糖尿病網膜症? 初期:単純網膜症

今日は祝日でしたので、入院患者さんをちょっと診察して、あとはお休みです。
子供が習い事をしているのですが、初めてちょっと見学に行ってみました。でも、僕がいると気が散ってしまうみたいなので、すぐに退散・・・。

今日からは、糖尿病の3大合併症の一つ、網膜症について書いて行きます。
糖尿病で血液がドロドロになると、目の奥の光を感じるフィルムの部分、つまり網膜の血管が詰まっていきます。詰まることによっておこされる、眼底出血などの病態を、糖尿病網膜症と言います。

今日はまずは、一番初期の段階から。
糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)
単純網膜症(たんじゅうもうまくしょう)

目の血管は無数にあり、糖尿病になったばかりで、少しくらい血管が詰まっても、眼底・網膜には何も変化は起こりませんが、ある程度詰まってくると、目の中に出血などが起こります。

これが初期の網膜症、「単純網膜症」の患者様の眼底写真です。
水色の矢印の部分など、ちらほらと小さな赤い点々(網膜出血)が見えます。緑の矢印が指している、少し黄色っぽい白い斑点は、硬性白斑(こうせいはくはん)といって、血流が悪くなったり、弱くなった血管から漏れ出した脂質などの老廃物の蓄積です。

「症状」
この状態では、ほとんど全ての患者様は自覚症状がありません。視力も良好に保たれます。

「治療」
治療としては、内科的な治療が重要で、血糖値や血圧の正常化に務める必要があります。年齢や糖尿病の種類、妊娠などによって異なりますが、ヘモグロビンA1cという値を6%台に抑えることで、進行を止められたり、ゆっくりにする事が出来ます。(単純網膜症では血糖値や血圧の改善により、網膜の出血が少なくなったり、網膜症が軽快する症例もあるのですが、多くの場合はそう上手くは行きません。血糖が良くなっても、ゆっくりとは進行してしまう症例のほうが多いのです。血糖が良くなったからと言って、眼科の検査を中断することのないように気をつけましょう。)
眼科としては、一部の症例で、止血剤や血管拡張薬などの飲み薬を飲むことがありますが、欧米などの報告でも大きな効果は期待できないとの報告が多く、基本的には眼科的な治療は行わず、経過観察のみを行うことになります。

「診察」
一般的には3か月?半年に1回の定期検査が必要です。血糖値が良好で、安定している場合には1年に1回の診察になる場合もあります。(年齢や重症度、黄斑浮腫などの合併症の有無、血糖値などにより異なります。担当の先生とよく相談してください。)
診察では、眼底検査を行って出血の状態を詳細に把握します。当院では出来るだけ写真も取るようにしています。上の写真でも、どこにいくつの出血があるのか、ぱっと正確に把握することはできないと思います。眼科のカルテは、スケッチのような絵を保存するのですが、全てを正確に再現することはできません。
出血が増えているのか、横ばいなのかをきちんと把握することは非常に重要で、出来るだけ写真のデータとしてきちんと保管する必要があるのです。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)

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