片側顔面痙攣 (へんそくがんめんけいれん)

今日は以下の手術を行いました。
・翼状片手術 1件
・白内障手術 6件
・網膜硝子体手術 1件(網膜剥離)
無事に終わっています。
網膜剥離の患者様は先週反対目の手術をして、経過良好の患者様です。
今回の目は、初期の網膜剥離で、中心部も剥がれていないので、視力1.0が期待できそうです!

12月9日に、眼瞼ミオキミアについて記載しました。
http://blog.sannoudaiganka.jp/?cid=5179
今日は同じ眼瞼(まぶた)の痙攣(けいれん)でも、やや重症例のお話です。

片側顔面痙攣(へんそくがんめんけいれん)
顔には、大小様々な筋肉が付いており、表情筋と呼ばれます。笑ったり、怒ったり、泣いたり。自分の意思で筋肉を動かすことが可能で、お笑い芸人さんなどは、とても豊かに表情を作ることができます。
このような動きは、自分の意思で脳ミソから、各表情筋に「動け!」という伝令が働くのですが、この脳ミソから筋肉までの伝令を担当している神経を顔面神経(がんめんしんけい)と言います。
顔面神経は、自分の意思以外でも、乾いた時に瞬きをしたりと、脳ミソが勝手に行っている伝令、運動もあります。

自分の意思で筋肉を動かすことを随意運動、なんらかの原因で自分の意思に反して運動が起こってしまう事を不随意運動と呼びます。
眼瞼ミオキネアは疲労やストレスなどで、まぶたの筋肉のみがピクピクと動いてしまうものですが、あまり大した病気ではないことを記載しました。(2011.12.09 Friday)

顔面神経は、脳ミソ(専門的には脳幹)と呼ばれる脳の中心部から出てきて、各表情筋につながっているのですが、脳からでてきた直後の部分などで、神経に異常が起こると、自分の意思に反して、顔が片側にひきつったような状態になってしまいます。
このようばヒキツレ、ケイレンを、片側顔面痙攣と呼びます。

意図せず、目をつぶってしまったり、ほほや、口の周りがひきつれたりします。目を開きにくいという症状以外にも、整容的に見た目が気になってしまい、抑うつ気分などにつながってしまう事もあります。
ストレスによって症状が悪化する症例が多く、自分で見栄えを気にしてしまったり、病院で診察を受ける時や、写真を撮られる時などに悪化することが多いようです。

原因
多くの原因は、顔面神経が脳幹から出る部分で、異常な血管によって圧迫されるために起こることと考えられています。年齢や動脈硬化などの血流障害が元になり、子供などには少ない病気です。
ただし、非常に細かい神経や血管なので、MRIの撮影などで、明確に病変を指摘できない(見つけられない)場合も多く、原因不明とされることも多々あります。

治療
治療は大きく3つに分かれます。

?内服薬
精神や神経の興奮を抑える飲み薬や、睡眠薬を処方します。
手軽に始められる治療法ですが、残念ながら、効果が安定せず、あまりよい結果を得られることは少ないようです。

?ボツリヌス療法
ヒキツレ・痙攣をおこす筋肉にボツリヌスと呼ばれる毒素を注射します。世界的に、顔面痙攣の治療法として第一選択とされている治療法です。(標準的治療法)
非常に効果が高く、80%程度の患者様が注射により満足な結果を得られますが、顔面神経の障害を根本的に治しているわけではなく、神経の病気はそのままで、ケイレンを起こしている筋肉を麻痺させるだけの治療法です。注射の効果が3ヶ月ちょっとで切れてくると、再度注射をしなければなりません。
ボツリヌス療法に関しては、後日、詳しく説明のブログを記載しようと思います。

?脳外科手術
顔面神経を圧迫する、悪い血管を脳外科的な手術で除去する治療法です。多くの場合で、根治(こんち:完全に治る)が期待できますが、脳の手術だけあって、他の治療法に比べるとリスクが高いのが特徴です。
現在の医学では、ボツリヌス療法が効かない症例などに行われることが多いようです。

*以上はあくまで一般的なお話です。
ドライアイや、うつ、自律神経の異常などで、顔面痙攣に似た症状が出ることがあったり、同じ顔面痙攣といっても程度や状態は様々で、内服薬の治療を行う事や、初めから手術をお勧めする症例もあります。
診断や治療に関しては、ご担当の先生とよく相談するようにしてください。

“片側顔面痙攣 (へんそくがんめんけいれん)” への2件の返信

  1. 初めまして
    先生のブログを見させてもらいました。
    分かりやすく説明が書いてあり、先生に見てもらえれば、的確な処方をいってもらえるのかなとおもいました

    私の経緯を書きます
    何年前からか記憶に無いのですが、最初は右目がピクピクするくらいで、
    気にならない程度でした。
    いつしか右目から左目に移行していて、こちらも最初は疲れているんだな位でした。それが感覚が短くなって来て、色々な病院に行きました。ある病院で薬
    (リボトリール)を処方してもらったんですが、仕事にならない位の睡魔が来て寝ちゃっているんです。なので飲むのもやめました
    元の生活に戻りたいです。
    最近では、娘にもママ顔がピクピクしてるよと言われてしまい、注射をした方がいいか、手術した方がいいか悩んでいます。

  2. 両眼性であれば、上記の片側顔面痙攣ではないので、眼瞼痙攣になります。あまりに重症であればボトックス治療を考えますが、他に原因となる眼精疲労・老眼・ドライアイなど、眼科的な精査が必要です。

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