ドライアイ? 涙の役割

今日の午後は出張で手術でした。ときどき、他の病院様に伺うと、なんとなく気分的にリフレッシュできます。手術中に相手方の先生と話をしたりするのも楽しいです。

ドライアイ(乾性角結膜炎)
昨日から引き続き、ドライアイのお話です。
今日は、正常な涙に関して記載します。

?涙は目の表面を守るバリアです。
体は皮膚で覆われ、皮膚によってバイ菌や、乾燥、熱、紫外線などから守られています。物を見るためには、眼球は光を通す構造をしていなくてはなりません。そのため、目の表面を皮膚で覆うわけにはいかないので、涙の膜が覆う事で、乾燥やその他の外敵から目の表面を守る必要があります。
例えば、目に異物やホコリが入った場合には、涙が多く分泌されて異物やホコリを流すようにします。
また、体でバイ菌が繁殖した場合には、血液のなかの白血球という細胞が頑張って菌をやっつけます(免疫・抵抗)が、角膜(黒目)などには、光を多く通す目的があるため、血管や白血球がありません。このため、涙の中には菌をやっつけるような免疫を担当する物質が含まれています。
他にも、体は血管の中の血液によって栄養分や酸素が運ばれますが、同じ理由で角膜には血管がないため、空気中の酸素が涙に溶け込み、目の表面から角膜内に酸素を取り入れるなどの働きにも関与しています。

?レンズ効果
目の表面が涙の膜で均一に覆われた状態が、最もよく見える正常な状態です。お風呂の鏡も、お湯をかけて水の膜が一枚出来ている状態が最もよくうつると思います。時間がたって、鏡の上の水の膜が途切れて水滴になってくると白く曇ってしまいます。
角膜と涙の関係も同様で、角膜の表面の涙に乾いた場所ができると、その場所を通る光が曲がってしまったり、散乱と言って光が広がってしまうため、お風呂の鏡のように白っぽくボヤけてしまいます。
正常の人でも数十秒も目を開けているとボヤけてしまいますよね?(表面が乾くのを感知すると、涙がたくさん出てきて溢れてしまいますが、瞬きをしない限り目の表面が均一に濡れるわけではないので、ボヤけます。)

涙は水だけで出来ているわけではありません。「涙の3層構造
実は、涙は角膜の表面から外界に向かって、三つの層に分けられます。
?最も外側は「油層」といい、上下のまぶたの縁(まつげの根元付近)にあるマイボーム腺という組織から分泌される油からできています。油層があることで、まばたきが滑らかになったり、その下にある水層、涙液の蒸発を防ぐ作用があります。
?中間にあたるのが「水層」で、水を主成分とする液体の層です。涙の大半を占める涙液の層で、涙液は上まぶたの裏側にある涙腺で作られます。涙液は眼球の粘膜を潤すだけでなく、角膜や結膜に栄養を届けたり、細菌の侵入を防いだり、粘膜にできた傷を早く治す働きをしています。
?角膜に一番近い部分が「ムチン層」です。ムチンは結膜や角膜から分泌される粘液です。角膜のみに比べると、保水力のある粘液が間に存在することで、涙液の蒸発がゆっくりになります。また、表面張力などの影響を受けずに、涙がすき間なく、角膜全体に均一に広がることができます。

涙の流れ、まばたき
目を潤すための瞬〈まばた〉きの役割
涙の主成分である涙液は、涙腺という組織で作られ、角膜の刺激や、まばたきによるポンプ作用によって、目の表面に出てきます。目の表面を潤したり、栄養を与えた後は、一部は表面からも蒸発しますが、多くは涙点と呼ばれる目がしら付近の排泄口から鼻の奥の方に流れていきます。(流れが良い人は、目薬を付けた後に苦みを感じたりするのはこのためです。)

表面に出てきた涙液を角膜の全面に均一に広げる役割を持つのが、まばたきになります。涙の膜はなにもせずに10秒ほど過ぎると、所々にすき間ができて角膜が露出した部分が生じてしまいますが、瞬きをすることで涙が目の表面全体に均一に押し広げられ、すき間ができるのを防いでいます。さらに、汚れた涙を涙点(目頭にある涙の排出口)へ運ぶのも、瞬きの働きです。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です