霰粒腫(さんりゅうしゅ)?

やっぱりお盆で空いています。午前の外来は35人。
早く終わったので、午後は子供とプールに行ってきました!

と、夕方に急患が。
糖尿病で片目が出血してしまい、まったく見えない状態です。
他院様follow中で、少し出血が引くのを待っていたみたいのですが、もともと反対の目が見えない方なので、このままでは生活ができません。
家に帰っても生活に困るので、緊急入院して頂き、明後日の月曜日に手術をさせて頂くことになりました。
二日間、見えない状態で申し訳ありませんが、頑張って頂きたいと。
(週末にこれを読んだスタッフの方、月曜日は緊急手術です。ご協力お願いします。)

霰粒腫(さんりゅうしゅ)

まぶたに、しこりが出来たり、腫れてしまう病気です。
正常な眼瞼(まぶた)のふちからは、あぶらが分泌されているのですが、あぶらがあるおかげで、まばたきが滑らかになったり、涙が乾きにくくなったりします。
この、あぶら分泌する組織をマイボーム腺と呼ぶのですが、まぶたの、はじからはじまで、一つのまぶたに20個、上下左右で80個程度の腺が存在しています。

当院の事務の生井沢くんのまぶたです。

拡大すると、こんな感じ。矢印で囲んだ丸い部分がマイボーム腺の出口です。

霰粒腫は、このマイボーム腺の出口が何らかの原因で詰まってしまい、慢性的な炎症が起こって、肉芽腫という塊(しこり)ができる病気です。
(つまる以外の原因もありますが、一般の患者様に分かりやすい説明のみで。)
霰粒腫の症状はまぶたの腫れや異物感です。まぶたを手で触るとシコリを触れます。
バイ菌がつくなどして、炎症を伴った場合は急性霰粒腫と呼び、赤く腫れると、麦粒腫(ばくりゅうしゅ:感染症)と似た症状(メヤニや充血、痛み)が出ます。


先日来た女性です。赤い矢印のマイボーム腺が詰まって、少し膨らんでいます。下の黒い矢印の部分にしこりが出来ています。

アッカンベーすると、こんな感じ。

治療法は、ステロイドという炎症を抑える目薬や塗り薬を使います。
感染を起こしている疑いがある場合には抗生物質も加えます。
麦粒腫(まぶたの組織にバイ菌が感染したもの)と同じような薬、治療法になるのですが、しこりがある分、霰粒腫は治るまでに時間がかかることがあるのが特徴です。人によっては数ヶ月以上かかることも。

ステロイドには緑内障という副作用を起こす可能性があるので、
当院では、まず薬を処方し、薬がなくなるまでに治ったしまった場合は終了(来なくていい)としていますが、副作用のチェックとして、2週?1ヶ月程度たっても治らない場合は、一度受診して頂いています。
副作用がなくて、しこりが小さくなっている(薬が効いている)場合には、同じ薬をたくさんだして、治るまで目薬を使っておいてください。としています。(ほとんどの患者様は薬のみで治ってしまいます。)

どんどん悪化する場合、ステロイドの副作用で薬が使えない場合、なかなか治らず、繰り返す場合には、手術を行います。
手術でしこりを摘出してしまうのです。大人の場合には、局所麻酔で10分程度の手術で簡単に治ってしまうため、あまり長引きそうな場合には手術を行ってしまいます。(20?30人に1人くらい。)

この方は、一ヶ月以上、薬を使っても治らないため、この間手術を行いました。
今はとてもキレイに治っています。
(術後も載せたいのですが、経過がよいと、写真を撮るのが面倒で、つい撮り忘れてしまいます。)

ただし、子供の場合には、手術の程度にもよりますが、多くは全身麻酔を必要とするために、なかなか手術に踏み切れず、長々と薬を使って頂くこともあります。

手術ができない場合などで、ケナコルトという強力なステロイド薬をまぶたに注射する治療法なども、たまにですが行う事があります。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

“霰粒腫(さんりゅうしゅ)?” への6件の返信

  1. きょう、さんりゅうしゅだと診断され、目薬をもらいました。
    ウミがたまっているようで、痛みもあり、なにより腫れてしまい外見上も困っています。
    私としてはすぐに手術をしてほしかったのですが、手術はむずかしいのでしょうか?
    指でつぶしたらウミが出てきそうですが、ダメですか?

  2. YS様 お返事が遅くなってすみません。
    当院での受診でしたでしょうか?
    次回のブログで、霰粒腫の手術についても記載してみたいと思いますが、少し時間が取れない日々が続いており、お待ち頂けますでしょうか?
    すみません。

  3. すみません。
    書き込みをしたものの、そのご忘れてしまいました。
    静岡在住で、そちらの病院とは関係がありません。
    紛らわしくてすみません。
    そのご結局よくならずに手術になりました。
    まだかなりはれていますが、もんだいないとのことで
    来週抜歯といわれています。
    手術の内容も参考になりました。ありがとうございました。

  4. 2歳の子供が霰粒腫と診断され、点眼薬を処方され使用してますが、赤く腫れきてなかなか治りません。
    主治医の先生も手術は避けたいから気長に点眼薬で治しましょうと言って下さってるのですが、
    こんなに赤く腫れて大丈夫なのか不安で、、、

    1. いろいろな価値観の先生がいますが、僕は毎日霰粒腫を1名以上診断していますが、手術をすることは年に数人です。
      100人に99人は投薬で治るものと思います。
      どちらにしても、赤く腫れている時の手術は傷が残りやすいので、1回は薬できちんと消炎ができてからの手術になります。
      どうにか押さえつけて、手術することもできなくはありませんが、それによる精神的な負担は、大人でいえばPTSDやトラウマなど、
      記憶に残る年齢になると思ったより大きく残ることもあるかもしれません。(ご両親がみたら地獄絵図だと思います。)
      「押さえつけてやっちゃえばいいじゃん。」という医師もいますが、あまり子供のメンタルを考えてえいないような・・・。
      全身麻酔は全身麻酔で体への負担もありますし、やはり抜去直後の辛さや、親の反応など精神面の負担もゼロではないです。
      僕の子供が年長さんの時に全身麻酔の手術をうけたことがありますが、ちょっと後悔しましたし、
      今、3歳の子供がいますが、押さえつけて局所麻酔。というのもためらいます。。。
      どうしても必要。という時以外は、僕は手術には消極的です。

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