ジェネリック医薬品という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ある製薬会社が薬品を開発し、その薬の成分自体の物質特許を取得した場合、その後の10年間は他の会社は同様の薬を販売することが難しくなります。はじめに作った会社の薬を先発品と呼びます。
10年が経ち、特許が切れた場合に、他の製薬会社が同様の成分の薬を製造し、販売することがありますが、この、あとから発売される薬のことをジェネリック医薬品(後発医薬品)と呼びます。
ジェネリック医薬品の最大のメリット(良い点)は価格が安いことです。
薬を開発し、認可されるためには、研究開発費・動物実験・臨床治験など様々なコストや時間がかかりますが、ジェネリック医薬品はこれらの多くを省くことができるために、安い値段で製造・発売が可能になるからです。
こんなご時勢ですので、医療費の削減は国家としても重要なことです。使い方によってはジェネリック医薬品を選択することは、とてもよいことだと思います。ただし、なんでもジェネリックにすればよいというものではなく、特に点眼薬に関して注意するべき点を記載します。
?ジェネリックは全てが同じ薬ではありません
薬の特許には、薬の成分自体の物質特許以外にも製法特許や製造特許というものがあります。薬の成分・物質自体を溶液(お水)にどのように溶かすか、どのような溶液に溶かすかなどにも特許はあります。基本的には薬の成分自体が同じであれば、それは同じ薬(ジェネリック)として認められます。
多くの点眼薬には防腐剤(薬が傷まない・腐らないようにする添加物)などが含まれていますが、近年、防腐剤による角膜障害などの副作用の報告が数多くなされています。防腐剤にアレルギーがある方もいらっしゃいます。薬の成分自体が同じであれば、防腐剤の種類や濃度に違いがあっても、ジェネリックとして販売が可能なのです。
また、効果に関してですが、基本的に統計学上で±15%程度の効果があれば同等の薬として認められる事となっています。15%を大きいと思うか、小さいと思うかは、人それぞれだと思いますが全く同じと表現するのはどうでしょうか。多くの先発品は数多くの、そして長期間の検査をクリアしてやっと販売許可が下ります。臨床治験や市販後調査など、数千、数万、数十万人という莫大なデータを取得・調査する必要があります。
一方、薬によってですが、ジェネリックの調査は先発品との効果が同等かどうかを数十例とか、数百例集めるだけで認可される場合もあり、データの信頼性といった点でも全く同じという訳にはいかないと考えられます。溶かし方や、添加物が違えば、目の中にきちんと到達する薬の量が異なることも容易に推測できます。
?ジェネリック医薬品を選択したことを医師に伝えましょう!
決してジェネリックを批判している訳ではありません。
薬の費用が安いことは、患者様の経済的な負担が減りますし、国の財政としてもとても大きなメリットがあります。
僕も白内障手術などで使う粘弾性物質と呼ばれる薬などはジェネリックを使用しています。(人工のレンズを入れる場合に滑りを良くするのに使う薬です。レンズを入れた後は目の中を洗浄するために眼内には残りません)
また、ドライアイに使用するヒアルロン酸製剤と呼ばれる薬では、付け心地がよいとの評判で、一部の患者様には始めからティアバランスと呼ばれるジェネリック医薬品の目薬を処方することもあります。(目薬には相性がり、全員にいいと言っているわけではありません)
開業医様などで薬を院内で処方する場合には、その医師が安全性などについて検討した結果で、採用・処方しているのだと思いますのが、現在、多くの病院では院外処方といって、処方箋を発行し、あとは患者様が好きな薬局で薬を購入することになっています。多くの医師は先発品をイメージして薬の処方箋を出しますが、患者様が薬局でジェネリックに変えたことは医師には伝わらないこともあります。
上述したように、ジェネリック医薬品は薬を溶かすお水や、防腐剤の種類、濃度など、全てが一緒ではありません。点眼薬では、このような違いによって、点眼後の刺激感(しみる)や、防腐剤に対するアレルギーなどにも違いが起こることがあります。
また、緑内障では眼圧を1とか2とか、非常に微妙なラインでコントロールすることもあり、15%という効果の値の差でも、医師の考える治療法に影響することがあります。
ジェネリック医薬品を選択されること自体には問題はありませんが、一度、医師にお伝え頂けると良いと考えます。
白内障手術 硝子体手術 眼科手術専門 山王台病院 附属 眼科内科クリニック
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