眼瞼腫瘍(まぶたのしゅよう) ? 手術その2

昨日は、つくば市で新しく開院した眼科様から網膜剥離の紹介がありました。
当院へは初めての紹介でしたが、早期のご紹介のおかげで、無事、黄斑が剥がれる前に手術ができました。経過もよく月曜日に退院可能と思います。早急な対応をありがとうございました。

今日の外来では、わざわざ横浜から「まぶたのできもの」の切除希望でいらした患者様がいらっしゃいました。簡単にキレイにできそうでしたので、そのまま切除をお引き受けできました。
ただ、ちょっと気になっていたことがあったので、途中になっていた「まぶたのしゅよう」のブログの続きを書いてみたいと思います。

眼瞼腫瘍(まぶたのしゅよう) ? 手術その2
眼瞼腫瘍?眼瞼腫瘍?手術方法にて、
腫瘍には良性腫瘍や、悪性腫瘍(癌)があること、
主に手術で、他には冷凍凝固や炭酸ガスレーザーで治療することがあることを記載しました。

ここで手術治療の基本ですが、
・できものが、良性腫瘍と思われる場合
⇒できるだけ、腫瘍のみを切除し、周囲の皮膚や正常組織を残すようにすることで、傷跡が目立たなくなるようにします。具体的には腫瘍から1mm未満の少しだけ外側にメスを入れます。
(腫瘍が良性であることが確実な場合は、腫瘍成分が多少残っても見た目を優先させる場合もあります。)
・できものが、悪性腫瘍(癌)と思われる場合
⇒悪性の程度にもよりますが、絶対に主要組織を残してはいけませんので、例えば腫瘍からさらに3mm程度外側を大きく切除します。そのために、傷口が多少大きくなっても、見栄えが悪くなっても仕方ありません。

僕たちは「第一に安全」を。そして、「次に見栄え」を考えて手術をします。
できる限りキレイに。という意思はもちろんあります。

涙嚢腫瘍摘出後に皮膚を3角形に切開後、反転させて縫ってみたり。

Trichoepitheliomaという良性腫瘍ですが、皮膚ギリギリで切除後、内眼角(目頭)に切開を入れて縫ったり。(中央写真は抜糸前)

良性のイボの仲間ですが、出血しやすい患者様でしたので、メスは使わず、炭酸ガスレーザーで薄く剥離したり。

老人性疣贅はメスでの切除ではなく、炭酸ガスレーザーで蒸散(焼いて組織を消滅させてしまう)させたり。

とにかく、できるだけキレイにしたいという思いはもっています。
それでも、「手術をすれば、必ず傷ができる」のです。

上の炭酸ガスレーザーの術前後の写真ですが、右の手術後の写真は、傷口が少し掘れているのがわかりますか?これは切除後翌日なので、数か月後にはもっと目立たなくなってはいますが、近づいてよーく観察すれば、わずかな傷は残ってしまうでしょう。

一重が美人か、二重が美人かは、その人の価値観によって異なります。
同じように、「どの程度の手術の傷を見栄えが悪いと感じるか?」
そして「まぶたに、どの程度のできものがあると見栄えが悪いか?」
というのも、人によって異なります。
ですので、できものがあるのが見栄えが悪いから手術をした時に、
もし、手術後の傷跡のほうが、より見栄えが悪い。なんてことになったら、
本末転倒ですよね??

患者さんから、非常によくあるご意見なのですが、
「できものが気になるから、今とっちゃってください。簡単なんでしょ?」
というものがあります。
例えば、少しくらい長く薬を使っても、きれいに治りそうな霰粒腫であれば、今は見栄えが悪くても、それは切らずに治すのがいいのではないでしょうか?と医師としては思うのです。

また、切除方法が異なるので、悪性か?良性か?、どんな腫瘍なのかを少し観察しながら調べたい。ということも多々あるのですが、それを患者さんに伝えると、
「とってくれないなら、別の病院にいくよ。」なんてお叱りを受けることもあったり・・・。医療と、患者さんの満足度って、なかなか難しいものです。

できものは、「なんでも取ればいい。というものではない」のです。
医師が様子をみようという時は、それなりに理由があるのかな?とご理解くださいね。

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