視神経炎? 治療その4 その他 

今日は午前の外来後に急いで移動し、午後は県南の医院様で白内障手術や硝子体手術、10数件を執刀させて頂きました。
その後、久しぶりにTX(つくばエキスプレス)に乗って、夜は都内で50分程度の講演を担当。僕が特に力を入れている糖尿病黄斑浮腫という病気についてまとめてみましたが、そのうち黄斑浮腫のブログもかかなくちゃ。
渋谷で食事をして、帰りはフレッシュひたち(常磐線)で、ブログを更新してみます。少し酔っていますが、誤字脱字があってもご勘弁を。フレッシュひたち、なかなかいいシートで、快適です。

視神経炎の最後です。
視神経炎? 治療その4 その他
視神経炎の治療のメインは、ステロイドパルス療法です。他に抗AQP4抗体陽性視神経炎では血漿交換なども有効であることを記載しました。
ただし、これらの治療だけで、全ての視神経炎が治療可能なわけではなく、また、ステロイドの副作用が強くでて、ステロイドを使い得ない患者様などもいらっしゃいます。このような場合には、ステロイド以外の免疫抑制剤や、インターフェロンという薬を併用するなどして、治療効果を向上させよう。といった治療法も試されています。

以前にも記載しましたが、長期的な経過をみると、もっとも有効と思われているステロイドパルス療法でさえ、大きな改善効果はない。とする研究もありますし、治療への反応が悪い・難治性の視神経炎が存在することは確かです。
難しい病気ですので、「大学病院で治療をしたのに、それでも見えなくなった。」と、セカンドオピニオンとして当院を受診された方もいらっしゃいますし、Q&Aでも質問を受けたこともあります。
同じ視神経炎といっても、実際の症例ごとに治療への反応も異なり、簡単に治ってしまうもの、なかなか難しい経過をとるもの。様々な症例があります。
いい訳ではありませんが、現在の医学で考えられている、全ての治療を行ってもどうにもできない症例もあるのだと思います。
(幸いにも、開院以降の当院で治療をした症例では、もっとも悪い結果の方でも視力0.2?0.3程度で、失明に至った患者様はいらっしゃいませんが、超重症例が少なかったのだと思います。)
医学が進んで、よりよい治療法が開発されることを祈るばかりです。

また、視神経炎は再発しうる疾患です。
一度、視力が落ち着いたからと言って、「もう一生大丈夫。」という事はありません。当院では落ち着いていても、半年?1年に1回程度の定期健診をお勧めしていますが、予約の前でも、視力の低下を自覚したり、眼球を動かした時に痛みがある場合(視神経炎の症状の一つ)などには、早急に受診をしてください。

視神経炎は初期治療も再発時の治療も、治療をするのであれば、できるだけ早くに治療をする事が重要です。炎症・脱髄が起こっても、すぐに消炎をすることができれば、神経細胞の障害には至らずに回復が可能ですが、炎症が起こってから時間がたつほど、神経の変性・萎縮が進行してしまいます。見え方が悪いと思った時には、すぐに診察を受けるようにしましょう。
僕たちは、できるだけ早く治療に進めるように、「この検査は明日」「また別の日にこっちの検査」などということはせず、早急な診断に努めたいと思います。

今日もお読み頂き、ありがとうございました。

視神経炎? 治療その3 血漿交換

今日のお昼は白内障や翼状片の手術を行いました。夕方の外来が終わってから、夜は県南のクリニック様で網膜剥離のお手伝いに。
実は先週の金曜日に当院で1件。土曜日にも他院様に網膜剥離の手術に。なんだか茨城県は網膜剥離だらけのようです[:冷や汗:]

明日まで少し忙しいのですが、少し時間が出来たので、ブログを進めてみます。
視神経炎? 治療その3 血漿交換

視神経炎は、免疫機能の異常を元に発症する病気で、視神経を構成する成分に対して自己抗体(免疫力の間違えで、自分自身を攻撃してしまう)が形成され、視神経に炎症や脱髄が起こってしまうものと考えられています。

視神経炎の治療の基本は、ステロイドパルス療法であることは間違いないのですが、実はステロイドパルス療法のみで良くなる症例ばかりではないようです。

視神経炎の分類については、視神経炎?で記載しましたが、現在のところ、視神経以外にも炎症が起こるかどうかで、大きく以下の4種類(?と?を同じとする場合は2種類)に分けられています。
?多発性硬化症(MS):視神経と脳を中心に炎症がおこるもの
?視神経脊髄炎(NMO):視神経と脊髄を中心に炎症がおこるもの
?抗AQP4抗体陽性視神経炎:NMOのうち明確な自己抗体が判明しているもの
?特発性視神経炎:視神経のみに炎症がおこるもの

?や?の視神経炎ではステロイドパルス療法がよく効いて、視力の回復を得られることが多いのですが、特に?の症例ではステロイドパルス療法の効果が弱く、それのみでは視力の回復を得られない場合が多いとされています。
そんな時に行うのが、血漿交換になります。

血漿交換(けっしょうこうかん)
血液の中には、酸素を運ぶ赤血球、バイキンをやっつけるなど免疫力を担当する白血球、出血を止める血小板などが流れていますが、これら3つの血球成分が浮かばせて流している液体の成分を、血漿と言います。
たんぱく質などの栄養分に富んだ水ですが、この血漿の中には、自己免疫性疾患の元になる(視神経などを攻撃してしまう)自己抗体や、炎症を起こす働きをするホルモンなども含まれています。
血漿交換は、血液の中に含まれる、これらの自己抗体や炎症を起こすホルモンを除去してしまおうという治療です。
足の付け根などの太い血管に、太めの針を刺し、患者さんの血液を取り出します。取り出した血液を遠心分離にかけ、血小板・白血球・血小板などの血球成分を分離したあとに、残ったお水(血漿)を破棄します。最後に、献血などで頂いた健常な方の血漿と、分離しておいた自身の血球成分をまぜて、体の中に戻していきます。
一気に全ての血漿を交換することは、体への負担が大きいためできません。ゆっくりと時間をかけて、数回に分けて血漿を交換していきます。

病気の主因となる物質を体から除去できるので、視神経以外の他の自己免疫性疾患を含めて非常に有効な治療法ですが、体への負担もありますし、他の方の血液を体内に入れるので、もしかしたら何かの感染症がうつってしまったりと(ほぼ心配ない確率ですが)絶対に安全とは言い切れない治療です。ですので、基本的には血漿交換療法は、ステロイドパルス療法などが無効であった時のみに検討される治療法です。

*抗AQP4抗体陽性視神経炎
視神経を構成する成分である、アクアポリンAquaporin4にする自己抗体の発生が病気の主因であると考えられている、近年発見された視神経炎の特殊型といえる疾患です。
比較的高齢の女性に多く発症し、高度の視神経が再発を繰り返すなどして、失明にまで至ることも少なくない、重症型の視神経炎です。他の視神経炎(明確な自己抗体が判明していない)に比べて、ステロイドパルス療法が効きにくく、以前は治療に難渋していましたが、血漿交換によって視力の回復を得られることが多くなってきています。(病気を抑えていくためには、ステロイド剤の併用は必要です。)

視神経炎の初期治療でステロイドが無効であった場合には、早急に血漿交換が必要になるケースがありますが、当院は眼科・内科クリニックでもともと、施設内に人工透析が備わっています。早急な人工透析・血漿交換が可能な施設です。

視神経炎? 治療その2 ステロイドパルス療法

今日のお昼は白内障手術のみ9件、無事に終わりました。
午後の外来は空いていて、のんびり。久しぶりに、外来が途切れてしまっている「心配な人リスト」に電話ができました。リストがキレイにさっぱりしました。

今日は視神経炎の具体的な治療に関してです。
視神経炎? 治療その2 ステロイドパルス療法
体内にはステロイドといって、体にかかるストレスや負担、炎症などを抑える働きを持つホルモンが、もともと存在しています。
以前に、ぶどう膜炎のブログでステロイド治療について記載したことがありますので、ご参照ください。
視神経炎は免疫のバランスが崩れて(自己免疫性疾患)、自身の視神経(症例によっては脳や脊髄)に炎症を起こしてしまう病気ですが、
治療法は、ステロイドを体外から余分に投薬してあげることで(自分が産生する量以上に)、視神経の炎症を抑え、病態を落ち着かせることを目的とします。
ステロイドには内服薬(飲み薬)や、注射薬(点滴)、眼科では点眼薬(目薬)、眼球周囲への局所注射などの使用法があります。
目薬では眼球の後方の視神経には届きませんし、初期治療として安易に飲み薬を使用することは予後を悪くするという報告もあり、視神経炎の標準治療としては、点滴による治療が行われています。

ステロイドパルス療法
炎症を抑える働きをもつステロイド剤を、短期間で大量に点滴する治療法です。
当院では、主にソル・メドロールという薬を使用しています。
ソル・メドロール 1000mgの点滴を、午前中に1時間かけて投与
同じ点滴を3日間、連続で行います。

(人間が正常時に自分の体で産生するステロイドの、200倍以上の量を、1日で投与します。まさに大量療法ですね。)
超高齢者や、小児のお子さん、他の疾患で全身的なリスクが高い患者さんでは、500mgと半分の量で治療をしたりもします。

副作用
ステロイド剤はとっても有用なお薬ですが、残念ながら副作用も沢山あります。
・感染症が起こりやすくなる、糖尿病の悪化、胃潰瘍、骨粗しょう症、高血圧、高脂血症、体重増加、筋力低下、精神症状、体が火照る、不眠などなど。
(もともと、免疫力による炎症は、バイ菌などの外敵が体内に入ってきた時に、体を守る防衛反応として存在します。ステロイドは炎症を抑えてしまうので、バイ菌が体に入った時の防衛反応が出来なくなってしまうのですね。)
副作用と書くと、みなさん治療に怖気ずいてしまうのですが、ステロイドパルス療法では、ステロイドの量が多い割に、全身的な副作用が起きにくいとされています。
ただし、重症の肺炎を起こしたり、糖尿病が急激に悪化したり、血圧の変動から脳や心臓に急に負担がかかったりと、非常に稀ですが、重篤な副作用も起こりうるので、基本的には入院での治療をお願いしています。
(当院では外来治療は行っていません。)
比較的よく起こる副作用としては、ドキドキと動悸を感じたり、体がほてったり、眠りにくくなったり。このような場合は安静にしたり、睡眠薬を処方して対応します。超高齢者では、一過性ですが、精神症状「ここはどこ?私はなにしているの?」など、精神的に不安定になってしまう事があり、家族の方に付き添いをお願いする場合があります。

その後
3日間の治療1回(1クール)で、完全によくなってしまう症例はいいのですが、残念ながらまだ病気の勢いが残ってしまう場合もあります。そのような場合には、1週間毎程度で同様の治療を繰り返し、重症例では3クールの治療を行う事があります。
また、点滴でのパルス療法の終了後に、再発のリスクが高い症例では、飲み薬のステロイド剤を内服し、ゆっくりとステロイドを減らしていく治療を追加することもあります。

今回例にしている患者様のケースでは、

初診日の視野検査の結果です。視力は0.05まで低下しています。
初診日にMRIを含めて全ての検査を施行し、当日中に確定診断。
翌日の朝から入院し、ステロイドパルス療法
(夜に治療をすると眠りにくくなったり大変なので、翌朝からの治療に。)

1クール目のパルス療法後です。まだ中心部に暗点(視野の見えない部位
)が残っており、視力は0.2
MRIでも僅かに炎症があり、翌週に2クール目のパルス療法を施行しました。

2クール目の治療後は、暗点が縮小し、視力も0.8まで回復しました。
2週間程度様子をみたのですが、反対目の視神経に炎症と視野障害があり、ステロイドの飲み薬を開始。(プレドニン1日30mgから徐々に減量中)

これは最近の結果ですが、両眼ともに落ち着き、視力も0.9?1.0を保っています。

視神経炎? 治療その1 なにもしない

今日は日曜日ですが、茨城県眼科医会主催の勉強会に参加しました。
糖尿病黄斑浮腫と前眼部OCTの講演でした。
糖尿病黄斑浮腫の講演では、現在当院で行っている医療とほぼ同じ、むしろ当院の方がかなり積極的な医療を行っていることが確認でき、安心できました。
(当院では糖尿病でレーザー治療が予定された段階で、OCTの黄斑マップでほんの僅かでも浮腫があれば、アバスチンとマキュエイド・ケナコルト注射をルーチンで併用して、視力の低下を防ぐ工夫をしています。)
夜は、県内の大先輩の先生にお酒を奢って頂きました。明日は平日なので、体調がちょっと心配です。ブログを書く前にウコンドリンクを飲んでおこう。

さて、視神経炎の続きです。
視神経炎? 治療その1 なにもしない
急に視野が欠けたり、視力が低下してしまう視神経炎。自己免疫性疾患と言われても、難しい内容だし、あまり納得できない患者さんも多いのでは?
少しでも早く、治療を受けたい。元に戻りたい。と思うのがあたり前ですよね?

後日記載しますが、基本的な治療は炎症を抑えるホルモン製剤である、ステロイドという薬を使うことです。
(⇒ステロイドについては、以前のぶどう膜炎のブログを参照
ステロイドには目薬や飲み薬、点滴などの使用方法がありますが、視神経炎の初期治療では、主に
ステロイドパルスと呼ばれる大量の点滴療法が行われます。
ところが、僕たちは視神経炎と診断したからと言って、全員の患者さんを治療するわけではありません。

治療をしても長期成績は変わらない??
現在の医学の基本的な考え方は、エビデンス ベースト メディスンが基本です。(⇒エビデンスの詳細は、以前のブログを
科学的根拠に基づく医療という意味で、たまたま1人に行った医療が上手くいったかではなく、何百・何千といった、多数の治療の結果を統計学的に評価して、
本当に有効であった治療を行っていこうというものです。

視神経炎について、アメリカで発表された多施設調査の結果では、なんと、治療を受けたグループと、無治療で観察したグループとの10年後の長期予後(治療成績)は、あまり差がなかった(治療の意味がなかった)というものでした。

治療をしなくても(無治療でも)、回復する症例は自然に回復するし、
治療をして一度は回復しても、再発を繰り返して、最終的に失明に至る確率は、無治療で失明していく確率と同じくらい。といった具合です。

では、治療は全くの無意味なのか?というと、そうではありません。
10年後の結果は同じでも、回復までの期間を早めたり
残念ながら再発を繰り返し、最終的に失明に近い状態になる運命でも、無治療で早々に見えなくなってしまうよりも、治療によって出来るだけ見える期間をのばすことは可能です。
また、症例によっては、多発性硬化症と呼ばれる、脳に病変が合併する病態
への進行を抑える可能性があると考えられています。

ステロイドには副作用がありますし、治療をした方が良い・しなくても同じ?などさえハッキリしないのですが、今の医学では、ステロイドパルス以外にきちんとした治療法が確立されていないので、申し訳ありませんが、僕たちの説明も少しあいまいなものになってしまいます。(これで治ります!!とは言い切れない。)そもそも難病に指定されている難しい病気なのですよね。

現時点の一般的な考え方としては、
・視力低下や視野欠損の程度が軽く、片眼性で、脳や脊髄への病変を認めない場合⇒無治療で観察
・視力低下や視野欠損が高度、両眼性の病気、脳や脊髄にも病変がある。または脳や脊髄に病変が発症する可能性が高い⇒ステロイドパルス療法+α
となっています。
(+αについては、後日記載)

別件ですが、ステロイドパルス療法(点滴)後に、ステロイドの内服薬を用いることはありますが、初期治療で内服薬を使用することはありません。
初期治療で安易に内服薬を処方した場合には、多発性硬化症という全身的な病気を発症するリスクが高まってしまうとさえいわれており、治療というよりやってはいけないこと。と考えられています。

次回から具体的な治療について記載していきます。

視神経炎? 検査・診断 その5

今日のお昼は以下の手術を。
・白内障手術 8件
・網膜硝子体手術・茎離断 1件(網膜剥離)
網膜剥離は網膜中心静脈閉塞症を合併している症例で、県内の先生から当日中に紹介して頂け、早期治療が出来ました。

とにかく花粉症の患者様が多くなっています。今日の外来は午前・夕方あわせて110名。1/4?1/3くらい花粉症なのでは??僕の人生では1日でみた花粉症の患者さんの数はきっと最多だと思います。

視神経炎? 検査・診断 その5
視神経炎の検査をそろそろ終わりにしたいと。

中心フリッカー値
ゆっくりと点滅する光を見つめていて、点滅の速度を徐々に上げていくと、ある程度の速度で、チラチラとチラつく感じを受けます。そして、さらに速度を上げていくと、光の点滅が分からなくなり、ただ光っているように見えます。
健康な目では、より早いスピードで点滅するライトのチラつきを実感することができますが、視神経炎などの見え方が落ちる病気では、同じスピードの点滅を認識できなくなり、ライトがつきっぱなしという認識になります。
病気の特性によって、赤が見えにくい、青が見えにくい。などがあり、3色の光源で検査をしたりします。
一応は、正常な目では1秒間に35回以上の点滅を認識可能ですが、視神経炎では35回の点滅は認識が難しくなるようです。
(測定環境や、光度、病気の状態により、あくまで参考値です。)

髄液検査
視神経炎には、眼科のみで対応する視神経のみに炎症が起こるタイプと、同じ中枢神経である、脳や脊髄にも炎症が起こるタイプのものがあります。
(多発性硬化症:MSや、視神経脊髄炎:NMO)
脳や脊髄は、頭蓋骨や脊椎のなかで、髄液(ずいえき)と呼ばれる透明な液体にプカプカ浮いている状態で存在します。くも膜下出血などでは、この髄液に血液が混ざったりします。
髄液検査は、この髄液の性状を調べるために、横向けに寝た状態で、背中の一部から脊椎の中に注射針を刺し、髄液を採取し、性状を調べる検査です。
本来は透明なはずの髄液ですが、脳や脊髄にも炎症を伴う場合には、髄液に白血球という免疫を担当する細胞が混ざっていたり、たんぱく質の濃度が上がったりします。
(僕は、この検査は自分では試行していません。内科の先生にお願いしています。)

神経学的検査
多発性硬化症:MSや、視神経脊髄炎:NMOなどの、中枢神経にも影響が伴う病態では、その病変の部位に応じて、全身の運動や感覚などにも異常が起こる場合があります。
筋力や、腱反射、感覚検査など、全身的な評価が必要になりますが、これらは眼科の手を離れて、神経内科の先生方に診療をお願いする形となります。

視神経炎? 検査・診断 その4

今日の午後は以下の手術がありました。
・眼瞼下垂手術 2件(炭酸ガスレーザー使用のミュラー筋短縮)
・白内障手術 9件
・網膜硝子体手術(茎離断)4件
 (増殖糖尿病網膜症2件、糖尿病黄斑症・前膜1件、BRVO後の前膜1件)
どうにか定時で、皆さん無事に終わることができました。

個人的に、今週は喉の痛みと咳、首のヘルニアの悪化で、かなりツライ状態です・・・。説明が聞こえにくいのではないかと思いますが、ご了承ください。

視神経炎? 検査・診断 その4

MRI
目の表面の病気(まぶたや角膜など)や、目の内部の病気(白内障や網膜硝子体の病気)など、僕たち眼科医が目の中をのぞき込むことで、発見できる病気と違って、視神経炎などの、眼球より後方、脳に近い部分の病気は直接のぞき込むことができません。
視力検査や対光反射、視野検査などを行う事で、「視神経に病気があるに違いない。」とか、「脳のこのあたりに病気があるのかも。」なんていう、推測から診断をしなくていはいけないのですが、やはり推測ではなく、明らかにココが病気です。と確定できた方が良いに決まっています。
のぞき込めない体の中を、評価する方法としては、レントゲンとか、CT、エコーなどなど、いろいろとありますが、磁力を使った安全な検査としてMRIがあり、MRIで視神経炎を診断することができるのです。

撮影の条件や解析の仕方によって異なりますが、以下のMRI画像では炎症がある場所が白っぽく写っています。


頭の上方から撮影した画像です。赤矢印が病気の右眼。緑矢印が正常な左眼です。明らかに右眼の視神経の方が白く写っているかと思います。


これは、横方向から撮影した画像です。やはり、赤矢印が病気の右眼。緑矢印が正常な左眼です。


これは、正面方向からの撮影画像です。赤矢印の右眼の視神経の周囲に炎症が起こって、水が溜まり、白くリング状に写っています。

脳(多発性硬化症)や脊髄(視神経脊髄炎)にも炎症が合併するタイプでは、脳や脊髄にも病変が現れます。

MRI検査は、視神経に炎症が起こっていることを直接確かめることができる、視神経炎ではもっとも重要な検査の一つです。

実は以前は、細い視神経の小さな病変をMRIで発見することは、とても難しいことでした。「MRIを撮ったものの、病変は写らない。でも、視野検査などの結果からは視神経炎があやしいので、治療をしてみようか?」という事が多々あったものです。
1年半前に当院に導入された3テスラのMRIは、非常に精密に病変を抽出することが可能で、これになってからは視神経の炎症を評価することが、とても簡単で正確に行えるようになり助かっています。
(機械だけではく、撮影条件など、放射線技師さんの腕も重要です。いつもありがとうございます。)
通常のMRIでは病変が分からない。なんて場合でも、発見可能なものが多々あるかと思います。眼科の先生方で、困ることがあったら是非、同等機種などでも試してみてください。

当院の3テスラMRIについて⇒以前のブログ?その?

視神経炎? 検査・診断 その3

今日の午後は小美玉市医療センターで井上先生と、白内障や緑内障を8件、無事に終えました。
夜は県内の医院様で網膜剥離など硝子体手術3件のお手伝いをさせて頂きました。最近、行く先々の病院の手術数もどんどん増えている印象です。目の病気の人が増えているのでしょうか?

視神経炎? 検査・診断 その3

動的視野検査
見え方の評価としては、視力検査が最もポピュラーですが、見え方の評価としては別に視野という概念もあります。視野は物の見える範囲を指します。視力検査は視野の中心部のみ見えていれば答えることができますが、視野検査は広くどこまで見えているか、どの部位が見えていないかを検索する検査です。
以前に緑内障のブログで書いたことがあるのですが、視野検査には、静的視野検査と、動的視野検査があります。(←詳細はそれぞれをクリック)
視神経炎では、視野の全体像を測定する必要があり、一般的にはゴールドマン視野計を用いた動的視野検査が用いられます。


これは正常例での視野検査の結果です。赤い矢印の先が物を見る中心部。緑の矢印は、人間の構造上、生まれつき視野が欠けている部分でマリオット盲点です。


これは今回の患者様、初診時の視野検査の結果です。かなりの重症でしたので、視野の中心部を含めて、左下の方は全く見えていない状態です。右上の方に視野が残っていますが、周辺部の視野では、細かいものを視認することは困難で、視力は0.05まで低下しています。


これは視野の中心部とマリオット盲点がつながるように障害されている例。赤や青色で塗りつぶされている部分が見えないところです。視神経炎では、中心部やマリオット盲点付近の視野が侵されることがよくあります。


これは青矢印の先、中心部の周りに少し視野が欠ける場所があるだけの、軽症例です。中心部に問題がない場合には、視力値の低下は起こりません。

視神経炎を書き始めたものの、まだまだいろいろあります。
ゆっくりと進めてきたいと思います。

視神経炎? 検査・診断 その2

今日のお昼は以下の手術でした。
・白内障手術 6件
・眼瞼下垂症手術 3件(CO2レーザー使用ミュラー筋短縮)
無事に終わりました。
ちょっと風邪気味で、のどがイガイガします。喋らなければ大丈夫なのですが、外来でも手術でも一日中おしゃべりをする仕事なので、なかなか咳が治りません。説明が聞こえにくかったらすみません[:悲しい:]

視神経炎で行う検査の続きを書いてみます。
視神経炎? 検査・診断 その2

眼底検査
眼球から脳への信号の橋渡しをする視神経ですが、
図では赤い部分が視神経。
図の左端、青い矢印の部分は視神経乳頭(ししんけいにゅうとう)と呼ばれます。視野検査ではマリオット盲点に相当する部分です。
視神経炎での炎症が、この眼球側の断端、視神経乳頭にまでは及ばない場合、つまり上の図で緑の部分のみに炎症がある場合には、眼球内の診察では、全く所見が見当たりません。このような病態は、眼の後方という意味を込めて、球後視神経炎と呼びます。球後視神経炎では、眼底検査ではまったく所見が認められません
逆に、青矢印の先、視神経乳頭まで炎症がある場合には、乳頭炎と呼ばれます。乳頭炎を伴う場合には視神経乳頭が炎症で浮腫んで白っぽく膨らむため、通常の眼底検査でも診断がつきやすくなります。

今回の患者様は球後視神経炎でしたので、眼底写真には異常がありませんでしたので、昨年当院で治療をした別の患者様のサンプルです。
左が発病時。右の治療後と比べて、視神経乳頭の丸い輪郭がぼやけて、腫れぼったい印象なのが分かるかと思います。

蛍光眼底造影検査
蛍光眼底造影検査は、造影剤と呼ばれる薬剤を腕から点滴から投与し、眼底の血管を造影剤がどのように流れるかを調べる検査です。
糖尿病網膜症などの血流障害が起こる病気、黄斑変性症などの弱い新生血管ができる病気、ぶどう膜炎などの炎症を起こす病気の診断などに使われます。
炎症があると、血流が増えて造影剤が多く流れたり、弱くなった血管から造影剤が漏れ出したりするのですが、視神経炎で、乳頭炎を伴う場合には視神経が通常よりも白っぽくうつります

上の眼底写真のサンプルと同じ症例の写真です。左が視神経件を発症した目です。右が正常な反対の目です。左の写真だけ、視神経乳頭が極端に白く写っているのが分かると思います。

視神経炎? 検査・診断 その1

今日は千葉県の先生が見学に来てくれました。午後の手術は以下の通り。
・白内障手術 14件
・翼状片手術 1件
・網膜硝子体手術(茎離断)5件
 (増殖糖尿病網膜症2件、黄斑前膜2件、裂孔原生網膜剥離1件)

網膜剥離は、つくば市の患者様。赤矢印が網膜の断裂部(原因裂孔)です。
左から、剥離⇒復位⇒レーザーで焼き付け
ご紹介の先生のおかげで、発見後すぐに手術に辿り着けました。

今日は視神経炎の検査・診断について書いてみます。
視神経炎? 検査・診断 その1
先月、実際に当院で治療をした患者様のケースをモデルに。

今回の患者様は60代男性
(通常は10代?50代の方が多く、少し女性の患者様が多いようです。)
フランスで入賞経験のある画家(油画)の先生で、治療後に絵を頂いちゃいました。ありがとうございました。

問診(主訴)
「数日前から右目が見えなくなっている。中心部から下の方が見えない。4日ほど前からおかしかったが、日に日に見えない場所が広がっている。」
といった訴えで来院されました。

視力検査
メガネをかけた、最高矯正視力は、右目が0.05、左目が1.0
右目が病気で、著しい視力の低下があることが分かりました。

対光反射
瞳孔は明るい光を当てると、眩しさを軽減するために小さくなります(縮瞳)。
この反応を対光反射と呼びます。(対光反射の以前のブログ⇒瞳孔?瞳孔?
視神経炎では、病気の方の目は光を感じ取る機能が弱っているために、目に光を当てても眩しさを感じにくくなっています。
病気の目は、正常な目に比べて瞳孔が大きくなります。

右目と左目に、個別に光を当てて撮影した、瞳孔の写真です。左の写真が右目、右の写真が左目です。視力の悪い右目の瞳孔が、左目よりも大きいことが分かります。

眼科の検査では散瞳薬と呼ばれる、瞳を広げる目薬をつけて、瞳孔を大きくしてから眼底検査を行います。
「急に視野が欠けた」という患者さんがいらした場合には、網膜剥離や網膜の血管が詰まる病気など、散瞳薬を使った眼底検査で発見できるものが大多数なのですが、問診などから視神経炎を疑った場合には、散瞳薬を使った検査はすぐには行ってはいけません。
散瞳薬を使った眼底検査の前に、必ず対光反射を確認する必要があるのです。散瞳薬を使用してしまうと、瞳孔が開いてしまって、元の瞳孔の大きさを確認することができなくなるためです。
一度瞳孔を開いてしまうと、対光反射や視野検査などの検査を、当日中に出来なくなってしまう事もあり、結果、治療が遅れてしまうとになるので注意が必要です。

今日は手術が多めで、スタッフも見学の先生もみんな残業に。ご協力ありがとうございました。僕も疲れたので、今日はこの辺で、続きは後日に。

視神経炎? 視神経症の分類と原因

今日の午後は、他院様での硝子体手術に呼んで頂きました。
最近は県外での仕事が増えています。このあたりでは車がとっても大事です[:車:]

視神経炎? 視神経症の分類と原因
視神経が障害されると、視力低下や視野の異常などが起こります。(⇒視神経炎の症状
視神経の病気は、眼球の内部の検査のみではハッキリしないことが多く、総じて診断や治療が難しく、国が指定する難病にも含まれているほどです。
視神経が障害される病気を、まとめて視神経症と呼ぶのですが、以下のようなものに分類されます。
虚血性視神経症:視神経を栄養する血流の障害によって起こるもの
外傷性視神経症:ケガが原因で、視神経が曲がったり、断裂するなど
遺伝性視神経症:遺伝子の問題で、先天性(生まれついて)のもの
中毒性視神経症:シンナーや、ある種の薬物によるもの
圧迫性視神経症:視神経の周囲にできた腫瘍病変などの圧迫によるもの
梅毒性視神経症:感染によるもの
視神経炎:免疫機能の異常が原因と考えられているもの(自己免疫性疾患

自己免疫性疾患とは、本来、外敵から自分の身を守る働きを担う免疫の力が、間違って自分自身に働いてしまう病態です。
以前に、ぶどう膜炎のブログで記載したことがあるので、そちらもご参照ください。⇒自己免疫性疾患

視神経炎は、なんらかのきっかけ(例えば、ウィルスの風邪をひいたあとなど)を元に、視神経を構成する成分に対して自己抗体が形成され、視神経に炎症や脱髄が起こってしまう
病気であると推測されています。

視神経は脳や脊髄と同じ、中枢神経と呼ばれる神経組織に分類され、脳や脊髄と似た構造をもつ様です。
視神経炎を発症した場合、視神経にのみ特徴的な成分に自己抗体が産生された場合には、視神経のみが障害されますが、
視神経と脳の両方に存在する成分に、自己抗体が産生された場合には、視神経と同時に脳も障害を受けてしまいます。

視神経炎と呼ばれる病態には、自己抗体の種類や、炎症の起こる場所によって、以下の4つの病態が含まれると考えられています。
?多発性硬化症(MS):視神経と脳を中心に炎症がおこるもの
?視神経脊髄炎(NMO):視神経と脊髄を中心に炎症がおこるもの
?抗AQP4抗体陽性視神経炎:NMOのうち明確な自己抗体が判明しているもの
?特発性視神経炎:視神経のみに炎症がおこるもの

明日も早いので、今日はこれでお終いです。
スタッフの皆様へ。さきほど県南の医院様から電話にて、網膜剥離の紹介がありました。急いで手術が必要な症例のようです。ご協力ください。