老眼? 完全な治療はなし。何かしらを妥協。

連休の最終日は突風と豪雨、ひょうで散々でした[:強風:]先日せっかく植えたヒメシャラも、思いっきり倒れてしまい・・・。
http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=142718
つくば市では残念ながら竜巻で亡くなった方までいるようで、テレビの映像も震災を思い起こすようなもので・・・。自然災害って怖いです。

今日は以下の手術を無事に終えました。
・白内障手術 8件
・網膜硝子体手術(茎離断・裂孔原性網膜剥離)1件
連休明けですが、さっそく網膜剥離の紹介です。朝に受診して頂き、お昼休みに手術を終えることができました。

さて、老眼・老視の続きでも。
老眼治療は妥協が必要です
先日、老眼とは調節力の障害で、遠くのものが見える状態から、近くのものを見るために、目の筋肉を使ってピントを近づける(調節する)ことができない・疲れやすい状態であることを説明しました。
http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=142421
では、治療法は?というと、残念ながら、現在の医学では完璧な老眼の治療法はありません。老眼の治療では、何かしかの妥協が必要になります。
例えば、遠く用と、近く用のメガネを別々に用意して、見るものの距離によって、メガネを変えれば、それが最も安全に、最もよく見える方法です。ただし、メガネのかけかえの手間を妥協する必要があります。
遠近両用メガネは、近くも遠くもピントが合いますが、メガネを上半分と下半分とに分けているため、それぞれの視野が狭く疲れやすかったり、切り替えの部分が歪んだり、使い方になれないと近く用のレンズを通して足元(遠く)を見て、階段を踏み外したりします。遠近両方メガネは、メガネのかけかえから開放される半面、見え方や、使い心地の慣れなどを妥協しているのです。

大ざっぱに治療法を分けると
?メガネやコンタクトで、遠くと、近くを見る状態とを別に考える
 ⇒近く用と遠く用とのレンズを使い分けるわずらわしさを妥協。
?遠近両用メガネ
 ⇒メガネの上の方が遠く用、下が近く用で、それぞれの視野が狭い。
  遠く・近くのレンズの境目が歪んだり、メガネ使用の慣れなどを妥協。
?屈折矯正手術(レーシックやCK)
 ⇒近くを見やすくする代わりに、遠くの視力が落ちることを妥協。
  不正乱視の増加や、グレアやハローといった副作用の妥協。
?多焦点眼内レンズ(白内障手術における)
 ⇒短焦点に比べ、はっきりとは見えない。
  グレアやハロー、将来的に乱視などが変動するリスクなどの妥協
?モノヴィジョン法(左右の目を近く用、遠く用で分ける)
 ⇒それぞれの目が、近くまたは遠くの見えからが悪くなることを妥協。
?アキュフォーカスリング(黒目に小さな穴のリングを埋め込む)
 ⇒視野が狭くなり、暗く、コントラストなどが低下することを妥協

などがあります。
今後、それぞれについて、詳しく掘り下げていきたいと思いますが、
どの治療が最適か?というのは、人それぞれです
「少しくらいの眩しさや、かすみがあっても、老眼鏡は絶対かけたくない。」と、手術的な治療を希望する人もいますし、「メガネのかけかえをしてもいいから、最もハッキリとよくみえるように。」といって遠く用の眼鏡と老眼鏡の両方を作成する人もいます。
年齢や、職業、ライフスタイル、メガネの好き嫌い、性格などによって、最適な治療法は異なります。
メガネなして、遠くから近くまで、全ての距離がハッキリと見える。なんていう完璧な治療法はないので、どこを優先させて、どこを妥協するか?というのが老眼の治療を相談していく上で重要になります。
それぞれの治療については、おいおい書いて行きたいと。

老眼? 調節力障害

今日の午後は知り合いの先生のところへ見学へ行き、ちょっとお手伝いをさせて頂きました。いろいろ見学に行くと、参考になることが多々あります[:見る:]
明日は当院にも、見学の先生にいらして頂く予定です。お互いに刺激になればと思います。

さて、老眼の続きを。
老眼? 調節力障害
先日、遠くを見る状態が「目のリラックスした状態」で、そこから焦点(ピント)を近くに移動させるために、目の中の筋肉に力を入れて、水晶体を厚くして「頑張っている状態」にすることを、調節と呼ぶと記載しました。
http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=142016

老眼とは調節が上手に出来なくなる状態で、調節力障害とも言います。
近くを見る(焦点・ピントを近くに移動させる)ためには、水晶体を厚くする必要がありますが、まず、脳から「目の中の筋肉(毛様体筋)に力を入れろ!」と命令が下ります。次に、「筋肉が収縮」して、「筋肉と水晶体の橋渡しをしているチン氏帯が緩くなり」、「水晶体が厚くなる」という段取りが起こります。
加齢に伴って、
?目の中の筋肉(毛様体筋)・筋力が衰える
?水晶体自体が硬くなって、変形しにくくなる。

などが起こると、脳からは「水晶体を厚くして、ピントを近づけろ!」と、命令が来ても、上手に働くことができなくなってしまうのです。

老眼の症状は、
近くを見るときに、ピントが合わないために、「ボヤける」「かすむ」「疲れる」などが起こります。
遠くまで見える状態から、近くを見ようとすればするほど、水晶体を厚くする必要があるので、初めは、20cmなど、かなり近くのものが見えにくいと思うだけだったのが、老眼の進行とともに、30?40cmと少し離したものや、そのうち50cm以上離しても見えにくくなっていきます。
また、老眼の初期?中期では、日々症状が変動します。手足の筋肉だって、調子のいい日、悪い日ありますよね?早く走れる日、走れない日。読書後などで筋肉が疲れていたら、いつもより余計に見えにくくなる事もありますし、沢山寝て回復したあとには、いつもよりよく見える日もあります。そのうち、水晶体が全く変形しなくなれば、症状が固定して、常に見えにくさを感じるようになりますが。

*近視の人で「私は近くは見えるので、老眼ではない。老眼鏡は必要ない。」なんていう人がいますが、老眼とは、近くを見たり、遠くを見たりと、ピントを移動させる調節力が衰えることなので、近くが見えるから老眼ではない。と言うのは間違いです。近視の人が、遠くまでハッキリ見えるメガネをかけた状態で、近くの本が見えにくいのであれば、老眼です。遠近両用メガネを使っている人も、もちろん老眼です。

どこからを老眼というか?も、よく質問される事柄です。
30歳とか40歳でも、基本的に全員に調節力障害が始まっています。30代でも目の前10cmくらいに近づけた本を読み続けることは大変ですよね?子供は出来ちゃうんですけど。
では、実際にどの程度の障害から病名をつけるかというと、正確には決まっていません。
細かい字を長時間ハッキリと読めることができても、「私は疲れやすいから老眼鏡を使っています。」という人もいますが、
本を見る時に、目を細めて、本を離して。どんなに疲れても「私は老眼でない。」と言い張る人もいます。特に女性は、老眼とか老眼鏡という言葉自体が嫌いな人が多いようで、老眼を認めたくない。というケースが多いようです。(偏見ですみません。でも、実際に男性よりもかなり多いです。)
また、字かわずかにボヤけるのも許せない。なんていって、早くからメガネを欲しがる人もいますし、ちょっとくらいのカスミやボヤケは気にしない。なんていいう人もいるので、性格の影響も大きいのです。

老眼鏡をかけないと病気になるとか、余計に悪くなる。とかいうことはないので、僕は普段、「ご本人が必要だと思えば、老眼鏡を使用しましょう。」と説明するようにしています。

老眼(ろうがん)? 調節力

今日のお昼は以下の手術を行いました。
・眼瞼内反症 1件(加齢性のさかさまつ毛)
・白内障手術 8件
・網膜硝子体手術 2件(茎離断1件、増殖1件)
(裂孔原性網膜剥離1件、増殖糖尿病網膜症1件)
無事に終わりましたが、午後の外来に遅刻しないかヒヤヒヤでした。スタッフが協力してくれるので、つい無理をしてしまいますが、お昼休みに硝子体2件は無謀かな。ちょっと考えないと。


網膜剥離の紹介は、残念ながら4日前から中心部が見えなかったとのことで、黄斑まで剥がれてしまっています。1.0への回復は難しいかと思われますが、少しでも回復してくれればと思います。


こちらは、2週間前に紹介頂いた糖尿病網膜症です。白内障が邪魔をしていて、眼底の診察が少し曖昧だったのですが、手術をしてみたら、思ったより重症で・・・。

カサブタ(増殖膜)だらけ。失明は防げたと思いますが、視力の大きな回復は難しいです。
網膜の病気は、できれば見えなくなる前、もし見えにくくなったらすぐに。受診頂けるといいのですが、なかなか難しいようです。

よく外来で質問を受ける、老眼についても書き始めてみようかと思います。
老眼? 調節力(ちょうせつりょく)
老眼とは、遠くのものを見ている状態から、近くのものを見るために、ピントを近づけるための、調節力という力が衰える事です。
人間の目の構造は、遠くを見る時がリラックスした状態で、近くを見る時が力をいれた、無理をした状態です。目の中の筋肉に力をいれて、水晶体というレンズを厚くすることで、焦点(ピント)を近づけるのです。


遠くから目の中に入ってくる平行線の光が、リラックスした筋肉、薄い水晶体の状態で、網膜にちょうどピントを結ぶ状態・よく見える状態である目があるとします。


同じ人の目で、同じくリラックスした筋肉、薄い水晶体で、近くのものを見ようとしたときの光の進路はどうなるかと言うと、リラックス状態では、近くからの光の焦点は網膜よりも後ろ側にズレてしまい、ボヤけた見え方になってしまいます。


そこで、人間は下のイメージ図のように、赤矢印の筋肉(毛様体筋)に力をいれて、水晶体を厚く変形させ、焦点を網膜上に移動させようとします。

この、毛様体筋に力を入れて、水晶体を厚く変形させて、ピント(焦点)を近くに移動させる働きのことを調節(ちょうせつ)、その力のことを調節力といいます。

けっこう遅くなってしまいました。
明日も仕事がいっぱいなので、今日はこれでおしまい。
お読み頂きありがとうございました。