血管新生緑内障? 術後管理

すごい雪ですね!さすがに、今日の外来は予約変更が多くなり、とても空いていて、のんびり出来ました。
午後の手術は以下を行いました。
・眼瞼腫瘍(乳頭腫)1件
・結膜腫瘍(皮類腫?脂肪腫?)1件
・外斜視(前後転)1件
・白内障手術 7件
・網膜硝子体手術(茎離断・黄斑前膜)1件
無事に終わっています。手術も少なめで、4時ちょっとには終了。
今日は早く帰って、子供の相手も出来ました[:子供:]

血管新生緑内障 術後管理
緑内障の手術は、実は手術自体よりも、術後の処置をいかにしっかりやるかのほうが重要です。
例えば、白内障の手術では、もちろん術後の目薬をつけて頂くことは必須ですが、基本的には、医師の手術さえ上手くいけば、そのまま成功となります。適当な数字ですが、重要度を数字で表すと手術が99%、術後の管理は1%といった程度かなと。
網膜剥離で硝子体手術を行った場合には、手術が上手くいっても、術後の「うつ伏せ」を協力をして頂けないと、なかなか治りません。成功するためには、手術が50%、患者様のうつ伏せの努力が50%です。
緑内障(トラベクレクトミー)の手術はどうかというと、「手術は切って縫うだけ。」です。簡単だとは言いませんが、成功するための重要度は手術が20%、術後の管理が80%と、手術よりも術後の管理のほうが大切だと、僕は思っています。術後の処置も少なからず痛みがあり、患者様の協力+医師の能力の両方が必要です。

トラベクレクトミーの術後管理
前回、トラベクレクトミーという緑内障手術では目に穴を開けて、房水を目の外に流す。と言う事を書きました。この穴・流れ路を上手に保つ管理について記載します。

痛そうですが、手の平に釘をさして貫通してしまった方がいたとします。病院で釘を抜いて、消毒して・・・。1日か2日も経てばキズ・穴はふさがってしまいますよね。人間の体には、組織に癒着を起こすなどして、キズをを治そうとする働きが備わっています。
緑内障手術で、せっかく水の流れ路(バイパス)を作ってあげても、キズが癒着してふさがってしまえば、手術の効果が全くなくなって、眼圧が上昇してしまいます。
では、キズがふさがらないように大きな穴を開ければいいかと言うと、あまりに水が漏れ過ぎてしまえば、眼球は凹んでつぶれてしまします。
ですから、緑内障の手術では眼球が凹むほど大きな穴ではなく、かつ、ある程度の水が流れて、眼圧が高くならないように。なんていう、ちょうどいい穴を作成することが目標です。個々の患者様によりますが、多くは5?15mmHg程度の眼圧に落ち着くようにします。

この水の流れ路は、手術のみで出来てしまうわけではなく、術後の管理によって、その都度、微調整しながら、1週間?2週間程度かけて安定した流れ路を作成していくのです。

個々の患者様の状態によって、「癒着が早そうだから、少し大き目なキズを作ろう。」とか、多少色を加える事はありますが、実は手術で作るキズの大きさや、形などは、日本中の眼科で、ほとんど大差がありません。みんな同じような手術をしています。
同じ手術をしても、癒着が早い人、遅い人、いろいろな人がいるので、手術後の経過をみながら、適切な処置を行う事で、如何に微調整をしていくかで成績が決まります

癒着が進んで、眼圧が上がってくる場合
?マッサージといって、眼球を押して、一過性に眼圧を無理に上昇させ、キズ口から水を流して、キズを開きます。下を向いて頂き、医師が上まぶた圧迫しますが、患者様は少し痛みがあります。ご協力下さい。キズが安定したあとは、ご自身で行って頂く場合もありますが、術直後のデリケートな時期には医師のみが行います。
?キズを縫った糸を切ることで、キズを開きます。レーザー切糸と言いますが、レーザー光線は結膜などの組織を素通りして、強膜を縫いつけた糸のみを切ることが可能で、とっても便利です。ちょっと分かりにくいので、次回きちんと説明します。
?手術:手術から時間がたっていて癒着が強い場合には、手術室などで、針を使って癒着をはがしたり(ニードリング)、再手術をしたりします。

癒着が遅く、水が漏れ過ぎて、眼圧が低すぎる場合
?安静、力を入れない、目を押したりこすったりしない。癒着が早い時のマッサージと同じで、水が勢いよく流れると、キズが開いてしまうので、なるべく安静にします。目薬をつける時にも眼球を圧迫しないように、少し目の縁から離れた部位を引っ張るなど気をつけましょう。目を押さないことは、手術後に最も重要なことです。手術を受けた患者様は頑張りましょう!
?目の中にゼリー状の物質などを注射して、さらさらの房水と入れ替えることで、キズ口からの水の漏れを抑えて、癒着を早める方法もあります。
?圧迫眼帯といって、キズ口の上を抑えて、水の流れを減らして癒着を進めたりします。
?キズ口を縫いなおす。なかなか眼圧が上がらない場合には、必要になります。

最終的に、多くの場合では1週間?2週間もすると、キズ口の癒着や、房水の流れ路の幅などが安定していくため、検査や通院の間隔を延ばせるようになります。
女性が耳にピアスをあけて、ほっとけばすぐに穴が閉じてしまいますが、安定すると、しばらく何もしなくても、穴が開いたままになるのと似てますかね??

レッドブル ボックスカートレース?

今日の午後は他院様で硝子体手術のお手伝いをしてきました。世の中には糖尿病で手術をする人が沢山いますね。夜は仕事の関係で会議?飲み会?があるので、今日は血管新生緑内障のブログは休憩です。

昨晩、レッドブル、ボックスカートレースのカート作成が終盤を迎えました。
かなり大きい目玉や、まぶたが出来ています。
きちんと走るのか??は、次回チャレンジです。

血管新生緑内障? 手術

今日のお昼は以下の手術を行いました。
・白内障手術 8件
・眼内レンズ交換 1件(当院術後パワーエラー)
・網膜剥離 1件
結構、件数が多かったですが、網膜剥離も初期・軽症で30分くらい。まず治せたかなと。スタッフがお昼休みに協力してくれたので、午後の外来にも無事間に合わせる事が出来ました。
眼内レンズ交換は、2週前の手術で-0.5D(2mにピント)を合わせる目標でしたが、-2.0D(50cmにピント)とズレてしまったため、久しぶりの交換となりました。当院で光眼軸や4次式の計算により、レンズ交換を要するパワーエラーは約1000分の1の確率と、良好な成績ですが、患者様にお手間をかけてしまうのは、申し訳ないと思っています。もっともっとよい成績を目指したいなと思います。手術は数分で終わり、明日のピントは期待できそうです。

血管新生緑内障 手術
血管新生緑内障は、虚血に続いて発生する新生血管が、房水の出口である隅角をふさいでしまい、眼圧が上がってしまう病気です。手術はほとんどの場合で、線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)という方法が取られます。もとの出口を利用するのではなく、眼球の別の部位に穴をあけて、房水を排出する新しい流れ路を作ってあげる方法です。
(今年の春以降、出口の部分に人工の弁:バルブを取りつける手術が保険適応となります。その新しい手術については、別の機会に記載します。医学はどんどん進みますね!ワクワクします。)

線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)

手術の写真は上下反対の写真になります。ビデオモニターをデジカメで撮っているだけので、画質が悪くなっています。また、僕の手術は出来るだけまぶしくないように、顕微鏡のライトを一番弱くして行うので、暗い写真で、少し見にくいですが、ご理解下さい。(モニターではもっと暗くて、デジカメの感度を最大にして撮影したせいか、少し白っぽい写真になってしまいました。)

まず、仰向けに寝て、目薬の麻酔や消毒をして、目を開く器械をつけます。
目の上側に新しい穴を作くり、上まぶたでキズ口を隠した方が、感染症や水の貯留池(ブレブ)の形成が良好なため、通常は黒目の上方(写真では下方)で手術を行います。

左の写真は、黒目に糸をかけて、その糸を下方に引っ張って、手術がしやすいように、目の向きをつま先側に向けるようにします(右写真青矢印)。
次に、緑矢印のように、白目の表面の粘膜(結膜)に麻酔の注射をします。当院では血管新生緑内障の場合には、麻酔以外に、ボスミンという血管収縮薬を混ぜて出血を予防したり、アバスチンを混ぜてVEGFによる術後の癒着を予防するようにしています。麻酔が終わると、つい手術を急ぎたくなりますが、ここで数分じっと我慢することが重要です。ボスミンの効果が出てくるのを待ってから手術をしないと、出血が多くなります。この症例は全体で33分の手術時間でしたが、時間は関係ありません。薬が効くのを必ず待って出血を減らすことが重要です。


薬がきいて白目の血管が目だたなくなったら、結膜を切開して、強膜を露出させます。通常の緑内障手術ではこんなに出血しないのですが、これが新生血管緑内障の嫌なところです。ちょっと難しいのでイラストで。

灰色の強膜の表面に張っている、黄色の結膜を一回剥離する作業です。


専門的ですが、年齢の若い血管新生緑内障の患者様では、結膜が厚く、すぐに強い癒着が起こってきます。結膜の組織が厚いと、癒着をした場合に、レーザーで糸を切ると言う術後の処置が難しくなってしまう場合があります。僕は結膜が一定の厚みになるように、厚みを少し削る(トリミング)ようにしています。血管新生緑内障は、翌日など、早い時期からの管理がとても重要です。「今日はやりにくいから明日でいいや。」で、手遅れにならないように。


血管新生緑内障ではとくにしっかりと止血をして、強膜が露出した状態にします。


強膜に切り込みを入れて、水が流れるトンネル(強膜フラップ)を作成します。うーん。やはり出血が多いですね・・・。イメージ図で強膜(灰色)に切り込みをいれ、めくり上げるような処置です。


水の通り路の癒着を防ぐことが重要な手術です。10年以上前からですが、キズ口にマイトマイシンと呼ばれる抗がん剤の一種をキズ口に塗りこみ、癒着を防いで、安定した水の通り路が形成されるようすることが一般的になっています。左の写真は、マイトマイシンの液体をしみ込ませた、白いスポンジをキズ口に埋め込んでいます。
マイトマイシンの副作用として、組織が弱くなってしまうというものがあり、現在は薬の濃度や、塗りつける時間(3分程度)などは、多くの施設で一定化しています。右の写真は、水をかけて、マイトマイシンをきちんと洗い流しているところです。


強膜の切り込みを眼内まで進めて、眼球に穴を開けます。穴をあける部位を線維柱帯(せんいちゅうたい)と呼び、ココを切除して穴をあけるから、線維柱帯切除術になります。茶目(虹彩)も少し切開をして、水の通り路を広げます。
この状態になると、水が目の外に流れるようになるので、眼圧が下がります。ただだし、このままでは穴が大きすぎて、水が漏れ出しすぎて、目がすぐにペチャンコに凹んでしまいます。

そこで、

せっかく作った水の通り路ですが、再び糸で縫いつけて、水の逃げ路を狭くして、「僅かに水が漏れる。」という状態にします。
血管新生緑内障では、通常の緑内障と異なり、急に眼圧が下がり過ぎると、新生血管からの出血が起こってしまいます。
少し多めに糸で縫っておいて、しっかりと眼圧を保ちます。今回は5か所縫いました。癒着が進んで、水の通り路が狭くなって眼圧が上がりだしたら、すぐに糸を切っていく。術後はそんな方法をとっていきます。


糸の結び目が出ていると、痛みや感染などの問題が起こるため、結び目が組織の中に隠れるように調節します。硝子体手術を行ったあとの血管新生緑内障では、眼球の中がゼリー状の硝子体ではなく、やわらかい水に置換されているため、眼球から水が簡単に漏れ出し、ペコペコになってしまうので、糸で縫うなどの処置が難しくなります。


最後に、初めに剥離した結膜(図の黄色)を元通りに縫いつけて手術は終了です。緑矢印の部分に目の中から漏れ出した水が溜まって、プックリ膨れているのが分かりますか?この水の溜まり場を、ブレブなんて呼んでいます。

血管新生緑内障? 治療

お陰様で、みなさんまずまずの経過です。昨日、硝子体手術を行った2名は明日退院です。どうにか満床を防げるのかな?

血管新生緑内障 治療
血管新生緑内障は、様々な緑内障の中で、最も重篤、失明率が高い病気の一つとして知られています。治療法はいくつかありますが、重症例では手術が主な治療法になります。

?レーザー治療(光凝固)
糖尿病網膜症や、網膜中心静脈閉塞症など、網膜の血流が悪くなる病気に引き続いて起こる病態ですが、はじめから未治療の場合や、すでに治療後でも、レーザーの追加により、必要とする血流・血液を少なくできるようであれば、まずはレーザーを行います。
レーザー治療により、網膜を焼いて殺してしまい、眼球が必要とする血液を減少することで、眼球が必要とする血液と、実際に残っている血流とのバランスが取れれば、VEGFホルモンが産生されなくなり、新生血管はなくなっていきます。新生血管による隅角の癒着が起こる前にバランスが取れれば、レーザー治療だけで落ち着いてしまう場合もあります。
硝子体手術まで行い、網膜の隅々まで、びっしりとレーザー治療が終えているような症例では、レーザーでさらに網膜を減らすことはできず、緑内障手術に進みむことになります。

?緑内障点眼薬
隅角の閉塞の程度によって、眼圧の上昇が軽度の場合には、眼圧を下げるような点眼薬を使用して乗り切ることもあります。緑内障への点眼薬治療に関しては、以下をご参照ください。
http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=135859

?抗VEGF薬
血液や酸素が不足した場合には、眼内に新しい血管を生やそうとして、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)というホルモンが産生されます。これによって新生血管が発生するのですが、このVEGFの働きを阻害(邪魔)するのが、抗VEGF薬です。
血管新生緑内障以外にも、黄斑変性症や、黄斑浮腫など、新生血管が関連する病気に使われます。
抗VEGF薬には、現在の日本では、ルセンティス・マクジェン・アバスチンといった薬が使用され、ルセンティスやマクジェンは、黄斑変性症という病気に対してのみ保険適応となっており、血管新生緑内障や、黄斑浮腫などは適応外となっています(2012年2月現在)。非常に高価な薬であり、当院を含めてほとんどの施設がアバスチンという薬を輸入して、未認可ですが使用しています。おかしな医療情勢ですが、どうにかならないかと。
アバスチン参照⇒http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=127380
アバスチンは非常に有用な薬で、投与によって、多くの場合で、みるみる新生血管がなくなっていきます。新生血管による隅角の癒着が起こる前にアバスチンの注射をして、レーザーの追加により血流のバランスを取ることができれば、手術をせずに落ち着かせることができます。
ただし、重症例では、アバスチン注射によって、一度は新生血管がなくなり、眼圧が下がっても、血流のバランスが取れていない状態が残ってしまい、アバスチンの効果が切れる1ヶ月前後(もっと早いことも)で、結局は眼圧が再上昇してきてしまうことが多くあります。

?緑内障手術
血管新生緑内障は非常に重症の緑内障で、???の治療を行っても、なかなかコントロールがつかずに、結局は手術が必要になる症例が多くあります。
緑内障手術といっても、本来は数種類の方法がありますが、血管新生緑内障では、線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)という手術が一般的です。トラベクレクトミーは、眼球に穴をあけて、中で溢れてしまっている房水を、眼球の外に流して眼圧を下げるという手術です。
手術の詳細は次回、昨日のビデオ写真でも振り返りながら記載したいと思います
が、同じトラベクレクトミーでも、一般的な緑内障に行う場合に比べて、血管新生緑内障に対して行う手術は難しいとされています。新生血管が目の中にあるために、手術中や手術後に出血をしてしまったり、せっかく開けた水の流れ道が、出血やVEGFの作用により癒着をしてしまうと言う事が多いためです。

当院では、開院以来の1年半のみですが、血管新生緑内障でトラベクレクトミーを行った症例で、失明者はゼロです。手術効果が不十分で、術後に緑内障の点眼薬を追加している症例も1例もありません。というか、血管新生緑内障のみでなく、他の緑内障も含めて、トレベクレクトミーを行った全症例で失明ゼロ。全員が正常域の眼圧を保っており、緑内障の点眼薬の追加をしている症例も1例もありません。(ニードリングという、外科的に癒着を剥がす処置を追加している方は数名います。手術を希望しなかった症例もいます。)
治療経過が長くなれば、癒着をしたり感染を起こしてしまう患者様も増えるので、5年、10年後の成績が重要なのはもちろんですが、現時点では非常に良好な成績を保てているようです。
個人的に治療に気をつけていることもあるので、手術方法や、術後の処置など、今回のケースを例に、また記載していきたいと思います。
(といっても、さっそく先ほど術後前房出血という状態になり、明日からの治療に困惑しているところですが・・・[:冷や汗:])
何があっても全力で頑張る以外ありません。

血管新生緑内障? 病態 その2

土曜日は通常は午前外来のみなのですが、重症例で少し急いで手術をするべき人がいたため、午後は手術としました。(スタッフのみなさん、ご協力ありがとうございます。)
・網膜硝子体手術(茎離断)2件
(網膜動脈瘤破裂1件、網膜中心静脈閉塞症+黄斑浮腫1件)
・緑内障手術(血管新生緑内障:レクトミー)1件
手術は問題なく終わりましたが、明日以降もしっかりと処置が必要です。
別件ですが、午前中に網膜剥離の患者様が来院されました。初期なので月曜日に準緊急手術の予定ですが、すでに10件位手術が入っているようです。満床問題が発生するに違いない[:冷や汗:]今日の手術の患者様がすぐに退院可能になるといいのですが。

さて、昨日の続きです。
血管新生緑内障 病態 その2
血管新生緑内障は、目の血管が詰まって、血流が悪い場合に発生する新生血管によって、房水の出口(隅角)がふさがれてしまい、眼圧が上昇する疾患です。
主に糖尿病網膜症や、網膜中心静脈閉塞症という病気の重症例や、末期の症例に起こります。
全く眼科に受診せず、初めて診察した時点ですでに血管新生緑内障を発症しているような方もいらっしゃいますが、眼科で手術を受けたり、きちんと治療をうけていても発症してしまう場合も多々あります。眼科にかかっていたのになんで?と思う方もいらっしゃいますが、あまりに血管が詰まってしまうと、今の医学ではどうにもできないのです。

説明も難しいので、ちょうど本日手術をした患者様の例で記載してみます。
糖尿病の患者様ですが、お時間のある方は糖尿病網膜症についてご参照下さい。
http://blog.sannoudaiganka.jp/?cid=4922

30代の糖尿病の患者様です。お父様もお母様も糖尿病。残念ながら内科の通院を中断してしまい、その後に、視力低下を自覚して当院に初診となりました。
視力は両眼ともにメガネをかけても0.3?0.4しかありません。

左が右眼、右が左眼です。右眼の写真では、赤矢印の先から下方に向かって赤い出血(硝子体出血)を認めます。左眼はオレンジ色の丸い視神経乳頭を緑矢印で拡大しますが、その右側に赤いくるっと丸い血管が見えるでしょうか?これが新生血管です。また、両眼ともに、下のOCT画像では黄斑浮腫(おうはんふしゅ)という病態を認め、黄色矢印の部分に水が溜まって、網膜が厚くなっていることが分かります。専門的には、右眼はB?+M、左眼がB?+Mという進行期で、治療をしなければ早々に失明が危惧される重篤な状態です。(もともと若い患者様は重症化しやすい傾向があります。)

造影検査でも血流の途絶えた無血管野や、造影剤が大量に漏れ出し、多数の新生血管が存在することが分かります。

治療を開始し、ステロイドや抗VEGF薬注射や、レーザー治療など、1年前の昨年の冬には、両眼の網膜硝子体手術まで施行しました。

これは、今から2ヶ月前、昨年末の写真です。

青矢印の先にあるような、白?灰色の丸い斑点が多数見えますが、これがレーザー治療で、網膜を焼いたあとです。下のOCT画像でも、治療前に溜まっていた水がなくなり、網膜が薄っぺらくなり、黄斑浮腫が消失しています。
治療によく反応し、両眼ともに矯正視力0.8?0.9まで回復し、昨年の春から年末までずっと良好な状態を保っていました。

糖尿病網膜症や、中心静脈閉塞症など、血管が詰まって血流が悪くなる病気で、もっとも理想的な治療法は、血管の詰まりを解消し、血流を元通りに戻すことです。しかし、残念ながら、現在の医学ではそういった治療法はありません。
血管が詰まったら、詰まったままです。少ない血液でもバランスがとれるように、わざとレーザーで網膜を焼いて、網膜を殺して、今ある血流・血液のみで、残りの網膜が生きていけるようにバランスを取る治療をおこなうのです。バランスがとれずに、必要とする血液が足りないままでいると、VEGFというホルモンの働きによって、目の中に新生血管が発生して、最終的には大出血につながってしまうのです。レーザーで焼いた部分は基本的には見づらくなってしままいますが、仕方のないことです。
畑の作物で、肥料が足りないから、全滅してしまうよりは、間引きを行って、重要な部分だけは助けよう。と言うのに似ています。

上の治療後の写真でも、中心部のあたりにはレーザー治療のあと(灰色の丸)が見当たりません。黄斑部(おうはんぶ)や後局(こうきょく)と呼ばれる、網膜の中心部をレーザーで焼いてしまうと、中心部の視力がなくなってしまいます。このため、黄斑部(中心部)はレーザーが出来ない場所なのです。もし、中心部をレーザーで焼いてしまえば、必要な血液は少なくなりますが、治療のせいで目が見えなくなってしまうので、矛盾してしまいますよね。

図の赤い部分の網膜をレーザーで焼いて殺して、緑の部分を助けよう。というのが治療の目的で、緑丸の中心部の網膜は焼けませんし、緑矢印の眼球の前の方の組織も構造上、焼いてしまう事ができません。
?少し血流が悪い人は、赤い部分をまばらにレーザーで焼くことで、少しだけ網膜を殺して、目が欲しがる必要な血流を少し減らします。
?重症で、血流の不足が大きい人は、視野が狭くなりますが、赤い部分をしっかりと焼いて、必要な血液を出来る限り少なくします。
?赤い部分を全て焼いてしまっていても、さらに血管が詰まって、限りなく血流・血液が足りなくなってしまう場合には、血管新生緑内障が発症します。血液の不足により、目の中に新しい血管を欲しがるVEGFというホルモンが出てきますが、網膜はレーザーで焼いてしまってあるので、新生血管は発生しません。
VEGFが茶目(虹彩)や、隅角に作用して、目の前の方の組織に新生血管が発生してしまうのです。

昨日も載せた画像ですが、こんな感じに新生血管が発生します。

一昔前は、糖尿病で失明。というと、眼底出血(硝子体出血)で、目の中が血みどろだったり、カサブタだらけになって失明。というパターンが多かったのですが、治療法や、手術成績の向上により、出血やカサブタといった増殖網膜症とよばれる状態で失明に至る人は激減しています。
なので、糖尿病網膜症で失明する患者数は全体としては減ってきていますが、そのような手術を乗り越えて、さらに血管が詰まってしまった超重症例では、血管新生緑内障という形で失明する割合が増えているのです。

糖尿病は治りませんので、どんなに治療が上手くいっても、その後の血糖値が不良であれば、目の血管はさらに詰まっていきます。高血圧や喫煙でも血管は詰まっていきます。
一度、眼科で治療を受けて、どんなに目の状態が落ち着いたとしても、定期検診が絶対に必要なのは、さらに血管が詰まった場合には、レーザーを追加したりする必要があるからです。
硝子体手術まで行って、目の奥の隅っこまで、出来るところはレーザーを行っても、それ以上に血管が詰まれば、血管新生緑内障を発症します。難しい病態ですが、血管新生緑内障の治療が上手くいって落ち着いたとしても、全ての血管が詰まれば絶対に失明します。内科の医師や眼科の医師から、「血糖値、血圧、食事、禁煙。」何度も言われるのは、嫌な事だと思いますが、体のためを思ってのことです。

血管新生緑内障? 病態 その1

一昨日、血管新生緑内障という病気に関して、少し変なブログを書いてしまいましたが、本日、当院にもあたらに2名の血管新生緑内障の患者様がいらっしゃり、手術を行う予定となりました。いつかは書こうと思っていた病気なので、今回を期に筆を進めてみたいと思います。

血管新生緑内障(けっかんしんせいりょくないしょう)
病態 その1
まず緑内障という病気に関してですが、お時間のある人は、左のカテゴリーで「緑内障」というものを読んで頂ければと思います。お時間のない人は大まかに以下を。
眼圧http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=133813
病態http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=134101
分類http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=134202

緑内障とは、眼圧に関連して視神経が障害され、視野(見える範囲)が狭くなる病気です。
目の内部を循環して、眼球の膨らみを保つ「房水:ぼうすい」という水が、目の中に溢れてしまうと、眼球を内側から膨らませる力(眼圧)が大きくなり、眼球の内側からの圧力で、視神経が押しつぶされてしまうといった病態です。
?房水の産生量が増える
?房水の排出量が減る
以上のどちらか、または両方が起こると、眼圧が上昇するのですが、
血管新生緑内障は「?房水の排出量が減る」ことで眼圧が上昇します。

まず正常な隅角(ぐうかく)と呼ばれる房水の出口の構造です。
左図の矢印の先が隅角で、ここから房水が排出されます。
右は隅角の写真ですが、下側の茶色が虹彩、上側は角膜に相当します。

次は血管新生緑内障での隅角です。

隅角に新生血管が発生し、出口としての構造を防いでしまうと、房水の排出ができなくなり、眼圧が上昇します。右の写真は本日の患者様ですが、青矢印の先の赤いものが新生血管です。矢印以外にも、その右の方にある、赤く見えるのは全て新生血管です。緑の範囲の隅角が全体的に赤く充血しています。

新生血管(しんせいけっかん)とは、
網膜などの目の中の血流が障害され、虚血状態(血が足りない状態)になった場合、網膜はより多くの血流を得ようとして、目の中に新しい血管を生やそうとするホルモン(血管内皮細胞増殖因子:VEGF)を産生します。このVEGFというホルモンの働きによって、新しい血管、つまり新生血管が発生します。新生血管の発生によって血流が改善するのであればいいのですが、残念ながらそう上手くは行きません。眼底にできた新生血管のほとんどは、できそこないの血管で、ちょっとしたことで大出血を起こしてしまいます。また、新生血管が生える場所も問題で、本来は血管のない隅角に生えてしまったりすると、房水の排出が障害され、血管新生緑内障になってしまうのです。

つまり、血管新生緑内障は目の虚血(血が足りない)ことに、続発する病気であり、続発性緑内障と呼ばれるグループに属します。
血管新生緑内障を引き起こす病気としては、主に以下の二つがあります。
?糖尿病網膜症http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=131321
?網膜中心静脈閉塞症http://blog.sannoudaiganka.jp/?cid=4924
他にぶどう膜炎や、網膜中心動脈閉塞症などでも起こることがあります。

今日の患者様は、2名とも糖尿病網膜症が原因です。
1名は30代の糖尿病、喫煙者の男性で、当院で1年前に両眼の網膜症に対して硝子体手術をしています。なんと両眼(眼圧右60と左40)の発症で、右眼は明日そうそうに、準緊急で手術です。
もう一名は70代の男性で、他院様でですが、やはり両眼ともに数回の手術歴があります。目薬や飲み薬で少しは待てる症例なので、月が明けてから手術をしたいと。
糖尿病って基本的に治らない病気なので、眼科の治療で一度は落ち着いても、さらに血管が詰まれば、追加の治療が必要になってしまいます・・・。どんなに治療を頑張っても、全ての血管が詰まって生きていける目はありません。目の手術が必要になる糖尿病って、かなり重症です。手術後の患者様は、それ以上、血管が詰まることがないように、難しいのだとは思いますが、より血糖値に気つけなければなりません。そして、煙草は血管を収縮させます。絶対にやめましょう。

血管新生緑内障は、様々な緑内障のなかで最も予後が悪い(失明率が高い)緑内障として有名です。絶対に救いたい。明日から全力で治療を行います。経過とあわせて、病気の解説をしていこうと思います。

では、おやすみなさい。
今日もお読み頂きありがとうございました。

よくなる病気、よくはならない病気、助けられない病気

今日は以下の手術を行いました。
・白内障手術 10件
・網膜硝子体手術(茎離断)2件
 (黄斑前膜1件、増殖糖尿病網膜症1件)
みなさん問題なく終わっています。

最後の症例は、未治療の糖尿病なのですが、ちょっと変な症例でした。

小さな白いカサブタが、眼底の広範囲にまんべんなく張っていて、術後にビデオで数えると18か所も。手術でキレイに取れたため、うつ伏せなども必要ありませんが、一つ一つ削り取るような方法で45分くらいかかりました。疲れた。
しかも、目の中がカサブタだらけなのに、中心部には硝子体出血は少なくて、黄斑浮腫がそれなりにあるのですが、手術前の中心視力はまだ0.9もあるのです。(反対の目は、初診時からかなりヒドイ状態で、良好な視力は望めません。)
今回の手術では、とにかく失明を防いで、上手くいけば運転免許の0.7を温存したいというのが最大の目標です。

今日のような手術では失明を防ぐことが目的で、視力の回復が得られるわけではありません。手術がどんなに上手くいっても、手術後に「あまり見えないね・・・。」とか言われる事が多く、眼科医としてはガッカリすることがほとんどです。
同じような手術をする場合には、「今回の手術は回復が目的ではありません。失明を防ぐために行うもので、むしろ手術前より少し見えにくくなります。それでも失明を防ぐためには必要です。」と、手術の前に何度も説明しているつもりです。
すると、みなさんその場では「分かった。」とおっしゃるのですが、「手術をすれば見えるようになる。」という概念が強い患者様が少なくありません。
例えば、手術前が視力0.2、手術後が0.4と、むしろ視力が改善していても、「まだすっきり見えない。」「かすむ」などと言われることも多々あります。
こちらからすると、「手術は成功して、約束通り失明を防いだ!」と充実した気持ちでも、「まだ見にくい。」なんて言われると、「まだ見えないって、現状維持が目標で、それ以上良くならないって、何度も言ってますよ・・・。」と、ガッカリしてしまいます。
白内障の手術はみんな喜んでくれるのですが、糖尿病網膜症や、網膜中心静脈閉塞症での硝子体手術、緑内障などは、現状維持が目標の事も多く(病状によって様々ですが)、基本的にあまり喜ばれないのですよね・・・。網膜剥離や、黄斑円孔でも、どんなに上手くいっても、完全に元の状態に戻ることはありえないと説明してから手術をするのですが、「少しゆがむ」「少し暗い」と、「何で治せないんだ?」という剣幕でおっしゃる方も・・・。

でも、喜ばれないと分かっていても、誰かが引き受けなければいけません。嫌な思いをしても、もっと悪くなったり、失明する可能性があるものを放っておいて、実際に失明されてしまったら、もっと嫌な気分なのかな?と、僕は思ってしまうので、なんでも引き受けてしまうのですが、たまには、ガッカリして疲れてしまう事もあります。

今日のブログはグチになってしまいました。
朝に、芸能人の旦那様が、「網膜中心静脈閉塞症で失明」というニュースがあり、もちろん当院とは関係ありませんが、「手術をするたびに悪くなったという印象」なんてコメントがあり、きっとその担当医も全力でやったろうに。と思うと、ちょっとやるせない気持ちになってしまいまして。
すべての病気が治せるわけではありません。元に戻るわけでもありません。喜ばれないと分かっていても、出来る限りの治療をしてあげたい。と、医師はきっとみんなそう思っているはず。
さっき、その芸能人のブログをみてみましたが、「手術のせいで悪くなった!」という書き方ではありませんでしたが、その文章だけを選んで報道するマスコミの取り上げ方に問題があるのでしょうか。面白く報道すればいいというものではありません。
同じ中心静脈閉塞症の患者様が、この報道を見て「手術したら失明するんだ」と思ってしまったらどうするのでしょう?元には戻らなくても、光を残せる可能性のある目を治療できなくなってしまう可能性があるとは考えなかったのでしょうか。

今日は少し感情的なブログになってしまい、申し訳ありません。最後まで読んで頂きありがとうございます。

ちなみに、僕の妻のおばあちゃんも、3年前に網膜中心静脈閉塞症になってしまい、硝子体手術も緑内障手術もして。その後も何回もアバスチンの注射をして、どうにか最近は落ち着いて0.3を保っています。出来ることは全部やったつもりですし、もっと見えるように、どうにかしてあげたいけど。
どうにもできないこともあるのですよね。無力・・・。

帯状角膜変性症?

今日の午後は小美玉で井上先生と手術、夕方は県内の医院様で硝子体手術のお手伝いをさせて頂きました。
無事に終わっています。

午前の外来では、以前に一緒に仕事をした事がある、メガネ屋さんの紹介で患者様がいらっしゃいました。また、コンタクトレンズ関係の仕事の方の紹介でいらした方も。どちらも遠方からの紹介で、近くにも眼科があるかと思いますが、わざわざ当院を紹介してくれたようです。紹介の方の名刺を持参したりして。
眼科関係のかたに紹介を頂くのって、信頼関係と言うか、とても嬉しいです。
もう数年、顔をあわせておらず、連絡も怠ってしまっていたのですが、ありがたいなと思います。懐かしいというか、機会があればまたお会いしたい方って沢山います。

さて、ちょっとサボっていましたが、今日は病気の事を。
帯状角膜変性症(たいじょうかくまくへんせいしょう)
角膜(黒目)に、カルシウムなどが沈着し、角膜が濁っていく病気です。まぶたが開く隙間の部分(瞼裂:けんれつ)を中心に濁るのですが、角膜の中心部からやや下方に、横に濁りが広がります。

原因
腎臓病や副甲状腺の病気、リウマチなどの全身疾患をお持ちの方や、ぶどう膜炎、緑内障などの目の病気をお持ちの方に出やすい傾向がありますが、何の病気もない人にも出ることがあります。一部は遺伝性のものもあります。また、手術でシリコンオイルが入っている方や、一部のステロイド点眼剤の副作用などでも起こりえます。
房水の代謝異常や、涙の異常(ドライアイや、酸アルカリなどのpHの異常)などが関連しているようですが、また明確な原因・病態はまだ分かっていません。

症状
進行のスピードは人それぞれですが、進行ともに濁りが強くなり視力が低下します。また、表面がざらつくために、傷がついたりして、痛みや充血、メヤニの原因になることもあります。

腎臓が悪く透析をされている患者様の写真です。角膜の中心部より少し下方に、左右に広がる白い混濁が見えるでしょうか?右の写真は、光の当て方を工夫して、濁りが目立つように撮影しています。




今月当院にいらした患者様たちですが、上はぶどう膜炎後の患者様、中央は緑内障で手術後の患者様、下は生まれつき見えない(先天盲)の患者様です。やはり、目の病気をお持ちの方に多くみられます。

治療
ぶどう膜炎があれば、その治療を。ドライアイがあれば、その治療を。行っていきますが、明確に進行を予防する方法はまだありません。
濁りが強くなって、視力が下がってしまった場合や、痛みが強い場合には、以下の治療を行います。

?PTK(レーザー治療的角膜切除術)
角膜ジストロフィーで書いたものと、全く一緒です。以下参照。
http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=138832
濁った角膜をレーザーで削り取ってしまう術式です。安全で、よい成績が期待できますが、残念ながら、様々な理由で保険適応が得られず、自由診療だと費用が高めになります。また、治療後にはメガネなどの屈折が遠視となります。

?濁りを溶かしちゃう。
まるで化学の実験のようですが、酸でカルシウムの結晶を溶かしてしまおう(キレート)。といった治療です。塩酸EDTAと呼ばれる薬品を使用します。結構簡単に溶けだしてしまうのですが、あまり溶かしすぎると、角膜が濁ってしまうなどの副作用が出ることがあり、注意が必要です。点眼麻酔で数分の治療です。

?ゴリゴリ削り取る。
レーザーや薬を使わずに、鑷子などでゴリゴリ削り取る。という、かなり古典的な治療法です。視力の回復という意味では、上記の??にはかなり劣ります。他の病気などの状態で視力があまり期待できない場合や、カルシウムがガッチリと硬く付いている場合などに、仕方なく行ったりします。これも点眼麻酔で数分の治療です。

?や?は保険診療で、1割負担で2650円の手術になります。

どの治療法も、一度濁りをとっても、再発する可能性があります。
また、何度も何度も削ったり、溶かしたり出来るものではありません。
治療によって、角膜の表面にキズが出来るため、キズが治るまでの数日間は、けっこう痛みがあります。このため、痛みがなくなるまでの間は、ソフトコンタクトレンズで表面を覆うなどして経過観察を行います。

最新式MRI Ingenia3.0T?

今日は一昨日記載した、最新式MRIでとれる画像を、一部ご紹介してみます。
http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=139113

Ingenia3.0T


上から、頸椎、腹部、乳房の画像です。
ブログにアップするために、仕方なくかなり画質を落としています。それでもこのキレイさ。ビックリします[:びっくり:]通常のMRIとは全く違います。僕も首がちょっと悪いのですが、予約が空いてきたら撮ってほしいな。


これは前回も紹介した、全身拡散強調画像:body difussion。体に癌がないかなどを調べられます。


脳ミソの線維!


これもビックリする画像ですが、脳の血管です。
今までのMRIでは、細い血管は全くうつりませんでしたが、脳卒中に重要な卒中動脈なんかもうつるんですって。クモ膜下出血の原因となる脳動脈瘤もわずか2mmのものから発見できるようになりました。
眼科的にも、普通に眼動脈が見えます!!嬉しい!!興奮してしまいます。

教科書に載っているMRI画像とは比べ物にならない、細かさでとれるMRIですが、日本ではまだ数台しかなく、大学病院などにも同じ機種がないので、現時点ではどの眼科の教科書にも、これほどの画像を正確に論じているものがありません。
どうやって評価をしていいのか、これから勉強・研究しなくては。今までのものに比べて、診断能力が劣ることはあり得ませんが、もっともっと正確で、よい医療につながることは間違いありません。せっかくの素晴らしい器械です。眼科医としても新しい利用法を研究していきたいと思います。
目の画像も適宜upしていきますね。

今日の夜は眼科の沢山の先輩方と勉強会です。いってきます。