H26年6月の手術実績:茨城県 山王台病院 眼科

今日で6月も終わりです。今日は晴れましたね[:晴れ:]
駐車場が足りなくなってきているので、できるだけ自転車通勤を心がけていますが、雨が降るとちょっとくじけたり・・・。体のためにも頑張ろうと思います。
今月は見学の先生に沢山いたして頂けましたが、僕自身が非常勤手術で他院様に出向くのも7日で10ヶ所と大移動。沢山の先生と情報交換や飲み会?ができました。(今月はあちこちで医師の患者様の手術も3件あり緊張した月でした。)
手術も急激に増えてきて、当院でも過去最高。非常勤も含めると300件以上の手術となりました。件数が増えても、毎日の手術を1件1件、熱意と思いやりを持って、きちんとした姿勢で臨みたいと思います。

H26年6月の山王台病院での治療実績の集計です。
H26年6月の手術実績
手術合計 215件
内訳

・白内障手術 143件

・網膜硝子体手術 30件(糖尿病・網膜剥離・眼底出血・黄斑円孔など)
・緑内障手術 12件
・結膜の手術 6件(翼状片・結膜弛緩症など)
・眼瞼(まぶた)の手術 15件(霰粒腫・眼瞼下垂など)
・その他の手術 9件(斜視・瞳孔・角膜・涙器など)

レーザー手術合計 20眼
内訳
・網膜光凝固 10眼(糖尿病・眼底出血などに対するレーザー)
・YAGレーザー 9眼(後発白内障に対するレーザー)
・緑内障レーザー 1眼(SLTレーザー・虹彩光凝固:LI)
*手術数は基本的に保険診療で請求された件数です。両眼同時手術などは2件と計算しています。

抗VEGF薬 硝子体注射 68件(加齢黄斑変性症などに対する注射です。ルセンティス・アイリーア・アバスチンの合計)

ステロイド薬 テノン嚢注射 31件(糖尿病や網膜静脈閉塞症などでの黄斑浮腫などに対する注射です。マキュエイド・ケナコルト)

白内障などの緊急性のない手術の待ち時間は、6ヶ月待ち、来年の1月からの予約となります。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 行方市 鉾田市 茨城町)

充血の話 ・ 白目の美しさ??

今月は他院の眼科様からの見学が多く、外来の見学に3回、手術の見学に2回来て頂きました。みなさん男性の先生ですが、一応、「見学者あり」といった張り紙をしていますが、診察室に新しい先生がいたり、手術中にぶつぶつと説明をする声が聞こえたり、患者様にとっては良い気持ちではないのかもしれません。すみませんがご了承頂ければと思います。カルテないようなども見学頂いておりますが、もちろん、守秘義務などはきちんと守って頂いています。

さて、今日は病気ではないのに、比較的問い合わせの多い事柄を書いてみます。
充血について(白目の美しさ)?
多くは女性の患者様ですが、外来をやっていると、白目の充血(赤み)をきにされて来院される方がいらっしゃいます。

メヤニや、痛み、かゆみ、視力低下などを伴って、結膜炎やぶどう膜炎と診断される場合は病気として扱うべき充血ですが、実は充血のすべてが悪者で病気というわけではありません。
(結膜炎は、結膜に炎症がある場合の総称です。原因によって、バイ菌による感染性結膜炎では細菌性結膜炎・ウィルス性炎や、花粉症はアレルギー性結膜炎、ドライアイは乾燥性角結膜炎、紫外線による結膜炎や、擦ったあとなど外傷性の結膜炎もあります。)


これは10代。ピチピチのきれいな白目です。


これは、ぶどう膜炎という病気になってしまった患者様の白目です。
赤み、充血が確かに強く、眼科医がみれば病気なのはすぐわかります。


これは最近、「充血がとれない」「白目がきれいでない」と訴えて来院された患者様の写真ですが実は病気らしい病気はありません。

充血とは血が充ちる(ちがみちる)と書きます。血管の中を流れる血液(酸素を運ぶ赤血球)の流れが増えて、血管が太くなり、見た目として赤みが増すわけです。
「充血」というと悪者のように聞こえますが、「血のめぐりがよい」というと、むしろ、高印象ですよね?
問題は血流の増加・血管の拡張がなぜ起こっているかによります。
例えば、肉体労働の方の腕には太い血管が目立ちます。筋肉をたくさん使ったら、血流を良くして、栄養分や酸素をたくさん運び、老廃物を持ち帰る必要があります。目をたくさん使った場合に、充血するのは疲労を取るためには必要な正常な現象です。お風呂に入ったり、お酒を飲んだりして、顔が赤くなったり、目が充血するもの、血液の流れが良くなっていると考えられます。
寝不足とか、仕事で忙しかったあとは、目だって栄養が酸素が血液がほしいです。疲労回復のためには、血流が増えて充血、赤みが増すのは良いことなので
す。
充血は必ずしも悪いものではありません。

では、悪い充血とはなんでしょう?充血自体が悪いのではないですが、例えば、結膜炎などでバイ菌が感染した場合には、血液の中の白血球という細胞がバイ菌をやっつけるために頑張ります。そのため血流を増やして(充血させて)、白血球を沢山送り込もうとするのです。この場合の充血は、一応悪い充血と考えてよいですが、充血自体は自分の体をまもるために起こる正常な反応ともいえます。
つまり、充血=悪者、とは一概には言えないのです。
また、腕の血管も目立つ人、目立たない人がいますが、目の血管もやはり個人差があって、もともと血管が多く、赤みが目立つ人もいるのです。

基本的な考え方としては、痛み、かゆみ、メヤニ、視力低下などの他の症状がなく、ただ見た目として白目が赤いだけという場合は、ほとんどの場合が病気ではないようです。
(眼精疲労を病気というなら病気ですが、それなら運動をしたあとの筋肉痛も病気ということですよね・・・。)

逆に赤みを伴う時に、痛み、かゆみ、メヤニ、視力低下を伴う時は、少なからず病気の可能性がありますので、心配なら眼科を受診するべきでしょう。

ただ、他の症状がない充血でも、花粉やホコリなどに対するアレルギー性のもの、または軽いドライアイ、他には紫外線などが影響し、その免疫反応として充血が起こっている場合には点眼薬で軽快できることもあります。症状がなくても、赤みが気になって解決を望む場合には一度眼科で相談するとよいかと思います。僕は病気とは考えていませんが、眼精疲労による充血も、老眼鏡などのメガネの調整を相談することで、長期的に充血を改善することができるかもしれません。

ここからが問題なのですが、充血を主訴に来院される患者様の中に、「市販の点眼薬を1日10回以上つけている」とおっしゃる方がいらっしゃいます。
実は、市販でも充血をとる(取り繕う)目薬があり、塩酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸フェニレフリンなどが含まれます。これらは血管収縮剤と呼ばれる成分で、血管を締め付けて、血液の流れを一過性に制限するものです。パッとみでは、一過性に赤みが抑えられます。
疲れて、目が必要な栄養分・血液を欲しがっている場合に、血管を収縮させれば、目は新しい血管を生やすようになります。すると、長い目でみればより血管が増えて、通常の状態でも赤みが強くなります(リバウンド)。目薬メーカー本当はリバウンドのことを知っているのに、売り上げのことや、「パッと見は、すぐに白くなる」という即効性の患者さんの満足度のためには、悪と分かっても血管収縮薬を入れちゃうのでしょうね・・・。
個人的には血管収縮薬は、初デートや、結婚式、重要な頑張りどころなど、どうしてもという場合以外では使うべきではないと思っています。
血管収縮薬の常用はお勧めしません!

ちなみに、外来で「赤くなった。充血した。」という方が来院された場合、
最も多いのは結膜下出血という内出血で、充血ではありません。

これが結膜下出血ですが、これも病的な意義は乏しく、大きさによりますが数日?3週間程度放っておけば自然に消えるという状態です。
結膜下出血については以前のブログを参照←クリック
充血との違いは、
・血管の走行と関係なく、ベタッと赤い。
・強い赤みの割にメヤニなどの症状がない。
・内側は赤く、外側は正常など、赤い場所が局所的

石岡市臨床懇親会

今日の夜は石岡市医師会の主催で勉強会がありました。
今は千葉で臨床教授をしている先生の講演がありましたが、15年前、僕が実習生の時に筑波大で講義を受けた先生でした。懐かしい気持ちで久しぶりに挨拶をさせて頂きました。
優秀な人のわかりやすい講義というものは、結構頭に残っているもので、15年前の授業ですが、いろいろなことを急に思い出し、僕の頭・記憶力もまだまだ大丈夫そうと一安心。

演題は、上記の先生と、僕の講演で2題でしたが、
「生体糊を使用した新しい眼科手術の開発」
というのでお話をさせて頂きました。
実はまだ全国学会クラスでは発表していない内容ですが、
みなさん結構興味を持っていただいたように思います。
症例数をもう少し増やして、大きな場でも発表していきたい内容です。

最近は別に、「痛くない麻酔・出血しない麻酔」の麻酔法や麻酔針の開発にいそしんでいます。間に合えば、来年1月に京都で行われる眼科手術学会総会で発表したいと思います。

他に、「硝子体手術時における安全で効率的な前嚢収縮の切除」という内容で、今年の11月に大阪で行われる、日本網膜硝子体学会総会でも発表予定です。
(演題抄録登録済)

9月には、神戸で行われる日本臨床眼科学会総会で、「強制的に視野の欠損を認識させた緑内障患者における通院継続率の検討」という演題で抄録を登録済です。

また、当院で実績の多い「当院での眼内レンズ交換法と成績(仮)」に関して、
来年の6月の東京、JSCRS(日本白内障屈折矯正手術学会)で発表したいと思います。(今年は忙しく間に合いませんでした・・・。)

昨年から宮井先生が副院長となってくれたおかげで、少し時間の余裕ができました。今後は山王台病院での医療を全国区の学会でどんどん報告していきたいと思います。

保険医新聞

今日の午後は以下の手術を行いました。
・白内障手術 12件
・緑内障手術 2件(expessレクトミー1件、隅角形成術1件)
・眼瞼下垂手術(CO2レーザー ミユラー筋タッキング)2件
・網膜硝子体手術(茎離断) 5件
(糖尿病網膜症5件、黄斑円孔2件、黄斑分離/剥離1件)
みなさん無事に終わりました[:拍手:]
昨年や一昨年などのブログを見返してみると、1日に行う手術数が明らかに多くなっているのですが、医学の進歩、宮井副院長、そして何よりスタッフが優秀になっているおかげで、なんだかんだと5時40分には終わりました。早い!
同じ時間内に多くの患者さんの治療ができるのはとっても助かります。
スタッフの皆さんはいつも忙しいと思いますが、本当にありがとう。

今日、保険医新聞というのが来ました。
少し前に保険医協会様から取材依頼があったものの、つい忘れていたのですが、なんと僕の記事がのっていました。恥ずかしながら、一応UPしてみます。
(保険医協会様は、保険診療に関することを担っている団体になります。)

新聞の写真をのせても文字は見えないので、スキャナで読み取った本文を以下に。

会員さんこんにちは?
きめ細かい情報で逆紹介、出張手術で医療連携

山王台病院附属眼科・内科クリニック 院長 栗原 勇大先生

―大学病院並みの手術件数(年間1568件)とお聞きしました。
 当院は開院して4年になります。難症例の白内障手術、網膜硝子体手術、緑内障手術を中心に力を入れてきました。今年から2人医師態勢になったので手術件数は2000件を超えそうです。予約制の外来や、コメディカルが優秀で医師は治療のみに専念したり、治療が終わった方は紹介元の医院にお戻りいただくなど効率の良い外来に努めています。


―逆紹介の時に心掛けていることはなんですか? また、紹介や逆紹介をすることによってどういう変化がありましたか?

 手術が終わってお戻りいただくときに紹介してくださった先生が困らないように、患者さんのデータをしっかり添えてお戻しするようにしています。
内科の先生からの紹介も増えていて、糖尿病関係の患者さんが非常に多いです。返事には眼底写真、今後の治療計画、薬のステロイドの血糖値へのリスク、相手の先生が本当に読むのだろうかというくらいたくさん書きます。内科の先生方とのコミュニケーションが取れた後は眼科に対する意識が高くなり、当院近隣の多くの先生に糖尿病患者を一度眼科に紹介しようという意識が根付いていますし、手遅れの状態となる患者さんが減ってきています。
 

―ホームページを拝見しますと、遠方から、北海道とか海外とかからも問い合わせがあるようですね。また、ブログも3年間で500件も書かれていますね。

遠方の患者さんはインターネットを見ていらっしゃる方が多いです。ブログも患者さんの許可を得て手術の画像などを載せています。
最初は「石岡市 眼科」と検索しても、僕らの施設はほとんどヒットしませんでした。僕の年齢と新しくできた施設ということで、患者さんから「手術できるの?」と言われました。1年経過して、手術件数が700件に積みあがり、ブログに書くことによって、石岡市に住んでいるのは高齢者の親でも、東京に住んでいるお子さんがブログを読んで、「この病院なら大丈夫だと思うよ」と言ってくれるのです。そうすると、患者さんにも安心して手術を受けてもらえます。

―県内はもとより、県外の施設でも手術を担当されていますね。
眼科の特徴として、比較的小規模のクリニックでも手術機械が揃えやすく、1?2名の医師で手術が可能ということもあり、患者を当院に紹介していただくだけでなく、各地域のクリニックへ出張して手術をすることが増えてきました。現在、茨城、千葉、栃木の8つのクリニックに定期的に伺い、かかわる手術の総数は2500件を超えます。患者さんにとって遠方の医院で治療を受けることは負担が大きいですが、医師が効率よく移動することで、患者さんの負担を少なくできますし、かかりつけの先生も手術に直接関わることができます。
また、近年、網膜硝子体疾患に対する薬物療法が急激な進歩を遂げています。5年前に非常に優秀なルセンティス(一般名:ラニビズマブ)という硝子体内注射薬ができまして、静脈閉塞症、強度近視、糖尿病黄斑浮腫と、失明の原因の上位を占める疾患に次々と適応が広がっています。網膜手術を専門とする医師が注射も担っており、注射が順番待ちになっている地域がありますが、開業医の先生方に見学にいらしていただき、覚えてもらうようにしました。現在は開業医の先生がその地域で治療して、もしも、合併症が発生した場合には当院で緊急対応することを約束したり、インターネットを利用して検査や治療の相談をしたりと、非常に良い病診連携になっていると思います。

―これからも先生が地域の眼科医療のレベルアップに貢献されることを期待しています。

プロフィール
筑波大学医学専門学群卒業。筑波大学付属病院眼科医員、土浦協同病院 眼科医員を経て2010年、幕内会山王台病院附属眼科・内科クリニック院長となる。

梅雨時期のハンター

入院患者さんたちの経過はとても良好で、今朝の診察はすぐに終わりました。
最近、ブログの更新が少ないせいか、各方面の方々から「忙しいの?」と体調を心配して頂くメールを頂きます。
お返事は、「心配ないです。大丈夫です!!」
入院患者さんは日曜も会う人が多いので、毎日病院にいるように見えますが、日曜の午後?夕方は、ほとんど毎週きちんと休めています[:グッド:]
日曜は子供と出かけることが多いのですが、最近は天気が悪い日が多いので近所で遊んでいます。でも、そんな時にも目のことが頭を離れません(笑)
今日は人間以外の目について、少しふざけたブログを。

梅雨時期のハンター

アジサイがキレイな季節ですが、先週はせっかくの日曜日も小雨?大雨。
我が家の怪獣たちは室内遊びじゃ物足りないようす。
つまらなそうにしていたので、梅雨時期のあいつを捕獲しに探検です。

ここは近所の南台バス停の近く。必ずあいつがいる我が家の秘密スポット。
去年までは素手でつかんでいたのに、今年は「気持ち悪い」と、割りばしで捕獲に・・・。ハンターは少し大人になったよう。(少し残念)

森の近くのガードレールには、あいつがウジャウジャ。
そう、カタツムリです。

よく観察すると、心臓が動いているのが分かったり、矢印の先からは、とめどなくウンチが出てきます。

調べてみると(ネットなので正確さは不明)、4本の触角のうち、主に長い方が目、短い方はニオイを感知しているとのこと。
しかし、あまり目は見えていないようで、手を近づけても反応は乏しく、
ツンっと触って初めて、角がへっ込むようでした。
(観察後のカタツムリは、美味しく頂いたりはせず、子供の小学校でちゃんと飼育されています。)

さて、今日は久々のいいお天気[:晴れ:] 夏のような暑さです。
今日のハントのターゲットは、赤いあいつです。

つりざおに、サキイカを結んで、用水路にちゃぷん。そして、待つこと数十秒。

「とったどーっ!」
赤いあいつは、

そう、ザリガニです。
あまりにすぐに釣れるため、ハンターたちは自分の口に入れたサキイカがまだ飲み込めていません・・・。

ザリガニの目は、カタツムリとは比べ物にならない高性能です。
前からだけでなく、後ろからそっと手を近づけても、すぐに両方の剪刀(ハサミ)を振り上げてきます。きっと優秀な外科医になれるでしょう。
(観察後のザリガニも、美味しく頂いたりはせず、子供の同級生の男の子にプレゼントとなりました。)

翼状片? 翼状片手術動画

今週は県北の病院の先生が手術見学に、県南からも外来見学に来てくれた先生がいたりと、いろいろと情報交換ができて楽しかったです。
ただ、山王台病院アネックス新館ができてから、少し緩和していた満床問題ですが、今週は網膜剥離の緊急手術3名のうち、2名が満床で入院できず外来手術に・・・。経過良好ですが眼内に空気が入っている間は視力がないので、通院が大変そうです。すみません。

来週、近隣の臨床懇話会で、簡単な講演の依頼がありました。
発表スライドから、一部流用して、ブログのネタに。
翼状片? 翼状片手術動画

まず、翼状片については、以前のブログを参照下さい。
⇒クリック(下の方から順にご覧ください。)

翼状片の手術の術式には、細かく分けるといろいろな方法があるのですが、
大きく有茎弁移植(ゆうけいべんいしょく)と、遊離弁移植(ゆうりべんいしょく)に分かれます。
・有茎弁移植は、翼状片を切除した後の結膜の欠損部を、傷の周囲の結膜を引っ張って縫いつけて閉じる方法です。昔からある方法ですが、術後の再発がやや多く、術後の目頭に赤みやふくらみ、皺が出来やすいことが難点です。
・遊離弁移植は、欠損部と全く関係のない部位の、完全にキレイな結膜を持ってきて貼りつける術式です。一般的に再発が少なく、術後の見栄えが良いと考えられていますが、手術手技や面積が増え、手術時間も長くなりがちなため、医師側にとっては少し面倒な術式です。

当院ではH22年の開院以降、翼状片に対して全例で縫合をしない結膜遊離弁移植を採用し、既に200例以上の治療を担当させて頂いております。
翼状片手術で最も多い合併症は、術後の翼状片再発で、教科書にもよりますが、数%?多いものでは10%近くで再発するとされています。
もちろん、今後の経過を見守る必要はありますが、開院から現時まで、当院で開院後の200数十例での再発率はなんと0%となっています。(再発例は1名もいません。)

翼状片手術に関しては県外の患者様の手術も多く、眼科の先生の手術見学も多々ありますが、2ヶ月程度前に治療をした患者様に動画公開の許可を頂いたので、UPしてみたいと思います。

翼状片手術動画 ←クリック
(結膜遊離弁移植)

上のビデオの患者様の経過写真です。
術前
術後翌日
術後1ヶ月後
術後はだいたい1ヶ月くらいたつと、赤みが引いていきます。
最後の写真はまだちょっと出血がありますが、次回の来院ではキレイになっている予定です。

ちなみにこれは、有茎弁移植を受けた方の術後写真です。

(他院様ではなく、申し訳ないのですが私が5年以上前に他院で手術をした経過です。医学の進歩を感じます・・・・。)

*1.有茎弁移植が劣っているとか、完全に悪というではありません。有茎弁は周囲の結膜をやや無理やり引っ張って縫いつけるので、皺や凹凸が残りやすく、周囲組織に残存した翼状片の細胞が、黒目(角膜)の近くに存在しやすくなるために、再発が多くなるリスクがあるだけです。とっても上手な先生が行えば問題なくキレイに仕上がります。

*2.今回のビデオの術式は、使用する薬剤などで保険診療で認められにくいものも含まれています(当院では余剰費用は医院で負担しています)。
海外では、同様の手術に加えて羊膜移植を行い、数千例、再発がなかったとする先生がいるようです。よい医療はどんどん保険適応になるといいのですが。それにしても、翼状片数千例って、世界にはスケールが大きな話があるものです。

黄斑前膜? 手術動画と手術適応(手術時期)

昨日は早朝6時から入院患者さんの処置。急いで移動し県外の医院様で硝子体手術を10件、その他数件。夜は新幹線で東京駅に向かいCTR講習会という眼科手術の研修を受け、その後は横浜の眼科医の先生と食事。と、超超ハードスケジュール[:冷や汗:]そして、今日は水戸で眼科医会の勉強会に参加です。さすがに疲れました・・・。
白内障手術って、ほとんどの患者様では簡単ですが、極たまに目の組織の弱い患者様などにお会いすることがあります。CTRはそんな患者様に使う事で手術の安全性を高めることができる秘密のアイテムですが、今まで日本では保険診療の認可を受けていませんでした。7月から正式に認可を受け、本日の第一回目の講習に早々と参加し、今後は堂々と使用することが可能になりました。のちのちブログに書いてみたいと思います。

今日はQ&Aで黄斑前膜の質問が多かったので、そちらについて書いてみます。
黄斑前膜? 手術動画と手術適応

病気や手術の術式については、以前のブログを参照下さい。
黄斑前膜?黄斑前膜?

2週間くらい前に両眼の黄斑前膜の同時に手術した60代女性の患者様のご好意で、手術ビデオの公開を許可頂きましたので、まずはこちらを。(H様ありがとうございます)
黄斑前膜手術動画?
白内障同時手術 編集なし

この患者様は、しばらく前から半年単位で観察していましたが、悪化傾向で視力が低下するために手術を相談させて頂きました。
OCTの断面図の推移を見てみると、

半年前には、まだ中心窩陥凹(中心の凹み:正常な目は凹んでいる)があり、矯正視力は1.0

半年後の外来では悪化傾向で矯正視力は0.7に低下。中心の凹みもなくなってきています。手術を決定しました。

手術2日後です。少し眼圧も低くゆがみが残っています。

手術2週後です。早くも中心部の凹みが現れ、矯正視力は0.8まで回復しました。
おそらく今後1.0以上の視力への回復が予想できる症例です。

*当院では硝子体手術でも、白内障手術時の乱視の軽減に努めています。
専門的ですが、このかたは、
術前、Vs:0.06(0.7x-5.5D=cyl-2.5DAx6)
術後、Vs:0.3xIOL(0.8x-2.75D=cyl-0.5DAx15)
と、乱視が-2.5Dから-0.5Dと、5分の1に軽減しました。裸眼で家事や読書がよく出来ると思います。

次に、6ヶ月前に手術をしたK様の動画です。
黄斑前膜手術動画?
膜除去のみ

(動画のUPは時間がかかるので、膜処理のみに編集してみました。)
こちらの患者様のOCTの推移は、

初診時に既にやや進行した黄斑前膜で、網膜がかなりひきつれ、厚みが増しています。矯正視力は0.4。そのまま手術申し込みへ。

手術後2週です。

手術後6ヶ月弱。だいぶ滑らかな網膜になり、視力は0.7?0.8とまずまずですが、中心部は凹まず膨れたままに。物が小さく見えるゆがみは残っているようです。残念ながら時期的にこれ以上の回復は難しいと思います。

黄斑前膜の手術時期
黄斑前膜を含めて、基本的に眼底・網膜の手術は、完全に元通りという事はありません。網膜(黄斑)は白内障のレンズのように交換することはできないからです。手術の第一の目的は進行予防なのです。
あまりに見えなくなってから手術をしても、視力が回復するわけではありません。それなりに見えているうちに手術をして、視力を温存・維持することが目標になるのです。
では、黄斑前膜があったら何でもすぐに手術なの?というと、それも間違っています。手術によって元通り完治するわけではないので、もし放っておいても進行しない場合には、手術をしてもしなくても結果に変わりがありませんし、手術は100%安全ではなく、少なからずリスクを伴うのです。
(1%未満ですが網膜剥離とうい合併症で再手術が必要になったり、1000件とかのレベルでは失明に至るような重篤な合併症も起こるかもしれません)
そして、網膜の手術をすると白内障が進行することも分かっており、通常50才?60才以上の患者様では白内障手術も同時に行うため、老眼の問題も生じることになります。(もともと老眼の人にはデメリットはありませんが)

当院では具体的には以下の要件で手術を決定してます。
?初診時すでに中程度以上の黄斑前膜があり、あきらかな視力低下がある場合。
?軽度の黄斑前膜では、半年毎程度で進行の有無をチェックし、進行のスピードと余命を考慮して、手術のリスクよりも、放置した時の将来的なリスクが上回ると判断した場合。

(実際には手術をしないで様子をみている患者様の方が多くなります。)

また、手術後の見え方は、多くの場合では視力が温存または軽度回復し、ある程度のゆがみの改善が望まれます。
基本的に、
・病気が重度なほど
・病気の経過が長いほど
・年齢が高いほど

視力の改善が乏しく、ゆがみの残存する程度が大きくなります。
網膜・黄斑の形態変化は、手術後半年程度は改善傾向に向かう事があり、病状が安定しているとお話するまでには半年程度の長い期間をみて頂きます。