斜視(しゃし)

今日は比較的涼しくて、すごしやすい日でしたね[:曇り:]

斜視(しゃし)
健常な人間は両方の目を使って、物を見ることが可能です。
融像(ゆうぞう)といって、頭のなかで左右の映像を一つにまとめることで、片目で見る場合よりも、より立体的に見るなどの機能を持っています。
めだまの外側には、目を動かすための筋肉が付いているのですが、上についている筋肉が収縮すると、眼球が上を向きます。一つの眼球には「上・下・右・左・斜め・斜め」の6つ方向に動かすための筋肉がついています。
両目で見た方が、良く見えますので、人間はこの6つの筋肉、両眼で12の筋肉を巧みにコントロールして、上下左右、どの方向をみても、両目の視線が同じ向きになるようになっています。

この筋肉に何らかの異常があって、左右のバランスが取れなくなると、左右の目の向きが同じ方向でいられなくなります。このような場合を斜視といいます。(偏見的な言い方としては、昔はロンドン・パリ、ロンパリなどと言われる人もいました。)

12個も筋肉があるので、一口に斜視と言っても、様々です。
例えば、一番多いのは外斜視(がいしゃし)と言って、目線が左右外側に向いてるものです。テレビの芸能人などでも、よくみかけるタイプです。
内側に向いてしまうものは内斜視(ないしゃし)、上下にずれる上下斜視などというものもありますし、上を見たときや下を見たときで斜視の形が変わるもの等もあります。(V型斜視)


上から外斜視、内斜視、外斜視+上下斜視の症例です。

斜視、筋肉のバランスが取れなくなる原因としては、
?生まれつき(先天性):もともと外を向く筋肉の方が強いなど。
?加齢:筋力が弱まる
?脳梗塞や、脳動脈瘤(筋肉への信号が届かなくなる)
?甲状腺機能の異常(筋肉や周囲が腫れる)
?外傷:(筋肉の断裂、眼窩底骨折;筋肉が骨折部に挟まる)
?強い屈折異常(特に遠視での調節性内斜視、強度近視では固定内斜視)
?重症筋無力症など、筋肉の働きが悪くなる病気
他にも、様々な原因があります。

斜視の症状としては、
物が2重に見える。(複視:ふくし)
・物が見にくい(複視または、片目での視力になるため)
・疲れやすい
・見栄えが悪い
などがあります。

大人になってから、外傷や脳梗塞などが原因で斜視がでると、物が2重に見えて、非常にツライ症状となるのですが、子供のころから斜視があったり、長い年月斜視があったりすると、脳でコントロールして、一方の目の映像を遮断するようになります。(視線が外れている方は、目を開けているのに、全く見えていない状態になります。)

根本的な治療法は手術になります。
他には、プリズムメガネといって、特殊なメガネをかけることで、症状を和らげる方法などもあります。(脳梗塞や筋無力症、甲状腺などが原因の場合は、そちらの治療が優先されます。)

手術では、目を動かす筋肉を一度切り離して、少し離れた場所に縫いつけたりして、筋力を増大させたり、減弱させたりします。

7月13日に外斜視の手術をした男性が本日いらっしゃいました。

画面の右側が黒目(角膜)です。中央にあるやや白くてつやっぽい組織が、内直筋といって、眼球を内側に引っ張る筋肉です。筋肉の下に金属製の棒を入れるような形で、筋肉を分離・露出しています。


筋肉が眼球にくっついている部位付近で、一度切り離してしまいます。


糸を使って、筋肉を元の場所より、少しずらした場所に縫いつけています。


術後1週間での本日の写真です。まっすぐな視線になっています。
写真で左側の目を手術しており、まだ少し赤いですが、徐々にキレイに戻ります。手術後初めて診たのですが、とても上手くいっており安心しました。

注射による麻酔(局所麻酔)で行い、一つの筋肉を移動するのに、だいたい10?15分くらいかかります。今回は右目の内側の筋肉と、外側の筋肉を一緒に移動し、30分弱かかりました。
眼科の手術の中では、少し出血が多かったり、痛みがそれなりにあったりする手術になりますが、術後は喜んで頂けることが多い手術です。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

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