網膜下血腫

今日は5名の患者様に以下の手術を行いました。

・白内障手術 8件
・網膜硝子体手術 1件

本来は、4名の両眼白内障手術のみの予定でしたが、緊急の患者様が来られたため、追加で行いました。

網膜下血腫(もうまくかけっしゅ)

光を感じとるフィルムを網膜と呼びますが、網膜下血腫は網膜の裏側に血液がたまってしまう病気です。網膜から出血する場合に、多くの場合は眼内の広いスペースに出血し、この場合は硝子体出血と呼ばれます。硝子体出血のみの場合は手術により出血を除去することで、原因にもよりますがほとんどの場合で良好な視力が回復できます。
網膜下血腫の場合は、血液毒性などと言って、血がたまっていること自体で、時間とともに網膜が死んでいってしまいます。発症後1ヶ月などたっている場合にはすでに回復は見込めません。ですので、もちろん血液の量や病気の程度によりますが、一般的には、早急に対応する必要があります。

治療法としては、手術による方法や、空気注入によって血腫の移動を促す方法があります。
目の中に空気を注入してから、数日?1週間程度のうつ伏せをすると、空気の浮力により血腫が押し出されて移動します。移動した先の網膜はダメージを受けることになりますが、物をみる中心部の視力が回復しやすくなるため、多くの場合に試されます。(手術は眼科の中では非常にリスクが高い手術であり、重度の場合以外では手術を選択しません)

今回の患者様は、かなり広範囲に血腫があり、うつ伏せによって移動させることが困難なこと、視力は眼鏡をかけても指数弁(0.01未満)と非常に重篤であること、また、89才と高齢でお体の不具合があり、うつ伏せをすること自体が不可能などの理由があり、来院後早急に手術をさせて頂くこととなりました。
硝子体手術で目の中に器械を挿入し、網膜の一か所に穴をあけ、きれいな水で血腫を洗い流したり、比重の重い特殊な液体で血液を押し出すなどの処置を行いました。白内障とあわせて40分弱の手術で、非常にキレイになったと思います。
本来は空気を入れて、うつ伏せになることで、手術後の網膜剥離を予防する必要がありますが、今回はうつ伏せができませんので、シリコンオイルと呼ばれる油を目の中に入れて手術は終了です。

網膜下血腫は時間との戦いです。極軽度の場合は経過観察をすることもありますが、ある程度異常であれば上記のような治療をすることで、視力が回復する見込みがあります。発症後1週間以内、出来れば2,3日以内に治療をさせて頂ければと思います。(みなさん、なかなか発症早期に受診して頂けないのですが・・・。)

しかし、今日はスタッフ全員、お昼休みを中止して手術を行ったのですが、来院から手術の時間が非常に短くて助かります。医師がやりたいと思っても、病棟などの準備など、なかなか思い通りにできないことが多くあるのですが、緊急手術をしたいと思った時にすぐにできる。僕がいうのもなんですが、当院のスタッフは優秀だと思います。眼科冥利につきます[:グッド:]

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

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