アルビノ 眼白皮症

今日の午後は小美玉市医療センターで、井上先生と一緒に手術でした。
・白内障手術 9件
・老人性下眼瞼内反症(逆さまつ毛)1件(眼輪筋縫着)
無事に終わりました。
いつもは、そのあと夕方から、開業医様のお手伝いに行くことが多いのですが、今日はお休みだったので早めに帰宅ができ、久しぶりに子供の寝かしつけを頑張ってみました[:子供:]

たまには、眼科の珍しい病気を書いてみますね。眼科医って、目のことしか診療できない医師が多く、医師の中ではちょっと情けない?ように思えますが、でも目の病気も数えられないほどあるのですよ!なんて。

アルビノ(先天性眼皮膚白皮症・眼白皮症)
メラニン色素って、聞いたことがありますか?体を紫外線などから守るために、メラノサイトという細胞が作る色素ですが、どちらかというと女性の天敵??というイメージを持つ方もいるかもしれません。茶色や黒の色素は、体の皮膚、頭髪、そして眼科では茶目(瞳孔・虹彩)に多く見られます。
アルビノは、このメラニン色素の合成に何らかの問題があり、色素が上手く作ることができない病気です。全身的、皮膚や頭髪などにも変化を認める物を先天性眼皮膚白皮症、全身的には目立った異常はなく、眼球内だけに異常を認めるものを眼白皮症と呼びます。

原因は遺伝子による異常で、先天性(生まれつき)の問題になります。様々な病形がありますが、男女を決定する遺伝子に問題があることが多く、患者様の多くが男性になります。(後天性;生まれてから病気でメラニン色素の障害がおこる病気もあり、ぶどう膜炎という病気の中の原田病というものが有名です。)
残念ながら、今の医学では完治を目的とする治療法がなく、色素を正常に戻すことはできません。各症状を和らげるための対症療法が中心になります。

先日、当院にいらした片目の眼白皮症、アルビノの男性です。

明らかに、茶目(瞳孔・虹彩)の色の違いが分かると思います。
眼底も、

同じフラッシュの量で、同じ撮影法ですが、色素の違いが分かるかと思います。
写真左の右目がアルビノですが、左目は正常です。
この方は、片眼性ですが、軽度のものでは、茶目(虹彩)のごく一部だけのものや、両眼性、全身性など、軽症?重症のものまで様々です。

当院の別の患者様ですが、より色素が薄く、黄斑の形成不全があり、残念ながら0.1以下の弱視の症例です。

メラニンは、お母さんのおなかのなか(胎生期)でも、黄斑などの目の形成に役割があるようで、軽症の一部のアルビノの患者様を除いて、多くの場合に黄斑の形成不全などが起こります。
また、眼科では、メラニンはぶどう膜(虹彩・毛様体・脈絡膜)に存在するのですが、虹彩(茶目・瞳孔)や脈絡膜は、目の中に入る光の量を調節したり、暗室効果に役割があり、メラニンが少ないと、羞明(しゅうめい)と言って「まぶしさ」を感じやすかったり、羞明を避ける目的などから、眼振(がんしん)と言って「目がゆらゆら揺れたり」が起こり、視力や見え方を阻害するようになります。
これらにより、多くのアルビノでは、弱視といって眼鏡をかけても視力が1.0未満、重症例では0.1以下となってしまう事があります。

羞明・眩しさには、サングラスや、虹彩付きコンタクトレンズなどを処方して、症状を軽減したり、
弱視が原因で斜視が起これば、手術をしたりしますが、そのような対症療法を行うのは、ある程度の年齢になってから行います。
本当は赤ちゃんの時から、虹彩付きコンタクトレンズなどの装用が出来れば、障害の軽減や、よりよい発達につながるのかもしれませんが、赤ちゃんにそのような治療を行うのって、現実的にはできないのですよね・・・。
軽症例で、「ちょっと眩しい」なんていう患者様にサングラスの話をするくらいならいいのですが、重症例で、弱視・眼振・斜視などがある場合には、残念ながら、僕ら眼科医が役立つことは殆どできません。
無力・・・。先天性の病気って嫌だなぁ。

では、何もできないなら、診療はいらないのか?というと、そうではなく、重症・軽症によりますが、ある程度の定期検査は必要です。

上記の片眼のアルビノの患者様の隅角(目の中を循環する房水の出口)の写真ですが、こういった部位もやはり正常とは言えません。将来的に緑内障などの病気を発症する可能性も通常よりは高くなります。この症例でも1年に1回の定期検査をお勧めしています。

今日も最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

緑内障22 最新手術 エクスプレスシャント トラベクレクトミー?

今日のお昼は以下の手術を行いました。
・白内障手術 8件
・緑内障手術 2件
・網膜症硝子体手術(茎離断)1件
最後の硝子体は、申し訳ありませんが術後再出血で再手術となった方です。
頑張りましたが、今度は大丈夫かな?と、明日の診察がドキドキです。

緑内障22 最新手術 エクスプレスシャント トラベクレクトミー?
実際の手術の方法を、先週の水曜日に手術となった、70代女性の例で記載してみます。
もともと他院様で長い間、緑内障の点眼薬を使用していたようです。それでも徐々に悪化していると5月に来院。4つの成分の薬を使用していましたが、両眼ともに眼圧は20mmHg前後と高値です。ゴールドマンでの動的視野も残念ながら進行期でした。進行期の緑内障では、眼圧は10以下とかできるだけ低いほどいいのですが、一般的には20を超えるようでは、将来的には失明が危惧されます。

7月25日に両眼の手術を施行させて頂きました。
右眼は少し異なる病態で隅角癒着解離(GSL)を施行し、本日も経過良好です。
左眼にエクスプレスシャントを施行したので、それを記載してみたいと。

白内障を合併しているので同時手術。まずは白内障のレンズを交換してしまいます。

通常のトラベクレクトミーでは、術後の乱視が大きく出るので、難しかったのですが、エクスプレスシャントはキズ口が小さく、術後の乱視変動が少ないので、トーリックレンズを使用が可能です。出来る限り乱視を減らし、裸眼視力の向上を期待できます(赤矢印の先の点々が乱視の軸)。

黒目(角膜)の上側、写真では黒目の下側に糸を縫いつけて(緑矢印)、目が下を向くように(写真では上側)引っ張ると、黒目の上側の結膜や白目(強膜)がよく見えるようになります(青矢印)。

強膜の表面に覆っている結膜に切り込みを入れると、少し出血するので、高圧電流の器械で焼いて止血をします。

この方は、心臓の治療でワーファリンという血液をサラサラにする薬を飲んでいるので、それでも多少は出血します。

強膜に切り込みをいれて、黒目(角膜)側にめくり上げるように切っていきます。これを、強膜フラップと呼ぶのですが、エクスプレスシャントが術後にずれたり、柔らかい結膜を破いたりするのを防ぐために、強膜フラップでエクスプレスを覆うようにします。

通常のトラベクレクトミーで作成するフラップよりも小さなもので大丈夫なので、乱視なども小さくなります。(僕は、将来的なニードリングのしやすさなどを考えて、エクスプレスでは少し厚みが薄めのフラップを作成しています。)

せっかく作った、水の流れ路(バイパス)のキズ口の癒着が進むと、手術の効果が無くなってしまうので、癒着防止効果を持つ抗がん薬を浸して、癒着を防止します。

(今回はマイトマイシンCを2分;症例によって異なります。)

この白目の強膜フラップは、あとで針と糸で縫って、元に戻すのですが、僕はこの時点で縫合の糸をかけてしまいます。

(エクスプレスシャントを刺してからだと、眼圧が低くなり縫いにくいので、先に糸をかけておくと安全です。)
写真でフラップの右下と左下を縫って、細ーい糸があるのですが、見えますか??

本来は、ここで強膜の一部、線維柱帯、虹彩(茶目)の一部を切除して、水の通り道を確保するのですが、エクスプレスシャントでは、これらの手技を全て省いて、ただただエクスプレスを突き刺すだけで終わってしまいます。
切ったり縫ったりの作業が減るので、その分、手術での出血のリスクが下がったり、術後の炎症も少なくなり、手術が安全になります。

実際には、まず針をプスッと刺して、穴を開けます。(25Gの針)

次に、その穴にエクスプレスを挿入します。

小さくてちょっと分かりにくいですが、赤矢印の部分に左のエクスプレスがついています。

挿入完了!

今まで、出血にビクビクしながら行っていた作業が、なんと10秒で終わってしまいます。医学の進歩はすごい[:グッド:]

その後、素早く、先ほど準備していた、強膜フラップの縫いかけの糸を2か所、キュッ、キュッと縛って、強膜フラップでエクスプレスを覆い隠します。

(以前の手術では、糸を縫っている間に、目から水が漏れ出して、一時ペコペコになったりすることが多々ありましたが、今回の術式では、そんなことは一切起こりません。もちろん乱視用トーリックレンズも殆どずれません。)

最後に、一番最初に剥がした、結膜を連続縫合で元に戻して、終了です(10-0ナイロン糸)。

終了時ですが、矢印のあたりが、プックリと膨らんでいるのが分かりますか?

目の中からエクスプレスシャントを通って流れ出た水が、結膜の下の貯留池(ブレブ)に溜まっている状態です。

白内障手術を含めて、だいたい15分?20分ちょっとの手術です。

気になる結果は、
7月26日 眼圧 6mmHg
7月27日 眼圧 20mmHg⇒レーザースーチャライシスを一糸
7月28日 眼圧 5mmHg
7月29日 眼圧 5mmHg
7月30日 眼圧 6mmHg
(せっかく入院しているので、朝も昼も夜も検査をして、念入りに観察いますが、朝の結果だけupしています。)
ここまでバッチリの経過で明日退院です!

青矢印の先がエクスプレスです。

山王祭 (夏祭り)

今日の夜は、山王台グループの夏祭りがありました

僕は3回目の参加です。あいあいや、ようようの入所者様、近隣の患者様たち、グループのスタッフ、ご近所のお子さん、沢山の人で賑わっていました。

朝の診察で病院に行った時から、多くのスタッフが準備に追われていました。
皆さん本当にご苦労様です。僕は申し訳ありませんが、開始後から参加。しかも、みんながビールをくれるので、ただ飲んでいるだけで・・・[:ビール:]
申し訳ないです。

ステージではブルースや民謡で盛り上がり、他にもおかめさんや、ひょっとこ、石岡では欠かせない獅子舞いも!


お獅子さんに、頭を噛まれるとお利口になると言われており、子供がガブリッ。

僕の頸椎ヘルニアも治るかな?ガブリッ。っと首を噛んでもらいました。


盆踊りも盛況!


夏の風物詩、スイカ割り。
僕も参加させて頂きましたが、一発で割れました!!
子供の前でわれたのが、嬉しくて、
今思うと恥ずかしいくらい、大人気なく喜んでしまいました・・・。

幕内理事長と!
上道先生と!
普段は浴衣なんて着ませんが、なかなか気分がいいものです。


これから、スタッフが夜な夜な練習を重ねた、よさこいの踊りがあったりと、まだまだ夜は長いのですが、僕にはみんなが気を使って、お酒を持ってきてくれまして。
明日も仕事なので早めに帰りました。準備も後片付けもしなくてすみません。
楽しいお祭りでした!ご苦労さまでした!

緑内障21 最新手術 エクスプレスシャント トラベクレクトミー?

土曜日は通常は午前外来だけなのですが、ちょっと早めの手術が望ましい人が多く、午後は手術日になりました。スタッフの皆さん、ご協力ありがとう。
・白内障手術 3件(加齢黄斑変性注射同時2件)
・血管新生緑内障ニードリング 1件
・網膜硝子体手術(茎離断)4件 (全て糖尿病黄斑浮腫)
無事に終わりました。

さて、今日は緑内障手術から新しい話題を。
緑内障最新手術 
エクスプレスシャント トラベクレクトミー?

緑内障は目の中を流れ、眼球を膨らませている水が、神経を圧迫して見えなくなっていく病気です。内部の水の量を減らして、圧力を低下させることで、進行を遅らせる事が出来ますが、多くの症例は点眼薬による治療でコントロールが可能です。点眼薬で目標とする眼圧まで低下させることができない場合には、レーザーや手術を行うのですが、
いくつかの手術方法のうち、最も強力で、最も多く行われている方法が、線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)になります。一般的なトラベクレクトミーの方法に関しては、以下のブログを参照下さい。
http://blog.sannoudaiganka.jp/?eid=129061

手術自体は、比較的簡単なトラベクレクトミーですが、手術後のキズ口の癒着が早い・遅いなどの個人差が大きく、術後管理がとても大事であることを以前に記載しました。
⇒トラベクレクトミー後の術後管理

術後の問題点としては、主に以下の二つがあります。
・作成した水の抜け道が癒着してしまい、水が流れない⇒眼圧が高い
・抜け道が大きすぎて、水がじゃじゃ漏れ⇒低眼圧

これまでは、水の抜け道の作成は、眼科医の手によって、切ったり縫ったりと、手作業で行われてきましたが、人工のバルブやチューブを使用することで、出ていく水の量を一定化し、眼圧を安定して低下させる方法を、チューブシャント手術と言います。
欧米では、チューブシャント手術は以前より広く用いられてきましたが、日本の保険診療では認められずに、これまでは自分たちで勝手にバルブやチューブを輸入してこっそり使っていました。
今回、日本でもとうとう、今年の4月から保険診療でチューブシャント手術を行う事が認可されたのです!!(嬉しい!!)


一般的なトラベクレクトミーのイメージ図ですが、赤の矢印が房水を目の外に流す抜け道です。青が目の外の水の貯留部(ブレブ)です。
これまでは、この赤矢印のように水を流すためには、下の写真のように、白目(強膜)の組織の一部や、線維柱帯、茶目(虹彩・瞳孔)の一部をメスやハサミで切除する必要があり、全症例で大なり小なり必ず出血が起こりました。

エクスプレスシャントは、上のような組織の切除を必要とせず、白目(強膜)から目の中に向けて、下のようなバルブをプスッと刺すだけで、水の抜け道が形成されます。

エクスプレスシャント利点は沢山あります。
?出血が少ないこと
?手術手技が省略され、手術時間が短くなること
?キズが小さいので、炎症が少ないこと
?キズが小さいので、キズを縫う縫う範囲や数が小さく、手術にともなう乱視が出にくいこと
?、??により視力が安定・回復するまでの時間が短いこと

などなどありますが、なにより、一番重要な利点は、
?流れる水の量が一定化し、眼圧が下がり過ぎたりする合併症が減少することです。

一部のベテランの先生で「エクスプレスなんて使わなくても、きちんと切って、きちんと縫えば、大丈夫。」とおっしゃる方もいるのですが、僕が思うには、どんなに上手な人が丁寧に手術をしても、人間の手作業・手縫いで作られてたキズ口を流れる水の量に比べれば、人工的に作られたバルブの中を流れる水の方が、流量が一定化するに違いないと。

エクスプレスは6月18日に発売され、当院でもすでに3件の手術が済みましたが、みなさん安定化も早く、今のところとても良好な経過となっています。術後の管理で行う処置の回数が少なく、退院が早いのも特徴です。
8月も3件、9月もすでに予定が入っていますが、手術がとても楽しみです。
次回は、実際の手術方法に関して書いてみたいと思います。

では、今日も最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

色覚異常? 職業適正

今日は以下の手術を行いました。
・眼瞼内反症手術 1件(眼輪筋縫縮術)
・眼瞼下垂症手術 2件(CO2レーザー:ミュラー筋タッキング)
・翼状片切除術 1件(遊離弁再建)
・白内障手術 10件
・緑内障手術 2件(エクスプレスシャント1件、流出路再建1件)
・網膜硝子体手術(茎離断) 3件
 (黄斑前膜1件、黄斑円孔1件、テルソン症候群硝子体出血1件)
無事に終わっています。

さて、続けてきた色覚異常をそろそろ終わりにします。
色覚異常? 職業適性
先天色覚異常では、赤・緑・青の3つの錐体が正常に機能せず、正常色覚者に可能な色の判別が難しかったり、色の誤認が起こりうることなどから、以前は様々な職業に制限があり、就職に不利な時代があったようです。間違った差別が生まれたり、先天赤緑異常では遺伝例が多いこともあり、結婚や出産に関して問題となることもありました。

しかし、先日書いたように、多数派の見え方を正常と呼んでいるだけであって、決して色覚異常の見え方が劣っているというわけではありません。ユニバーサルデザインなど、万人向けの社会作りといった考え方が復旧し、色覚異常があっても問題なく生活を送れるようになってきているようです。
現在は、飛行機や船の運転などに関するような職業を除いて、ほとんどの職業で、色覚異常があるから就職が受からない。ということはないようです。

そういう社会になってきてはいるものの、外来などで相談を受ける質問で最も多いのは、やはり職業の適正についてです。
具体的には、お母さんたちから、「うちの子は色覚異常ですが、美容師の専門学校へ行くことをどう思いますか?」というものや、「僕は色覚異常ですが、医者はどうですか?」などの質問を受けます。

どうこたえるかというと、申し訳ありませんが、僕はいつも明確な答えができません。美容師で髪の毛の色を染める場合、医者で病変を色調から判断する場合、どちらかと言えば、色覚異常がある人の方が難しく感じる機会が多いのは間違いないでしょう。デザインや色合いなどに直接関係する職業に就くことは、色覚異常の程度によりますが、少なからず不自由な思いをするのではないかと思います。
でも、もしかしたら、色覚異常の方が美術や美容の職種に進んだとして、天才的な感性として認められる可能性だってありますし、眼科医になって、目薬の容器の色が分からなくても、形や文字など別の方法で確認する努力によって、キャップの色だけで適当に処方をする医者よりも、正確な仕事ができる可能性だってあります。

もしかしたら、少なからず苦労をする可能性はあるわけで、安易に「全く問題ないから、どの職業でも大丈夫!」とも言えないし、努力によって賄える可能性があるのに、「辞めた方がいい」とも言えません。
なので、僕はいつも、「人より労力がかかったり、苦労をする可能性があるけれども、それでも頑張っていく気持ちがあれば、頑張って下さい!」という答えになってしまいます。

僕が子供の時には、学校で石原式色覚表で色覚検査を受けた覚えがありますが、差別をなくそうとする問題からか、1990年代以降の法律改正により、就職時や学校検診などでは色覚検査を行うことがほとんどなくなりました
色覚異常があるから、就職を拒む。というのはよくない思いますが、色覚異常であることを知らないまま、職業の選択に進んでしまう子供たちが生まれないか、少し心配です。精神的な負担はあるかもしれませんが、中学?高校くらいの学校検診で1回でいいので色覚検査を行って、自分のことをしっかりと自覚した上で、職業を考えていく方がいいのでは?と個人的には思っています。
学校検診で色覚検査を行った上で、全員にしっかりとした色覚教育を行って、「色覚異常があっても生活がしやすい社会づくり」が進むといいなと思うのですが。

最近、子供と一緒にチャギントンという機関車トーマスの現代版?というような、電車のアニメを見ていて、「色の判別をしにくいチャガー(電車)もいる。」といった題材があり、イギリスのアニメなのですが、欧米の方が子供の時からの教育が進んでいるのかな?なんて思ってみたり。

ちなみに、双子のチャガー、フートとトゥートのフートが赤緑異常のよう。

色覚異常? 色誤認

今日も午前中の外来が70名強と、少し待ち時間の長い患者様が出てしまいました。すみませんでした。
午後は知り合いの先生の病院でお手伝いに行きました。少し難しい症例もありましたが、無事に終わって安心です。

少しサボってしまったのですが、色覚異常の続きです。
色覚異常? 色誤認
以前も少し記載したのですが、先天性の色覚異常で問題なのは、緑が緑に見えないことではなく、赤や緑をハッキリ区別して見えている人たち(正常色覚)と、色の判別が異なってしまう事です。
仕事で、赤のカードと緑のカードがあって、「赤ならこの作業」「緑ならこの作業」と言われた時に、判別しにくいのは問題ですよね?

そういうと、先天赤緑異常などの色覚異常の方が、劣っているのでは?という誤解が生まれそうですが、決してそうではありません。例えば、鳥類は赤・緑・青以外に、紫外線より短い波長の色の認識が可能で、4原色を認識する錐体があるとされています。人間やサルの多くは3原色ですが、他の哺乳類は赤と青の2原色の錐体をもつようです。
差別的な問題を少なくするために、3錐体の正常色覚者、97%のことを多数派色覚3%の色覚異常者をまとめて、少数派色覚と呼ぶ団体もあるのですが、
どちらが優れている・どれが一番良いという事はなく、それぞれ長所と短所があり、たまたま人間の多くが、赤・緑・青の3原色を認識する色覚(正常色覚・多数派色覚)の持ち主であったようです。
民主主義での選挙もそうですが、世の中はどちらかというと多数派に有利に出来ており、多数派の見え方と異なる色覚異常(少数派色覚)の方には若干不便になってしまうのですよね。

治療
残念ながら、現在の医学では先天色覚異常の治療法はありません。
色覚異常の方は、多数派の正常色覚と呼ばれる人たちと生活していく上で、自分がどのような色が見えにくいのかをしっかりと認識をしていくことが重要となります。
どのような色の見わけが付きにくいのかは、色覚異常のタイプによって異なるのですが、基本的には経験によって獲得していくものです。一応、先天赤緑異常で見分けにくい色を記載しみます。
?
?オレンジ黄緑
?
?
?ピンク白や灰色
?黒や灰色
?
?ピンク水色

上記の色をそれぞれ明るくした色や、暗くした色も判別しにくくなりますが、最終的には経験上、難しかった色について、対策を考えていくのが重要です。
仕事で、色のついたカードが判別しにくいのであれば、各色ごとにカードの大きさや形を変えるなど、色以外の方法で判別ができるようにるようにしたりします。

では、正常色覚の人は自分の思うままに生活すればでいいのでしょうか?それはNOです。色覚異常の人もいるのだと言う事を忘れずに、色覚異常(少数派色覚)の人が不自由をしないように、色覚異常があっても判別しやすい社会を作るべきです。
人類の数%を占める先天赤緑異常が読めない教科書は作るべきではありません。緑の背景に赤い文字を書いたら、認識できない人がいることに配慮しなくてはいけません。
義務教育の教科書などは、かなり気を使ったものが増えてきていますし、ユニバーサルデザインと呼ばれるような万人向けのデザインのものにも、色覚の概念が取りいられるようになっており、社会は徐々に変わってきているのかもしれません。
一方で、眼科の学会のポスターやプレゼンテーションで、色覚異常に全く配慮をしていないものを目にすると、とても残念な気分になったりする事もあるのですけどね・・・。

お久しぶりです。

お久しぶりです[:!:]
急だったのですが、実は、少し早めの夏休みを頂き、先週は久しぶりにのんびり過ごしたり、他の眼科様の見学に行ったりしてきました!沢山の眼科の先生とお話をする機会があり、勉強になりました。
代診の先生方、スタッフの皆さん、お陰様で困った症例もでなくて助かりました。ありがとうございました!
元気いっぱい・やる気いっぱいで、また今日から頑張ります[:グッド:]

今日のお昼の手術は、
・涙管チューブ挿入術 2件(TS-1内服後の両眼涙点・涙小管閉鎖)
・瞳孔形成術 1件(他院様にて眼内レンズ縫着後)
・白内障手術 5件
・網膜硝子体手術(茎離断)1件(眼球打撲後の硝子体出血)
無事に終わりました。
そして、とうとう外来の患者様が、午前・夕方を合わせて100名に!
開院2年ちょっとですが、初めてです。

また明日から、ブログも再開してバリバリ働きますよ!!

若手?中堅?

今日は以下の手術を行いました。
・眼瞼下垂症手術 2件
・白内障手術 9件
・緑内障手術(エクスプレスシャント)1件
・網膜硝子体手術(茎離断) 3件
 (網膜中心静脈分枝閉塞症での黄斑浮腫、同じく分枝閉塞症での硝子体出血、増殖糖尿病網膜症+黄斑浮腫)
無事に終わりました。
この春から、緑内障手術でシャントと呼ばれる水の流れ道の役割を果たす、人工のバルブの挿入(インプラント)が、正式に保険診療で認められました。
非常に有用な手段で、当院でもどんどん症例が増えていますが、時間をみてブログに書いていきたいと思います。

それなら今日かけば?と思うでしょうが、
今晩は少しお酒が進んでしまい、難しい話題はちょっとムリ。
日常の日記程度に。
先ほど、大学時代の後輩の先生たちと夕飯を食べたのですが、
みんなそれぞれ頑張っていて、自分の思う医療をやっているようで、安心しました。
下の学年の先生のほうが分野によっては知識があったり、そんな医療をするんだ!なんて、勉強になることもあります。
僕よりも若い先生が頑張っているのを聞くと、嬉しい反面、負けられないぞ!なんて、勉強の意欲に駆られたりもします。他の先生と食事をすると、刺激になってモチベーションがあがります。
僕は自分では働き盛りの若手?中堅?と思っていたのですが、下の世代の先生がどんどん迫ってくると、もう自分を若手。なんて思ってたら変ですよね・・・。

医者はそれぞれ、他の先生との違いを出して「僕はこういう医療をしたい!」と思っている人が多いのではないかと思いますが、
逆に、患者さんは、「眼科なら、どの先生にかかっても同じ医療を受けられる。」と思っている人が多いように思います。病状を説明すると、「他の眼科ではそういう治療があることは聞いていない。」なんて言われることも多々あります。

帰り道に、考えてみたのですが、当院の特徴をいくつかあげると、
?あきらめない。
手術をしても良くはならない。もう末期だし、今更手術をしても視力が0.02とか、わずかにしか残せない場合でも、患者さんが希望するかぎりは最後まで治療をしよう。と思っています。年齢も100才超えていても白内障手術をしますし、90代の患者様の網膜硝子体手術も希望があれば引き受けます。

?黄斑浮腫が大嫌い。
糖尿病や網膜静脈閉塞症などで、黄斑浮腫という病態が起こると、多くは進行性に視力が低下します。黄斑浮腫があっても治療をしない先生も少なくないのですが、未認可の治療ですが、アバスチン(抗VEGF薬)やステロイドの注射、硝子体手術などを積極的に行っています。ちょっとした再発でも、適宜再注射を行っていきますが、当院で管理した浮腫の患者様では、初診時から進行性に視力が低下した人は記憶にないくらいです。(1?2カ月毎に注射をし続けている人も数名いますが、患者さんが希望する限りあきらめないぞ!と。)

その他、いろいろありますが、ちょっと眠くなってしまい、また後日にしたいと。誤字脱字ありそうですが、御勘弁を。

色覚異常? 検査・診断

今日の手術は白内障手術が7件で、無事に終わりました。
だんだんと、暑い夏が増えてきましたね。

今年はアサガオの緑のカーテンに挑戦しているのですが、どのくらい育ったか、
毎朝毎朝気になってしまいます[:見る:]

色覚異常? 検査・診断
先天色覚異常の多くは、実は問診だけで診断が付きます。
というのも、眼科に受診する時点で、ご両親や自分自身で色覚異常だと認識して相談に来ることが多いからです。
色覚異常の多くは、先天赤緑色覚異常と呼ばれるL-錐体M-錐体の異常なのですが、男女を決定する染色体(遺伝子)に原因があることがおおく、殆どの患者さんは男性になります。
父親や、母方を含むおじいさんや、おじさんに、同じような症状の方がいるため、受診時にはなんとなく気がついていたり、すでに自覚していていることが多く、「父親やお爺さんが色覚異常で、この子もなんとなく色を間違えやすいみたい。正確に診断できますか?」という相談や、「色覚異常ですが、この職業に就くのは可能ですか?」という相談が多くなります。

実は、先天赤緑異常は軽いものを含めると、なんと、日本人男性では20人に1人弱(5%弱)と、とても身近にありふれたものなのです。(女性では500名に1人弱と極端に男女差があります。)

次に黒っぽい赤黒っぽい緑などの見分けが付きにくいかどうか?等を聞いて、赤に関連したものが見えにくい⇒L-錐体異常(1型)と診断がついてしまいます。

そうは言っても、本当に患者さんが来た場合には、せっかく受診して頂いたので、きちんとした検査を受けて頂きます。

?仮性同色表
いくつか種類があるのですが、当院では石原式仮性同色表を採用しています。

正常色覚では数字が書いてあったり、クネクネの迷路を指でなぞったりすることが可能です。色覚異常で、赤や緑などの背景と文字や線の見わけが付きにくい場合には、数字が読みにくくなります。
全てのページを検査すると、かなり軽い色覚異常でも、発見することが可能です。逆に、仮性同色表をスラスラ判読できる場合には、色覚異常は心配ないとも言えます。
(たまに、本当は物が見えるのに、見えないふりをする困ったお子さんや、保険金の裁判中なんていう仮病・詐病の人が来院されます。仮性同色表には、ある程度の視力があれば、色覚異常の方でも判読できるページもあり、そういう判定にも役立ちます。内緒のページなのでUPはできません!)

パネルD-15テスト
グラデーションで色がついたパネルを、色合いが近い順から並べていくテストです。一番左端の青だけは固定で、順に15個のパネルを並べていきます。

正常色覚では上のように順に並べることが可能ですが、

色覚異常では、上のようにごちゃごちゃと並べてします。
パネルの裏側には番号が付いていて、

並べ方によって、赤の異常なのか、緑の異常なのか、青の異常なのかを判定することができます。
(パネルD-15は、色覚異常が軽度の場合には正常に配列が可能で、中程度以上の異常を診断することが可能です。)

アノマロスコープ
光の3原色で書いたのですが、赤の光と緑の光を合わせると、黄色の光ができます。アノマロスコープは、上下に2つに分けられた丸があり、

・上半分は緑→黄色→赤へと変化、
・下半分は黄色の明るさ(明るい黄色・暗い黄色)を変化
させることができる装置です。
正常色覚では、少し暗い黄色で、上下の色がほぼ同じになるように調節することが可能ですが、色覚異常者では「正常者が上下の色は異なる色だ」と判断する状態で、色が同じになった。と認識します。
この上下の色の解析により、どの錐体にどの程度の異常があるのかを、かなり正確に判定することが可能です。

どこま正確なのかは不明ですが、i-padのアプリで、パネルD-15などを見つけました!3000円で購入してみました。

医学で使うものって、値段がなんで??と思うものが多いのですが、上記の正規の検査機器は8万円以上します。僕は結構いろいろな病院で勤務歴がありますが、当院以外では大学病院くらいでしかパネルD-15を見たことがありません。
数千円のアプリでも正確な検査が可能なのであれば、日本中の眼科で使われるようになるのかな??と期待をしつつ、しばらくは両方の検査をやって頂き、正規のものと判定が異なるかどうかを確認してみたいと思います。
注)アプリには、あくまで参考です。正確な診断は病院で正規の検査を受けるべきだと注意書きがありました。

色覚異常? どんなふうに見える?

色覚異常? どんな見えかた?
錐体細胞には、L-錐体M-錐体S-錐体があることを書きましたが、多くの色覚異常は、L-錐体M-錐体に関するもので、先天赤緑色覚異常と呼ばれます。

では、L-錐体が全く機能しない場合には、赤い色・光が真っ暗に見えるのか?というと、そうではありません。L-錐体は赤い光(長波長)によく反応しますが、それ以外の光にはある程度反応します。
逆に、M-錐体S-錐体も、多少は赤い色・光に反応しますので、もし、L-錐体が全く機能しない場合でも、赤い色・光を見たときには何も感じないわけではなくて、正常色覚者と比べて別の色合いに見えてしまうのです。

L-錐体(赤)と、M-錐体(緑)の完全な機能消失(色盲:2色覚)の場合の、実際の見え方のイメージは以下のように推測されます。

ただし、実際に色覚異常の方の見え方を実感することは出来ないので、とても難しい範疇です。重度の異常である色盲(2色覚)の方は少なく、上記のイメージはやや極端な例ですが、赤や緑の錐体の機能が弱い場合の、色弱(異常3色覚)では、その程度によって上記のイメージと正常との間に位置することとなります。

「赤が赤に見えないなんて、大変そう。」と思うかもしれませんが、「赤を赤だと認識する」ということは、生まれてからの経験によって獲得するものであり、もともとそういう世界に生まれた人たちは、自分の中だけでは違和感を感じません。
問題は、正常色覚の人との間で、色を判別する能力が異なることで、間違えた色と判断してしまうこと(色誤認)が生活上の不都合になります
赤いカードと緑のカードが置いてあって、「赤いカードを取って!」と頼まれたときに、緑のカードを選んでしまったり。ということです。

色覚異常で重要なのは、「赤が、正常色覚者にとっての赤に見えないこと」ではなく、正常色覚者と色覚異常者とを比べて、どういう風に見えにくいのか?、何色と何色が見分けがつきにくいのか?ということを、お互いに認識をすべきだということです。

テレビの構造がそうであるように、光の3原色の組み合わせで、殆どの色が作成できることを色覚異常?で記載しましたが、この3原色()を120度づつ3等分にならべ、色相によって順序良く色を配置したものを、色相環といいます。

環の反対側に位置する色を、捕色といいますが、相手を引き立てる・目立たせる色になります。聞いたことがあるでしょうか?
正式な色相環だと、ちょっと分かりにくいので、目立つ色だけ端折って抜き出してみます。

正常色覚だと、このような色の配置で、それぞれが独立して認識されるのですが、色覚異常の場合には、この環の形に変形が起こります。


これはL-錐体の異常(1型)でのイメージ図です。環が横方向から押しつぶされるような形状になり、赤と緑、青と紫などが正常な色覚に比べて、近い色・似たような色として認識されます。L-錐体の機能が低ければ低いほど、環のつぶれ具合が大きくなりますが、L-錐体が全く機能しない(1型2色覚:赤の色盲)では、環が完全につぶれて、赤と緑がほぼ同じ色として認識されます。

M-錐体の異常(2型)では、環がつぶされる角度が異なり、

こんなふうに、斜めの方向に近いイメージになります。障害の程度によって、環のつぶれる具合、色が分かりにくくなる程度が異なります。(色盲ではペッタンコ)

正式には上記の色相環のみではなく、色の飽和度や彩度、明るさなどが様々に組み合わさって、さらに複雑に色の認識に差がでます。