緊急入院:角膜潰瘍

今日は外来が大変でした。
午前が小美玉市医療センターで50名ちょっと、
午後がクリニックで40名程度いらっしゃいました。
予約外の患者様やお子様の患者様がかなり多く、診療に時間がかかり、1時間半程度お待ちいただく患者様もおり、お待たせしてすみませんでした。

また、さきほど、軽度ですが裂孔原性網膜剥離の患者様がいらっしゃり、処置を行いました。発症時に目の中に出血をしたため自覚症状が強く、非常に初期で来院して頂けました。網膜剥離となっている部分は非常に小さく、外来でのレーザー治療のみで治療可能でした。おそらく手術にならなくて済むかと思いますが、早期治療ができると思えば夜間に診療することも苦になりません[:グッド:]

角膜潰瘍(かくまくかいよう)今日は角膜潰瘍の患者様を紹介して頂きました。
角膜とは黒目の部分ですが、本来は透明な膜です。茶目や黒目というように色がついて見えるのは眼球内の構造が透けて見えるためです。角膜は光を通す必要があるため、透明な組織でなくてはなりません。そのために、血管がありません。角膜への栄養は血管・血液から行われるのではなく、目の中の房水と呼ばれる水や、涙、空気中の酸素などが栄養とされます。
角膜潰瘍は、この角膜にバイ菌がついて膿んできてしまっている病気です。
本来、体のどこかにバイ菌がついた場合には血液の中の白血球という細胞が中心となって菌の退治を行ってくれます。ですが、角膜には血管がないために、バイ菌がついても退治することが困難で、感染症を起こした場合には重症化しやすいのが特徴です。

枝が刺さったなどの外傷や、若い方ではコンタクトレンズに関連した傷が原因となることが多いですが、本日の患者様は高齢の男性で、さかさまつげによる傷にバイ菌がついて繁殖してしまったようです。

白血球による治癒がなかなか期待できない組織であるために、抗生物質を使
用した治療が行われます。

今日はカメラの調子が悪く、角膜の撮影ができなかったため、以前に撮影した、同じような症例の写真をupします。

中心部の白いところが、感染部位になります。白く濁っているため光を通すことができず、視力は殆どありません。白目の充血が強いのは、少しでも角膜に白血球を届けようと白目の血管が頑張っているためです。角膜の下のほうが水平に白いのは、目の中に膿み(白血球)がたまっている所見です。

この患者様は数日間、一般的な細菌に対する点眼薬や内服薬の抗生剤を使用していたのに悪化してしまったようです。角膜潰瘍の多くの場合、バイ菌のなかでも細菌という種類が感染しておこります。
薬を使っていたのに悪化してしまう場合は、他の菌による感染症を考えなくてはいけません。
一言にバイ菌といっても、細菌、ウィルス、真菌(カビ)、原虫(アメーバ
)などたくさんの種類があります。
今回は真菌(カビ)や、耐性菌といって、抗生物質が効きにくくなっている細菌である可能性が高いようです。本日より、特殊な消毒薬による治療を開始し、原因となる菌の検索を急いで行っています。

毎日の通院ができれば外来でも治療が可能な疾患ですが、重症例で、高齢の男性であり、また連休に入ってしまうため、安全を第一に考えて入院していただきました。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

今日はゆったりです。

水曜の午後は手術のみの予定なので、終わってしまうと仕事がなくてのんびりしています。
今日は、8名の患者様の手術を行いました。
・白内障手術 7件
・眼内レンズ二次挿入術 1件
・翼状片手術 1件
・網膜硝子体手術 1件(網膜中心静脈閉塞症;黄斑浮腫)

手術でなにかトラブルが起こることは非常に少ないのですが、残念ながら絶対にないとは言い切れません[:ひらめき:]
ゴールデンウィークが控えておりますので、今日は簡単な手術のみにしており、とても早く終わりました。スタッフも、これから片づけはありますが、残業にはならないで済むかなと。
緊急患者様がいらっしゃれば別ですが、一応、ゴールデンウィーク明けの5/9までは手術はない予定になっています。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

緊急入院:網膜中心動脈分枝閉塞症

第4火曜の午後は、普段は他の病院で非常勤の手術をさせて頂いています。ただし、今回はゴールデンウィーク前とのことで大きな手術はないようです。なんと、平日の午後がお休みに!!とても久しぶりです[:ときめき:]
たまにはゆっくりするのもいいかな。と思いつつも、動かずにはいられない性格なため、幼稚園にお迎えに行って遊びにでかけてしまいました[:子供:]

ただ、そんな中でも午前の外来では緊急入院が1名。
先日(4/23)の網膜中心動脈閉塞症のちょっと軽いタイプで、下半分の血管が詰まってしまった症例です。正確には、枝分かれといった意味を含めて、網膜中心動脈分枝閉塞症と呼びます。

上の方に比べると、下1/3の網膜がやや白っぽくなっています。血液に含まれる赤い成分(赤血球)が少ないために、このように写ります。

造影剤というものを点滴で流して撮影した画像です。下の方の血管は詰まってしまい、血流が途絶えていることが分かります。(黒い線が詰まったしまった血管です。)
本日も、来院後早急に血栓溶解剤の点滴をする事が出来ました。点滴により、脳出血などのリスクがごく僅かですがあるため、数日間の入院をお願いしています。

この間までは網膜剥離の緊急入院ばっかりでしたが、この一週間で動脈閉塞2名、静脈閉塞1名が緊急入院し、血栓溶解療法を行っています。あまりに同じような症例が続くのはちょっと奇妙です・・・。

それにしても、まだ開院1年目ですが、この1年間だけで、5名の動脈閉塞の溶解療法を行っています。大学病院にいたときでさえ年に3人とかだったのに。今日の患者様は行方市の方で、石岡市内の患者様だけではありませんが、あまりに多いかなと。これも奇妙です。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

白内障手術

今日は13時半から5名の患者様に手術を行いました。
・白内障手術 7件

白内障手術は眼科のなかで、最も数多く行われている手術です。
眼球内にある水晶体と呼ばれるレンズが濁る病気で、手術では濁ったレンズを取り除き、人工のレンズと交換します。
最近は、目薬の麻酔のみで手術をする施設が多くなり、時間も数分と短く、基本的に濁りがなくなってキレイになるために、視力が良くなります。最近は乱視の矯正もできるようになり、希望に応じて裸眼で運転ができるようになど、細かいご希望にも添えるようになりました。
ですので、ほとんど全員の患者様が喜んでくれます。

糖尿病網膜症や黄斑疾患、緑内障などの手術は、視力が回復する症例もありますが、現状維持を目標にする事が多くありますので、手術後に心から喜ばれるということはあまりありません。みなさんが喜んでくれる白内障手術は、眼科医としては、とっても気分のよい手術になります。
かかりつけの先生に、「白内障の手術をした方がいいですよ!」と言われる患者様が多いのではないかと思います。
それには、こんな理由もあるのですね。医師側も、患者様が喜んでくれると嬉しいし、良くなってほしいと思っていますので。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

杏亭

昨日は病院全体の新人歓迎会がありました[:ビール:]
眼科のスタッフも4月に1名入職しましたが、とても頑張り屋さんな印象で、今後に期待しています!

今日は快晴で青空がとてもキレイ[:おてんき:]
芝生もかなり青くなってきました。

そこで、夕方に今年初めてのBBQの準備をしていたら、突然夕立に。ヒョウまで降ってきて・・・、もちろん中止です[:悲しい:]

今週の石岡市の紹介は、杏亭さん
といっても実は、小美玉市にあるお菓子屋・ケーキ屋さんです。小美玉市医療センターからクリニックに移動する途中の裏道にあり、ちょっと寄らせていただきました。
看板が少なく、かなり奥まった所にあり、隠れ家的な印象です。建物が内外装ともに、とてもセンスよくまとまっています。
今日は子供はチョコレートケーキ、僕はプリン?のようなものを、ジュースや紅茶のセットで頂きました。おいしかったです[:ラテ:]

緊急入院:網膜中心動脈閉塞症

土曜日は本来は午前の外来のみなのですが、今日もいっぱい働きました!
お昼休みに、小美玉市医療センターで
・白内障手術 7件
・眼瞼腫瘍 1件
夕方にクリニックに戻って、
・白内障手術 1件
・網膜硝子体手術 2件(硝子体出血:糖尿病と網膜中心静脈分枝閉塞症)
手術は順調に終わりました!

午前の外来で63歳男性が御紹介で初診され、緊急入院となりました。

網膜中心動脈閉塞症(もうまくちゅうしんどうみゃくへいそくしょう)
眼球の奥にある光を感じ取る膜を網膜と呼びます。カメラで言うとフィルムにあたります。網膜中心動脈閉塞症はその名前の通り、網膜を担うもっとも中心となる動脈が詰まってしまう病気です。糖尿病網膜症などがゆっくりと、徐々に詰まっていくのと比べ、ある日突然に全ての血管が詰まるため、発症が急激、そして重篤な疾患です。

脳梗塞や心筋梗塞と同じような病態で、動脈硬化などが原因となります。

本日の患者様の写真です。

上が、正常な右眼です。
下が、血管の詰まってしまった左眼です。血流がないために、血液の色であるオレンジ色が弱くなり、全体として白っぽくなっています。


これは、造影剤という薬を点滴で注入後に写真を撮ったものです。
血管の中の造影剤が白く映ります。
右眼は27秒でほぼ全ての血管に造影剤が流れています。
左眼の写真は42秒なので、普通なら右眼以上に白く映るはずですが、ほとんどすべての血管が黒く抜けてしまっています。血液が流れていないことになります。

とても緊急性の高い疾患で、発症後ただちに治療をしなければいけません。
脳梗塞や心筋梗塞と一緒で、血液が流れていない時間とともに組織が死滅していきます。ですので、救急車を呼ぶべき疾患です。

治療法は、血栓溶解剤の点滴を行います。また、眼球の血流を良くするために、マッサージや、眼内の水を抜いて眼圧を下げるなどの処置を行います。
本日の患者様は、来院後1時間で全ての治療ができ、治療としては上手くいったのではないかと思います。
ただし、急に真っ暗になったのは昨晩とのこと。出来れば昨晩のうちに治療をさせて頂きたかったです[:悲しい:]

急に真っ暗になったら、時間に関係なく眼科に電話をしましょう!
場合によっては救急車を呼びましょう。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

鼻涙管閉塞症(なみだ目)

金曜日は午前が通常の外来、午後が特殊外来です。
午後の特殊外来では、一部、簡単な手術を行っています。

今日は、2名の患者様に涙管チューブ挿入術(NS-チューブ)を行いました。

「なにもしないのに涙が溢れてくる」という訴えで、受診される患者様は大勢おります。涙目(流類)の原因にはドライアイや、結膜弛緩症など、多くの原因がありますが、中高年?高齢者の涙目の原因として、鼻涙管閉塞症というものがあります。

鼻涙管閉塞症・涙道閉塞症(びるいかんへいそくしょう・るいどうへいそくしょう)

涙は本来、眼球の外側上方にある涙腺(るいせん)という組織で産生されます。その後、目の表面を潤したり、ホコリを掃除したりしながら、最終的には目がしら付近の涙点(るいてん)と呼ばれる穴から、鼻の奥⇒喉のほうへと流れていきます。この涙の通り道を鼻涙管や涙道と呼びます。
子供の時はこの流れがとてもいいので、目薬を付けて数秒で「苦い」と感じます。大人になると、この涙の流れ道が狭くなってくるために、目薬が苦いという感覚がなくなってきます。(すでに、僕にもありませんが、残念です・・・。)

鼻涙管閉塞症(涙道閉塞症)は、この涙の流れ道が詰まってしまった病態です。原因は、稀には鼻腔の腫瘍や外傷であることもありますが、ほとんどの場合は加齢です。(赤ちゃんにも、先天性鼻涙管閉塞症という病気がありますが、今回は触れません。)

涙の出口がないため、何もしていないのに、涙が潤んでしまったり、涙がこぼれて(流涙)、目じりがただれたりします。また、ホコリやバイ菌を流す作用がなくなり、メヤニが出やすくなったり、花粉もたまってしまうためにアレルギーが強く出るなどします。

目薬には、メヤニや涙の症状を和らげる効果はありますが、詰まってしまった道を開通させる効果はありません。(治すことはできません。)

以前はブジーと呼ばれる、針金を突き刺して穴を開けようといった治療が行われましたが、すぐにまた詰まってしまうことが多く、最近は行われなくなりました。

近年もっとも行われている治療にNS-チューブというものがあります。針金のブジーを通した後に、シリコン製のチューブを通し、1?2ヶ月のあいだ、チューブを留置します。チューブが長期的にいることで、再閉塞が起こりにくくなる治療です。局所麻酔で10分程度で終わり、発症後1年以内であれば良好な成績が期待できます。
ただし、発症後数年など、時間がたっている場合には治療ができなくなってしまったり、再閉塞の確立が高くなってしまうために、涙目になった場合は出来るだけ早く受診するようにしましょう。当院でのNS-チューブは、現在、1ヶ月程度の待ち時間で施行可能です。

残念ながら、長期間過ぎてしまった症例など、NS-チューブが施行できなくなってしまった方は、やや大きな手術となりますが、涙嚢鼻腔吻合術といった手術があります。以前は、全身麻酔で骨を削って、道を作成して・・・という、大掛かりで負担の大きな手術が主流でしたが、最近は鼻側から内視鏡を使って行う、鼻内法と呼ばれる、局所麻酔で、負担の少ない手術が増えてきています。
鼻内法の涙嚢鼻腔吻合術を現在勉強中です。1年程度で当院にも設備を整えて治療を開始したいと考えています。
頑張りますので、もうしばらくお待ちください。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

ORT(視能訓練士)

視能訓練士(ORT)とは、視力や視野検査、小児の斜視や弱視などの検査・診療を行うための、国家資格をもった眼科専門のスペシャリストで、当院には現在3名のスタッフが働いています。視力や視野などの視機能を正しく測定、評価し、また育てるということが仕事になります。

今日は嬉しいことがありました[:楽しい:]

子供に斜視(左右の目線がずれている)や、遠視や乱視などの屈折異常に左右差がある場合には、片側の優秀な目に頼って、反対側の目の視力が成長が止まったり、機能が落ちていってしまうことがあります。このような視力が弱いほうの目を弱視と呼び、大人になってからも、メガネをかけてもぼんやりしか見えない。といったことが起こります。

眼科では、このような小児の弱視の治療法の一つとして、アイパッチがあります。
よく見えるほうの健康な目を遮へいし、よく見えないほうの弱視の目を強制的に使用させることで視力の発達をうながす治療法です。
1日に数時間、よいほうの目にシール(絆創膏のようなもの)を貼って、弱視の目だけで生活をすることになります。重症のお子様では、ぼんやりとしか見えない状態となるので、治療自体をストレスに感じてしまうことがあります。とても残念なことですが、お友達に「変だね」などと、心ない言葉をかけられたというお子さんもいらっしゃいました。

しかし、治療を行わなければ、将来的に運転免許が取れない、職業の選択に不利になることがあるなどの問題が起こりますので、医療側としてもご両親としても、どうにか治療を続けてくれるように工夫をします。
・パッチを貼ったら、とにかく褒める「カッコいいね!偉いね!」
・アイパッチ(シール)に、アンパンマンの絵を描く
など様々なことをします。

今日は当院のORTが、「こんなの作ってみました。」と、僕に自分で作成した表を見せてくれました。表には、カレンダー状の枠組みや、シールを貼る部位が記載されていました。アイパッチがきちんとできたら、時間を記入して、シールを貼るというものです。子供はシールが大好きです。この表やシールを使うことで治療がうまくいく子供さんが増えるといいなと思います。

視能訓練士(ORT)というと、眼科の検査を行う人というイメージが大きく、実際にそうとしか思っていないORTもいます。ORTのもうひとつの重要な仕事、視機能育てるということを、自分たちで積極的に考えて、行動をしたことが、とても嬉しいと感じた1日でした[:OK:]

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

手術が終わりました!

今日は9名の患者様に、以下の手術を行いました。

・白内障手術 10件
・結膜弛緩症手術 2件(両眼同時)
・眼瞼内反症手術 2件(両眼同時)
・緑内障手術 1件
・網膜硝子体手術 2件(黄斑前膜:両眼同時)

ちょっと疲れましたが、みなさん順調に終了しました[:グッド:]

今日の夜は、最近知り合った眼科医の先生と食事をする予定です。
同年代の手術が上手な先生です。
僕は地元の筑波大学出身ですが、別の大学の先生とお話をすると、手術の方法や治療法に関して、流派というか、各大学のやり方の違いが分かって、とても刺激になります。勉強してきます[:見る:]

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

網膜中心静脈分枝閉塞症:今日も緊急入院です。

今日の午後は小美玉市医療センターで6名の患者様の手術でした。
・白内障手術 5件
・眼瞼下垂症手術 1件
・硝子体手術 1件

午前中の外来で緊急入院の患者様がいらっしゃったので、その対応をしていたら、小美玉にいくのが遅くなってしまいました。外来手術の患者様は待ち時間が長くなってしまい、申し訳ありませんでした。

網膜中心静脈閉塞症(もうまくちゅうしんじょうみゃくへいそくしょう)

今日の緊急入院は、網膜中心静脈分枝閉塞症という病気の70歳女性の患者様です。ある程度の年齢になると、血圧やコレステロール、喫煙などをリスクとして、血管がつまる病気が出やすくなります。
血管が詰まる病気としては脳梗塞や、心筋梗塞が有名ですが、眼球内の網膜の血管、とくに中心部の静脈が詰まる場合を、網膜中心静脈閉塞症といいます。本日の分枝閉塞症は、上方半分の血管がつまっており、すべての静脈ではなく、枝分かれした先が詰まったという意味で、すべて詰まった場合に比べると軽症例と考えられます。
ただし、黄斑浮腫という合併症も伴っており、視力はすでに0.08まで下がっていました。

この病気の患者様がこられる場合、多くの患者様で発症後すぐにはいらしていただけず、「一ヶ月前から見えにくい」、「かなり前から見えにくい」というケースが殆どです。
発症から時間がたっている場合は、元に戻すというよりは、失明を防ぐためのレーザー治療や、少しでも視力を回復させる目的で手術を行うなどの治療を行います。しかし、なかなか難しい病気で、現代の医学ではどちらかというと予後が悪い病気といえます。

本日の患者様は発症後数日しかたっていないとのことで、血栓溶解薬の点滴を使用して、血流を再開させることチャレンジしてみることになりました。この治療が効果的であった場合には、元に戻すという方向での治療になりますので、よい結果が期待できます。本日は、黄斑浮腫という合併症もあり、ステロイド剤の注射や、アバスチンというホルモン製剤の注射も併用して行いました。
今日の段階としては、これ以上ない強力な治療と思いますが、どうにか回復して欲しいものです。
(血栓溶解剤の点滴はもちろん、その他の注射の治療も、副作用というか悪い結果がでるリスクは0ではありません。治療を受ける際は、どれくらいの効果が何%で見込めるのか、治療によって発現しうる副作用の種類や程度、発現率がどれくらいなのか、というものをきちんと担当医に確認するようにしましょう。)

ちなみに、昨日行った血腫除去術は非常によい結果で、明日退院となります。先週行った、眼窩底骨折の患者様も完璧に治っており(斜視・複視なし)、網膜剥離の皆さんも一度でなおっています。
最近、緊急手術の成績が良好でとてもうれしいです。
血栓を溶かすことはなかなか確率的に難しいのですが、今日の患者様もちょっと期待が大きくなってしまいます。なおれ、なおーれ[:拍手:]

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)