後部硝子体剥離? 治療法と経過

今日は以下の手術を行いました。
・眼瞼下垂症(CO2レーザー:ミュラー筋タッキング)3件
・白内障手術 7件
・網膜硝子体手術(茎離断) 3件
 (黄斑前膜2件、増殖糖尿病網膜症・網膜剥離1件)
無事におわりました。

後部硝子体剥離?
先日は後部硝子体剥離の症状、飛蚊症について書いてみました。
黒い点やモヤが動いて見えるので、ビックリして来院したり、結構困った顔で来院されるかたが沢山います。
では、治療法は?というと。

治療法と経過
残念ながら、目薬や、飲み薬で有用なものはありません。もちろん、ブルーベリーもサプリメントも効きません。
どうしても治したいという場合には、手術で治せます。硝子体手術で硝子体ごと濁りを撮ってしまうのです。
後部硝子体剥離を起こした中で、どのくらいの人が手術を受けるかというと、手術ばかりの僕でも年に2名とかそれくらいです。後部硝子体剥離は加齢が原因で、ある程度の年齢になれば必ず起こります。白内障も加齢によって必ず起こる病気ですが、僕はだいたい年に1000件くらいこなします。どちらも必ず起こる現象なのに、白内障と比べると飛蚊症の手術を受ける人は500分の1という計算になります。
では、手術を受けない、あとの499名はずっと飛蚊症に苦しむのでしょうか?答えはNOです。
硝子体の濁りはなくなりませんが、だんだんと気にならなくなっていくのですマリオット盲点に気がつかなかったり、緑内障での視野欠損に気がつかなかったり、人間って都合の悪いことは認識しなくなっていく傾向があるようで、飛蚊症の濁りも出来た始めのうちは気になるものの、徐々に認識しなくなっていくようです。また、長期的には、硝子体がかなり小さくなって、後部硝子体剥離の濁りが眼球の端っこの方に移動してしまって、構造上として見えなくなってしまう場合もあります。
僕たちが数ヶ月とか1年とか経って定期検査をすると、しっかりと濁りが存在するのですが、「治ったよ!」なんていう患者さんばかりになってきます。
みなさん、いろいろな言い分があるようで、「よく寝たら治った。」「ブルーベリーを食べたら治った。」「数万円の真珠の粉を飲んだら治った。」などとおっしゃる方が沢山いるのですが、実際に眼底検査をすると必ず濁りが残っているので、お返事に困ってしまいます・・・。(本人が満足ならいいのかな?)

しばらく我慢すれば、濁りは消えなくても、ほとんどの場合で、本人が気にならなくなってしまう飛蚊症です。濁りを取るための硝子体手術は、手術自体が20分くらいかかりますし、数万円も支払って、数日入院して(希望者は日帰りでもやりますが)、100分の1位では再手術などのリスクがあって。そんな手術はあまり受けたくないですよね?
ですので、後部硝子体剥離に伴う飛蚊症では、濁りの程度が強かったり、大きかったり、濁りが視野の中心部に近くて、生活に不自由がでるほど困っていたり。そんな重症な患者様の一部が希望をされるのですが、ほとんどの人は様子をみて、気ならなくなる時期を待つことになります。

後部硝子体剥離は全員に起こるのですが、僕たち診察の所見と照らし合わせると、
・硝子体にかなり大きな濁りがあっても、「全く気にならない。」という、おおらかというか、大ざっぱな人もいます。
・逆に、とても小さな濁りしかないのに、救急車を呼んだり、心配で何度も外来を受診してしまうような、繊細というか、神経質な人もいます。
感じ方って、個人差というか、性格なんかも大きく作用するのかもしれませんね。

“後部硝子体剥離? 治療法と経過” への3件の返信

  1. 時間がたてば気にならなくなる事が
    詳しく書かれており、本当に落ち込んでいた
    気持ちに希望をもらいました。

  2. はじめまして、コメントさせていただきます。
    47歳男性です。
    昨日、目に閃光が走り始め、後に、海苔のようなものが、上の方から降りてきて、散らばり飛蚊症がでました。
    今年の6月半ばに、黄斑円孔の手術をしたばかりで、こんどは、健康だった別の目がこの様な状態になり、凄くショックでした。
    今日かかりつけの目医者に行き、後部硝子体剥離と診断されて、網膜剥離や、網膜裂孔ではなかったので一安心しましたが、まだその後その可能性がないわけではない事を聞かされました。
    網膜剥離は、黄斑円孔を手術した目で25年ほど前に、怪我による網膜剥離で手術を経験しており、その大変さは良く知っています。
    こちらで、後部硝子体剥離の話を読ませて頂き、少しホッとしました。
    ありがとうございました。

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