黄斑円孔? 実際の症例

今日も網膜剥離の紹介がありました。
午前中は小美玉市医療センターで外来だったので、お昼休みに戻り次第手術ができ、中心部の網膜(黄斑)が剥がれる前に手術ができました。きっといい視力が温存できるはず。よかったです。
今日の患者様は、県内の眼科医様のご親せきの方ですが、同業の先生に頼って頂くのはとても嬉しいことです[:楽しい:]
ブログ見て頂いているでしょうか?バッチリ手術できましたよ[:チョキ:]

黄斑円孔のブログもだいぶ進んできましたが、現実味がないので先月手術の実例をもとに書いてみますね。
黄斑円孔? 実際の症例
5月14日:初診
いつから見えないかは不明で、眼鏡をかけた矯正視力は0.1

写真だとなかなか分かりにくいのですが、拡大した写真の青矢印の先が、丸く穴になっているのが分かるでしょうか?OCTだと、網膜の断裂がとってもよく分かりますね。
黄斑円孔は、一般的に網膜剥離ほど緊急性は高くないので、翌週か翌々週に手術をする事が多いのですが、今回は予約枠の都合と患者様の協力もあって、すぐに手術が可能でした。

5月16日:手術手術法は前回のブログを。
局所麻酔(テノン嚢下麻酔:眼球後方への注射)
白内障とあわせて、30分くらいの手術です。

5月17・18日:手術後はとにかくうつ伏せ!!
うつ伏せをして、手術で眼内に入れた空気の浮力で、網膜を引き延ばして穴を閉じます。
(うつ伏せをしなくても穴が閉じたという報告も出てきていますが、穴が閉じない場合には、結局再手術をして入院期間が長くなってしまいます。当院では現時点の医学でもっとも安全・成績がよいと言われる手術法を選択するようにしています。大変だけど頑張りましょう!)

5月19日:円孔閉鎖

写真の上方が黒っぽくうつるのは、まだ空気が上半分に入っているからです。空気に邪魔されて、キレイなOCT画像が撮影できませんが、網膜の断裂がなくなっていることは確認できます。この時点で、うつ伏せの必要はなくなり退院が可能となります。(希望者は日帰り手術も可能ですが、入院の方がきちんとうつ伏せが出来るようです。)
もしかしたら、手術の翌日には穴が閉じていて、うつ伏せは必要なくなっている可能性もありますが、空気が沢山入っている間は、正確なOCTの撮影ができないので、しっかりとした撮影ができるまでは、うつ伏せを保って頂くようにしています。当院ではだいたい2日半から3日位でうつ伏せが終了となります。

5月23日:術後経過
矯正視力は0.3まで改善しています。

円孔が閉じて、黄斑部のオレンジ色が濃くなり、均一でキレイな色調に変わっています。OCTでは断裂がなくなっていますが、中心部にわずかに黒く抜ける部分があるのが分かりますか?まだ網膜の構造には隙間があるようです。

5月30日:術後経過?
矯正視力は0.5まで改善しています。

隙間もなくなり、正常な網膜のOCT・網膜の断面図に見えるようになりました。

今後、半年間くらいは回復基調となりますが、どこまで見えるようになるかは不明です。ただし、残念ながら手術前が0.1なので、1.0まで改善する症例は非常にまれです。
一般的には、
・発症から手術までの時間が早いほど
・年齢が若いほど
・穴が小さいほど
・手術前の視力がよいほど(0.7とか、0.8とか)

視力の予後が良好とされています。(視力1.0以上に回復しやすい)

今日も最後までお読み頂きありがとうございました。

“黄斑円孔? 実際の症例” への9件の返信

  1. 初めまして

    いきなりのメールで大変失礼かと思ったのですが、ご質問したくメールしてしまいました(;_;)

    子供が先日黄斑円孔と言われました。
    手術をするのに、順番があるのでと言われたのですが、どの位置いても大丈夫なのでしょうか?
    手術をするのに、早ければ早いほど、視力が戻るとネットに書いてあったので、なるべく早くしてあげたくて…..

    サッカーをしていて、この病気になったのですが、手術前は、やっぱりスポーツや、学校の体育などもやめた方がいいのでしょうか?

    手術後は、一ヶ月間スポーツだめと聞いたのですが、そのあとは、普通にしても大丈夫なのでしょうか?

    お忙しい所大変申し訳ありませんが、お返事お待ちしております(;_;)

  2. こんばんは。ご連絡ありがとうございます。
    外傷性の黄斑円孔でしょうか?診察をしてみないと分かりませんが、自然治癒を得られることもあり、わざと手術までの期間を長めにみる場合もあるかと思います。
    結局手術をするのであれば、早い方が良いのだとは思います。ただし、何日たったらどれくらい悪くなる。というのは個人差が大きく一概には言えません。2ヶ月程度たっていても視力1.0に回復症例もありますし、早期でも穴が大きければ1.0に回復しないこともあります。

  3. 栗原勇大 様

    初めまして青山と申します。
    3日前、甥(8歳)が左目を赤くして「物が二重に見える」
    と言ったため家族が病院へ連れて行きますと視力が0.1(元は1.5)

    今日大学病院へ行きましたら
    「網膜が断裂している、しかし視力は1.0と回復していますね
    暫く様子を見ましょう」
    と言われたそうですがなぜ手術等の治療は必要ないのでしょうか?
    網膜剥離の治療はすぐじゃなくてもいいのでしょうか?
    ちなみに断裂した原因はわかっていません。

    母親は斜視、甥の姉も斜視です。
    遺伝的なもので網膜に何らかの異常があったのでしょうか?

    来週私も病院へ行くのですがいてもたっても居られず
    質問させて頂きました。
    よろしくお願いします。

    青山

  4. 遅くなって申し訳ありません。
    網膜の断裂というものが、どういった状況を指しているのかも不明です。すみませんが、正確にお答えすることはできません。
    また、網膜の治療の多くは、手術による治療になります。視力も良好で、回復傾向にある病態であれば、手術をしないで様子をみるのが一般的だと思います。

  5. 2013年4月に黄斑円孔の診断で硝子体及び水晶体の手術をしたものです。術後眼内レンズのせいか、コンタクトもメガネもぴったりとみえずで不快な毎日を過ごしています。
    片眼が眼内レンズなので仕方がないのでしょうか…
    まだ、浮腫があり変視症はかなり残っております。

  6. こんばんは。
    すみません。当院での手術でしたでしょうか??
    今、自宅にいましてカルテ検索ができません・・・。
    当院も黄斑円孔の手術が多いので、全ての患者様がいつ手術をしたのかは、難しいです。

    もともと、黄斑円孔は「完全に元通り」を目指す手術ではありません。
    病態にもよりますが、多くは他の網膜を引き寄せて、無理やり穴をふさぐ手術です。
    医者サイドからは「穴が閉じて、これ以上の悪化がなければ、手術成功。治った。」という表現になりますが、
    「治った」イコール「元通りの見え方」ではないのです。

    浮腫は改善するといいですね。
    治療はステロイド剤や抗VEGF薬の投与が良いかと思います。

  7. 早速の返信ありがとうございます。
    言葉足らずで申し訳ありません。
    手術は違う病院でした。
    主治医のお医者様は『手術は成功』ってことですが、メガネもコンタクトも術前とは違い気持ち悪い見え方でネットで検索していて、栗原先生の説明がわかりやすくて質問させていただいたところでした。『慣れるのには半年から一年かかる』との主治医の言葉だけではこれからが不安で不自由で…
    眼内レンズは単焦点レンズなのでとても不便です。

  8. 初めまして。
    去年の6月に父が、右眼が物が見えにくいと言う事で、眼科に行ったところ加齢黄斑円孔と診断を受けました。様子を見ましょうと言う事だったそうですが、ネットで調べた結果、手術とか、眼薬とか、何かしらアクションがあると知りましたが、このまま、放っておいて大丈夫なのでしょうか?父の裸眼視力は、右ご0.1です。あまり病院へ行く事に積極的でない人なので、私が父に誤魔化されてるのでは…とも思っています。
    助言、よろしくお願い申し上げます。

  9. 三田様
    ご連絡ありがとうございます。

    黄斑円孔でしょうか?
    加齢黄斑円孔という疾患はなく、加齢黄斑変性症かもしれません。
    どちらにしても、多くの場合で治療が必要、かつ早期治療が望まれる疾患です。
    一度、同席して、眼科を受診することをお勧めします。
    担当の先生に、このままでよいのか?きちんと聞くべきと思います。

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