後部硝子体剥離? 硝子体の収縮

午後から以下の手術を行いました。
・白内障手術 12件
・網膜硝子体手術(茎離断4件)
(内訳:黄斑円孔1件、黄斑前膜1件、糖尿病網膜症1件、網膜剥離1件)
今日は結構早く進み、17時ちょっとには無事に終えることができました。

外来をやっていると、1日に1人くらいは、飛蚊症(ひぶんしょう)といって、「何が黒いものが飛んで見える」という訴えの人がいらっしゃいます。目の中の硝子体(しょうしたい)というものが濁ってしまう事で起こる症状ですが、濁りが発生する原因は、多くの場合では病気によるものではなく、加齢によるものです。今日は飛蚊症の原因で最も頻度が多いものについて書いてみます。

後部硝子体剥離?(こうぶしょうしたいはくり)
硝子体の収縮
眼球は、光を屈折するレンズ(水晶体)と、光を感じ取るフィルム(網膜)からなり、よくカメラに例えられます。

このレンズと、網膜の間の、眼球内の最も広いスペース(緑矢印)を硝子体腔(しょうしたいくう)と呼び、中には、透明なゼリー状物質である、硝子体(しょうしたい)が入っています。
硝子体には、子供の時には眼球の形成・発達に役立ったり、ぶつけたときにクッションの役割をしたり、紫外線を吸収するなどの役割があります。

この硝子体ですが、30代の頃までは殆どの人が、上のイメージ図のように目の中いっぱい、ぎゅうぎゅうに沢山入っていますが、加齢によって硝子体は縮こまる性質があり、80代とかになると、全員が下の図の様に、眼球の前の方に向かって小さくなってしまいます。

多くの場所では網膜(フィルム)と、硝子体(ゼリー)は、軽く接着しているだけで、キレイに分離・剥離していくのですが、場所によって、フィルムとゼリーの癒着が強い場所があることが分かっています。

?赤:視神経乳頭 (⇒マリオット盲点)
?青黄斑
?黄:赤道部・周辺部の網膜

加齢によって硝子体(ぜりー)が縮こまる時に、全ての網膜と硝子体が、キレイに分離されていけば問題は起こらないのですが、上記???のような、癒着が強い場所が分離する場合には、それぞれ特徴的な現象が起こります。

とくに、?赤矢印視神経乳頭の箇所で、網膜と硝子体の分離(後部硝子体剥離)が起こると、硝子体に濁りが出現し、飛蚊症の原因として最も頻度の多いものとなります。

?や?の部分では、網膜と硝子体の癒着は、その他の部位に比べて、やや強めではありますが、通常は問題なくキレイに分離が進んでいきます。生まれつきなど、何らかの原因で網膜と硝子体の癒着が強く、硝子体が収縮するときに、網膜を引っ張ってビリっと破けてしまうようなことがあると、
?青矢印⇒黄斑円孔
?黄矢印裂孔原生網膜剥離
などの病気が起こってしまう事があります。

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