糖尿病網膜症? 網膜光凝固術(レーザー治療) その1

今日は肌寒い1日でしたね。
もうすっかり秋です。食べ物がおいしい!

しばらく糖尿病が続きます。
糖尿病網膜症
網膜光凝固術(レーザー治療)

これまで、いろいろ書いてきましたが、
糖尿病網膜症を簡単におさらいします。
?血液がドロドロ⇒網膜の血管が詰まる。
?血液・酸素が不足する。
?網膜が血液・酸素を欲しがる
?網膜に新生血管が生える(できそこないの血管)
?新生血管から大出血
?目の中がカサブタ(増殖膜)だらけに
?失明
といった具合で進みます。

血管を詰まらせないこと。糖尿病にならないことや、良好な血糖コントロールをしていく事が一番よいのですが、これは治療法というよりは、予防になるのでしょうか。また、この分野に関しては、眼科ではなく、患者様自身、そして内科の先生方のお仕事になるかなと。

では、眼科で行う治療法ですが、
理想的な治療法とは、詰まった血管を元に戻すことです。
脳梗塞などで大きな血管が詰まった場合には、急いで救急車を呼んで、入院して、血液をサラサラにすることで血栓を溶かします。では、眼科ではどうでしょう?
網膜症は、小さな毛細血管がゆっくりと様々な程度で、詰まっていく病気です。病気があるとき一気に起こるような脳梗塞等とは違って、何時何分に詰まった。というような病気ではありません。もしも、脳梗塞で同じような方法で、血液をサラサラにする点滴で、血管の詰まりを治していくのだとすると、一生涯入院しなくてはいけません。それはできませんよね?

糖尿病網膜症では、「詰まってしまった血管は仕方ない。治らないもの」だと、諦めるしかないのです。残念ながら「完全にもとに戻ることはない病気」なのです。

糖尿病網膜症の中心となる治療法は、
網膜光凝固術(もうまくひかりぎょうこじゅつ)になります。
簡単にいうと、レーザー光線で網膜を焼くことで、将来的な出血などをおこらなくさせる治療です。
治療というと、「もとに戻る。」「よく見えるようになる。」というイメージを持たれる方が多いと思いますが、残念ながら、そういう性質のものではありません。

もう少し、具体的に書くと、
一部の網膜をレーザーで焼くことで殺してしまうのです。焼いた部分の網膜が死んでしまうと、全体として網膜が欲しがる血液が少なくなります。すると、網膜から新生血管は新生血管を生やす必要がなくなり、結果として大出血が起こることがなくなるのです。

健康な、よく見える目(網膜)は血液や酸素を沢山消費します(血液の需要が多い)。健康な状態であれば、血管の詰まりはなく、網膜が欲しがる十分な量の血液が流す事が出来ます(血液の供給が十分)。
この血液の需要と、供給のバランスが取れていれば。または、供給量の方が多ければ問題は起こらないのです。

糖尿病網膜症で血管が詰まると、十分な量の血液が流れません(供給量が少ない)。この状態で、網膜の全てが血液を求めたら(需要が多い)、バランスがとれずに、網膜がより多くの血液を欲しがって、新生血管が出来てしまうのです。
先に書いたように、詰まった血管を元に戻すことはできないので(供給量は増やせない)、レーザー光線で、網膜を焼いてしまい、ある程度の機能を奪ってあげると、網膜の血液を欲しがる量が減って(需要量の減少)、需要と供給のバランスを取ってあげるのです。良く見える目よりは、視力が下がった目の方が、少ない血液・酸素で生きていけます。失明を避けるために、一部の網膜は犠牲になってもらおうというのが、レーザー治療の基本的な考え方です。
ですから、網膜光凝固術(レーザー治療)を受けたら、基本的には見えかたは悪くなるのです。
(一部の症例で、黄斑浮腫という病態を軽減した場合や、硝子体出血と呼ばれる状態が軽減した場合には、視力が改善することもあります。)
それでも、詰まった血管を放っておいて、最終的には失明してしまうに比べれば、やるべきというか、やるしかない治療だとお考えください。

他にも、網膜光凝固術による治療には、嫌なことが・・・。
痛い
 網膜を焼く時には、ある程度の痛みがあります。
 症例によって異なりますが、治療全体としては、片方の目に500ヶ所?2000ヶ所のヤケドを作りますので、その回数分、「チクッ」とか「ズーン」とか目の奥に痛みを感じます。

高い
 治療の金額は保険で決められていて、片方の目で、1割負担で18100万円、3割負担だと、54300円。両眼であれば、その倍の金額です。(通常は、治療を数回に分けて行いますが、費用がかかるのは最初の1回だけです。病状が落ち着くまでの期間に追加をしても、追加の費用は請求されません。)

嫌な治療ですよね・・・。
・治療によって、多少見えにくくなっても。
・治療が痛くても。
・どれだけお金がかかっても。
治療が必要な状態になってしまったら、
失明しないためには、行わざるを得ないのです。

ですので、治療をしなくても済むように、一番の治療は早くから、しっかりと血糖のコントロールをしていくことが重要なのです。

次回は治療の適応や、具体的な方法について書こうかな。

今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
言い訳になりますが、日々書いて行くのに、校閲の時間がなかなか・・・。
誤字脱字、読みにくいなどありましたらすみません。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)

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