第68回 日本臨床眼科学会

今晩は土浦市、牛久市の眼科の先生と勉強会・食事会をしました。3人とも同世代でいろいろ刺激になりました。

さて、先週11月13日?16日は神戸で大きな眼科の学会がありました。僕も宮井副院長も発表があり、期間中の外来を制限させて頂くなど、患者様にはご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
第68回 日本臨床眼科学会


宮井先生は「糖尿病患者の網膜光凝固で誘発される黄斑浮腫の予防についての検討」という演題での発表となりました。
糖尿病網膜症に対して、失明を防ぐための最もベースとなる治療法は、網膜光凝固術(レーザー治療)です。(⇒病気の詳細は以前のブログを参照
失明を防ぐために行う必須の治療ですが、残念ながら治療のせいで逆に中心視力が治療前よりも下がってしまうケースもあり得るのです。当院ではケナコルトというステロイド剤と、アバスチンという抗VEGF薬の注射を予防的に併用する治療を積極的に行っていますが、治療した52例の全員が誰一人、視力低下が起こらず、黄斑浮腫の悪化を認めなかったことを発表しました。
日本でも、最近はアバスチン以外の抗VEGF薬が2種類、正規に販売されましたが、当院では数年前から未認可の状態でも先進的な治療を行ってきた結果の成績です。
昨日、抗VEGF薬の製薬メーカーの方から連絡があり、年明けに勉強会の講師を依頼して頂けました。こちらも頑張ります。


僕は「強制的に視野の欠損を認識させた緑内障患者における通院継続率の検討」
という演題で発表しました。
(⇒緑内障に関するブログはこちらを参照
緑内障は末期になるまで自覚症状が乏しいことで有名な病気です。痛くもかゆくもなく、自分自身では見えていないことに気が付きません。このため人間ドックなどをもとに早期発見・早期治療ができても、途中で通院や点眼を辞めてしまうことが多いことで問題になります(治療中断)。ある発表では治療開始後の1年間で40%の人が治療から脱落してしまったというものもあります。
本人は見えていると思っても、マリオット盲点と呼ばれる誰にでもある「見えない場所」や、緑内障の病気で「見えない場所」を自覚させることで通院の継続率が改善したことを報告しました。
僕はかなりしつこい性格なので??、予約日に受診していない人には数ヶ月後に電話をしたりします。2011年に当院で緑内障と診断された患者様はなんと3年間の経過で97%の患者様に通院を継続して頂いております。当院の成績は良好であったことも発表しましたが、学会発表ができたのは、当院の患者さんが非常に優秀だからです。本当にありがとうございました。

盲点や暗点などを自覚してもらうために、以前に自作した道具「栗棒」を使ったのですが、発表後に問い合わせがあり、なんと2本を販売することになりました。
(⇒マリオット盲点・栗棒については以前のブログを

そして今日は、都内の眼科の先生というか、日本を代表する緑内障の名医の先生からポスターを見たとお電話を頂き、緑内障の啓蒙についてお力を貸して頂けることになりました。今回の発表で参考文献にさせて頂いた重鎮の先生から、直接お電話を頂けるなんて思ってもいなかったので、本当にうれしかったです。

今後も大きな学会での発表がいくつも予定されていますが、情報発信に向けて頑張っていきます。

“第68回 日本臨床眼科学会” への2件の返信

  1. 27Gでのビデオは、画像が暗くて、ちょっとのせずらいのですが、25Gの簡単な症例のビデオをUPしてみますね。
    (時間のかかる症例はアップロードが大変です・・・。)
    今、出張中なので数日後に。

    27Gで、キレイに撮影できるようになったら、いろいろのせてみたいと思います。

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