H30年、学会発表・講演一覧

今年の発表をまとめてみました。筑波大にいた時でさえ、これほど積極的に発信をしたことはありませんでしたが、様々な勉強をする機会、多くの先生と知り合う機会が持てて楽しい1年でした。
宮井副院長には緊急手術の多くをお願いしてしまい、今年は発表の機会がなくなってしまったのですが、来年は宮井先生も発表予定、そして海外の国際学会に参加予定です。3人で茨城県の眼科を盛り上げていきたいです。

栗原
122回 日本眼科学会総会
 iStent手術の術後早期成績(白内障手術併用眼内ドレーン手術)
 1 Key Opinion Leaders Summit in Malaysia
 33 JSCRS総会
3焦点親水性眼内レンズFINE VISIOにカルシウム沈着を生じ眼内レンズ交換を要した一例

 石岡市医師会 学術講演会
 基本的な眼科疾患と糖尿病網膜症について
 29 日本緑内障学会
 iStentKahook dual bladeを左右別々に施行した白内障併用緑内障手術の比較
 72 日本臨床眼科学会
 半導体レーザー装置CYCLO G6によるマイクロパルス毛様体光凝固術の短期成績
72 日本臨床眼科学会
 モーニングセミナー 地域医療を支える眼科手術施設の秘訣に迫る
 その白内障手術、ありがとうって言われてますか?
 1 Ibaraki Clinical Workshop
 高い満足度と通院継続率を目指した説明法
1 グラウコスMIGSセミナー
 iStentの術後評価とアブインテルノロトミーとの比較

渡部先生
72 日本臨床眼科学会
 低眼圧症例に対して施行した半導体レーザー装置CYCLO G6マイクロパルス経強膜毛様体光凝固術の短期成績
1 Ibaraki Clinical Workshop
 新しい緑内障治療-低侵襲緑内障手術と新型半導体レーザーとcyclo G6による治療成績-

H30年の治療実績 茨城県 山王台病院附属眼科・内科クリニック

例年通り、年末に網膜剥離の駆け込み紹介がありました。今日も網膜剥離、増殖糖尿病網膜症、黄斑円孔網膜剥離などなど沢山の手術。毎年のことですが、お正月を入院ベットで過ごすという、ちょっと可哀想な患者様が・・・。お一人ではなく、仲間が数名いるので大丈夫でしょうか??明日で通常の外来は終了です。大晦日、元日くらいは誰も網膜剥離になりませんように。。。

今年は宮井・渡部副院長の活躍が目覚ましく、手術件数も一気に増えました。当院では近年、近隣の方以外の軽症例手術は基本的にお断りしており、難症例、網膜硝子体手術、緑内障手術の割合が激増しました。もちろん全員の経過が100点なんてことはありませんが、「多くの失明者を救えた」という意味では、3人とも非常に満足のいく1年でした。これも、朝早くから夜遅くまで頑張ってくれるスタッフたちのおかげです。ありがとうございます。

僕自身は手術よりも学会発表や講演の方が記憶に残る1年でしたが、これはまた明日にでもまとめてみます。

治療実績(H30年1月~H30年12月)
観血的手術合計 2629件
内訳
・白内障手術 1481件(眼内レンズ交換含む)
・網膜硝子体手術 521件(糖尿病・網膜剥離・眼底出血・黄斑円孔・黄斑前膜など)
・緑内障手術 199件
・眼瞼(まぶた)の手術 114件(眼瞼下垂・さかさまつげ・霰粒腫など)
・結膜の手術 127件(翼状片・結膜弛緩症など)
・角膜の手術 52件(角膜移植・角膜形成術など)
・涙器の手術 90件(NSチューブ・涙嚢の手術)
・その他の手術 45件(斜視、レンズ整復、瞳孔形成、眼窩など)

レーザー手術合計 480眼 
内訳
・網膜光凝固 173眼(糖尿病・眼底出血などに対するレーザー)
・緑内障レーザー 97眼(毛様体凝固CYCLO G6・SLT・虹彩切除LI)
・YAGレーザー 210(後発白内障に対するレーザー)

*手術数は基本的に保険診療で請求された件数です。両眼同時手術などは2件と計算しています。白内障手術併用眼内ドレーン手術・istentは緑内障単独としてカウント。白内障の手術時に、逆さまつ毛や眼瞼下垂の手術を追加で行うことがありますが、それらはカウントしておりません。

抗VEGF薬 硝子体注射 1315件(加齢黄斑変性症や黄斑浮腫などに対する注射です。ルセンティス・アイリーア・アバスチン)

ステロイド薬 テノン嚢注射 372件(糖尿病や網膜静脈閉塞症などでの黄斑浮腫、ぶどう膜炎などに対する注射です。トリアムシノロン・マキュエイド)

メイメイシャ:長期で考える医療「その白内障手術待って!」


https://mei-meisha.com/doctors/栗原先生/

先日、メイメイシャという眼科医の紹介サイトからインタビューを受けました。僕も掲載されたので一応紹介します。 ちょっとしたインタビューで、僕の考え全てという訳にはいきませんが、一応、地産地消と早期手術の否定など、言いたいことも載せて頂けていたので、お時間があれば読んでみて下さい。 (メイメイシャは書店で目にする、「手術数でわかる・・・」とか、「病院の実力・・・」とか、眼科を紹介する雑誌のようで、実際は医院の有料広告。というものではなく、企業の純粋なインタビューです。)

今週も都内はもちろん、宮城、京都など、はるばる遠方からセカンドオピニオンにいらした患者さんが何人もいました。ありがたいことなのですが、宮城県の1名を除いて、当院での手術はお断わりしています。(宮城の方は重症の糖尿病網膜症で、早期加療、当院での治療にメリットがあると考えた方です。)

手術件数が多いので、よく勘違いされますが、僕は術後に責任を持てないので、遠方の患者さんの手術は極力控えるようにしています。そして、特に白内障手術のように手遅れになることがない疾患では、「どうにも仕方がない。手術をしない訳にいかない。」というケースを除き、手術なんて極力しない方がいいと考えています。
多くの患者さん、眼科医も間違っていますが、白内障手術をしたら10年後も20年後も同じ視力でいられるわけではありません。(10年前のズボンがはけるように、たまには目の形も変化がない人はいますが。)
矯正視力が1.0あるのに、ちょっとかすむから。運転免許の眼鏡使用が嫌だから。そんな理由で手術を希望される患者さんも、残念ながら手術を過剰に進める眼科医も沢山います。
今日はそんな方へのブログです。
眼内レンズの透明度は一生物ではありません。10年20年前のものに比べれば混濁のリスク・程度は小さくなっていますが、最新型のレンズでも1年前に右眼、今年は左眼と手術をした場合、診察をすれば明らかに左右差があるのが分かります。余命が伸びつづけている現在、50代、60代で手術を受ける人が沢山いて、30年後が本当に心配です・・・。
長期経過で眼内レンズがズレたり、落下したりする症例が増えてきています。最近はほぼ毎週、レンズの補正や交換、縫い付けなどの紹介があります。
手術後も目の形は年齢で変化します。手術直後は裸眼で1.2に回復しても、5年、10年では遠視や乱視などの度数が変わり、裸眼の視力は低下します。10年20年の単位では術前以上に分厚いメガネが必要になるケースも少なくないと見込まれます。(手術前が強度近眼とかであれば、それ以上に厚いメガネになることはないでしょうが、術前が薄いメガネであれば、長期では術後の方が乱視が強まることはおおいに予想できます。)

メガネfreeを安易にうたって、過剰に早期手術や多焦点眼内レンズをすすめる眼科医がいたら、ぜひ次の質問をして下さい。
★ずっとメガネがいらなくなるのですか?
★10年後も裸眼で運転免許証が更新できるのですね?
★せめて5年くらいは100%で更新できると保証してくれますよね??
質問をした途端に手術を勧めなくなる先生がいたら、それは本当に手術が必要な状態だったと思えますか?なんのため、誰のための手術でしょう?病院経営のためでしょうか?
白内障は混濁が強く、視力が下がり、現在の生活が困難な場合に、仕方なく手術を受けるべき疾患です。
若くても濁りが強く視力が下がっているなど、せざるを得ない手術であれば、その時に少しでも乱視を減らしてあげたい。メガネを減らしてあげたい。とは思いますが、それは決して一生涯の視力ではありません。今、ちょっとメガネをかけるだけで不自由がない人は手術なんて受けるべきではありません。超高齢化社会。30年40年のスパンでリスクを判断する時代です。
50代60代での白内障手術、本当に今受けて大丈夫ですか??


メイメイシャサイトより