眼窩脂肪ヘルニア(脂肪脱)?

今日の午後は以下の手術を行いました。
・翼状片手術(遊離弁移植)1件
・斜視手術(前後転)1件
・白内障手術 12件
・網膜硝子体手術(茎離断)2件
 (裂孔原生網膜剥離:重症、黄斑前膜)
無事に終わりましたが、網膜剥離の方は古い全剥離で、網膜全周切開+シリコンオイル置換という大変な術式となりました。

さて、新しい話題でも。
眼窩脂肪ヘルニア(脂肪脱)?
ヘルニアとは、体内の臓器が、本来あるべき場所からズレてしまった状態を言います。
・脊椎の椎間板がズレると、椎間板ヘルニア。首なら頸椎ヘルニア、腰なら腰椎ヘルニアとか。僕は頸椎ヘルニアで困っています・・・。
・足の付け根の靭帯が弱って、隙間から腸がプリンっと出てきてしまう、ヘルニアも有名でしょうか?脱腸(だっちょう)とも呼ばれます。

眼窩脂肪ヘルニアは、その名前の通り、眼窩(眼球の後方)にあるべき脂肪が、移動して、目の前の方に出てきてしまう病気です。

ピンク矢印の先に、プックリとした柔らかい膨らみがあります。これが脂肪ヘルニアです。

眼窩脂肪
眼窩(がんか)とは、眼球が入る頭蓋骨のくぼみのことです。
(眼窩底骨折のサンプル)
ドクロって、目が入るところがくぼんでいますよね??
この眼窩の中に、眼球(目玉)や、外眼筋(がいがんきん)と呼ばれる眼球を動かす筋肉、血管や神経などが入っています。他に、眼球の後ろ側のスペースや筋肉の隙間は、脂肪で満たされていますが、この脂肪の事を眼窩脂肪と呼びます。眼窩脂肪は、眼球をぶつけた時にクッションの役割する事などをして役立ちます。

MRIですが、中央左にある白い丸が眼球。その後ろ、写真の右側に筋肉や脂肪が写っています。イメージ図の方がいいかな?

・赤矢印の先が外眼筋。外眼筋は大きなものが、上下右左の4つ、他に斜めに働く小さめのものが2つで、合計6つの筋肉が眼窩の中におさめられています。
・緑矢印の先の黄色い部分が眼窩脂肪です。眼窩脂肪ヘルニアは脂肪が青矢印の方に、眼球の前の方に出てきてします病気です。

原因は、strong>ほとんどが加齢・年齢によるものです。
本来眼窩の中は、眼球や筋肉、筋膜(靭帯)などでギュウギュウに埋められているのですが、筋肉や靭帯が加齢によってやせ細って、眼窩に隙間ができ、その隙間から、本来眼球よりも後ろ側にあるべき眼窩脂肪が、眼球の前の方に出てきてしまうのです。

同じ人の左右の目では、眼窩の形状や眼球の大きさ、外眼筋などに大きな違いがあることは少ないので、両眼性になる場合が多いようです。

治療法などは別の機会に。今日もお読み頂きありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です