緑内障? 分類

今日は以下の手術を行いました。
・眼瞼下垂+眼瞼内反症手術 1例
・白内障手術 5件
・緑内障手術(トラベクレクトミー) 1件
無事に終わっています。
眼瞼下垂+眼瞼内反症は若い患者様なのですが、他院で既に2回の手術歴があり、癒着が多いと大変だなぁと心配していましたが、まずまずキレイに出来ました。

今日も緑内障の話題で。
緑内障? 分類

緑内障とは、眼圧に関連して視神経が障害され、視野が狭くなる病気。と11月12日に記載しました。自分の持っている眼圧に、自分の視神経・網膜が耐えられない場合に進行していく病気です。
ただ、一口に「緑内障」といっても様々な種類があるのです。細かく分けたら数十種類も。例えば、日本で一番多いとされている緑内障は「正常眼圧緑内障」という緑内障です。

まず、大きな分類として、以下の3つに分けられます。
?原発性(げんぱつせい)
?続発性(ぞくはつせい)
?先天性(せんてんせい

?原発性緑内障
他に緑内障を発症するような病気のない、純粋な緑内障になります。最も多い病形で、医師に「緑内障ですよ。」と言われた場合は、ほとんどがこちらになります。

?続発性緑内障
他の病気がもとにあって、それが影響して緑内障を発症するものです。目に炎症が出てしまうぶどう膜炎という病気や、外傷性の緑内障、ステロイドの薬を飲んでいる人がなるステロイド緑内障、糖尿病などが原因となる血管新生緑内障、甲状腺の病気や、白内障など水晶体に関連するもの、手術が原因となって発症する緑内障などもあります。続発性緑内障は上記の様々な原因が影響して、原発性に近い形をとる緑内障ですが、治療をするうえで、緑内障の治療以外に、もとの原因となる病気の治療を行うことも必要になります。

?先天性緑内障
近年は正式には発達緑内障と呼ばれます。生まれつき、眼球構造の発達不良であったり、異常があるために起こる緑内障で、小児期?若年期に発症します。目の異常のみでなく、染色体異常やホルモン異常など、全身的に重大な疾患と合併することがあります。

では、次の分類です。
A:閉塞隅角(へいそくぐうかく)
B:開放隅角(かいほうぐうかく)

以前のブログ(2011.11.07 Monday)で、目の中には房水と呼ばれる水が循環していることを書きました。

房水は毛様体(もうようたい)と呼ばれる組織で産生され、青矢印のように目の内部に流れていきます。そして、最終的に、赤矢印のように角膜と、水晶体の前方に位置する虹彩の付け根の部分から出ていきます。この房水の出口の部分を隅角(ぐうかく)と呼びます。
この隅角(房水の出口)が明らかに狭く、水の排出が悪くなっているのが「閉塞隅角緑内障」。一見、隅角(房水の出口)は狭くない、または広いのに排出が悪いものを「開放隅角緑内障」と呼びます。

赤矢印が隅角を指していますが、左側が閉塞隅角、右側が開放隅角になります。

開放隅角は出口が広いのに、房水の排出が悪く、眼圧が上がってしまうことがあるのですが、出口よりも先の房水の排出路の構造に問題があったり、細胞レベルなど、人間の目で認識できるレベルを超えて、流れを妨げる何かがある場合に起こります。
逆に言うと、閉塞隅角緑内障は、少し拡大して診察するだけで、医師(人間)の目で、明らかに出口の構造が狭いということが認識できる病態です。

開放隅角の、目に見えないレベルの異常がある場合には、治療法は、まずは点眼薬による治療を行うのが一般的です(人間の手を使った手技で、どうにか出来る大きさのレベルではない)。
ところが、閉塞隅角の場合には、人間が認識できる大きさのレベルで、出口が狭いので、手術やレーザー光線を使用して、出口を広くすることで、房水の流れを改善することが可能であり、治療の第一選択は外科的な手技になります。(以前は、サンピロという点眼薬で、出口を広げる方法がとられることが多くありましたが、副作用の問題などで、今はあまり行われません。)

*閉塞隅角緑内障で、手術等などで外科的に隅角を広げても、緑内障が残存する場合には、開放隅角緑内障も合併しており、混合緑内障と呼ばれます。この場合は、隅角を広げた後も、開放隅角として点眼薬などの治療が必要になります。

この2つの分類の組み合わせで、多くの緑内障を表現することができます。
例えば、
・原発性開放隅角緑内障
・続発性開放隅角緑内障
・続発性閉塞隅角緑内障 などになります。

正常眼圧緑内障
初めに、緑内障のなかで、もっとも多い病形だと書いたのが、この正常眼圧緑内障です。
実は、正常眼圧緑内障は、厳密には原発性開放隅角緑内障に分類されます。
緑内障は眼圧がいくつだから発症するとかではなく、自分の眼圧に、自分の視神経が押し負けてしまう場合に発生する病気です。みんなに比べて、視神経が弱い人がいたとして、その人の眼圧が10?20mmHgと、正常値と言われている状態でも、神経が押しつぶされていく場合には緑内障となるのです。

緑内障という病気のことが、まだよく分かっていなかった時代に、「眼圧が高い=緑内障」という観念が先行してしまったようで、緑内障とは眼圧が20以上でなるものだ。と考えている人が多いようです。
本来は、眼圧が10だからとか、20だから、30だから病気だとか病気でない。と言うことではないのですが、現在の日本では一応、眼圧は10?20mmHgを正常としています。

このような理由で、一応は、「眼圧が20未満で発症した緑内障を正常眼圧緑内障」と、定義されています。
実際には、緑内障とされる患者様の70%以上は、正常眼圧緑内障と圧倒的に多い病態です。緑内障の、ほとんどの患者様の眼圧が正常。というのも変な話なので、そろそろ、眼圧の正常値という呼び方とか、病名とか、大きく変える時代が来てもいいのでは??と思いますが、どうなのでしょう?

なるべく、簡単に、一般の患者様に分かりやすい解説を。と日々考えているのですが、特に今日はちょっと難しいですよね・・・。
分類という言葉自体、ちょっと表現が硬い。なかなか難しいです。
お付き合い頂きありがとうございます。

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