裂孔原性網膜剥離? 病態

今晩は県内でご開業されている先輩の眼科医様に食事をごちそうになりました。初めて、クリニックの中を見学させて頂いたのですが、とても明るく、素敵なクリニックで、ビックリしました[:びっくり:]
最近の新しい眼科は、どこもキレイで、電子カルテなど最新の設備のところが多く、モデルハウスを見に行った時のような気分で、なんだかウキウキします。(当院もかなりキレイですけどね。負けないぞ[:ショック:]なんて。)
いろいろ見学に行くと、どうやったら効率よく仕事ができるか、患者さんの待ち時間を減らせるかなど、勉強になります。

さて、さきほど県南の病院様から電話があり、明日、網膜剥離の患者様が紹介でいらっしゃるそうです。早く手術をしたほうがよさそうな症例のようで、明日のお休みは繰越にしたいと。
網膜剥離は、夜遅くに緊急手術をする事が多く、その後にブログを書くことがなかなか厳しかったのですが、今回は頑張ってみようかな!

裂孔原性網膜剥離(れっこうげんせいもうまくはくり)


眼球の断面図のイラストですが、左側(角膜)から光(黄色)が入ってきて、内部のレンズ(水晶体)などで光が曲がって、イラストでは右側の眼底や網膜と呼ばれる組織(緑色)に、光があたると物が見えます。
眼球はカメラとよく似ていて、レンズとフィルム(網膜・緑色)から出来ているのです。
レンズが濁った場合が白内障と呼ばれる病気で、白内障は、どんなにみえなくなってもレンズを交換する手術を行えば、治ってしまうのです。
ところが、網膜というフィルムの組織は、現在の医学では、交換することも、移植をすることも、薬などで回復させることもできません。網膜が死んでしまうと、回復することはできません。ですので、網膜の障害が原因で失明したような場合には、基本的にはあきらめて頂くことになります。
・眼内の水の圧力で、網膜・神経が押しつぶされる⇒緑内障(失明原因1位)
・糖尿病で、網膜の血管が詰まり、眼底出血⇒糖尿病網膜症(失明原因2位)
といった感じです。

裂孔原性網膜剥離数万人に1人しか発症しません。ですので、年齢によってですが、10名に1人とかがなる緑内障や糖尿病網膜症に比べると、もともとの患者さんの数が少ないので、失明の原因としては数は大きくありません。
ただし、稀に発症した場合には、手術をしなければ、短期間で失明してしまう症例が多く、非常に重篤で、失明率が高い疾患です。
(外来で、よく、網膜剥離でレーザー治療で治った。という方がいらっしゃいますが、これは網膜剥離の前段階で予防の治療をした場合で、厳密な意味での網膜剥離ではありません。手術室で治すような症例が数万人に1人です。)


これが、網膜剥離の状態のイラストです。
眼球の内側に張り付いているべき網膜が、内側に剥がれてきてしまっています。剥がれることが、どうしていけないのかと言うと、網膜はそのさらに外側に存在する組織(色素上皮や脈絡膜などと呼ばれます)から、栄養分をもらっており、外側の壁にくっつていないと生きていけないのです。
内側に剥がれて、周りの壁にくっついていられなくなると、栄養分が届かずに、どんどん死んでいってしまうのです。

網膜が剥がれる原因は、いくつかあり、
・網膜の下に水が溜まってしまう場合⇒浸出性網膜剥離
・網膜のさらに内側に、カサブタなどが張って、そのヒキツレで引っ張られて、剥がれる場合⇒牽引性網膜剥離
・網膜の一部に穴が開いたり、断裂することが原因の場合⇒裂孔原性網膜剥離
となります。

ちょっと今日は遅いので、明日に備えてもう寝ます。お休みなさい。
今日も最後まで読んで頂いた方、ありがとうございました。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)

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