色覚異常? 病態と分類

今日の午後は以下の手術を行いました。
・加齢性下眼瞼内反症(逆さまつ毛)1件
・翼状片手術 1件
・白内障手術 11件
・網膜硝子体手術(茎離断) 3件
 (黄斑前膜2件、網膜中心静脈閉塞に伴う黄斑浮腫1件)
まずまずの症例ですが、17時前には終わってしまいました。手術の準備や移動などがとてもスムーズで、スタッフに感謝です。ありがとう。
今日は早めに帰って、子供の相手もできました。

色覚異常? 病態
網膜の中の視細胞に光が届いて、物が見えるときに、錐体という視細胞が色を判別するのに役立つことを、色覚異常?にて記載しました。
赤色によく反応するL-錐体、緑色によく反応するM-錐体、青色によく反応するS-錐体の3種類が、それぞれ光に反応し脳へと信号を送ります。そして、3つの錐体から届けられた情報を脳が再合成して、色を再現するのです。

色覚異常?光の3原色について書きましたが、

例えば、緑の光が目に入ると、M-錐体が主に反応し、脳に信号を送ります。
黄色の光が入った時には、L-錐体M-錐体が主に働き、脳に信号を送るのですが、脳ではこの2つの信号を再合成して黄色と判断します。
強い白い光を見たときは、L-錐体M-錐体S-錐体の全てが強く反応するのです。
(一般の方が分かりやすいかな?というレベルで書いています。専門的に表現が異なることはご理解下さい。)

色覚異常とは、この3つの錐体のどれかに異常があり、ある色の光への反応がなくなってしまったり、鈍くなってしまうことを言います。
ある錐体が全く機能しないものを色盲反応が弱いが、ある程度は機能するものを色弱と呼びます。
実は、最近の正式な学会などでは、色盲や色弱という呼び方はされなくなり、
1つの錐体が全く機能しない場合に、残りの2種類の錐体で読み取ることから2色覚(以前の色盲)
1つの錐体が正常には機能せず、反応が弱いながらも、一応は3種類の錐体が機能している場合に、異常3色覚(以前の色弱)
と呼ばれるようになっています。

また、専門的ですが、
赤に反応するL-錐体の異常⇒1型
緑に反応するM-錐体の異常⇒2型
青に反応するS-錐体の異常⇒3型
などという分類もあり、

上記の分類とあわせて、例えば赤に反応する錐体が全く機能しない場合には、1型2色覚、少しは機能する場合を1型異常3色覚というように呼びます。

と、ここまで書いてみましたが、自分で読み返してみても、眼科医とかではない皆様に呼んで頂いても、全く分からないのでは??と、ちょっと冷や汗をかいています。困ったな・・・・。

赤・緑・青を感知する錐体のどれに異常があっても、色覚異常になるわけですが、赤だけの場合、赤と緑の場合、青だけの場合、全ての錐体が駄目な場合(杆体1色覚:全色盲)など、様々な組み合わせがあり、組み合わせの種類によって、「どのような見え方になるのか、視力がまずまずなのか、視力も悪いのか。」症状は様々なのですが、全ては書ききれないし、逆に分かりにくくなってしまいそうです。
実は色覚異常をお持ちの方の大多数は、1型色覚(L-錐体の異常)、2型色覚(M-錐体の異常)の2つになるので、今後は、この2つについて書いて行くことにしますね。
先天的なL-錐体の異常M-錐体の異常をまとめて、先天赤緑色覚異常と呼びますが、一般的に先天色覚異常といえば、この赤緑異常のことを言います。
(先天性の杆体1色覚:全色盲などは数万人に1人の病気で、僕の人生ではまだ担当したことがないくらい稀な病気です。)

色覚のこと、ちょっと書こうと思ったのですが、なんだか大変な分野です・・・。もう何回かに分割して書いて行きたいと。

“色覚異常? 病態と分類” への3件の返信

  1. はじめまして。娘が、色覚異常と思われ、いろんなサイトを見ていて、プログを拝見しました。詳しい説明ありがとうございます。
    娘は、小学校4年の時、黒板の赤いチョークが見えにくいと、先生に話をして、太い字で書いてもらうようにしていました。
    しかし、6年生になり、全く見えていないことに気がつきました。(いつから見えなくなっていたのかは不明)
    4年の時に色覚検査をしてもらい、ひっかかっていましたが、疑い段階で、大きくなってから再検査しましょうと言われていました。日常生活に問題ないと思ってたので、気にしていませんでした。

    最近聞き取った状況は、夾竹桃の赤い花が全く見えず、「え?花が咲いているの?」と緑色の中の赤色は、すべて緑色に同化してしまうようです。色の状況を話すると、花の形が見えてくるそうです。色はそのままですが、自分の中で想像して赤い花が咲いていると見えてくるようです。
    信号は、緑、黄色、白と見えているようで、白のランプが光ると「赤信号だよ」と判別していたようです。特に赤ランプ系は、普通の蛍光灯の色にしか見えていないとのことでした。

    眼科での検査では、赤色異常も緑色異常もよくわからない、と言われ、眼圧の検査も異常なし、とてもきれいと言われました。

    診断がほしいわけではありませんし、治療法がないこともわかっていますが、将来学業や就職、生活に困ることはないのか心配です。何かもう少し検査をした方が良いのか、
    今のまま、自分の見え方はほかの人と違うということを意識して生活することでOKなのか・・・

    なにかアドバイスがいただけたら幸いです。
    こんなコメントを書いてしまって良かったでしょうか?
    御迷惑であれば削除してください。

  2. こんばんは!
    こういう質問に役立てばと思って続けていますので、迷惑ではありませんよ。

    正常色覚のお母様にとっての白や赤と、お子様が感じているそれとは、異なるものです。なので、赤を白と思っているといううより、赤を少し薄い光としてしか感じていないのかもしれません。1型2色覚なのかもですが、正確には検査をしてみないと・・・。

    「眼科での検査では、赤色異常も緑色異常もよくわからない」というのが気になったのですが、色覚検査で全く異常がなかったという事でしょうか?もしそうであれば、心因性障害なども鑑別しないといけませんが。

    本人が自覚しているなら、間違えやすい・判別しにくい色をまとめていって、気をつける習慣や、どのように乗り越えていくのか?を体験させていくのがいいかと思います。

    職業については、色覚異常?で記載しましたが、僕が意見出来る立場ではありません。「色覚異常があっても、頑張っていく」という人もいますし、「出来る限りのリスクを避けたい」という人もいます。本人の性格や、ご家族の考え方にもよります。

    あまりお力になれなそうですが、すみません。

  3. 早々にお返事いただいていまして、ありがとうございました。

    赤を少し薄い光としか感じていない・・・まさにそのような感じです。

    実は、私も中学生の時の色覚検査で、首を傾げられ、他の人より時間をかけて、何度もページをひっくり返されて検査されました。が、特に何も言われず・・・

    娘も小学校4年の学校での検査では、同じような状況だったようで、眼科受診してくださいという手紙をもらいました。眼科でも、正常ではないけど、点数的に悪いわけではないという感じでした。

    職業については、「これも個性」として考え、才能ある部分については伸ばしていくことを応援し、弱い部分についてはどうしたら補えるか一緒に考えていければいいかなと思っています。
    すでに、お友達に悟られないような会話技術は身についているようです。
    今、困っている問題は、黒板の赤いチョークが全く見えないということなので、学校には学年が変わるたびに説明に行かなければならないかなと思っています。

    いろいろと勉強になるホームページを作ってくださって、ありがとうございます。

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