ぶどう膜炎? 治療 その2

今日は以下の手術を施行しました。
・翼状片手術 1件
・白内障手術 9件
・緑内障手術(トラベクレクトミー) 1件
・網膜硝子体手術 2件
 (黄斑前膜1件、網膜中心静脈分枝閉塞症にともなう黄斑浮腫1件)
無事に終わりました。
昨日、市内の病院様から「頭痛・嘔吐」で困っている患者様がいると電話を頂き、往診にて重度の緑内障(開放隅角)を診断。腎臓が悪く点滴などは出来ないので、目薬を沢山処方しました。本日はどうにか当院までいらして頂いたのですが、眼圧は50(正常10?20)と高いままです。視力もあかりが分かるか分からないか?というレベルで、緊急転院・手術をさせて頂きました。
内科の先生が「頭痛や嘔吐」で、頭に異常がない場合には緑内障?眼科か?という考えをお持ちの先生で助かりました。
頭痛や嘔吐は脳出血など脳の問題だけではなく、緑内障でも起こります。頭が痛いのに眼科?と、変に感じるかもしれませんが、ちょっと覚えておいてくださいね!

ぶどう膜炎?
治療 その2

免疫抑制剤
ぶどう膜炎?では、ステロイドと呼ばれる免疫・炎症を抑える薬について記載しました。ぶどう膜炎の治療では、ほとんどの症例でステロイドの適正使用により、コントロールが可能(落ち着かせることができる)ですが、極一部の重症例の患者様で、ステロイドで落ち着かない場合や、再発を繰り返してしまう場合には、別の種類の免疫を抑える薬を使用します。
眼科では、シクロスポリン(ネオーラル・サンディミュン)という薬が多く使用されます。ステロイドと同様に、免疫反応・炎症を抑えるため、バイ菌に感染しやすくなってしまうリスクがあります。特に、シクロスポリンは腎臓の機能を障害してしまう可能性のある薬で、内服中は、数ヶ月に1回など定期的に血液検査で体の中のシクロスポリンの濃度(血中濃度)を調べる必要があります。

モノクローナル抗体製剤
ステロイドや免疫抑制剤は、とても有用な薬ですが、体の全ての炎症を抑えてしまう薬であるため、例えばバイ菌に対する抵抗力が落ちてしまうなどの副作用が目立ちます。抗モノクローナル抗体製剤は、炎症を全体的に抑制するのではなく、炎症にかかわる極一部のホルモンを抑制する薬です。
発売後、数年以内のものがほとんどで新しい薬です。現在は厳密な条件を満たすごく一部の症例に限って使用されています。眼科では、ベーチェット病でのぶどう膜炎に対するレミケードという薬が有名です(なんと一瓶、10万円)。
(一般の患者様に分かりやすい表現を心がけています。一部専門的にはどうかと思う箇所もありますが、お許しください。)
レミケードの点滴は、膠原病内科の先生との連携が必要であり、当院で治療対象の方は、近隣の知り合いの先生に点滴をお願いしています。

瞳孔管理
瞳孔は茶目(虹彩)で作られ、目の中に入る光の量を加減する働きを持っています。ぶどう膜炎?で記載しましたが、虹彩炎をきちんと治療しないと、瞳孔が小さくなったまま、癒着して開かなくなってしまう場合があります。小さくなったまま癒着をしてしまうと、光が入らず暗い所で見えない。目の中の診察が出来なくなってしまう。重度の緑内障を起こしてしまう。などが起こります。
ステロイドを使用して、炎症を落ち着かせるのはもちろんですが、炎症が強く癒着の可能性がある症例では、瞳孔を開く薬(散瞳薬)を使用して、瞳孔を運動させる必要があります。ミドリンPアトロピンという目薬、ボスミンとう注射薬などが使われます。

他院様からの紹介で、ミドリンPを使っていたのに、瞳孔が癒着してしまったという患者様です。左が紹介時、右は注射をうったあとです。わずかな癒着は残っていますが、なんとか間にあいました。癒着してから時間が経ってしまうと、薬の力ではどうにもできなくなってしまいます。ぶどう膜炎は早期からきちんと治療することが重要です。

全身管理
炎症が目の中(ぶどう膜炎)だけでなく、体の病気が原因になっている場合は、その治療も必要です。主に内科の先生と相談して頂くことになりますが、沢山の病気があるので、今回は省略させて下さい。

今日も読んで頂き、ありがとうございました。

“ぶどう膜炎? 治療 その2” への2件の返信

    1. 一般的にはミドリンMは効果の持続が短く、例えば検査で使用した場合は数時間で瞳孔の大きさが戻ります。
      長期で使用すると、数日かけて戻る場合もあります。
      ぶどう膜炎の影響で瞳孔が癒着したり、瞳孔の筋肉が弱くなってしまうと、残念ながら戻らない場合もあります。

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