眼瞼痙攣 (がんけんけいれん)

今日は小美玉市医療センターで井上先生と、白内障や翼状片の手術をさせて頂きました。
朝はとても寒くなりましたね[:雪:]車で出勤しようとすると、窓ガラスが凍っていて、すぐに出発できなかったり。風邪に気をつけないと。

さて、昨日と同じような内容で、まぶた(眼瞼)がピクピク痙攣する病気について。

眼瞼痙攣(がんけんけいれん)
昨日の書きましたが、自分の意思で筋肉を動かすことを随意運動、意思に反して勝手に動いてしまう事を不随意運動と呼びます。
12月9日に記載した「眼瞼ミオキミア」は、ストレス・疲労・寝不足などで、主に片側のまぶたが軽くピクピク動いてしまう病気。
12月19日に記載した「片側顔面痙攣」は、脳から出たすぐの顔面神経の障害により、片側の表情筋、主にまぶた、ホホ、口などが強くヒキツレてしまうツライ病気です。

眼瞼痙攣(がんけんけいれん)は、まぶたを閉じるための筋肉(眼輪筋)が勝手に収縮しまう病気で、多くの場合は両眼に起こります。

原因
まばたきをコントロールしている脳に異常があることが推測されますが、現在の医学では明確な原因は分かっていません。
精神安定剤や、睡眠薬の内服が原因になることもあります。

症状
・目がピクピクする
・目が開けられない(開きにくい)
・目が重い
・ショボショボする
・まぶしい

などがよく聞かれる症状で、自覚症状が強いことが多いようです。
まぶしくて目が開けられない。と、運転や読書ができずに日常生活に支障がでることもあります。
ピクピクする。という、いかにもケイレンを想像させる訴えの時には、診断が簡単なのですが、開きにくい、重い、ショボショボする、眩しいなどの症状は、ドライアイで聞かれる事が多いため、残念ながら、ドライアイとして誤診されていることもよくあります。
眼科医でも積極的に治療を行っている医師が少ない病気で、上手く診断がつかずに、ドライアイとしか診断されていないと、目が開かないなんて、おかしいんじゃないか?なんて、心療内科や精神科を勧められてしまったりして、ドクターショッピングといって、いろいろな眼科を点々としてしまうこともあります。

検査
ドライアイの合併や鑑別のために、ドライアイの検査を行います。
他に、瞬目テストと言って、きちんと機能的なまばたきが出来るかどうかを調べたりします。
・早く軽いまばたきをリズミカルに10秒間できるか?
・強く目を閉じ、すばやく目を開ける動作を10回できるか?
などを観察して、途中で変に痙攣が起こらないかなどを調べます。

治療
片側顔面痙攣と同じような治療で大きく3つに分かれます。

?内服薬
精神や神経の興奮を抑える、精神安定剤や、てんかんの薬、睡眠薬を処方します。(ただし、逆に、これらの内服薬が病気の原因となることもあり、診察では飲み薬の開始時期を詳細にお聞きする事があります。)

?ボツリヌス療法
ヒキツレ・痙攣をおこす眼輪筋にボツリヌスと呼ばれる毒素を注射します。眼瞼痙攣の治療として、非常に効果が高く、多くの場合で患者様に満足して頂けます。毒素が眼輪筋を麻痺させて、痙攣を止める効果がありますが、注射の効果が3ヶ月ちょっとで切れてくると、再度注射をしなければなりません。
(詳細は別のブログを記載しようと思います。)

?外科手術
痙攣の強い部分の眼輪筋を切除してしまう方法ですが、目が閉じにくくなる。という副作用があり、超重症例で、ボツリヌス療法が上手くいかない場合に限ります。

基本的には根治術というものはなく、対症療法と言って、症状を和らげるための治療を行う事になります。
ただし、眼瞼痙攣の患者様はドライアイと誤診されている症例が多く、「とても辛いのに、どの眼科でも相手にされなかった。」といって受診される患者様が多いので、きちんと診断をつけて、ボツリヌス療法で少しでも症状が和らぐと、とっても喜んで頂けることが多く、眼科医としてやりがいのある病気です。

ドライアイと言われているけど、症状が消えない。ツライ。
素早いまばたきが出来ない。
なんていう患者様は、一度、眼瞼痙攣がないか相談されるとよいでしょう。

*眼瞼痙攣のような目が開きにくいという症状は、ドライアイ以外にも、重症筋無力症などの重篤な病気が鑑別疾患に考えられます。自己判断はせずに、眼科医(できればボトックス認定医)に相談をするようにしましょう。

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