裂孔原性網膜剥離? 原因

今日の午後は小美玉市医療センターで井上先生と白内障手術でした。
夜は、県内の病院様に重症の網膜硝子体手術のお手伝いに呼んで頂きました。

さて、今日も網膜剥離についてです。

裂孔原性網膜剥離 原因


図のように、光を感じるフィルムが内側に剥がれてしまうと網膜剥離と呼ばれます。裂孔原性網膜剥離は、網膜の一部が断裂、穴が開いて、それを原因として網膜が剥がれる病気です。

網膜剥離というとボクシングが有名なのですが、聞いたことがありますでしょうか?以前は、網膜剥離後の選手は引退を決められていたようです。
ボクシングなどの外傷で、眼球のボールが凹んで、歪んでしまった場合に、網膜が断裂してしまうのです。
なので、患者さんに網膜剥離と伝えると、「ぶつけた覚えはない」なんて、おっしゃることが多くあります。

実は、網膜剥離の患者さんが100名いたとして、ボクシングや交通事故など、外傷が原因となる場合は5名弱といった具合で、決して多くはありません。
では、外傷もないのに、どうして網膜が断裂してしまうのかというと・・・。


これは、30歳くらいまでの眼球の断面図です。
実は水晶体の後方、網膜の前の部分には、硝子体(しょうしたい)と呼ばれる透明なゼリーが入っています。図では青色が硝子体を示しています。硝子体は子供の時には、眼球の成長に役立ったり、その他には、紫外線を吸収したり、ぶつけたときにクッションの役割をしたりします。
30歳くらいまでの硝子体は、目の中いっぱいに広がり、パンパンとなっています。

30歳とか、40歳とかになると、この硝子体が干からびて、小さくなり、前の方に収縮していくことが分かっています。

図でみると、こんな感じ。

通常は硝子体が収縮しても、網膜には影響を与えずに、硝子体のみが小さくなっていきます。

これは、問題なく硝子体が収縮した例で、通常の人は60歳とか70歳とかになると、こんな形になっていきます。

ところが、生まれ持った体質などで、網膜と硝子体のくっつき(癒着)が強い部分があったりすると、硝子体の収縮に伴って、網膜が破れてしまい、内側に剥がれてきてしまうのです。

これが網膜剥離のイメージ図ですが、オレンジ色の部分が網膜と、硝子体の癒着が強かった部分です。硝子体が収縮するときに、網膜を内側に引っ張って、網膜が断裂しています。


硝子体が収縮した部分には、お水が占拠するようになるのですが、一度、網膜が断裂して、内側に剥がれだすと、その断裂(穴)から、お水が網膜の後ろ側にどんどん回ってしまい、時間とともに網膜剥離が大きくなっていきます。

裂孔原性網膜剥離は以上のような形式で発症することがほとんどです。
ですので、原因はなにか?というと、
?生まれ持った性質(網膜が薄い、硝子体と網膜の癒着が強い)
?加齢

という事になります。
ですので、網膜剥離になったからといって、お酒を飲んだから?とか、煙草をすったから?とか、なにか原因として後悔するようなものはなく、なる人はなってしまう。という、やや仕方のない病気です。(外傷性を除いて)

?に関しては、
例えば、強度近視の方は目が大きく、網膜が薄いので、近視の強い方は網膜剥離が起こりやすいと言えます。(以前のブログ:2011.07.19 Tuesday)
他には、アトピーの人なども網膜が薄く、網膜剥離になることが多いようです。(皮膚と網膜の発生期限が似ているために、皮膚が弱いという人は目も弱いという説と、アトピーの人は、よく目をこすっているからという説があります。)
稀ですが、家族性(遺伝的)に、網膜や硝子体の性状が病的な家系があったり、お体の病気が原因で網膜剥離になりやすいといったものもあります。

今日も読んで頂きありがとうございました[:嬉しい:]

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)

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