結膜弛緩症手術?

火曜の午後は他院様での手術のお手伝いなのですが、今日はお休みを頂いたので、自院で少し急ぐべき手術をやってしまいました。
?眼瞼腫瘍手術
?ICCE+IOL強膜内固定(水晶体亜脱臼+緑内障後の紹介)
?増殖硝子体手術(糖尿病)
みなさん無事に終わりました。
?の手術は、面白い内容で、今後ブログにしてみようと。
?は、とても上手に手術できましたが大変でした・・・。

茨城県は眼科医が少ないせいで、とにかく重症例の方が沢山います。

さて、今週の金曜日にちょっとした勉強会での講演を依頼されているのですが、結膜弛緩症という病気について、スライド(説明資料)を作成中です。ついでといっては何ですが、講演会の内容から、結膜弛緩症の手術のいくつかについて、最近得意のYOU TUBE動画も交えて掲載してみます。
結膜弛緩症手術?
結膜弛緩症の手術としては、教科書的には主に以下の3つがあります。
(名前は僕が勝手につけてみました。医師によって呼び方は異なります。)
1.結膜熱凝固法
2.結膜円蓋部縫着法
3.余剰結膜切除法

そして、もう一つ、当院オリジナルの手術
4.結膜薬剤接着法
というものがあります。
それぞれの手術に利点と欠点があり、患者様ごとの症状や希望によって適切な手術方法を選んでいます。

ここで、各手術方法の説明の前に病態についての説明をしてみます。

これは正常な結膜のイラストですが、オレンジ色の線が結膜です。白目の上を覆う眼球側の結膜を球結膜、折れ返ってアッカンべーした、まぶたの裏側の結膜を瞼結膜などと呼びます。若い時の結膜は皺が少なく、球結膜と瞼結膜に挟まれる結膜嚢と呼ばれるスペースには、右のイラストのように涙がたっぷりと貯留しています。この結膜嚢には目薬をためる役割などもあります。

次に、結膜弛緩症のイラストですが、

まぶたの皮膚や靭帯の緩みによって、結膜は全体的に上方にズレてしまい、皺がよったり、結膜嚢のスペースが減少します(結膜嚢の短縮)。結膜嚢が短縮すると、まぶたに蓄えられる涙液量が減少し、涙目の原因になります。


上が正常、下が結膜弛緩症の患者様の写真です。
左側では、黒目にかぶさるような結膜の皺がよくわかります
右側では、結膜嚢の皺が分かるかと思います。

手術では、
・結膜の皺を、伸ばすor切除して、皺を消失させること
・結膜嚢のスペースをしっかりと確保すること
が望まれますが、各手術術式に関しては、次回また記載してみます。


最近、手術室の手洗い場にあるマイク(ディズニーのキャラクター)が、勝手にいろいろな格好に変身しています。スタッフのいたずらと思うのですが、実行犯はだれだろう?
手術直前にちょっと緊張感が和らぐのでありがたいのですが。

白内障手術:小瞳孔の例? 瞳孔拡張リング

今日の午後は、他の医院様で手術のお手伝いをして、夕方からは時間が空いてしまい、平日でしたが久しぶりに子供とノンビリお風呂に入れました[:子供:]
明日はものすごく手術が多いので、一部を今日のうちにやってしまいたい。なんて思いますが、皆さんの予定があるのでそうもいかないのですよね。

患者様よりも眼科の先生からの質問が多い事柄から、ブログを書いてみます。
小瞳孔の白内障手術:瞳孔拡張リング
白内障手術では、瞳孔(茶目・虹彩)を開いて手術を行う必要があります。
手術前には、散瞳薬と呼ばれる目薬(ミドリンP)を数回点眼してから手術にのぞむのですが、目薬を付けても瞳孔が開きにくい患者様が一部いらっしゃいます。
(小瞳孔に関しては、以前のブログをご参照ください→小瞳孔?IFISの手術例

以前のブログでも書きましたが、瞳孔を無理に開くと、術後の瞳孔機能が落ちてしまうことがあるので、当院では基本的には4mm程度の瞳孔があれば、できるだけそのままで手術をするようにしています。
ただ、どうしても安全にできない場合や、他の手術を同時に行う場合などでは、瞳孔を無理にでも広げることがあります。

2週前くらいに手術をした70代の糖尿病の患者様です。

糖尿病があると、ぶどう膜炎という病気を起こして、瞳孔が小さいなったまま癒着をしてしまうことがあります。
手術前に瞳孔を広げる目薬を付けても瞳孔は3mm弱しかありません。


ハサミで、茶目・虹彩をチョキチョキ切ると、瞳孔が4mmくらいに広がります。ただの白内障手術のみなら、当院ならこれで十分なのですが、この患者様はこの後で、糖尿病網膜症に対して、目の奥の方の硝子体手術が行う必要があります。
瞳孔が小さいと目の奥・眼底の観察が難しくなってしまうので、安全に観察するためにはもう少し大きい瞳孔の方が助かります。

そこで、


目の中に、青い四角いリングを入れて、6.5mm位まで瞳孔を広げてしまいます。
(専門的ですが、リトラクターよりも眼内で使用するリングの方が、硝子体のコンタクトレンズとの相性がよいと思っています。)


広げると、白内障手術も簡単。


カサブタ(増殖膜)だらけの糖尿病網膜症の手術です。瞳孔が小さいままだと、かなり難しいと思います。(この患者様、こんなに重症ですが眼科での定期検診も受けていたと・・・。)


糖尿病の手術後に、リングを抜いて終わりです。
日帰り手術ですが、経過も良好で、本日の診察で反対目の手術を来週行うことになりました。

眼科の手術って、いろいろあって面白い!

緑内障27 手術動画 エクスプレスシャント トラベクレクトミー

当院は、白内障手術(特に乱視矯正)や、網膜硝子体手術を一番のメインとしてやってきたのですが、最近、難症例の緑内障の患者様の手術の紹介が急激なペースで増えてきています。
遠方の患者様からの問い合わせもかなり多くなってきており(特にエクスプレスに関して)、白内障に続いて緑内障手術の動画もYOU TUBEにアップしてみることにします。

緑内障手術動画 (白内障同時手術)
エクスプレスシャント トラベクレクトミー

手術動画?(視聴クリック)
手術動画?(視聴クリック)

?は先週、ご開業医の先生より紹介頂いた患者様です。
点眼薬を4成分、内服薬最大量、点滴まで行っても眼圧が40mmHgを超える極度の重症例の手術です。白内障もあり同時に手術をしました。
(専門的にはおそらく、secondary glaucomaの症例)
ビデオの途中の9分?11分頃に、何もせずに動かない時間は、マイトマイシンという癒着防止薬をしみこませている状態です。
通常、緑内障手術のみであれば15分程度、白内障も一緒だと20分程度の手術ですが、再手術例などで以前の傷口が癒着している場合などは時間が延びることがあります。
?は今週の手術で、やはり点眼薬を4種類使っても眼圧が30を超える症例で紹介して頂きました。サンピロという点眼薬を使っていた患者様は、手術中に瞳孔が開かずに(小瞳孔)、白内障手術が難しくなる傾向があります。

当院のトラべクレクトミーの術後成績は非常に良好で、術後に緑内障の点眼薬の再開が必要になる患者様は殆どおらず、手術の効果だけで、正常範囲内の眼圧を保てている患者様ばかりです。
当院の成績が良好な理由として、手術手技のレベル以外に個人的には以下の2つを考えています。
?ニードリング
癒着が進む症例では、躊躇なくニードリングを行っています。薬剤に頼らず物理的に癒着を剥離し、再度、房水の流れ道を作成します。(術後早期の処置は保険請求・コストなどはとっていません。)
?適切なレーザー切糸
眼圧の推移や傷の癒着をみながら、可能な限り最適な時期に、傷を縫った糸を切る処置(レーザースーチャライシス)を行います。この時期が遅すぎると眼圧が高くなり、早すぎると術後に極端な低眼圧になってしまいます。

最近、遠方の患者様より、電話などで手術に関する質問を受けることが多くなっていますが、緑内障手術に関する当院の基本的な考えを記載します。
・術後の管理を安心してお任せできる先生からの紹介がない場合、遠方の患者様の手術はお断りしています。
緑内障の手術は、白内障と異なり、手術のみで完結するわけではありません。入念な長期間の術後管理によって、濾過胞を育てていく手術です。術後もきちんと対応させて頂けることが手術を引き受ける大前提です。
・できる限り入院での手術をお勧めします。
眼圧の推移を朝晩評価できたり、レーザー切糸や眼球マッサージなどの術後処置を最適な時間に行うことができるからです。

ビデオ?の症例です。
眼圧が非常に高く、角膜(黒目)が白濁しています。
手術前の白目(結膜・強膜)の状態です。
手術翌日、眼圧8
術後3日、眼圧16→レーザー切糸
術後10日、眼圧6と安定。もう大丈夫。
レーザー切糸を行った、術後3日目は日曜日です。
日帰り手術では、夜間や日曜の処置はなかなか困難です。

ビデオ?の症例です。
術後数時間の写真です。
この方は、もう片方の目が失明しており、長時間の眼帯は可哀想です。
術後4時間程度ですぐに眼帯を外すことができました。
これも入院だからできることです。
術後経過も良好で、現在術後3日で眼圧8mmHgで週明けに退院予定です。

学校医

今日から、日曜日まで東京の国際フォーラムで、
日本眼科学会総会と、WOC(世界眼科学会)総会の合同学会があります。
学会参加のため、完全な休診にはなりませんが、
平日は、午前中が宮井副院長が休診、午後は栗原が休診となる予定です。
(緊急手術などなければ。)
予約外の来院は、お電話にご確認頂いてからの受診をお願い致します。

さて、先ほど、教育委員会より学校医の委嘱状が届きました。
学校医
学校保健安全法というものに、「学校には、学校医を置くものとする。」というのが存在します。
市町村(地域)によるのですが、眼科の学校医が必要とされる場合があります。
他の先生からの引継ぎで、この4月より石岡市内の以下の学校で学校医を担当させて頂くことになりました。
・府中中学校
・城南中学校
・石岡小学校
・三村小学校


学校医の仕事は、学生の目病の早期発見に努めることで、4月?6月に、直接学校に伺って検診を行う予定です。もしも異常が見つかった場合には、お手紙で保護者様にご連絡を差し上げますので、きちんと来院するようにお願い致します。

数時間の診察で500名を超えたりするのですが、できる限り見落としがないようにしっかりと診療したいと思います。
毎週、火曜日の午後は、他院様での手術のお手伝いをさせて頂いておりますが、そちらの時間で伺いますので、当院の外来診療スケジュールには影響はでない予定です。
おやすみなさい。