電気性眼炎・雪眼炎

もう一日ゆっくりさせて頂いて、雪山トレッキング?子供をソリにのせて、お散歩です。

今日はちょっと関連のある話で。
電気性眼炎・雪眼炎
光は、その波長が長いか短いかで色が変わるのですが、
紫外線⇒⇒赤外線
左が短く、右が波長の長い光です。
色を変えた部分は可視光線と呼ばれる光で、人間の目で感じる事が出来る光の範囲です。虹の7色ですね。
紫よりも波長が短いのが紫外線、赤よりも長いのが赤外線になります。
紫外線が皮膚に悪影響(日焼け、ヤケド)を起こすのは、よく知られていますが、紫外線は目にとってもあまりいいものではありません
紫外線の影響により、白内障の進行が早くなったり、加齢黄斑変性症などの重大な病気の発症率が上がることも報告されています。
特に紫外線は、眼球には角膜(黒目)から入ってくるのですが、溶接作業や雪の照り返しなどで、短時間に強度の紫外線が角膜にあたると、日焼けで皮膚の表面が剥けてしまうのと一緒で、角膜の表面の細胞に障害がおこり、角膜の表面の細胞(上皮)が剥がれ落ちてしまう病態が起こります。これを溶接が原因であれば電気性眼炎スキー場などで雪が原因であれば雪眼炎と呼びます。

紫外線を浴びてから、すぐに発症するわけではなく、半日程度たって忘れたころに、両眼に強い痛みを感じ、目が開かない、充血、涙が止まらない。などの症状が起こります。ビックリして、初めてなった場合には救急車を呼んで病院にくることも多々あります。眼科医にとっては、昼間に作業を行っているのに、夜に救急外来に受診となり、夜に病院に呼びもどされるという、やや厄介な病気です(笑い)。

ご本人にはとても痛くて、目が開けられない、救急車を呼ぶほどの辛い病気なのですが、実は病気としてはあまり重大な物ではありません。もともと角膜の他の病気がある人などを除き、ほとんどの人が1日、長くても2日程度で勝手に治ってしまいます
ただし、角膜の表面の細胞が脱落して、表面のバリアがない状態なので、バイ菌がつかないようにはするべきです。溶接作業で何回も繰り返している人などは、そのうち病院には来ないで、自分で治るのをまつ。なんている人もいるのですが、眼科に来て頂いた場合には、感染予防に抗生物質、キズを治しやすくしたり痛みを撮るのに、ヒアルロン酸の点眼薬や、眼軟膏を処方したりします。特に眼軟膏は角膜の表面を油の膜で覆ってくれるので、痛みもかなり和らぎます。眼軟膏をいれて、まばたきで角膜がこすれないように眼帯をする。というのが、一番よい治療かもしれません。

あまり重大な病気ではないとはいっても、電気性眼炎を繰り返していると、角膜が濁ってしまったり、乱視が強くなってしまったり、翼状片という病気の原因になってしまう事もありえます。

溶接作業には本来は資格が必要で、防御マスクをしなくてはいけない事になっているのですが、「短時間だから。面倒だから。」と、マスクをしないで作業をしてしまい、発症してしまった。という人が一番多いです。きちんとマスクをつけましょう。
他には、日焼けサロンでなってしまった人も数名いらっしゃいました。
昨日今日は曇りだったので、我が家もサングラスをサボってしまったのですが、本来は、雪山ではサングラスが望ましいでしょう。(反省)

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