眼瞼腫瘍(まぶたのしゅよう) ? 手術その2

昨日は、つくば市で新しく開院した眼科様から網膜剥離の紹介がありました。
当院へは初めての紹介でしたが、早期のご紹介のおかげで、無事、黄斑が剥がれる前に手術ができました。経過もよく月曜日に退院可能と思います。早急な対応をありがとうございました。

今日の外来では、わざわざ横浜から「まぶたのできもの」の切除希望でいらした患者様がいらっしゃいました。簡単にキレイにできそうでしたので、そのまま切除をお引き受けできました。
ただ、ちょっと気になっていたことがあったので、途中になっていた「まぶたのしゅよう」のブログの続きを書いてみたいと思います。

眼瞼腫瘍(まぶたのしゅよう) ? 手術その2
眼瞼腫瘍?眼瞼腫瘍?手術方法にて、
腫瘍には良性腫瘍や、悪性腫瘍(癌)があること、
主に手術で、他には冷凍凝固や炭酸ガスレーザーで治療することがあることを記載しました。

ここで手術治療の基本ですが、
・できものが、良性腫瘍と思われる場合
⇒できるだけ、腫瘍のみを切除し、周囲の皮膚や正常組織を残すようにすることで、傷跡が目立たなくなるようにします。具体的には腫瘍から1mm未満の少しだけ外側にメスを入れます。
(腫瘍が良性であることが確実な場合は、腫瘍成分が多少残っても見た目を優先させる場合もあります。)
・できものが、悪性腫瘍(癌)と思われる場合
⇒悪性の程度にもよりますが、絶対に主要組織を残してはいけませんので、例えば腫瘍からさらに3mm程度外側を大きく切除します。そのために、傷口が多少大きくなっても、見栄えが悪くなっても仕方ありません。

僕たちは「第一に安全」を。そして、「次に見栄え」を考えて手術をします。
できる限りキレイに。という意思はもちろんあります。

涙嚢腫瘍摘出後に皮膚を3角形に切開後、反転させて縫ってみたり。

Trichoepitheliomaという良性腫瘍ですが、皮膚ギリギリで切除後、内眼角(目頭)に切開を入れて縫ったり。(中央写真は抜糸前)

良性のイボの仲間ですが、出血しやすい患者様でしたので、メスは使わず、炭酸ガスレーザーで薄く剥離したり。

老人性疣贅はメスでの切除ではなく、炭酸ガスレーザーで蒸散(焼いて組織を消滅させてしまう)させたり。

とにかく、できるだけキレイにしたいという思いはもっています。
それでも、「手術をすれば、必ず傷ができる」のです。

上の炭酸ガスレーザーの術前後の写真ですが、右の手術後の写真は、傷口が少し掘れているのがわかりますか?これは切除後翌日なので、数か月後にはもっと目立たなくなってはいますが、近づいてよーく観察すれば、わずかな傷は残ってしまうでしょう。

一重が美人か、二重が美人かは、その人の価値観によって異なります。
同じように、「どの程度の手術の傷を見栄えが悪いと感じるか?」
そして「まぶたに、どの程度のできものがあると見栄えが悪いか?」
というのも、人によって異なります。
ですので、できものがあるのが見栄えが悪いから手術をした時に、
もし、手術後の傷跡のほうが、より見栄えが悪い。なんてことになったら、
本末転倒ですよね??

患者さんから、非常によくあるご意見なのですが、
「できものが気になるから、今とっちゃってください。簡単なんでしょ?」
というものがあります。
例えば、少しくらい長く薬を使っても、きれいに治りそうな霰粒腫であれば、今は見栄えが悪くても、それは切らずに治すのがいいのではないでしょうか?と医師としては思うのです。

また、切除方法が異なるので、悪性か?良性か?、どんな腫瘍なのかを少し観察しながら調べたい。ということも多々あるのですが、それを患者さんに伝えると、
「とってくれないなら、別の病院にいくよ。」なんてお叱りを受けることもあったり・・・。医療と、患者さんの満足度って、なかなか難しいものです。

できものは、「なんでも取ればいい。というものではない」のです。
医師が様子をみようという時は、それなりに理由があるのかな?とご理解くださいね。

眼瞼腫瘍(まぶたのしゅよう) ? 手術その1

今週は緊急入院が0名と、とってものんびりな週でした!
時間もあるので、久しぶりにブログを進めます。

眼瞼腫瘍(まぶたのしゅよう) ? 手術
まぶたに出来る腫瘍は良性から悪性(眼瞼腫瘍?ブログ参照)まで沢山の種類があります。
治療法は、

化膿性肉芽腫(霰粒腫や外傷後のもの)のように、ステロイド剤などの薬による治療を行うものや、

老人性角化症・脂漏性角化症(左)や、イボ・疣贅ゆうぜい(右)のように、冷凍凝固やCO2レーザーで消却してしまうものなどもありますが、
もっともシンプルで数の多い治療は、手術で切除する方法です。

手術切除

「まぶたに黒いできものが。」といらした女性です。見た目も気にしているようですし、一応は切除して病理検査を行い、良性なのか悪性なのかを評価した方がよさそうです。

まぶたの表側と裏側に麻酔の注射を行います。(まぶたの出来物を取る手術で、もっとも辛いのは、この麻酔だと思います。ある程度の痛みはご了承ください。)

次は、数分間、ただただ待ちます。麻酔が効く時間と、一緒に入れた薬品の効果で出血しにくくなるもを待つのです。


そして、まぶたをクリップではさみます。このクリップによりまぶたの血流を遮断して、無駄な出血を回避します。(麻酔が効いていないとちょっと痛い。)

メスで、まぶたに腫瘍成分が残らないように、丁寧に切り取ります。


キレイ!このままクリップをとってしまうと、出血してしまうので、


電気凝固で血管を焼きつぶしてから、クリップを取って、


終了です。
腫瘍の場所や、止血の具合によっては傷口を縫ってから終わります。
基本的に、まつ毛のラインに近い場合には、傷口をopen(縫わない)で終えた方が術後がキレイになります。


術前と術後1週です。けっこうキレイでしょ?
数ヶ月経つと、肉芽が盛り上がり、もう少し凹みが目立たなくなります。ただし、基本的には、まぶたの縁の出来物を取れば、少なからずまつ毛がなくなります。(術後に問題がなければ通院が終わってしまうので、数ヶ月後などの写真は無いのですよね。)

気になる病理の結果は、
基底細胞癌という癌。あまり命を脅かすことはないのですが、一応は悪性腫瘍・ガンでした。
もちろん断端陰性(まぶたに癌細胞は残っていない)です。

眼瞼腫瘍(まぶたのしゅよう) ? 悪性と良性

今日は以下の手術がありました。
・白内障手術 14件
・網膜硝子体手術(茎離断)4件
(黄斑前膜2件、糖尿病網膜症1件、原因不明?で紹介の増殖性黄斑浮腫1件)
難症例はなく定時に終わることができました。
ただ、明日も若年性の古い網膜全剥離(アトピー)があったり、最近は大きな病院様からの転院など、とにかく重症例が増えています。スタッフの皆さん、少し忙しい日々ですが、いつも協力してくれて本当にありがとう。「ここで治療が受けられてよかったですね。」なんてスタッフ全員が堂々と言えるように。患者さんに「ここに来てよかった。」と思ってもらえる病院になれるように、これからもよろしくお願いたします。

この数週の外来は網膜だらけなので、ブログでは別のことを。
眼瞼腫瘍(まぶたのできもの)?
悪性と良性

先日、まぶたのできものである、霰粒腫の手術について記載しました。
通常の外来では「まぶたにしこりが・・・」という患者さんがいらした場合、霰粒腫であることが一番多いようです。ただし、もちろんそれ以外の出来物も沢山あります。
バイ菌が感染してウミが溜まっている。なんていう場合を除き、まぶた(がんけん)に出来物があれば、それは眼瞼腫瘍(がんけんしゅよう)と呼ばれます。
眼瞼腫瘍は、細かく分ければ数え切れないほどの病気が含まれますが、基本的には大きく2つに分けられます。悪性腫瘍良性腫瘍です。

悪性腫瘍
できもののうち、大きくなるスピードが比較的早く、他の臓器にも転移し、最終的に命を脅かす可能性の高いもの。手術切除を含めて、出来る限り早期の治療が望まれます。

良性腫瘍
悪性腫瘍に比べて、多くの場合で大きくなるスピードが遅く、その場所では大きくなったとしても、遠隔転移など他の臓器に転移することはなく、命を脅かすことは考えにくいタイプ。イボやホクロなども良性腫瘍の一種です。
治療を急ぐ必要はありませんが、あまりに大きくなって見栄えが悪いなどを理由に切除することもあります。また、視界をさえぎる場合や、眼球を圧迫するほど大きくなった場合にも切除が必要になります。

病理検査
悪性腫瘍なのか、良性腫瘍なのかは、多くの場合で問診や診察所見のみでも推測が可能です。
例えば、「この半年でどんどん大きくなってきた。」という問診なら悪性を疑いますし、「20年前からあって、ほとんど変わらない。」なんていうのは良性の疑いが強くなります。
診察では色や形、腫瘍に入り込む血管の状態、毛が生えているかどうか(毛が生えているのは殆ど良性)などを観察します。
ただし、悪性なのか良性なのか、なんという名前の腫瘍なのかなどの確定診断をするには、病理検査(病理診断)が必要になります。
病理検査は、実際に腫瘍の一部または全部を切除して、顕微鏡で観察することで、病気の性質や悪性度などを決定する検査です。
僕もたまには顕微鏡で観察したりするのですが、多くの場合で、標本にした病変を病理医という専門の先生にみてもらうことで診断をつけます。

ちょっと眠くなってしまい、続きは次回に。
今日もお読み頂きありがとうございました。

霰粒腫? 手術(瞼板切除術)

今日は以下の手術を行いました。
・翼状片切除術(遊離弁移植) 1件
・白内障手術 9件、 眼内レンズ2次挿入 1件
・網膜硝子体手術(茎離断) 3件
 (網膜剥離、増殖糖尿病網膜症、黄斑浮腫-BRVO)
皆さん無事に終わり良かったです。

今日は時間も出来たので久しぶりに病気のブログを。
霰粒腫? 手術治療(瞼板切除術)
霰粒腫の病気の説明に関しては以前のブログを参照下さい。
多くの霰粒腫は、点眼薬や軟膏による治療で治ってしまうのですが、なかには治りにくい霰粒腫もあるようです。薬を使っても治りが悪い場合や、ステロイド剤の副作用が強く出て薬が使えない場合など、数十名に1人ですが、手術が必要になる場合があります。
まぶたの中には、まぶたを形作るために必要な、少し固めの組織があり瞼板(けんばん)と呼ばれますが、霰粒腫のもとになるマイボーム腺はこの瞼板の中に含まれます。
前回、霰粒腫?のブログで書いたような、簡単に潰したり、切開できるような霰粒腫は別として、ある程度しっかりとした霰粒腫を治そうとすると、瞼板の組織を含めて切除することになり、瞼板切除術、または巨大霰粒腫摘出術と呼ばれます。

先月手術をした患者様の例で。
瞼板切除術(けんばんせつじょじゅつ)

下まぶたに弾力のあるしこりを触れ、まぶた全体に腫れが広がっています。
1ヶ月間、点眼薬と皮膚側には軟膏を使用しましたが、軽快が得られず手術となりました。

まず、霰粒腫を摘出するための切開場所の選択ですが、基本的にはアッカンベーをしたまぶたの裏側・結膜側と、まぶたの表面の皮膚側からの切開があります。

皮膚を切ると少なからず(時間が経てばあまり目立ちませんが)、キズあとができてしまうので、可能な限り、まぶたの裏側・結膜側からの切開を行います(図の青丸は青矢印の方向から摘出)。霰粒腫の位置が図の赤丸のように皮膚側に接していて、裏側からの摘出が困難な場合には赤矢印の皮膚側から切開をします。
今回は裏側からいけそう。


はじめに、まぶたの皮膚側(5秒間)と、裏側(3秒間)の両方に、止血効果を含んだ麻酔薬を注入します。麻酔の注射は結構痛いようです。申し訳ありませんが頑張りましょう。

麻酔が効いたら、まぶたをクリップのような器械でハサミます。これによってまぶたの血流を遮断し手術中の出血を防ぎます。クリップを矢印のようにクルッと返すと、

こんな感じで、まぶたの裏側が見えるようになります。

メスで結膜を切開し、霰粒腫を露出させます。

クリップで挟んでも多少は出血するので、電気凝固で止血をしながら、

矢印の先の霰粒腫をまぶたの組織から剥離して摘出します。

キレイに無くなりました。

最後に、はじめに切開した結膜を糸で縫って、傷を閉じたら終了です。

局所麻酔で10分から15分程度の手術です。
手術自体の費用は3割負担で5000円程度。

他に再診療や投薬代などがかかります。

傷口を縫う糸は、まぶたの裏側のものは勝手に吸収されるので抜糸は不要ですが、皮膚側から縫った場合には、術後1週間ちょっとで抜糸が必要になります。


手術翌日の写真です。裏側からの手術では大きな出血がなければ、翌日から皮膚の見た目はキレイです。まぶたの裏側は傷口のヒキツレがありますが、徐々にキレイになっていきます。皮膚側の切開では抜糸までの1週間程度は、結構腫れることが多くなります。
術後は2?3回程度の診察が必要です。

霰粒腫? つぶしちゃう?

今日の午後は県外の医院様で手術をさせて頂きました。
結構忙しくて、ブログが止まってしまいましたが、質問も来ていたので更新してみます!(今週は5つの医院で硝子体手術が計14件と過去最多に)

霰粒腫? つぶしちゃう?
霰粒腫の一般的なことに関しては、以前のブログ:霰粒腫?をご参照ください。

霰粒腫の標準治療として最も数多く行われる治療は、点眼薬や軟膏など、薬によって治っていくのを待つ治療です。
今回、ブログ内で質問を受けたのですが、外来でも時々、患者さんから「はやくつぶしちゃってくれませんか?」なんて言われることがあります。
実際につぶして、早く治ってしまう症例もいるのですが、そのような治療は全員に行っているわけではありません。
例えば、今週の患者さんですが、

上方のマイボーム腺の出口が詰まって、まぶたの組織が膨らんできています。

専用のセッシで、まぶたをギュッと挟むと、ブリブリッ!っと中身が出てきました。一応、点眼薬を数日間使用頂きますが、きっと治ってしまうので、次回の予約はとっていません。


まぶたの中に霰粒腫(赤)のシコリ・ゼリー状物質が溜まったイメージ図です。
僕は、簡単な圧迫で内部のウミがマイボーム腺の出口(青矢印:正常な通り道)から排泄でき、キレイに治りそうであれば、つぶしてしまうような治療を行う場合があります。

こちらは、別の患者さんです。

霰粒腫のシコリが皮膚の表面から顔を出しそうな、皮膚が薄くなった症例。まずは炎症を抑える薬を処方して、落ち着いてから手術をしましょうと相談をしていたのですが、その後、自宅で自分でウミ・ゼリー状物質を出してしまったとのことです。

ウミ・ゼリー状物質は、薄くなっていた部分の皮膚が裂けて、上のイメージ図の緑矢印の方向(正常なルートでない)に排出されたよう。

ウミやゼリー状物質を押し出しても、問題なくキレイに治ってしまうことも多いのですが、
無理に圧迫して、皮膚が裂けるような形でウミが排出された場合では、あとからヒキツレや、皮膚の窪みが生じて、見た目が悪くなったり、数年後などに逆さまつ毛の原因になったりすることがあります。
(特に圧迫をしなくても、勝手に皮膚から排出される場合もありますが、それは仕方ないかなと思います。)

皮膚が薄くなっているような症例では、無理に押しだすのではなく、手術でメスを使ってキレイな切開面を作った上で、内容物を出すのがいいようです。

マイボーム腺梗塞

今日の午後はクリニックで臨時で、少し急がなくてはいけない方々の手術をしました。
・眼瞼腫瘍(悪性疑い)1件
・眼瞼内反症(さかさまつげ) 2件
・白内障手術 5件
・網膜硝子体手術(茎離断) 4件
(裂孔原性網膜剥離1件、糖尿病網膜症による硝子体出血3件)
みなさん予定通りの手術が出来ました。
網膜剥離はつくば市の患者様ですが、紹介先の先生がすぐに紹介して頂けたおかげで、ぎりぎり黄斑が剥がれる前に手術が可能でした。きっと視力1.0が保てると思います。

今日は眼瞼腫瘍の患者様の例を書こうと思っていたのですが、全身状態が悪く寝たきりに近い方で、これまで一回も写真を撮っていないことに気がつきました・・・手術のビデオも撮影不可能。
別のネタを考えなくては。と思っていたら、夜にいらした患者様の目に出来物発見!今日はこれを書こう。
マイボーム腺梗塞
以前にドライアイのブログ(?涙の役割)で記載したことがありますが、涙は水分だけで出来ているわけではなく、まぶたから分泌される油に覆われることで、乾燥を和らげることに役だっています。
まぶたの中に存在する、油を作る器官を、マイボーム腺と呼びますが、正常なマイボーム腺の写真については、以前の霰粒腫のブログをご参照ください。

このマイボーム腺からの油の分泌が悪くなり、出口が詰まって時間がたつと、米粒のような少し硬い芯のようなものが出来る場合があります。
今日の患者様ですが、ゴロゴロ痛みがあると来院されました。

青矢印の先に、米粒のようなしこりが飛び出しています。
霰粒腫など、同じような病態でも、手術室での処置が必要になるものもありますが、小さなマイボーム腺梗塞は簡単な処置で治療可能です。


点眼薬による麻酔をして、通常の診察台(スリットランプ)ピンセットでまぶたをギュッと搾るようにすると、ニュルッと簡単にしこりが出てきでて、治療は終了です。右は治療後。


少し前にいらした患者様も同じような感じ。
簡単に治ってすっきりと気持ち良いので、僕はこの処置が結構好きなのですが、当院では一ヶ月間に1名もいないくらいです。同じようなのが出来たら、是非当院でとらせて下さい(笑)

マイボーム腺が詰まってしまうとドライアイにもなりやすくなります。
マイボーム腺梗塞を繰り返す人は、お風呂や蒸しタオルで、まぶたを温めて、よく洗顔をすると良いかもしれません。(油はあたたかい方が柔らかくなります。食器を洗うのもお水よりもお湯のほうがよく落ちますよね?また、洗顔をするときに、まぶたの縁はよく洗えていないことが多いようです。洗顔をする時には、指を横に動かして、まつ毛をやさしくシャンプーする気持ちで洗ってみましょう。)
それでも繰り返す人もいて、体質もあるのでしょうね。中学生の男の子はどんなに顔を洗ってもニキビが出来たりするのと一緒かな?

明日も網膜剥離の手術があります。最強度近視の下方の網膜剥離で、黄斑も剥がれてしばらく経過した難症例です。頑張らなくちゃ。

麦粒腫 ものもらい

今日は重症の紹介などもなく、落ち着いた1日でした。
僕は明日はお休みなので、今年度のクリニックでの仕事は今日で終わりです。
この3月は緊急手術が異常に多くて、とにかく忙しかったです。個人的にはちょっと疲れていましたが、スタッフの協力にて乗り越えられました。いつもありがとう。

今日は、今朝退院の患者様の話題から一つ。
麦粒腫(ものもらい)
麦粒腫(ものもらい)は、とてもよくある病気で、当院でも週に1人か2人くらいは診断します。(当院は通常のクリニック様と病気の内容の比率が異なるので、一般的な眼科医院ではもっと多いかもしれません。)

まぶた(眼瞼)には、脂を分泌する脂腺(しせん)と呼ばれる組織と、汗を分泌する汗腺(かんせん)と呼ばれる組織が存在します。

赤矢印がマイボーム腺と呼ばれる大きな脂腺で、ここから分泌される脂によって、まばたきが滑らかになったり、涙の蒸発を抑えて、ドライアイから目を守ったりしてくれます。
このマイボーム腺に、バイ菌が繁殖して感染症を起こしたものが、麦粒腫、とくに内麦粒腫と呼びます。
青矢印、まつげ(睫毛)の根元のあたりにも、小さな脂腺と、汗腺が存在しますが、ここに感染が起こった場合を、特に外麦粒腫と呼びます。

内麦粒腫でも、外麦粒腫でも、バイ菌による感染が成立すると、まぶたにウミが溜まって炎症を起こします。まぶた全体が、比較的やわらかくプックリと赤く腫れ、熱を持ち、メヤニ(眼脂)がでます。瞬きをするとゴロゴロと痛みを感じたりします。

最近、当院に来た人たちですが、まぶたが、赤くプックリと腫れています。お岩さん。といったイメージです。

バイ菌と説明すると、「私は汚いものは触ってない!」なんておっしゃる患者様もいますが、手術室でもない限り、身の回り、本当は空気中だってバイ菌だらけです。僕たちの皮膚にも、常在菌(じょうざいきん)といって、普段から細菌が住み着いています。むしろ、常在菌が皮膚いることで、体を別のもっと悪い菌きら守ってくれていたりするのです。
一番有名な常在菌として、黄色ブドウ球菌というのがいるのですが、子供がよくなる皮膚の「とびひ」なんかも、体や皮膚が弱った時に、黄色ブドウ球菌が病的に増殖してしまったことが原因で起こります。
麦粒腫の原因菌も黄色ブドウ球菌の事が多いようです。体調が悪かったり、目にキズがあったりするときに、ちょっと擦ってしまったりすると、麦粒腫が発症したりするので、特に畑仕事や土いじりをしたわけではなくても、麦粒腫になるときはなってしまうのです。もちろん、洗顔をしないなど、清潔に出来てない人の方が感染しやすいです。

感染力の強いウィルスが原因ではないので、流行り目(流行性結膜炎)などとは違い、よほどの事がないと人にうつることはありません。左目から右目にうつることも少ないので、ほとんどは片目にできます。

治療は、感染症なので、抗生物質を使うことで、原因となるバイ菌・細菌をやっつけることです。外来では点眼薬を処方したり、腫れが強めの場合には、内服薬も併用して治療を行います。
ウミがたくさん溜まって、痛みが強い時などには、針を刺したり、メスで切開をしてウミを出すこともあります。

実際の診療では、ほとんどの場合では点眼薬のみで数日で治ってしまいます。なので、当院では「数日で治ったと思ったら、もう来なくてOKです。治りが悪かったり、悪化するときには必ずまた来てね!」と説明しています。

今回の患者様は、「他院の眼科や内科様で、点眼薬や内服薬の治療を受けたが、どんどん腫れてきた。」との訴えで先週末に当院を受診されました。
珍しい経過なので、腫れたまぶたを少し切開して、ウミのサンプルを取り出し、培養(ばいよう)と言ってバイ菌の種類を調べる検査を行って、とりあえず、強い抗生物質の内服薬を出してみました。
その後、週明けの月曜日にまた来て頂いたのですが、あまり良くなっていませんでした。
培養の結果もちょうど出たので、よく見てみると、MRSAと呼ばれる、多剤耐性菌が感染の原因となっていました。MRSAは、ほとんどの抗生物質が効かない特殊なブドウ球菌です。
「それじゃあ、治らないよな。」と、月曜日にそのまま入院して、バンコマイシンという、MRSAによく効く抗生物質の点滴治療を受けて頂きました。
今日はまぶたの腫れもかなりよくなって、退院となりました。

左が初診時、右が退院時です。腫れ・痛みが引いて良かったです。

「麦粒腫で入院。」というのは、僕の人生では初めての経験なのですが、
「ものもらいなんて簡単な病気だから、この薬で大丈夫。」という先入観はよくない。
「治りが悪い時には、必ずまた来てね!」と言うのはいいことで、今後も必ず続けよう。と、再び認識することが出来ました。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)?

やっぱりお盆で空いています。午前の外来は35人。
早く終わったので、午後は子供とプールに行ってきました!

と、夕方に急患が。
糖尿病で片目が出血してしまい、まったく見えない状態です。
他院様follow中で、少し出血が引くのを待っていたみたいのですが、もともと反対の目が見えない方なので、このままでは生活ができません。
家に帰っても生活に困るので、緊急入院して頂き、明後日の月曜日に手術をさせて頂くことになりました。
二日間、見えない状態で申し訳ありませんが、頑張って頂きたいと。
(週末にこれを読んだスタッフの方、月曜日は緊急手術です。ご協力お願いします。)

霰粒腫(さんりゅうしゅ)

まぶたに、しこりが出来たり、腫れてしまう病気です。
正常な眼瞼(まぶた)のふちからは、あぶらが分泌されているのですが、あぶらがあるおかげで、まばたきが滑らかになったり、涙が乾きにくくなったりします。
この、あぶら分泌する組織をマイボーム腺と呼ぶのですが、まぶたの、はじからはじまで、一つのまぶたに20個、上下左右で80個程度の腺が存在しています。

当院の事務の生井沢くんのまぶたです。

拡大すると、こんな感じ。矢印で囲んだ丸い部分がマイボーム腺の出口です。

霰粒腫は、このマイボーム腺の出口が何らかの原因で詰まってしまい、慢性的な炎症が起こって、肉芽腫という塊(しこり)ができる病気です。
(つまる以外の原因もありますが、一般の患者様に分かりやすい説明のみで。)
霰粒腫の症状はまぶたの腫れや異物感です。まぶたを手で触るとシコリを触れます。
バイ菌がつくなどして、炎症を伴った場合は急性霰粒腫と呼び、赤く腫れると、麦粒腫(ばくりゅうしゅ:感染症)と似た症状(メヤニや充血、痛み)が出ます。


先日来た女性です。赤い矢印のマイボーム腺が詰まって、少し膨らんでいます。下の黒い矢印の部分にしこりが出来ています。

アッカンベーすると、こんな感じ。

治療法は、ステロイドという炎症を抑える目薬や塗り薬を使います。
感染を起こしている疑いがある場合には抗生物質も加えます。
麦粒腫(まぶたの組織にバイ菌が感染したもの)と同じような薬、治療法になるのですが、しこりがある分、霰粒腫は治るまでに時間がかかることがあるのが特徴です。人によっては数ヶ月以上かかることも。

ステロイドには緑内障という副作用を起こす可能性があるので、
当院では、まず薬を処方し、薬がなくなるまでに治ったしまった場合は終了(来なくていい)としていますが、副作用のチェックとして、2週?1ヶ月程度たっても治らない場合は、一度受診して頂いています。
副作用がなくて、しこりが小さくなっている(薬が効いている)場合には、同じ薬をたくさんだして、治るまで目薬を使っておいてください。としています。(ほとんどの患者様は薬のみで治ってしまいます。)

どんどん悪化する場合、ステロイドの副作用で薬が使えない場合、なかなか治らず、繰り返す場合には、手術を行います。
手術でしこりを摘出してしまうのです。大人の場合には、局所麻酔で10分程度の手術で簡単に治ってしまうため、あまり長引きそうな場合には手術を行ってしまいます。(20?30人に1人くらい。)

この方は、一ヶ月以上、薬を使っても治らないため、この間手術を行いました。
今はとてもキレイに治っています。
(術後も載せたいのですが、経過がよいと、写真を撮るのが面倒で、つい撮り忘れてしまいます。)

ただし、子供の場合には、手術の程度にもよりますが、多くは全身麻酔を必要とするために、なかなか手術に踏み切れず、長々と薬を使って頂くこともあります。

手術ができない場合などで、ケナコルトという強力なステロイド薬をまぶたに注射する治療法なども、たまにですが行う事があります。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)