加齢黄斑変性症? 検査:蛍光眼底造影検査

今日のお昼は以下の手術を行いました。
・眼瞼腫瘍切除 2件
・翼状片手術 1件
・白内障手術 6件
みなさん無事に終わりました。

加齢黄斑変性症? 
検査:蛍光眼底造影検査

加齢などによって黄斑部の性状が変わってしまう病気が、黄斑変性症。
ひと言で「性状の変化」と言っても、いろいろなタイプがあるのですが、網膜に水がたまったり、出血をきたす病態を、滲出型黄斑変性症と呼ぶことを、黄斑変性症?で記載をしました。
滲出型黄斑変性症では、黄斑部の網膜に新生血管(しんせいけっかん)と呼ばれる、「弱い血管」が形成され、そこから水分や血液が漏れ出して貯留してしまうのです。

前回?で、診察や眼底カメラで、黄斑の状態を観察することを記載したのですが、眼底カメラでは、出血をしたり、水分が漏れ出したという結果は分かっても、「どこから・どのように・どんな程度で」、水が漏れ出しているのか?出血をしているのか?ということは、正確には評価ができません。
こんな時に役立つのが、蛍光眼底造影検査になります。

まず、フルオレセインや、インドシアニングリーンという造影剤と呼ばれる薬を、腕などから点滴で血管の中に流します。
血流に乗って、眼内の血管の中を流れた造影剤は、眼底カメラの光に反射をして、血管が白く写つります。これを連続して撮影することで、眼内の血液の流れを把握することができます。
造影剤は正常な丈夫な血管からは漏れ出ることはありません。ところが、新生血管と呼ばれる弱い血管がある場合には、そこから造影剤が漏れ出してきてしまうのです。



当院で治療をしている、黄斑変性症の患者様たちのサンプルです。
左が通常の眼底写真です。黄斑部に病気があるのは分かっても、血管からの漏れ出し(滲出性病変)があるのかは不明です。
中央の写真は、造影剤を流して、数十秒後に撮影した蛍光眼底造影の結果です。そして、右の写真は、さらに数分経過したあとに撮影したものです。

上の3症例のように、滲出型黄斑変性症で、新生血管がある場合には、新生血管から造影剤が漏れ出て、病変部に溜まった造影剤が白く写ります。出血をしやすい悪性度の高い弱い血管ほど、漏れ出しが大きく、時間がたつごとに病変部がどんどん白くうつるようになります。

蛍光眼底造影検査は、黄斑変性症の確定診断時や、治療によって病気がどの程度良くなっているのか?完治しているのか?再発がないか?などの判定を行う場合にも使用されます。

とても重要な検査なのですが、造影剤にアレルギーを持っている人が検査を受けると、吐き気や蕁麻疹が生じることがあったり、非常に稀ですが、重症例ではショックと言って命にかかわる重大な副作用が起こることがありえます。(当院では造影検査を行う時には、近くに人工呼吸を行うためのマスクや薬剤などを常備し、すぐに内科や外科の医師の協力が得られるようにしています。)
ですので、症例によっては、造影剤の検査を行わなくても、明らかに黄斑変性症の確定診断が出来る場合や、治療法を迷う必要がない場合には、造影検査を省いてしまうケースもあります。

今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
明日も友人の先生の医院で硝子体手術のお手伝い。夜は小児眼科の偉い先生と食事をさせてもらえることになりました。最近、小児で悩む症例が多かったのですが、よく勉強をしてきます。
なかなかブログの更新が進みませんが、実際の診療も大事なので。

“加齢黄斑変性症? 検査:蛍光眼底造影検査” への2件の返信

  1. 栗原先生
    おはようございます。
    日々本当にお疲れさまですm(_ _)m
    黄斑変性症の連載すごく分かりやすいです。造影剤検査も受けたなぁと懐かしく思い出しました。過去に受けた検査の目的が鮮明になり、すっきりしますよ。
    今、連載されている黄斑変性症ですが、実は黄斑浮腫を抱えており、現状緊急性はなく様子見なんです。変性症と浮腫とは全く違うと思うのですが、機会がございましたらブログで触れていただけると光栄です。
    先生もお忙しい身ですので、どうぞお時間の許す時にでも宜しくお願いします。
    黄斑浮腫について、過去ブログに触れていた場合、見落としていると思いますので、その際は掲載年月日を紹介していただけると嬉しいです。
    いずれにしても新生血管は厄介ですよね(>_<)
    素人思考ですが、やはり浸出型の変性症の処置・治療としてはアバスチンなど注射して新生血管を収縮させるのでしょうか?
    明日の食事会が充実した一時になりますよう遠くから祈っております。

  2. こんばんは。
    糖尿病網膜症も、黄斑浮腫も、黄斑変性症も、やはりVEGFと呼ばれるホルモンの作用によって、新生血管が形成されることで病態が悪化します。
    ご指摘の通り、アバスチンなどが治療法のメインになります。
    黄斑浮腫も、ずっと記載しようと思っていたのですが、なかなか筆が進まず・・・。少しづつ頑張っていきたいと思います。
    僕は浮腫が大嫌いで、かなり積極的に治療をしています。

    そうそう、最近、角膜内皮細胞の減少を予防したり、再生を促す薬を動物実験に使用して、良好な結果が得られた。という文献を雑誌でみました。早く、そういった医学が進むといいなと思います。

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