと、網膜はそのさらに外側に存在する組織(色素上皮や脈絡膜などと呼ばれます)から、栄養分をもらっており、外側の壁にくっつていないと生きていけないのです。
内側に剥がれて、周りの壁にくっついていられなくなると、栄養分が届かずに、どんどん死んでいってしまうのです。

網膜が剥がれる原因は、いくつかあり、
・網膜の下に水が溜まってしまう場合⇒浸出性網膜剥離
・網膜のさらに内側に、カサブタなどが張って、そのヒキツレで引っ張られて、剥がれる場合⇒牽引性網膜剥離
・網膜の一部に穴が開いたり、断裂することが原因の場合⇒裂孔原性網膜剥離
となります。

ちょっと今日は遅いので、明日に備えてもう寝ます。お休みなさい。
今日も最後まで読んで頂いた方、ありがとうございました。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)