霰粒腫? 手術(瞼板切除術)

今日は以下の手術を行いました。
・翼状片切除術(遊離弁移植) 1件
・白内障手術 9件、 眼内レンズ2次挿入 1件
・網膜硝子体手術(茎離断) 3件
 (網膜剥離、増殖糖尿病網膜症、黄斑浮腫-BRVO)
皆さん無事に終わり良かったです。

今日は時間も出来たので久しぶりに病気のブログを。
霰粒腫? 手術治療(瞼板切除術)
霰粒腫の病気の説明に関しては以前のブログを参照下さい。
多くの霰粒腫は、点眼薬や軟膏による治療で治ってしまうのですが、なかには治りにくい霰粒腫もあるようです。薬を使っても治りが悪い場合や、ステロイド剤の副作用が強く出て薬が使えない場合など、数十名に1人ですが、手術が必要になる場合があります。
まぶたの中には、まぶたを形作るために必要な、少し固めの組織があり瞼板(けんばん)と呼ばれますが、霰粒腫のもとになるマイボーム腺はこの瞼板の中に含まれます。
前回、霰粒腫?のブログで書いたような、簡単に潰したり、切開できるような霰粒腫は別として、ある程度しっかりとした霰粒腫を治そうとすると、瞼板の組織を含めて切除することになり、瞼板切除術、または巨大霰粒腫摘出術と呼ばれます。

先月手術をした患者様の例で。
瞼板切除術(けんばんせつじょじゅつ)

下まぶたに弾力のあるしこりを触れ、まぶた全体に腫れが広がっています。
1ヶ月間、点眼薬と皮膚側には軟膏を使用しましたが、軽快が得られず手術となりました。

まず、霰粒腫を摘出するための切開場所の選択ですが、基本的にはアッカンベーをしたまぶたの裏側・結膜側と、まぶたの表面の皮膚側からの切開があります。

皮膚を切ると少なからず(時間が経てばあまり目立ちませんが)、キズあとができてしまうので、可能な限り、まぶたの裏側・結膜側からの切開を行います(図の青丸は青矢印の方向から摘出)。霰粒腫の位置が図の赤丸のように皮膚側に接していて、裏側からの摘出が困難な場合には赤矢印の皮膚側から切開をします。
今回は裏側からいけそう。


はじめに、まぶたの皮膚側(5秒間)と、裏側(3秒間)の両方に、止血効果を含んだ麻酔薬を注入します。麻酔の注射は結構痛いようです。申し訳ありませんが頑張りましょう。

麻酔が効いたら、まぶたをクリップのような器械でハサミます。これによってまぶたの血流を遮断し手術中の出血を防ぎます。クリップを矢印のようにクルッと返すと、

こんな感じで、まぶたの裏側が見えるようになります。

メスで結膜を切開し、霰粒腫を露出させます。

クリップで挟んでも多少は出血するので、電気凝固で止血をしながら、

矢印の先の霰粒腫をまぶたの組織から剥離して摘出します。

キレイに無くなりました。

最後に、はじめに切開した結膜を糸で縫って、傷を閉じたら終了です。

局所麻酔で10分から15分程度の手術です。
手術自体の費用は3割負担で5000円程度。

他に再診療や投薬代などがかかります。

傷口を縫う糸は、まぶたの裏側のものは勝手に吸収されるので抜糸は不要ですが、皮膚側から縫った場合には、術後1週間ちょっとで抜糸が必要になります。


手術翌日の写真です。裏側からの手術では大きな出血がなければ、翌日から皮膚の見た目はキレイです。まぶたの裏側は傷口のヒキツレがありますが、徐々にキレイになっていきます。皮膚側の切開では抜糸までの1週間程度は、結構腫れることが多くなります。
術後は2?3回程度の診察が必要です。

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