角膜知覚計

今日は重症例の患者様の受診はなく、落ち着いた1日でした[:嬉しい:]
ただ、夕方に知り合いの先生から、角膜のキズ・濁りの患者様のことで電話で相談があり、お答えしてみたのですが、最近は実際に診察が出来なくても、患者様の写真などをインターネットで見ながら一緒に考えることができるようになりました。便利な時代になったものです[:見る:]
典型的ではないのですが、ヘルペスウィルスによる感染ではないかと思ったので、一通り検査の手順や、ウィルスチェックキットが発売されていることについてお話させて頂いたのですが、今日は、その話題の中ででた検査機械について書いてみたいと。

角膜知覚測定
目って、ちょっとゴミが入っただけでも、すごーく痛いですよね?角膜(黒目)は、痛みなどを感じる神経がとても敏感で、目が乾いてくるのを察知して、自然に瞬きを促したり、ホコリが入ると涙の量を増やして流したり。とっても感度が良好な臓器です。
病気によって、その敏感な角膜のセンサーが鈍くなると、目が乾いていることに気がつかずに、まばたきが遅れて、ドライアイが重症化したり、角膜にキズができても、痛みを感じにくいために、病院への受診が遅れてしまったりすることがあります。
角膜の知覚センサーが鈍くなる原因としては、
慢性のドライアイの一部や、糖尿病にともなう角膜炎、角膜に関連した目の手術後や、レーシックの手術後などがあります。
ヘルペスウィルスが角膜に感染した場合にも、角膜知覚が低下するのですが、これは、他の感染症と比べて、比較的ヘルペスに特徴的なことなので、診断に役立つ場合があります。

角膜知覚計

こんな形をしていますが、写真では見えないと思いますが、青矢印の先には、細ーいナイロンの糸がついています。ピンク矢印の先をぐるぐる回すと、糸が伸びたり、引っ込んだりするのですが、

拡大すると糸が見えるでしょうか?
この糸の部分で角膜・黒目をツンツンと突っつくのです!!(こちょこちょではありません。) 一件怖そうな検査ですが、非常に細いナイロン糸で、あまり患者様には見えていないようです。

糸の長さは、0mm?60mm(6cm)の中で調節できるのですが、
糸が長いほど、糸の腰が弱くなり、ツンツンされても気が付きにくくなります。
糸が短いと、腰が強く、ツンツンされたら、「痛い!」となります。

はじめは、6cmと最も伸ばした状態から、ツンツンします。
ツンツンされても、何も反応しない場合には糸の長さを短く変更していきます。
痛みや圧力を感じたり、角膜自体が刺激を感じ取ってまばたきをしたら、その時の糸の長さを、角膜の知覚センサーの能力として算定します。

正常な角膜の人は年齢などによって異なるのですが、最初の6cmとか、5cmくらいで、糸が触れているのを自覚するのですが、角膜ヘルペスなどで角膜の知覚が低下していると、1cmとか2cmとか、かなり強い「ツンツン」でないと分からない場合もあります。
おそるおそる自分の目にも・・・・。

よかった。僕は6cmでも分かりました。(年齢が若い方が感度がいいようです。)

あまり手術眼科っぽい内容ではないのですが、今日もお読み頂きありがとうございました。

補足:
お電話頂いたI先生、角膜知覚計なんてないとのことでしたが、置いてない医療機関のほうがよほど多いものと思います。僕もそうそう使いませんし。ウィスルチェックキットも発売されていますし、それで陽性なら診断は楽勝なのですけどね。(もちろん偽陰性もありますが)
僕がコンタクトなどの外勤をしていた時などに、やっていた方法ですが、フローレス試験紙を細ーくきって、もちろん無麻酔で、角膜に「ツン」とする方法があります。

定量的ではないのですが、先に、正常な方の目に「ツン」としたときの反応をみて、次に、知覚低下眼に「ツン」として、反応を比べると、明らかに差があったりするので、診断に役立ちます。ぜひ、やってみてください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です