糖尿病網膜症? 進行期:増殖網膜症

今日はお昼に白内障手術を7件行いました。
みなさん無事に終わっています。

今日は網膜症の進行期(末期)についてです。

糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)
増殖網膜症(ぞうしょくまくしょう)

中期では血液の流れが極端に悪くなった(虚血)部分の網膜が白くなり、軟性白斑と呼ばれました。この段階で、造影検査で血流がないことを確認した場合にはレーザー治療を行うのですが、残念ながら、きちんと治療を受けられなかった場合には、進行期(末期)へと進んでいきます。

人間の体は、様々なストレスから回復しようとする力が働きます。例えば、手足をケガして、血管が切れた場合には、新しい血管を生やしたりして、出来るだけもとに近づけようとするのです。
網膜も血管が詰まって、あまりに血液・酸素が足りなくなると、網膜は自分で血管を生やそうと頑張るのです。このように書くと、新しい血管が生えて、血流が戻れば万々歳というようにも思うのですが、残念ながら、目の場合にはそう上手くいかないのです。
手足の血管は、ケガの後に新しく生えてくる血管でも、多くの場合には全く問題なく機能するのですが、網膜の血管が詰まった場合の、後から生えてくる新しい血管(新生血管:しんせいけっかん)は、ほとんどができそこないしか生えないのです。もともと、目の中の血管は、非常に精巧にデリケートにできているのですが、緊急事態に生えてくるような血管には、そこまでの精巧には形成されないのです。
手足の血管は多少のできそこないができて、もしも出血したとしても、「アザができた」くらいで済むのですが、目の中で出血した場合には、場合によっては失明につながる大惨事になってしまうのです。

できそこないの血管(新生血管)は、ちょっとした血圧の変動などで、すぐに出血してしまうので、目の中が血みどろになってしまうのです。


水色の矢印の先に、ちょっと見づらいのですが、もやもやとした細い血管が見えます。これが新生血管です。緑の矢印は、新生血管から出血した状態です。


このように目の中に出血をすると、目の中が赤い出血で埋まってしまうために、光が目の奥、網膜まで届かなくなるために、急激に暗く、見えなくなってしまいます。


出血が続いて、そのまま真っ暗という場合もありますが、出血が自然に止まって、途中でキレイになってしまう事もあります。ただし、どちらにしても、ある程度以上の出血が眼の中に存在すると、数か月たった時点で、目の中には、写真、水色やじるしのような、カサブタ(増殖膜:ぞうしょくまく)ができてしまいます。カサブタは、ヒキツレを起こす性質があり、目の中のカサブタ(増殖膜)がヒキツレを起こすと、網膜が内側に引っ張られ、最終的にはグチャグチャになって失明してしまうのです。

「症状」
出血の程度によりますが、出血が多い場合には、出血直後から真っ暗になることも多々あります。直前まで1.0の視力があった人が、トイレから帰ってきたら、全く見えなくなっていた。なんてこともよくあるのです。
出血が少量であれば、その部分が曇ったように見え、モヤが動いて見えます(飛蚊症)。
出血量が少なくて、目のはじっこのほうでのみ出血した場合などは、出血していることに気がつかないまま、目の中がカサブタだらけになっていた。なんて人もいます。
とにかく、糖尿病網膜症の症状は、気がつきにくい。分からない。と言う特徴があり、気がついた場合には末期の末期なんて事が多いのです。

「治療」
出血する前であったり、出血量が少なくて、外来での網膜光凝固術(レーザー治療)で抑えられる事もありますが、ある程度以上の出血があったり、カサブタが張ってしまった場合には、手術によって目の中に器械を入れて、出血を洗い流したり、カサブタをはがし取ったりする必要がでてきます。このような手術を網膜硝子体手術と言います。

手術は、全員が全員上手くいく。という物ではなく、時には失明につながる合併症を起こすこともあります。ですので、症状のない中期の段階で、レーザー治療を行うことが大事なのです。

「診察」
糖尿病眼学会などでは、一般的に2週間?1ヶ月に一回の診察としていますが、基本的には定期検査よりも治療が必要な段階であり、何ヶ月に1回の診察と言うよりは、治療のスケジュールを組んでいく必要があります。

白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
(茨城県 石岡市 小美玉市 かすみがうら市 土浦市 笠間市 鉾田市 茨城町)

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