目の愛護デー

今日の午後は以下の手術を行いました。
・眼瞼下垂症手術 2件(炭酸ガスレーザー:ミュラー筋タッキング)
・白内障手術 12件
・網膜硝子体手術(茎離断)3件
 (裂孔原性網膜剥離1件、糖尿病網膜症・硝子体出血1件、黄斑前膜1件)
みなさん無事に終わってよかったです[:拍手:]

さて、みなさん、今日は何の日か御存じでしょうか??
10月10日は「目の愛護デー」です。
10 を横から見たときに、1が眉毛、0が目玉と考えて、当て字のように決まったのでしょう。
時計回しに90度回すと、
顔・目に見えますか??

残念ながら、多くの患者様は「目が見えなくなったら、眼科に行こう。」と思っているようです。

確かに、見えなくなってから病院に行っても、後から治せる病気というのもあり、白内障などはその代表例です。レンズが濁って見えにくくなったら、キレイな新しいレンズと交換をすれば治ってしまいます。僕は外来で、「白内障はご希望があれば、治すお手伝いを引き受けますが、ご希望がなければそのままでいいですよ。特に問題がなければ細かな定期通院も必要ありません。1年に1回くらいは見せてください。」と説明しています。

しかし実は、失明してしまうような目の怖い病気は「見えなくなってから受診しても、元に戻すことができない。」のが特徴なのです。
例えば、日本人の失明の原因の1位が緑内障、2位が糖尿病網膜症になります。
失明の原因:以前のブログも参照下さい。)
緑内障も糖尿病網膜症も、どちらも、自覚症状が乏しい病気で、「本人が見えにくいのに気づいた時には既に末期。」ということが多々あります。
痛くもかゆくもなくて、知らぬ間に進んでしまい、しかも、「見えなくなったら戻らない。」のです。

自覚症状として「見えなくなったから眼科に行く」のではなく、「見えているうちに、病気があったら食い止める治療をするために、検診に行こう。」が正しいのです。
・緑内障は遺伝するリスクが高い病気です。家族に緑内障の患者様がいる方は、何の症状もなくても、一度眼科を受診しましょう。
・糖尿病で内科にかかっている人は、何の症状もなくても、眼科で定期健診をしましょう。
・そして、眼科医の願いとしては、とくにリスクがない人でも、1年に1回でいいので、目の定期健診をしましょう。

本日の外来では、「今日は目の愛護デーなので、病気がないか検診に来ました。」という患者様は残念ながら1人もいませんでした・・・。
(糖尿病、黄斑変性症、初期緑内障で、1年ぶりの定期健診を申し込んで頂いた方はいましたが、目の愛護デーを狙ったのかは不明です。)

そして、もうひとつ、何か目に症状があったら、出来るだけ早く眼科にかかりましょう。健康な人にとって、物を見るということは、何も考えずに無意識に行う行為です。少しでも「見えにくい」、「痛い」、「違和感」を感じたら、早めに眼科の診察を受けてください。
「たいしたことないかな?」と、自己判断により病院に行かなかったり、治療を怠ったりすると失明という最悪の結果に至る場合があります。
今日、緊急で手術をした網膜剥離の患者様も、「中心部が見えなくなって、1週間待ったけど治らないから、受診した。」なんていう訴えでしたが、完全に手遅れです。手術で失明を防ぐことはできたと思いますが、視力1.0以上への回復は期待出来そうにありません・・・。

もう、今年の「目の愛護デー」は終わってしまったのですが、ブログを読んで下さった方に一つ。
「あいうえお」
片目を隠して、片目で「あいうえお」がきちんと読めますか?
黄斑に起こる病気などは、両目で見ていると気がつかない場合があります。左右、どちらかの目の見え方が、少しでも悪いようであれば、明日眼科にかかりましょう。
(老眼鏡をかけて見えるのであれば、問題ありません。メガネをかけても見えにくい場合です。)

“目の愛護デー” への2件の返信

  1. 栗原先生
    こんばんは!
    毎度興味深いお話し有り難うございます。
    今回のお話しはグッと身にしみました。
    今思えば、あの段階で眼科に行くべきだった…と後悔することもあります。
    先生のいわれるように、自覚症状が出たときには、相当進行している状態の場合がありますよね。僕は去年の4月に近くの眼科を受診したのですが、設備的に手におえない状態で即大学病院へ紹介となり、大学病院で診察を受けたとほぼ同時に入院でした。当然準備もしておらず、生活が一変してしまい大変な思いをしたなぁと…思い出しました。振り返る事ができるのも、自己反省があり、悪くなった目も自分なりに受け入れ、逆に自分の体の一部としていとおしくなったからです。自分の目に『ごめんね』と…。
    健康なうちに検診は受けるべきですね。今は食生活も意識しているので月に一回の血液&尿検査もすべて基準値内です。
    これは厚かましい願望かもしれませんが、糖尿病と診断されたとき、内科ドクターから『念のために眼科受診もおすすめします』と言葉がけがあれば、眼科に向かう方も増え、早期発見・早期治療にも つながると思います。もちろん言葉がけされている内科ドクターも沢山おられると思いますが…。
    僕はドクターではありませんが、友人・知人には何の症状なくても半年に一回は目の検査は受けるよう話しています。短期間に20回近く手術を受け、急激に視力を落とした本人からの話しは意外に説得力ありました。異常なかったよ!と連絡してくれる友人も何人かいました。異常なかったのは勿論嬉しいですが、眼科に行ってくれたんだなぁと、その喜びも大きかったです。僕なりにも役に立てたんだと自己満足もあります。
    先生、これからも情報提供宜しくお願いします。
    長々と失礼しました。

  2. Y様
    こんばんは。遅くなってすみません。
    その後、落ち着いた状態でいらっしゃるでしょうか?
    自覚症状があっても、治ってしまうかな?と思うくらいですし、自覚症状があまりない時に病院に行くのは、実際には難しいですよね。
    「検診は大事」だと、眼科医師としての職業からは常日頃思っているのですが、実際には僕自身も眼科の検査を受けることは殆どなく・・・。
    日頃の不摂生がたたり?(毎日不規則で夜中に食事が多くて・・・。)実は僕も毎日内服薬を服用しています。本当はきちんと血液検査などをするべきですが、平日の日中は忙しく、ついついサボって、そろそろ1年・・・。
    患者さんには「きちんと来ないとダメ!」と言い張っているのですから、自分にも厳しくしないとですよね。
    今月中に必ず、血液検査を受けます!!

    なんのお返事が分からなくなってしまいました。すみません。
    Y様の状態が落ち着いていることを願っています。

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