緑内障? 視神経乳頭陥凹:眼底写真

クリニックでもクリスマスの飾りつけが始まりました[:ツリー:]

今日は緑内障の患者さんに起こる、目の中の変化についてです。
緑内障? 視神経乳頭陥凹 


目の中に光が入ってくると、目の奥の網膜と言うフィルムが光を感知します。網膜は一つの束になって脳へと続いて行きますが、この脳へと続く束を「視神経:ししんけい」、網膜が束になった視神経の最初の部分を「視神経乳頭」と呼びます。(イメージ図の赤矢印)


これは、上は正常な人、下は緑内障の人のイメージです。
眼圧(赤)で視神経乳頭が圧迫されると、網膜が薄くなっていきます。図ではオレンジで網膜の厚みを表現してみました。
これの二つの状態を、実際の写真で見てみると、

左が正常、右が緑内障です。
視神経乳頭は正面からみると、ドーナツのような輪として見えますが、輪の外側のオレンジの部分が網膜にあたります。視神経乳頭の網膜の厚みが多きいほうが、ドーナツのリング(食べるところ)が大きくなり、緑内障で網膜が薄い人は、ドーナツの食べるところが薄くなります。
オレンジのリングに比べて、中央の白い部分は凹んだ形をしているのですが、この凹みの事を視神経乳頭陥凹(ししんけいにゅうとうかんおう)と呼びます。
緑内障では、網膜を表すオレンジの部分が少なくなり、凹んでいる(陥凹)白い部分が増えます。人間ドックなどでは、この凹みが大きい人たちを緑内障の疑いとして、「視神経乳頭陥凹拡大」という表現で伝えます。
(最近は、一般の人に分かりにくいとの評判から、緑内障性視神経乳頭と記載する検診が増えてきています。)


これは、緑内障中期の人です。正常に比べると、ドーナツのリングの下の方が薄くなっています。矢印で囲んだのですが、視神経乳頭から左下に、少し網膜の色が暗く映る場所があるのが分かりますか?ここは押しつぶされて、薄くなってしまった網膜で、専門的にはNFLD(視神経線維層欠損)と呼ばれる所見です。


これは、視野の8割方が欠けてしまった、進行期の患者様です。オレンジのリングがごくわずかしか残っていません。


これは、明るさが分かる場所が少しは残っている。という、社会的失明に当たる末期の患者様です。オレンジのリングは見当たらず、視神経乳頭が真っ白になっています。両目とも進行期で、数ヶ月前に当院に転院となり、緑内障手術を行い、どうにか失明を防いでいます。

当院では、緑内障の患者様は1年に1?2回、眼底写真を撮影し、保存するようにしています。
写真を撮らない場合には、医師のスケッチなどで評価をするのですが、どんなに頑張ってスケッチしても、正確さや精密さでは写真には全くかないません。


これは、比較的初期の患者様で1年前に撮影した写真です。矢印で囲んだ部分はNFLDで網膜の薄い部分です。緑の矢印の先には、視神経乳頭出血と言って緑内障が進行するときによくみられる出血があります。

これは、同じ患者様で今回1年ぶりに撮影した写真です。よーく見ると、NFLDがごくごくわずかですが、幅が広がっています。視野検査でもごくわずかですが進行があり、今回より点眼薬を強化しています。
このような微細な変化を見逃していくと、きちんと通院・治療していたのに、数年後には末期になっていた。なんていうことが起こりえます。
きちんと正確に視神経の状態を把握、保存し、以前の写真と比べるという目的で、眼底写真の撮影は、緑内障の患者様には必須の検査です。

“緑内障? 視神経乳頭陥凹:眼底写真” への2件の返信

  1. 先日健康診断を行い、眼底検査を行った結果が通知で送られてきました。KW右:0 要精検、KW左:0 視神経線維層欠損(左)と書かれていました。急に怖くなりメールさせていただきました。もともと目が悪く右0.04.左0.07なのですが、疲れやすく、50歳になりコンタクトは仕事のみ、家に戻ったら眼鏡にしています。視神経線維層欠損とは重い病気なのでしょうか?
    もし治療するとなれば、水戸からの通院は可能でしょうか?
    お忙しいところお手数おかけいたしますが、回答頂ければ幸いです。

  2. 視神経線維層欠損は緑内障を疑う所見の一つです。
    胸のレントゲンに影がうつって、引っかかった場合でも、精密検査で肺癌ではないと安心できることもあります。
    視神経線維層欠損もかならずしも緑内障と診断がつくわけではありませんが、まずは眼科で精密な検査(眼圧、OCT、視野検査)を受けて頂く必要があります。
    緑内障のほとんどは失明することなく点眼薬のみで対応が可能です。
    生涯にわたって管理が必要になりますので、近い医院様が有利です。水戸市内の開業医様で問題ないと思います。
    悪化傾向が止まらない、治療がうまくいかない。信頼できない。などの問題が生じる場合はご相談ください。

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