角膜ジストロフィー? 治療その1

ブログのおかげだと思いますが、今日も都内からの患者様が3名いらっしゃいました。石岡のいちクリニックに、都内から足を運んで頂くのはとても光栄なことです。もちろん近隣地域の医療を担いたい。というのが一番ですが、遠くから来て頂く患者様は、どちらかというと重症例や治療が上手くいっていない方が多いようです。遠方の難しい症例に出会えることは医師としては幸せです。これからも頑張ろう!

今日は昨日の続きで、角膜ジストロフィーの治療法です。
角膜ジストロフィー? 治療その1

削り取る!
PTK (レーザー治療的角膜切除術)
沈着物の蓄積や混濁が、角膜の表面に近い場合には、その部位を削り取ってしまう。という方法が行われます。エキシマレーザーや、最近はフェムトセカンドレーザーというレーザーが使われます。
実は、このレーザーを使って角膜を削る。という手技は、LASIK・レーシックという近視を矯正の治療にとても似たものです。近視や乱視などを矯正する手術をまとめて屈折矯正手術と呼ぶのですが、現在の日本では屈折矯正手術は、自由診療という保険の効かない治療に該当します。当院では現在はレーシックは行っていないので、他の医院様にお願いする形を取らせて頂いています。

60代の女性で、昨年、県内でレーシックができる施設様で治療をお願いしました。(茨城県内にはレーシックの器械は大学病院などにもなく、2つの個人医院様にしかないようです。レーシックは都内に偏っているようですよね・・・。)
上が治療前、下が治療後です。白い濁りが削り取られて、キレイになっています。よい治療をして頂いて、本当にありがたく思います。


最近は、角膜の断面図を撮るOCTなども使われるようになりました。(通常の眼底OCT説明⇒2011.08.17.Wednesday;http://blog.sannoudaiganka.jp/?cid=5107)

右がOCTでの角膜の断面図です。青く囲んだあたりを、病気の症例でみてみると、

左が治療前、右が治療後ですが、緑矢印の先の白い濁りがなくなっていることが分かります。

このレーザーで削り取る治療ですが、近視を矯正するレーシックと似た治療なので、副作用と言いますか、近視が治ってしまったり、遠視になってしまうという事が起こります。もともと強度近視のかたなどでは、ちょうどいいかもしれませんが、近視のない方はよく注意しないといけません。また、角膜ジストロフィーの患者様が白内障手術を行う場合には、将来的にレーザー治療を行う可能性があれば、白内障手術の時に、わざと近視となるように設定しておく。なんていうことも考えておかなければなりません。

レーザーを使用してPTKを行って濁りを削り取っても、沈着物が蓄積する遺伝子・体質自体がなくなるわけではありません。なので、一度キレイになっても、その後の期間では再発してしまいます。再発の期間や程度は病気の種類によって異なりますので、詳しくは担当の医師に相談しましょう。再発時には、再度PTKで削り取ることができますが、削るたびに角膜が薄くなって、より遠視になっていきます。2?3回の治療を行うと、角膜が薄くなりすぎて、それ以上削り取ることができなくなるため、角膜移植などの治療に進みます。

医療って、お金が難しいのですが、レーシックなどの治療は自由診療です。角膜ジストロフィーの治療に限っては、実は条件を満たせば、保険が適応になるとされているのですが、常勤の眼科専門医が3名、常勤の麻酔科医師もいないといけない。など、保険が使える施設として認定されるには、ありえないような条件が必要です。なので日本中で行われる治療のほとんどが自由診療となっています。とても良い治療ですし、病気を治すためなのに、なんでそんな条件をつけたのだろう・・・。納得がいきません。

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