糖尿病網膜症?  網膜硝子体手術

お久しぶりです。
ちょっと学会などでサボっていましたが再開です。

今日は以下の手術を行いました。
・白内障手術 12件
・網膜硝子体手術 3件
 内訳
  黄斑円孔 1件
  網膜中心静脈閉塞症に合併した黄斑浮腫 1件
  白内障手術後合併症(他院様)による黄斑浮腫 1件
みなさん無事に終わっています。

この間まで、糖尿病網膜症のレーザー治療について書きましたが、
今日は、もう少し重症例での治療法です。

糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)
増殖網膜症・硝子体手術

網膜の血管が詰まって、酸素や血液が足りなくなった場合には、レーザー治療で、網膜の一部を焼いて犠牲にすることで、大出血を防いで、他の網膜を守る。という治療を行います。
ただし、大出血を起こす前には、あまり自覚症状がないことが多く、末期の末期で、ヒドイ状態になってから、はじめて病院に来る人がたくさんいるのが、糖尿病の嫌なところです。

目の中で大出血を起こしてしまったり(硝子体出血)、増殖網膜症といって、目の中がカサブタだらけになってしまうと、増殖網膜症と呼ばれ、レーザー治療ができなくなってしまう方がいます。

増殖網膜症については、以前のブログもご参照ください。
2011.09.26 Monday
糖尿病網膜症? 進行期:増殖網膜症


例えば、こんな感じになってしまうと、レーザーが出来なくなってしまいます。
イラストだとこんな感じ。

レーザー光線は光なので、途中に赤い出血があると、レーザー光線がその場所で遮られてしまい、目の奥の網膜まで届かないのですね。

では、このようになってしまった場合には、どうするかと言うと、
手術でお掃除をします。
この手術を網膜硝子体手術(もうまくしょうしたいしゅじゅつ)と言います。
網膜硝子体手術については、以前のブログも参照下さい。
2011.06.17 Friday
http://blog.sannoudaiganka.jp/?cid=4995


こんなふうに、目に3か所くらいの穴を開けて、直接器械を入れて出血があれば出血を洗い流します。

この方は9月に手術をした方で、目の中がカサブタだらけで苦労した患者様です。カサブタが出来てしまうと、やはり手術でないと取れません。

では、手術の嫌なことを書いてみます

手術は多くの場合は3日程度の入院で行います。(どうしてもという場合には外来手術も行っています。)
重症例で手術後にうつ伏せになって頂く処置が必要な場合や、50人に一人くらいは再手術が必要になることもあり、最長では1週間も入院が必要になることもあります。

白内障手術などに比べると、少し痛みもあり、通常は目の奥の方に注射の麻酔を行います。手術時間はだいたい30分くらい。カサブタだらけの場合には剥がすのに時間がかかって、1時間を超えることもあります。

手術後の見え方は、出血しただけで(硝子体出血)、洗い流したらキレイ。という場合には、かなり回復することもありますが、
増殖膜というカサブタがたくさんあるような場合や、重度の黄斑浮腫と呼ばれるむくみがある場合などは、手術をしても視力はほとんど回復しません。
手術は回復をさせるためではなく、失明を防ぐために行うのです。

手術を行う事で、網膜剥離という合併症がおこったり、バイキンが入ったり、キズ口の出血が止まらなかったり、50名に一人などでは、再手術が必要になったりします。(どれくらいの重症の患者様を扱っているかで、病院によって多少は成績が変わります。)

そして、手術は費用が高いです。
日本の医療は保険制度によって、手術料金が一律ですが、だいたい40万円?50万円です。実際に負担するのは、その1割とか3割、多くの場合に高額医療費と言って、4万円とか8万円とかで、支払いに上限があるのですが、高いですよね[:冷や汗:]
糖尿病では、両目の手術を一緒に行うかたも多いので、全てが自己負担ではないにしろ、とてつもない金額になるのです。

そして、手術の後は、こまめに、そして長期の診察が必要になります。
レーザー治療をして、数回診察して、落ち着いてしまえば、半年に1回程度の診察で済むのと比べると、手術をした患者様は、外来にくる回数が何倍にもなってしまうのです。

手術をすると言う事自体、糖尿病網膜症では重篤な状態であって、失明を防ぐためには、視力があまり回復しなくても、痛くても、時間やお金がかかっても受けて頂くしかない。という治療なのです。
嫌な話ばっかりで申し訳ありませんが・・・。

糖尿病網膜症では、外来の定期検査をサボってしまう方がたくさんいます。
だいたい、みなさんおっしゃるのが、
「忙しくて。時間がなかったから。症状がないし面倒だったから。」といった理由です。
また、レーザー治療を勧められても、痛そうだし、お金もかかるから。と治療をしないで来なくなってしまう人もいます。

なんども繰り返しになりますが、糖尿病では、自覚症状が出てからでは遅いのです。
治療が遅れれば遅れるほど、あとからかかる、治療費や時間は膨れ上がっていくのです。結果を考えれば、早期発見・早期治療が、もっともお金も時間もかからないのです。

当院は、一般の病院様に比べると、糖尿病の手術の紹介が多く、しょっちゅう手術をしています。出来る限りの視力を残したいと、頑張ってはいますが、やっぱり手術は大変です。手術にならずに、手遅れになる前のレーザー治療で落ち着くのが一番です。

糖尿病の皆様、どうか眼科の定期検査に来て下さいね。
(ほとんどの患者様は年に1回?3回くらいですよ。)

注)
大出血をしたからと言って、全員が全員、手術になるわけではありません。
止血剤を1?2ヶ月飲んで、出血がおさまってしまう場合もありますし、非常に稀ですが、手術後に失明することだってあり得ます。手術が必要かどうかは、病気の状態や、手術のリスクなど、担当医とよく相談しましょう。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)

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