加齢黄斑変性症? 萎縮型黄斑変性症

今日は以下の手術を行いました。
・眼瞼下垂症 2件(CO2レーザー:ミュラー筋タッキング)
・翼状片切除 1件(遊離弁移植)
・白内障手術 10件
・緑内障手術 1件(エクスプレスシャント トラベクレクトミー)
・網膜硝子体手術(茎離断)2件(糖尿病網膜症1件、黄斑前膜1件)
難しい症例はなく、時間内に終わりました。
最近は毎週のように眼科医の先生に見学に来て頂いています。
ありがたいことです。

久しぶりに病気のことを。
加齢黄斑変性症? 萎縮型黄斑変性症

以前に記載しましたが、黄斑変性症は大きく滲出型萎縮型に分類されます。
今日は萎縮型に限定して、記載してみます。

病態と原因
萎縮型の加齢黄斑変性症は、黄斑部の網膜がその名の通り、萎縮してしまう病態です。dry typeとか、非滲出型と呼ばれることもあります。
加齢は人類全員に起こる仕方のない変化ですが、加齢によって老廃物が溜まって網膜が栄養不足に陥ったり、紫外線によって障害を受けるなどして、網膜の細胞が変性・萎縮(特に網膜色素上皮が萎縮)してしまう病態です。
同じ年齢でも、タバコや紫外線などの、黄斑変性症を発症しやすいリスク因子や、家系・遺伝などによって、病気になりやすい人・なりにくい人がいます。

症状
黄斑部に該当する、視野の中心部の見え方が侵されます。
視力低下、歪んで見える、小さく見える、色がぼやけるなどが起こります。

疫学
厳密な意味での、正式な「萎縮型黄斑変性症」は日本人には少ないとされ、有病率は、50歳以上の方で約0.1%程度とされています。
ただし、滲出型黄斑変性症の治療後などで、出血や浮腫がなくなり、乾いた安定した状態になった病態も、同じような病態と考え、非滲出型・非滲出型と呼んでしまう場合もあります。

検査
ちょうど今日、萎縮型黄斑変性症の患者様が初診となりました。

眼底写真をとると、矢印のように、黄斑部に円形の萎縮がみられます。本来、黄斑はオレンジ色が強くなるのですが、白っぽく、色が抜けてしまっているのが分かりますか?


これは、OCT検査:黄斑部網膜の断面図です。
上が正常な黄斑部ですが、ピンクで指した部位に、キレイな層構造と、ある程度の厚みをもった網膜があります。
下が、今回の患者様の断面図ですが、矢印の先、黄斑部の網膜が萎縮してなくなってしまい、層構造が侵され、網膜が薄くなっているのが分かります。

治療
最近、加齢黄斑変性症の治療として、眼球に注射をする治療が流行っています(後日、記載する予定です)。テレビや、新聞、雑誌などでも黄斑変性症の治療を取り上げる事が増え、患者様も治療を期待されていらっしゃるのですが、注射による治療などは、基本的に滲出型黄斑変性症に行われる治療です。
残念ながら、現時点では萎縮型黄斑変性症の治療法は見つかっていません
最近ノーベル賞で話題の、ips細胞による治療や再生医療などの研究が進み、黄斑部の網膜の細胞を再生したり、移植したりできる日が来るといいですね。
萎縮した細胞を「元に戻す」という、積極的な治療はまだありませんが、紫外線やタバコによって悪化することは分かっていますので、
進行予防として、禁煙、サングラス、肉より魚中心・緑黄色野菜などの食生活などを心がけることが望まれます。

定期健診
治療法がない、萎縮型黄斑変性症ですが、年単位で少し視力が落ちるなど、多くの場合で進行は非常にゆっくりです。ゆっくりゆっくり進むために、自覚症状が乏しいのも特徴です。
ゆっくりしか進まないし、治療法もないのなら、眼科に通う必要はないのか??というと、そうではありません。実は、萎縮型だと考えていた病態が、滲出型に変わってしまったりと、稀ですが急激に悪化することもあり得るのです。
当院では、通常、初診の場合で3ヶ月?半年後に再検査、その後は変化がなければ1年に1回の定期検査を予定しますが、
月に1回くらいは、ご自身で片目づつ見え方をチェックして、歪みや視力低下を自覚した場合には、早急に受診して頂くことも重要です。

加齢黄斑変性症? 検査:アムスラーチャート

なかなかブログの時間が取れずに、更新が滞ってしまいました。
少しづつ進めていきます。
今日のお昼は、白内障手術を8件。無事に終わりました。

加齢黄斑変性症?
検査:アムスラーチャート

黄斑変性症では、視野の中心部の見え方が悪くなりますが、
症状としては、中心部の見え方が、
・ゆがんで見える
・中心が暗く見える
・ぼやけて見える
・不鮮明になる
 などが起こります。
ただし、これらの症状は、片方の目だけが病気の場合、両眼で物を見ている時には自覚症状に気がつきにくい。という特徴があります。
ですので、病状を実感したり、悪化していないかを調べたり、自分に病気が無いかを調べたりするのは、片目をつぶって検査をする必要があります。

黄斑変性症では、眼底検査やOCT検査など、病院で行う検査が重要なのはもちろんですが、自宅で自分で病状をチェックする場合に役に立つのが、アムスラーチャートです。

ちょっと専門的な名前ですが、実際にはただの方眼紙です。
通常は各直線がまっすぐに交差して見えますが、黄斑変性症では以下のサンプルのように、ゆがんだり、暗く見えたりします。

みなさんは、問題なく、線がまっすぐ見えますか?
線がゆがんだりする病気は、黄斑前膜や、糖尿病や静脈閉塞症に合併する黄斑浮腫など、黄斑変性症以外の病気もありますが、どれも早めの治療が望ましい病気です。片方の目をつぶって、片目づつチェックをして、もし異常を感じたら、明日すぐに眼科にかかりましょう。

当院でfollowを受ける人には、できるだけアムスラーチャートを渡して、
病状に応じて、「冷蔵庫に貼っておいて、一ヶ月に1回はチェックして。」「一週間に1回はチェックして。」などとお願いしていますが、もしも、見えかたに悪化が起こった場合には、再診の予約日の前でも、出来るだけ早く受診するようにお願い致します。
(僕は患者様についつい、冷蔵庫に貼って。と説明してしまうのですが、冷蔵庫にプリントとかを貼るのって、一般的ですかね?僕の実家では、いろいろな物が冷蔵庫に貼ってあったのですが・・・。)

加齢黄斑変性症? 検査:OCT・光干渉断層計

今日の午後は以下の手術を行いました。
・白内障手術 14件
・網膜硝子体手術 5件(茎離断4件、硝子体切除1件)
(糖尿病網膜症・硝子体出血2件、黄斑前膜2件、硝子体混濁1件)
今日はちょっと疲れましたが、みなさん無事に終わりました。

加齢黄斑変性症? 光干渉断層計
OCT(optical coherence tomography)

前回も記載しましたが、黄斑変性症のうち、特に悪性のものが滲出型黄斑変性症になります。滲出型の変性では、黄斑部の網膜に新生血管という「弱い血管」が形成され、そこから水分や血液が漏れ出して貯留します。
この新生血管からの漏れ出しを見つけるのが、前回記載した蛍光眼底造影検査ですが、造影検査以外にも滲出性の病態を評価するのに重要な検査があり、それがOCT・光干渉断層計になります。
OCTは、眼底カメラと異なり、網膜の断面図を撮影する事が出来る検査機械です。

OCTに関しては、以前に書いたブログもご参照ください。


これは、正常な方のOCT画像です。網膜は中心の黄斑の部分だけが少し凹んで、なだらかなカーブを描きます。網膜は実は1枚の膜ではなく、細かく分けると10層に分かれた構造を撮っています。よーく見ると、地層の断面図のように、直線が重なって形成されているのが分かるでしょうか?



この2つは、網膜が萎縮してしまい、黄斑部の細胞が少なくなっている例です。全体として網膜が薄くなっています。網膜の層構造も乱れて、線がグネグネ曲がっているのが分かりますか?
このような状態を非滲出型変性、または萎縮型変性と呼びます。

次は、当院で治療中の滲出型変性(悪性)の患者様たちのOCT画像です。

性状や萎縮型に比べて、網膜の厚みが厚くなっているのが分かるでしょうか?
黒く抜けて見える部分は、網膜の中に貯留した水分を示しています。滲出型の黄斑変性では、新生血管から漏れ出た出血や水分によって、網膜が厚く膨らんだ状態となります。

黄斑変性症でのOCT検査では、簡単に書くと、
・網膜が薄く、ペッタンコ⇒非滲出型・萎縮型変性。
落ち着いた病態で進行はゆっくり。治療の必要なし。

・網膜が厚く膨らんでいる⇒滲出型変性。
急に進行したり失明することも。治療を考える。

(一般の方に分かりやすい内容で記載しています。実際には、新生血管の状態など、OCT画像から様々な情報を検討します。)

蛍光眼底造影検査では、非常に稀ですが、アレルギーによってショックを起こるなどの合併症のリスクがあります。一方、OCT検査は副作用が全くないことが利点となります。また、造影検査はとても眩しくて、約10分の撮影時間がかかるのに比べて、OCTの検査は数秒で撮影ができてしまうのも利点になります。

実際の診療では、OCT画像や、造影検査、眼底の診察所見などの結果を組み合わせて、診断をしたり、治療法を考えたりしています。

今日もお読み頂き、ありがとうございました。

加齢黄斑変性症? 検査:蛍光眼底造影検査

今日のお昼は以下の手術を行いました。
・眼瞼腫瘍切除 2件
・翼状片手術 1件
・白内障手術 6件
みなさん無事に終わりました。

加齢黄斑変性症? 
検査:蛍光眼底造影検査

加齢などによって黄斑部の性状が変わってしまう病気が、黄斑変性症。
ひと言で「性状の変化」と言っても、いろいろなタイプがあるのですが、網膜に水がたまったり、出血をきたす病態を、滲出型黄斑変性症と呼ぶことを、黄斑変性症?で記載をしました。
滲出型黄斑変性症では、黄斑部の網膜に新生血管(しんせいけっかん)と呼ばれる、「弱い血管」が形成され、そこから水分や血液が漏れ出して貯留してしまうのです。

前回?で、診察や眼底カメラで、黄斑の状態を観察することを記載したのですが、眼底カメラでは、出血をしたり、水分が漏れ出したという結果は分かっても、「どこから・どのように・どんな程度で」、水が漏れ出しているのか?出血をしているのか?ということは、正確には評価ができません。
こんな時に役立つのが、蛍光眼底造影検査になります。

まず、フルオレセインや、インドシアニングリーンという造影剤と呼ばれる薬を、腕などから点滴で血管の中に流します。
血流に乗って、眼内の血管の中を流れた造影剤は、眼底カメラの光に反射をして、血管が白く写つります。これを連続して撮影することで、眼内の血液の流れを把握することができます。
造影剤は正常な丈夫な血管からは漏れ出ることはありません。ところが、新生血管と呼ばれる弱い血管がある場合には、そこから造影剤が漏れ出してきてしまうのです。



当院で治療をしている、黄斑変性症の患者様たちのサンプルです。
左が通常の眼底写真です。黄斑部に病気があるのは分かっても、血管からの漏れ出し(滲出性病変)があるのかは不明です。
中央の写真は、造影剤を流して、数十秒後に撮影した蛍光眼底造影の結果です。そして、右の写真は、さらに数分経過したあとに撮影したものです。

上の3症例のように、滲出型黄斑変性症で、新生血管がある場合には、新生血管から造影剤が漏れ出て、病変部に溜まった造影剤が白く写ります。出血をしやすい悪性度の高い弱い血管ほど、漏れ出しが大きく、時間がたつごとに病変部がどんどん白くうつるようになります。

蛍光眼底造影検査は、黄斑変性症の確定診断時や、治療によって病気がどの程度良くなっているのか?完治しているのか?再発がないか?などの判定を行う場合にも使用されます。

とても重要な検査なのですが、造影剤にアレルギーを持っている人が検査を受けると、吐き気や蕁麻疹が生じることがあったり、非常に稀ですが、重症例ではショックと言って命にかかわる重大な副作用が起こることがありえます。(当院では造影検査を行う時には、近くに人工呼吸を行うためのマスクや薬剤などを常備し、すぐに内科や外科の医師の協力が得られるようにしています。)
ですので、症例によっては、造影剤の検査を行わなくても、明らかに黄斑変性症の確定診断が出来る場合や、治療法を迷う必要がない場合には、造影検査を省いてしまうケースもあります。

今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
明日も友人の先生の医院で硝子体手術のお手伝い。夜は小児眼科の偉い先生と食事をさせてもらえることになりました。最近、小児で悩む症例が多かったのですが、よく勉強をしてきます。
なかなかブログの更新が進みませんが、実際の診療も大事なので。

加齢黄斑変性症? 検査:眼底検査と眼底カメラ

今日は以下の手術を行いました。
・眼瞼下垂症手術 2件
・白内障手術 12件
・眼内レンズ交換 2件(他院様術後、度数エラー)
・網膜硝子体手術 2件(茎離断1件・増殖1件)
 (外傷性?成熟白内障落下、増殖糖尿病網膜症)
みなさん問題なく終わりました。
眼内レンズ交換の方は、県外からの患者様です。前回手術後から少し時間が経っていましたが、最も安全な術式での入れ替えができて良かったです。
増殖網膜症は、稀に見る重症例でした。

手術は問題なく終わり、失明は避けられたと思いますが。良好な回復は難しそう。まだ40代の患者様なのに反対目も重症・・・。頑張るしかありません。

加齢黄斑変性症? 検査:眼底検査と眼底カメラ
加齢黄斑変性症は、目の奥の方の病気なので、診断には通常、瞳を開く目薬を付けて、散瞳をさせ、目の奥を覗き込む検査を行います。
眼科医は診察の所見をカルテにイラストとして記載するのですが、スケッチのみでは記録として正確さに欠けるので、多くの場合では写真を撮影して記録を残します。最近の写真は、高画質でとてもキレイに病変の撮影ができるので、病気の悪化や軽快などの細かい変化がよく分かります。
また、近年は、人間ドックの眼底カメラの検査結果で「黄斑変性症の疑い」として、眼科受診を勧められるケースも増えています。自覚症状のない、初期の段階で病気が発見され、早期治療によって助けられる症例が多いのが特徴です

実際の眼底のサンプルです。(ブログでは画質を落として掲載していますが、本当はもっともっとキレイな写真が撮れます。)

一番上が正常な黄斑です。黄斑のオレンジ色が均一でキレイです。
2番目は、オレンジ色の色素が薄くなって(萎縮して)います。
3番目や4番目は、黄斑付近に黄色っぽい老廃物が貯留したり、萎縮したりしている症例です。老廃物の貯留は、滲出型の加齢黄斑変性症の前駆病変として、注意が必要です。
5番目は、黄斑が強く萎縮してしまった症例です。
6番,7番,8番目は、赤い出血と共に水分が貯留して、網膜が厚く膨らんでいる状態で、滲出型黄斑変性症と呼ばれる症例です。滲出型黄斑変性症は、進行が早く、失明に至ることもあり、治療が必要になります。
(1?5番目は、非滲出型または萎縮型と呼ばれる病形で、治療は必要とせず、経過観察を行います。)

多くの場合、写真では、出血している症例=悪性・滲出性と判別されますが、赤い血液が出ずに、水分の貯留のみ起こるようなものは、写真のみでは判別ができません。
黄斑変性症の確定診断には、他に、造影検査と、OCT検査というものがあるのですが、次回以降、記載してきたいと思います。

加齢黄斑変性症? 滲出型と萎縮型

今日のお昼は以下の手術を行いました。
・眼瞼内反症手術 2件
・眼瞼下垂症手術 1件
・白内障手術 6件
・緑内障手術(エクスプレスシャント)2件
手術は問題なく終わっていますが、
外来で術後経過の思わしくない方がいらして、再手術に・・・。
再手術は申し訳なく思いますが、また全力で頑張りたいと。

加齢黄斑変性症? 滲出型と萎縮型 その1
加齢によって、網膜の中心部である黄斑の性状に、病的なレベルで変化が起こることを、加齢黄斑変性症と呼ぶことを少し前に説明しました。
ある程度の年齢になれば、誰にでも多少の変化は起こります。どの程度の変化からを病的とするのかは、医師によって判断が異なったり、また、病気の分類の方法にも様々な分け方があるのですが、僕なりに、一般の人に分かりやすいと思う表現にして記載していきます。
(専門的な意味、狭義の萎縮型AMDや、正確な分類とは異なります。)

実際の外来では、黄斑変性症は大きく2つに分けられます。それは、
?悪性:治療が必要なもの(滲出型) と、
?良性:治療を必要としないもの(非滲出型・萎縮型) です。
(?は治療法がないもの。という表現される場合もあります。)

・滲出(しんしゅつ)とは、
病変に出血が生じたり、水分が貯留したりして、網膜が膨張している状態です。
濡れている(Wet)・グチャグチャした・水っぽい・腫れている、といったイメージの病変です。
滲出型黄斑変視症は、簡単に言うと悪性で、進行が早く、短期間で失明まで進行することもありうる病態です。

・非滲出型・萎縮型(いしゅく)とは、
病変に水分が少なく、出血や水分の貯留がない状態で、細胞などが減少し、網膜が薄くなった状態です。
乾いている(Dry)・カサカサしている、といったイメージの病変です。
滲出型・萎縮型黄斑変性症は、進行が比較的ゆっくりで、失明に至ることはあまり心配ありません。人によっては、自覚症状・不自由がないまま余命を全うすることもあります。

現在の医学では、
滲出性の病変、つまり出血や水分の貯留により、網膜が厚くなっって、急速に視力低下が進行する、悪性の病態を落ち着かせるための治療が可能になってきています。
萎縮性の病変、つまり細胞が死んでしまったりして、網膜が薄くなって、見えにくくなってしまった状態を、元通りに戻す(回復させる)治療法はまだ見つかっていません。

実際に、黄斑変性症と診断された時には、
・滲出型黄斑変性⇒出血や水分の貯留を落ち着かせるための治療を行う。
・非滲出型・萎縮型黄斑変性症⇒経過観察

というように考えていきます。

加齢黄斑変性症? 原因

土曜日ですが、ちょっと手術の待ち時間が長いので、今日の午後は
・白内障手術(成熟白内障など)3件
・網膜硝子体手術(茎離断・近視性黄斑症)1件
を行いました。少しでも待ち時間を減らして行けるといいなと。
スタッフの皆さんは、本来お休みの時間なのに、いつも協力してくれて、
本当にありがとうございます。
夕方は県外の眼科様に呼んで頂き、硝子体手術を数件。病気の人は沢山いますね。

あまり進んでいませんが、ちょっとづつでも更新します。
加齢黄斑変性症? 原因
誰でも年をとれば、肌のトラブルが増えるのと一緒で、網膜の中心部である黄斑にも、いろいろな変化(変性)が起こります。ツヤツヤがザラザラになったり。
この変性が病的に強い場合を、加齢黄斑変性症と呼ぶことを前回説明しました。

同じ年齢でも、肌が比較的キレイな人、ちょっとシミやシワが多い人など、個人差がありますよね?例えば、漁師さんたちの肌は、紫外線による日焼けや、強い海風によって、多くの方でシミやシワが目だつかと思います。
肌の老化のリスク・原因の一つに、紫外線があげられることは、皆さんが知っているのではないでしょうか?

黄斑の老化も、やはり、進みやすい人、進みにくい人がいて、過度に進む場合を病気として考えるのですが、老化・変性を進みやすくする原因・リスクとしては以下のようなものが知られています。

黄斑変性症のリスク要因
・喫煙(タバコ)
・紫外線
・LED光源などの、青く強い光・レーザー光線
・肥満
・食生活の欧米化、肉食、古い脂質(多価不飽和脂肪酸など)
・男性の方が発症率が高い(タバコや紫外線が多い?)
・遺伝(黄斑変性症を発症しやすい遺伝子が見つかっています。)

と、現在の医学で知られている黄斑変性症リスクを書きだしてみましたが、肌の老化、体の老化にも当てはまるものばかりですよね?

ただ、「私はタバコも吸ってないし、野菜ばかり食べてる。」なんていう、黄斑変性症の患者様もいるかと思います。
上記はリスクの一つであって、「タバコを吸ったから病気になった。」と、決めつけているわけではありません。実際には、遺伝(生まれ持った病気のなりやすさ)に、上記のリスクが様々に絡みあって病気を引き起こします。何か一つの原因のみで病気になるわけではありません。
(お暇な方は以前に書いた、「病気の原因」のブログもご参照ください。)

ただし、特に喫煙(タバコ)が発症率を上昇させることは確かなようなので、既に病気になってしまった人や、身近に黄斑変性症の人がいて心配に思っている人は、禁煙を頑張って頂くのがよろしいかと思います。
タバコは百害あって一利なし!

加齢黄斑変性症? 変性とは?

昨日は知り合いの眼科の先生が、ご家族で遊びに来てくれました。
眼科のことや子育てなど、いろいろ話せてよかったです。また、遊んで下さいね[:おはな:]
今日の午後は、県内の開業医様で糖尿病網膜症や白内障の手術を10件くらい。
普段は医師としては1人での勤務なので、他の先生方との交流できる時間は、いろいろと参考になることが多く、楽しい時間の一つです。
僕の周りの先生たちは、「如何に沢山の患者さんを治したいか」「どうやったら上手く治療できるか」に積極的な方ばかりで、恵まれているな。と思います。
世の中には「外来が混んで嫌だなぁ」「できれば患者さんをみたくない」なんていう医師もいるのですが、そんなに嫌なら診なければいいのに。と思う事もあったりして・・・。

ちょっとブログの更新が滞っていますが、少しづつでも頑張ります。
加齢黄斑変性症? 変性とは?
黄斑とは網膜(フィルム)の中心部にあたり、視野の中心で細かいものを見分けるのに長けた部位です。
眼底写真でいうと、青矢印の先の少し色が濃い部分に当たります。

黄斑の詳細に関しては、以前にもブログを書いたことがあるので参照下さい。
⇒黄斑のブログ

加齢黄斑変性症は、加齢・黄斑・変性症の名前の通り、
加齢に伴って、黄斑に、変性が起こる病気です。

では、変性とは何でしょう?
変性とは「性質や状態が変化すること」です。

黄斑変性の説明をする時に、僕が外来で例えに上げるのが、皮膚の例です。
子供の皮膚はキレイですよね?「ツヤツヤして、張りがあって、きめ細やかで。」
子供の時にはキレイな皮膚ですが、残念ながら年齢(加齢)とともに、皮膚の状態にも変化が起こります。「カサカサしたり、ザラザラしたり、皮膚が薄くなったり、萎縮したり、シミが出来たり、シワがよったり、内出血が起こりやすくなったり。」
このような、加齢による皮膚の性質の変化、つまり変性は誰にでも起こることですが、同じような変化が網膜・黄斑にも起こるのです。

やはり網膜も、若い時にはツヤツヤして張りがあります。僕たちは眼底写真を1枚みれば、子供の写真なのか、成人の写真なのか、高齢者の写真なのかが簡単に分かります。
高齢の方の眼底写真は、網膜がザラザラした印象になったり、薄く萎縮したり、色抜けてがブチ・まだらなったり、老廃物がたまったり、シワがよったり。このような変化・変性は老化によって必ず起こります。それに伴って機能が低下するために、例えば100歳を超えて、網膜に全く異常がなく、視力も1.0以上という人はいらっしゃいません。

お肌の老化が避けられないように、加齢によって、網膜や黄斑に変性が起こること自体は、全員に起こる、避けられない事柄です。
ただし、肌も、どちらかというと、より若く見える人、老けて見える人がいますよね?同年代の平均的な状態と比べて、加齢・老化によって起こる網膜や黄斑の変化が、病的に強い場合には、加齢黄斑変性症。つまり、病気として扱われることになります。

少しだけザラついた感じとか、シミがある状態、老廃物が溜まった状態というのは、ある程度の年齢になれば、仕方のないことですが、
萎縮が強すぎて網膜が薄くなっている場合や、出血をして血が溜まってしまう場合などは、病的なものと考えて、加齢黄斑変性症とするのです。

明日も網膜剥離の緊急手術が控えているので、今日はこれでお終いに。
今日もお読み頂き、ありがとうございました。

加齢黄斑変性症? はじめに。加齢黄斑ドットコム

今日は以下の手術を行いました。
・翼状片手術(遊離弁移植) 1件
・白内障手術 10件
・網膜硝子体手術(茎離断) 4件
(増殖糖尿病網膜症2件、黄斑前膜1件、糖尿病シリコンオイル抜去1件)
定時で、みなさん無事におわりました。

加齢黄斑変性症? はじめに
加齢黄斑ドットコム

最近、モナリザの絵を前に「片目をつぶると見えてくる病気があります。」というフレーズで、テレビコマーシャルをやっていたのを知っていますか?
普段、両目で見ていると気が付きにくいのですが、「片目で物を見た時に、中心が見えにくかったり、ゆがんで見えたりしたら、病院へ行きましょう。」といった内容です。

実は、これは加齢黄斑変性症という目の重大な病気の早期発見・早期治療を目的とした疾患啓発のCMで、9月の後半に全国的に放送されました。加齢黄斑変性症の治療薬として、現時点で世界で最も多く使用されている「ルセンティス」という薬の発売メーカー「ノバルティス社」のCMなのですが、CM以外にも新聞広告やインターネットなどで、病気の啓蒙・説明など、幅広く活動しているようです。
「加齢黄斑ドットコム」というという、インターネットサイト(http://www.kareiouhan.com/)に病気の説明や、治療方法、治療可能な施設(茨城県はこちら)などが、結構詳しく掲載されているので、そちらをご覧ください!

と、それで終わりにはしません。
加齢黄斑変性症は、欧米人の失明の原因として1位、日本でも4?5位程度にはいる重大な病気です。
実は、ほんの数年前までは有用な治療法がなく「あきらめましょう」ということが多かったのですが、近年の医学の急激な発展により、毎年毎年よりよい治療法が開発され、現在は患者様の多くを救えるようになってきています。
眼科の中で、急激に進歩している分野なので、多くの眼科医が興味を持って研究・診療に当たっているため、学会などでも新しい発表が相次いています。
話題性があるため、一般の患者様用の書籍やインターネットでの情報が溢れるようになり、昨日はNHKのテレビ番組でも特集が放送されていました。

しかし、どうも分かりにくい病気であるようで、僕のブログのQ&Aでも、黄斑変性症の質問がいくつかありました。
夜中に、ビール片手に眼科医が記載するブログが、「加齢黄斑ドットコム」よりよいものになるとは思えませんが、僕なりの「分かりやすさ」を目指して、今後しばらく「加齢黄斑変性症」について書いてみたいと思います。
頑張るぞ!!