黄斑前膜?手術

今日は午前外来66名、午後は以下の手術を行いました。
・翼状片手術 2件
・白内障手術 5件
・網膜硝子体手術 4件
 (黄斑前膜1件、糖尿病網膜症2件、黄斑変性による増殖網膜症1件)
みなさん無事に終わりました。

今日は黄斑前膜の手術に関するお話です。
黄斑前膜(おうはんぜんまく)
病気自体の説明に関しては、3月23日のブログをご参照ください。
2011.03.23 Wednesday
http://blog.sannoudaiganka.jp/?cid=4940

これは、僕が普段患者様に渡している説明書です。
縮小されて、ちょっと見えにくいと思います。すみません。

本日の手術は72歳の男性です。

向かって
左側が、黄斑前膜の右眼、右側は正常な左眼です。
写真の赤矢印が黄斑と呼ばれる、物を見る中心部の網膜です。
右の写真では、色が濃く、均一で、キレイな状態です。
左の写真では、黄斑の上に薄い半透明の膜(カサブタ)が覆い、黄斑の色がぼやけています。カサブタがヒキツレをおこすために、網膜にシワが形成され、網膜の赤い血管がクネクネしています。
写真の下にあるのは、OCTと呼ばれる断面図です。青矢印が黄斑にあたる部位ですが、正常な右の写真では黄斑は少し凹んでいます。左のOCTでは黄斑の上に緑矢印の部位ですが、横に直線的に走る白い線が見えます。これが黄斑前膜です。この膜がヒキツレを起こし、網膜を引っ張るために、網膜にシワがより、厚みが厚くなっています。
この方は、検診で見つかり、現在の視力はメガネをかけても0.7程度に低下しています。
黄斑前膜は失明する病気ではありませんので、いつ手術をするかは担当医とよく相談されるべきですが、運転免許証を考える人は0.7?0.8くらいでは検討をしなくてはいけません。

本日の手術です。手術の写真は上下反対になります。
まず仰向けに寝て、麻酔の注射をします。
まぶたを開ける器械を付けて、目の中に器械をいれるキズを作ると、こんな感じ。

黒目の周りに水色のプラグのようなものが3つあります。これが目の中に器械をいれるトンネルになります。僕の右手にもった器械は赤矢印のプラグから、挿入します。


ライトを入れて、目の中をのぞいてみると、黄斑が赤矢印の部分に見えます。黄斑前膜は半透明な膜で、このままだと、どこが膜なのか良く見えません。(重症例で、厚い膜では見える場合もあります。)


なので、マキュエイドと呼ばれる、白いお薬を目の中に入れます。
可視化剤といって、手術中に透明の物質に色をつけて認識しやすくします。


右手にもったセッシ(ピンセット)で、赤矢印のように黄斑前膜(カサブタ)をはがしていきます。(僕は右利きなんです。)

膜をはいだら、取り付けていた器械をはずして、

これで終了。最近は器械が小さく繊細になったので、手術後に白目が赤くなる人が大幅に減りました。青矢印の部位が赤いのは、麻酔の注射のキズ口です。

60歳以上の患者様では、多くの場合で白内障を合併しており、一緒に手術を行います。今日の患者様は72歳なのですが、ほとんど白内障の濁りがなく、黄斑前膜のみの手術で、17分くらいでした。
もともと初期の症例で、術前視力も0.7なので、運転免許は大丈夫だと思いますが、明日以降、合併症に注意して診察が必要です。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)

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