角膜潰瘍

今日は以下の手術を行いました。
・白内障手術 7件
・結膜弛緩症 3件
・緑内障 3件
無事に終わっています。

緑内障は3名ともに、眼科ではラストアイと呼ぶのですが、手術をする反対側の目が失明やほぼ失明に近い状態の患者様で、一晩眼帯をするのがかわいそうです。頑張ってほしいと思います。
結膜弛緩症は、最近テレビで取り上げられたらしく、患者様から良く質問をされます。今日はちょっと忙しいのと、来週の診察で経過の写真も載せた方がいいかと思うので、詳しい話はまた来週に。

角膜潰瘍(かくまくかいよう)
病気については4月28日のブログもご覧ください。
http://blog.sannoudaiganka.jp/?cid=4929
黒目の部分(角膜)にキズができて、バイキンが繁殖した状態です。
5月28日に緊急入院して頂いた、66歳女性の患者様がいらしたので経過をupします。

左の写真が入院当日、黒目の右の方の白い部分が潰瘍、バイキンが感染しています。
右の写真が本日です。とてもキレイになっていると思います。。

実はこれくらいの角膜潰瘍では、普段はまずは外来で点眼薬による治療を行います。
この患者様に緊急入院して頂いたのは、
?土曜朝に受診し、その後2日弱、診察が出来なくなってしまうことと
?写真では分かりにくいのですが、前房蓄膿といって目の中にも膿が出てきていたこと
?病変が瞳孔に近く、ちょっと進行してしまうと、視力障害が残る可能性があったこと
などの理由がありましたが、
それ以外に、一番の理由は既に点眼薬を使用していたことにあります。

実は数日前から痛みがあったのに病院に受診せず、お孫さんが結膜炎でかかった時にもらった、古い抗生剤の目薬をつけていたというのです。

以前にも書きましたが、点眼薬の貸し借りは絶対にいけません。

感染症を起こすバイキンには細菌、ウィルス、真菌(カビ)、原虫(アメーバ)などたくさんの種類があります。
勝手に薬を使ってしまうと、バイキンの種類が特定できなくなってしまったり、その後の治療法の選択ができなくなってしまう事があります。

今回は角膜潰瘍の感染部位をしっかりと削りとり、顕微鏡でみると細菌が犯人であると分かったため、抗生剤や薄めた消毒剤の点眼薬を2時間毎に付けたりすることで治すことができました。(もともと細菌用の目薬を勝手に付けてしまっていましたが、そちらは相性が悪く効きにくかったようです;耐性菌)
日曜日の夜には、薬が効いている事が確認できたので、感染部位の濁りができるだけ薄くなるように、ステロイドの点眼薬や内服薬を使用しました。
結果としては、写真のようにかなりキレイで、よい経過となり良かったです。

感染症により黒目が濁っているときには、ステロイドという薬を使う事で、濁りを薄くすることができます。濁りが残ってしまうと、視力が回復しなくなってしまうので、ステロイドを早く使用するほうがいいのですが、ステロイドには免疫力・抵抗力を抑える副作用があり、菌をやっつける前に使ってしまうと感染症が悪化してしまうリスクがあります。菌の同定が遅れれば、治療が遅れて、結果として濁りが残ってしまいます。

今回は入院のおかげで翌日の日曜日からステロイドを使えたのがよかったのかと思います。
(後日の報告で、細菌はMoraxella spと判明いたしました。)

人の目薬は使わないように!!
あまり古い目薬も使わないように!!

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)

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