全剥離

今日の午後はちょっと辛かったです。
・白内障手術 16件
・緑内障症手術 1件
・網膜硝子体手術 2件
(糖尿病黄斑浮腫1件、網膜剥離・増殖網膜症1件)
みなさん無事に終わっていますが、最後の症例がちょっと大変で[:冷や汗:]

本日はじめてこられたのですが、87才女性です。
右目が1ヶ月以上前から見えない。とのこと。
視力は光触弁(こうかくべん)と言って、失明の一つ前、明かりが分かるか分からないかのレベルです。診察すると、

なんと全ての網膜がはがれているではないですか!
イラストだとこんな感じ。

本来、緑の光を感じフィルムは、眼球の内側の壁にしっかりくっついているはずですが、赤矢印のように内側に剥がれてきています。あまりに剥がれると、内側からみると朝顔のつぼみのように見えます。これは手術開始時です。

かなりの重症で、発症後時間がたっているので、今から網膜をくっつけても、僅かにボンヤリ見えるくらいを維持するだけといったことが予想されます。
年齢も87歳なので、今回は、ちょっと諦めて頂こうかな。と、思っていたのですが、
反対の目を診察すると、視力が0.3、そしてなんと、末期の緑内障があるようです。こうなると、緑内障の目も将来心配ですので、ごく僅かでも視力を残しておいた方がいいのかな?と。
結局、緊急で入院して頂きました。

手術で良く見ると、

網膜は剥がれると白く見えるのですが、シワシワの網膜のシワとシワがくっついているような感じです。実はこの間には、カサブタができており、カサブタを出来るだけ取ってあげないと、網膜のシワを伸ばして、貼り付けることができないのです。


目のはじっこの方を見ると、網膜の断裂(穴)を発見!白く浮き出た網膜の断裂部のオレンジ色が穴の部分です。

網膜をつけるのには、重症例で使用する、重い液体パーフロロカーボンで押しつけます。

(パーフロロカーボンについては、2011.09.04 Sundayのブログを参照下さい。)

網膜がくっつくと、オレンジが回復して、こんな感じに。

ここで、レーザー光線でヤケドを作って、貼り付けていきます。

白い点々が焼いたあとです。

この方は、目のはじっこの方の網膜にもカサブタがベッタリついており、グチャグチャです。

仕方なく、一部のカサブタは、網膜ごと切除してしまい、
最終的にはシリコンオイルを目の中に入れて、終了となりました。
(シリコンオイルについては、2011.04.12 Tuesdayのブログをご参照ください。)

基本的に、網膜剥離は、多くの場合で診察当日に手術を行う事が望ましい病気です。みなさん、急に見えにくくなったら、出来るだけ早く来てくれるといいのですが・・・。今回は、普段はお一人暮らしのようで、やっぱり難しいのかな・・・。

網膜剥離について、いつかきちんと病気の原因から書いてみたいと思うのですが、網膜剥離の患者様が来た日は、そのまま夕方?夜に緊急手術になるため、なかなか時間が・・・。書きたいこと、知って頂きたいことはたくさんあるのですが、1日が26時間あればな。なんて。

今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
Q&Aなどでも、質問を頂くことが増えてきているようで、多少は社会貢献になっているのかな?頑張ってみます。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)

“全剥離” への13件の返信

  1. 検索して色々なページを見てたどり着きました。息子がFEVRで右目が網膜全剥離で生まれてきました。生後2ヶ月と4ヶ月に硝子体手術をして4ヶ月の手術でシリコンオイルを少しだけ入れてもらいました。横向きに寝かせています。今日診察がありまして強い光を目に当てても眩しがりません。網膜がくっついてないのでしょうか?2ヶ月目の手術からアトロピンを点眼し続けているので眩しさになれてしまっているのでしょうか?どうかご意見をお聞かせ下さいませ。

  2. ご連絡ありがとうございます。心配ですよね。
    今は何ヶ月のお子さんですか?術後からは?
    小児で未熟児網膜症やFEVRの硝子体手術を行う病院は日本中でもかなり限られていますが、一般的な知識で記載すると、
    大変申し訳ありませんが、硝子体手術を行って、良く見えるようになる。という可能性はあまり期待しない方が良いかと思います。
    ごく僅かでも光が残れば大成功と、主治医の先生に感謝をしてもいいくらい、難しい病態です。現在の医学ではよい治療法がないのです。

    今の月例によりますが、まったく眩しがらないのであれば、残念ながら、見えていない可能性もあります。
    確認したい場合には、自宅でもかなり強い光を当ててみて、嫌がったり目をそむけないようであれば、機能はほぼないと思ってよいでしょう。
    または、右目に光を入れるまえから、左目を注意深く観察していて、右目に光を入れた直後に、左目の瞳孔が小さくなるかどうかを確認してみてください。左の瞳孔が小さくなったら、右目は明かりを感じています。左の瞳孔が変化がなければ厳しいです。右目に光を入れる時に、左目に光が入らないように遮蔽するなど気をつけましょう。

    もし、視力がなくても、治療を勝手に中断するのはいけません。機能がなくても網膜が復位していたほうが眼球や顔立ちの発達に問題が起こりにくくなります。網膜剥離⇒眼球癆といって、目が小さくなってしまうと、顔立ちにも左右差がでることがあります。また、左眼の定期検査も必須です。

    あまり期待のできる返信ではなくてすみません。
    取り越し苦労で、「右目に光⇒左目がきちんと縮瞳した。」なんていうお返事が頂けると、とても嬉しいのですが・・・。

  3. 2012/03/19に投稿した者です
    返信ありがとうございました。
    以前の投稿の後でまた手術しました。
    担当医師の説明によると前回の手術はシリコンオイルはものすごく少量だったそうです。
    今回は増殖体がある程度除去できたみたいで、レーザーと大量のシリコンオイルで貼り付けました。
    術後2ヶ月経過し網膜のしわはなくなりしっかり張り付いているそうです。しかしまだ張り付いてる面積はまばらだ先生はといっていました。
    先生に内緒でアイパッチをしてベランダに出て眩しがるか確認したところ眩しがっていました。
    そして泣かずに10分位過ごしていました。
    目で追ったりとかはしてはいませんでしたが何かを感じているような様子でした。
    試しに両目をタオルで覆ったらひどく嫌がりました。
    子供が何処まで見えているかはわかりませんが少し私の気持ちは落ち着きました。
    そこで術後の目についてお聞きしたいのですが黒目が青白く見えているのは何故でしょうか?あとその青白い黒目をよく見ると若干白い部分と黒い部分があります。ちなみにまだアトロピンはさしています。
    白い部分というのは全剥離していた白色瞳孔の白とはまた違って見えます。
    よろしければ教えてください。お願いします。

  4. こんばんは。心配していたのですが、少しでも視機能が残せているようで、安心しました。
    今後もきちんと通院を続けて頂ければと思います。
    ときどきは、アイパッチや眩しさから、光覚があるかないかを調べるのは問題ありませんが、あまり長時間になると、良い方の目に思わしくない影響が出ることもありますので、控えるようにしてください。
    青く見えるのは、瞳孔を開いているからでしょうか?すみませんが、診察をしないと、何のことを指しているのか不明です。
    担当の先生にお聞きになれば、すぐにわかるかと思いますが、忙しい先生も多いので、写真を撮って、「これは?」と聞くといいかもしれませんね。

  5. 産まれてから八ヶ月アトロピンやってるので瞳孔はかなり開いてます
    オイルもはっきり見えます
    どうなのか聞いてみます
    ありがとうございました

  6. 瞳孔が反対の黒目と同じ位開いているので青く見えるのでしょうか?
    直径で言うと七ミリくらい開いてます
    よろしければ教えて下さいませんか?
    お願いします。

  7. 散瞳しているほうが、肉眼で黒く、表現によっては青黒く見えるかと思いますが、正確にはみてみないと分かりません。
    診察はあるのですよね?担当の先生はなんといっていますか?

  8. 近々診察がありますので聞いて見ます
    あと白いって言うのはモヤがかかっていてその奥は黒っぽいです
    シリコンオイルが濁ってきてるのか乱反射をしてるのかと思いますがどうでしょう?

  9. 眼圧が上昇して、角膜が白くむくむ事はありますが、これ以上は診察をしないとなんとも言えません。
    受診頂くか、担当の先生に相談をお願いします。

  10. 初めてコメントします
    母がガンでだいぶ前から目が見えていなかったみたいです。
    やっとガンの治療がひと段落したので
    眼科に行きました。

    網膜剥離で失明したそうです。
    視力は回復しませんが
    このまま放置すると目が小さくなるので手術を勧められまそうです。は

    視力が回復しないのに手術なんて納得できません。

    そんなことはあるのですか?

  11. 眼球勞という状態なのですが、網膜剥離などで失明した後は、眼球内に循環する水分を作る機能がなくなり、目が小さくしぼんでいってしまいます。
    目が小さくなると、まぶたの張りがなくなり目をあけることができなくなったり、目がくぼんでしまうので、整容面で不利と考える人もいます。
    手術で目の中にオイルを入れて網膜を復位させておくと、眼球勞を防ぐ効果があります。
    が、完全に失明されている目に行うかは、価値観の問題もあり標準的とは言えません。(少しでも見えている場合は、近年は治療になることが多くなってきています。)
    古い網膜剥離では、手術が難しく、逆に手術のせいで眼球勞になってしまったり、角膜が白く濁ってしまうこともあります。簡単に治せそうかというのは確認するとよいです。
    失礼ですが、余命が推定されているかなども治療適応に関係します。1?2年などが推測される場合は手術をしない方が無難です。
    また、眼球勞になっても、上から被せる薄い義眼で整容面を整えることもできます。

  12. 初めまして。コメント失礼します。
    もうじき生後6ヶ月を迎える娘について、左眼の乳児内斜視の疑いで病院の診察を受けた所、乳児内斜視ではなく、鎌状網膜剥離だとの診断を受けました。FEVRか PHPVのどちらかが原因との事でしたが、どっちなのかを断定はされていない状況です。話の流れ的には遺伝的な方を疑うニュアンスでした。先生から網膜のシワは治す事が出来ないので、今後視力に影響するであろうと言われてしまいました。こちらのサイトで、網膜のシワを伸ばす治療について載っていましたが、それは、鎌状網膜剥離の治療にも有効なのでしょうか?

    1. おはようございます。お子さん、心配ですよね。
      裂孔原性網膜剥離の記載かと思いますが、先天性の鎌状網膜剥離に対する手術は一般的ではありません。
      ごく一部の症例で硝子体手術が行われることはありえますが、現在の医学では非常に難しいものです。
      (超重症例に行って、うまくいっても明かりを残せるかなどのレベル)
      基本的に経過を見守るしかありません。申し訳ありません。

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