鼻涙管閉塞症(なみだ目)

金曜日は午前が通常の外来、午後が特殊外来です。
午後の特殊外来では、一部、簡単な手術を行っています。

今日は、2名の患者様に涙管チューブ挿入術(NS-チューブ)を行いました。

「なにもしないのに涙が溢れてくる」という訴えで、受診される患者様は大勢おります。涙目(流類)の原因にはドライアイや、結膜弛緩症など、多くの原因がありますが、中高年?高齢者の涙目の原因として、鼻涙管閉塞症というものがあります。

鼻涙管閉塞症・涙道閉塞症(びるいかんへいそくしょう・るいどうへいそくしょう)

涙は本来、眼球の外側上方にある涙腺(るいせん)という組織で産生されます。その後、目の表面を潤したり、ホコリを掃除したりしながら、最終的には目がしら付近の涙点(るいてん)と呼ばれる穴から、鼻の奥⇒喉のほうへと流れていきます。この涙の通り道を鼻涙管や涙道と呼びます。
子供の時はこの流れがとてもいいので、目薬を付けて数秒で「苦い」と感じます。大人になると、この涙の流れ道が狭くなってくるために、目薬が苦いという感覚がなくなってきます。(すでに、僕にもありませんが、残念です・・・。)

鼻涙管閉塞症(涙道閉塞症)は、この涙の流れ道が詰まってしまった病態です。原因は、稀には鼻腔の腫瘍や外傷であることもありますが、ほとんどの場合は加齢です。(赤ちゃんにも、先天性鼻涙管閉塞症という病気がありますが、今回は触れません。)

涙の出口がないため、何もしていないのに、涙が潤んでしまったり、涙がこぼれて(流涙)、目じりがただれたりします。また、ホコリやバイ菌を流す作用がなくなり、メヤニが出やすくなったり、花粉もたまってしまうためにアレルギーが強く出るなどします。

目薬には、メヤニや涙の症状を和らげる効果はありますが、詰まってしまった道を開通させる効果はありません。(治すことはできません。)

以前はブジーと呼ばれる、針金を突き刺して穴を開けようといった治療が行われましたが、すぐにまた詰まってしまうことが多く、最近は行われなくなりました。

近年もっとも行われている治療にNS-チューブというものがあります。針金のブジーを通した後に、シリコン製のチューブを通し、1?2ヶ月のあいだ、チューブを留置します。チューブが長期的にいることで、再閉塞が起こりにくくなる治療です。局所麻酔で10分程度で終わり、発症後1年以内であれば良好な成績が期待できます。
ただし、発症後数年など、時間がたっている場合には治療ができなくなってしまったり、再閉塞の確立が高くなってしまうために、涙目になった場合は出来るだけ早く受診するようにしましょう。当院でのNS-チューブは、現在、1ヶ月程度の待ち時間で施行可能です。

残念ながら、長期間過ぎてしまった症例など、NS-チューブが施行できなくなってしまった方は、やや大きな手術となりますが、涙嚢鼻腔吻合術といった手術があります。以前は、全身麻酔で骨を削って、道を作成して・・・という、大掛かりで負担の大きな手術が主流でしたが、最近は鼻側から内視鏡を使って行う、鼻内法と呼ばれる、局所麻酔で、負担の少ない手術が増えてきています。
鼻内法の涙嚢鼻腔吻合術を現在勉強中です。1年程度で当院にも設備を整えて治療を開始したいと考えています。
頑張りますので、もうしばらくお待ちください。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市)

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