結膜の悪性腫瘍

今週は千葉県の開業医様が手術見学に来てくれました。
恥ずかしながら財布を忘れてしまい、夕食をご馳走になったのですが、
僕の知らない色々な話が聞けて良かったです。
主に白内障手術や、眼内レンズ交換の手術をみて頂いたのですが、
当院にいらっしゃる先生方は翼状片手術に興味を持って頂くことが多いようです。(→翼状片手術の詳細ブログ

翼状片の話題から、少し話しをすすめてブログを書いてみます。
結膜の悪性腫瘍
結膜(白目の粘膜)に何かができて受診される場合、そのほとんどが良性です。
当院では、瞼裂斑などの見た目の問題での手術は引き受けていないので、手術を行う大多数が翼状片になります。
←翼状片のサンプル

ただし、同じようなできものがあっても、自己判断で翼状片と決めつけてはいけません。

昨年当院で手術をした、高齢の女性の患者様です。
以前から翼状片で通院歴があったようですが、残念ながら翼状片ではありませんでした。扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)という悪性腫瘍でした。
命に係わる可能性があり、抗癌剤の希釈点眼薬で小さくさせた後に手術で切除をしています。現在も定期的に抗癌剤の点眼薬を使用していますが、幸い再発もなく安定しています。
術後経過


これは悪性リンパ腫といって、白血病の一種です。一部を切除し、顕微鏡で観察をして確定診断になります。治療は血液内科に紹介となりましたが、抗癌剤や、場合によっては放射線による治療が必要になります。早期発見で助かりましたが、やはり発見が遅れれば命に係わる病気です。

目にちょっとできものができても、あまり気にしない人もいるかもしれませんが、眼科でもたまには悪性(癌)が見つかることもあるのです。あまり自己診断をせずに、できものができた時は一度は専門家の診断を受けてくださいね。

眼科医って、あまり命にはかかわらないはずですが、なぜだか当院は悪性腫瘍の患者様がしばしば来院されます。今年に入ってだけで、脳腫瘍が3名も見つかったり・・・。

“結膜の悪性腫瘍” への2件の返信

  1. 馬の片目が角結膜扁平上皮癌と診断されました。
    動物なのでこの欄でお聞きするのは場違いとは思いましたが何かしらコメント等をお聞きできればと思い投稿させて頂きました。動物眼科クリニックの獣医師の処方で現在マイトマイシンを生理食塩水で希釈した点眼液とタリビット眼軟膏を使用しています。
    乗馬クラブの専属獣医の方は 刺激は与えないほうが良いので23歳になったばかりの高齢馬ですしこのまま治療せずにいたほうが良いです という意見です。
    それでしばらく治療はやめていたのですが1ヵ月くらいの間に赤くなってきて目やにもかなりひどくなってきましたのでクラブ専属の獣医さんは 目やにが治まれば使用をやめて 出るようであれば又使うほうが良いですとの意見です。

    使い続けないほうが良いのでしょうか。眼科クリニックの先生はタリビット3%はクラビット5%より弱いので続けても効果が持続できる言われました。

    それとマイトマイシン希釈の点眼は手袋を着用といわれました。
    素手では人間にも影響をおよぼすのですね。
    後で手洗いしても駄目でしょうか。

    細胞の縮小は望めますでしょうか。
    色々お聞き致しまして申し訳ございません。

    1. 基本的に薬品を使用する場合は手袋の着用が推奨されます。(マイトマイシンは抗ガン剤なので特に)
      角結膜扁平上皮癌はマイトマイシン点眼がよく効き、多くの場合でみるみる腫瘍が縮小します。
      高齢であれば、生命予後に影響しない可能性もあると思います。(他の原因で寿命を迎える)
      マイトマイシンで角膜上皮障害などが起こり、感染症のリスクは高まります。
      メヤニがひどいのであれば、抗生物質が必要ですが、タリビットが継続されるべきかどうかは、
      タリビットが効果的か、無効か(耐性菌)によります。
      人間であれば、眼脂を培養して調べるものですが・・・。

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